JPH0421445B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、きのこの人工栽培において、死滅菌
の菌かき、培養基かきだし、瓶洗いなどコンテナ
に複数収納された培養瓶を反転して行なう作業に
用いる反転装置に関する。

（従来の技術と問題点） きのこの人工栽培は、おがくずを主体とする培
養基を培養瓶に詰め、これを殺菌した後、培養基
に穴を開け、これに種菌を植え付け、菌糸が培養
基全体にまんえんした段階で瓶口の菌床を覆う死
滅菌をかきだし、育成し、収穫後は、使用済みの
培養基をかきだし、さらに瓶洗いするなどの作業
がある。

これら死滅菌の除去、培養基のかきだし、瓶洗
いなどにおいては、不要物を下方に出すわけであ
るから、コンテンナを収納した培養瓶は、反転さ
せて、すなわち、瓶口を下方に向けた状態で、上
記各作業を行なつている。

これに使用される従来の装置としては、特許第
1010313号（昭和55年出願公告第154746号）に見
られるように、セツトテーブルの端部に蝶番を介
してを回転可能に軸支された枠体内に培養瓶入り
のコンテナを狭み、前記セツトテーブルの上に反
転セツトするものであつた。かかる従来の装置に
おいては、反転時にコンテナとこれに収納された
培養瓶は、枠体内に狭圧され、所定位置の口金上
に確実に反転セツトされる点では優れているが、
セツトテーブルの端部に支持されてコンテナが回
転するため、かなりの回転トルクを必要とする。
これを人力で行なう場合には、多数のコンテナを
処理せねばならない時には、操作者に加重の負担
がかかり、モータで回転を行なわせる場合でも、
比較的出力の大きなものを使用しなければなら
ず、コスト高の原因となる。また、もう一つのコ
スト高の原因として、上記従来の装置では、反転
状態を確実にするため、種々の歯車、チエーンそ
の他の機械要素を付設しなければならない。

更に、近年きのこ栽培装置は、大量処理に適し
た装置が求められており、上記の従来装置では、
処理後のコンテナは元の位置に復帰するものであ
るため、一方向にコンテナを送り出して、大量に
流れ作業としてライン処理を行なうことが出来な
い。

その不都合を解決するため、出願人は特願61−
144423を提案しているが、同発明は回転枠とその
上に位置させる押え板とからなり、その間にコン
テナがセツトされた後、回転枠の回転と同期して
押え板が回転し且つ押え板が徐々に回転と共に回
転枠方向に近接し最終的には押え板に設けられた
穴の縁で各培養瓶の肩を弾圧的に圧接しようとす
るものである。実開昭55−77944号公報の装置も
その点に関しては同様の構成をとつている。その
ため回転枠の回転と押え板の下降を同期して行う
ために、スプリング部材、湾曲ガイド、滑動子な
どの機械要素を取り付けねばならず、湾曲ガイド
は湾曲状態を微妙に調節して形状を決めなければ
なければならない。

それだけでなく、コンテナの中の培養瓶はたえ
ず密に収納されているわけではないのに対し、回
転枠は、押え板が完全に下降する前に回転するの
で、コンテナ中の培養瓶全体が一方に偏位し、押
え板が下降したとき培養瓶の肩部を圧接出来ず、
時として、培養瓶が反転中にコンテナから脱落す
ることがあつた。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、このような問題点に鑑み改良的に開
発されたものであり、その目的とするところは、
コンテナを人力で反転させるにしてもモータで反
転させるにしても回転トルクの小さい反転装置を
提供することを目的とするものであり、また、そ
の反転が行なわれる時、反転状態でコンテナ及び
培養瓶を支持する機構が極めて簡単であり、製造
コストを従来に比べ安価とすることができる装置
を提供しようとするものである。

更に、コンテナの送り込み及び送り出しを一方
方向に行なうことにより、流れ作業による大量処
理を可能にした反転装置を提供することを目的と
するものである。

本発明は、かかる目的の下に考案されたもので
あり、その要旨とするところは、基台上に設けら
れた平行な支杆の間に橋架された軸に中央部分で
回転自在に軸止され且つコンテナの送り手段とコ
ンテナの停止位置を規制する停止手段とを備えた
回転枠と、初期位置において回転枠との間に培養
瓶の入つたコンテナがセツトされる間隔を開けて
回転枠上方に設置され且つ各培養瓶の位置に対応
して複数の穴を有する昇降自在の押え板とからな
り、押え板がコンテナが前記停止手段により回転
枠の上の所定位置に到達した後、培養瓶の肩部に
下降し、その後に回転枠が反転を開始することを
特徴とするきのこ培養瓶のコンテナの反転装置で
ある。

基台は、枠材または箱型のいずれでもよいが、
その中または下には、死滅菌かきだし装置、培養
基かきだし装置、洗瓶装置などの装置を収納でき
る空間が設けられている。場合によつては、基台
は２本の平行支杆のみからなり、その下には直接
上記死滅菌かきだし、培養基かきだし、瓶洗い装
置自体の枠体または、箱体が配置される。従つ
て、すくなくともこの基台は、平行な間隔を開け
た支杆を有するものである。

この基台の平行支杆の間には、軸が橋架された
おり、この軸に中央部分で軸支され基台の支杆の
間を回転する回転枠が設けられている。更に、こ
の回転枠は、培養瓶入りのコンテナを所定の位置
まで送り込むためにチエーン、ローラなどの送り
手段を装架している。

更に、回転枠には、送り込まれたコンテナの培
養瓶が後述の押え板に形成された穴の真下に位置
するよう停止させるための停止板などの停止装置
が突設され、この停止板は、例えばコンテナ搬入
時には回転枠上に突き出され、送り出し時には下
降するようにしてある。

この回転枠の上には、コンテナ内に収納された
各培養瓶の肩部にまで挿通される穴を穿設した押
え板が、初期位置において、その下に培養瓶をセ
ツトし得る間隔を開けて昇降自在に装架されてい
る。押え板を昇降自在にするための手段はいかな
るものでもよく、歯車を利用したもの、スプリン
グを利用したものなど種々の手段が適用される。
なお、昇降手段は、回転枠の上面と下面に対象的
に配備することが望ましく、このような構成を与
えれば、一方の回転枠上の培養瓶が反転している
とき、反対側の回転枠はコンテナをセツトするこ
とが可能になり、連続的な作業が可能となる。な
お、手動で回転枠を回転させるためには、適宜の
ハンドルが回転枠に付設され、自動的に回転を行
なわせるためには、回転枠の軸に駆動手段を取付
けて回転させる。

停止板を取り付けてコンテナの停止位置を正確
に決めるようにする場合には、回転枠に送りこま
れるコンテナの位置を所定位置に停止させるた
め、光電管、リミツトスイツチなどの電気的セン
サーでコンテナの搬入を検出したとき、回転枠上
に停止板を突出させ、回転枠が逆転し元の位置に
復帰したとき、これをセンサで検知しその信号で
停止板を回転枠の下に下降させる制御装置によつ
て行なわれる。順方向に連続的に回転させる場合
には、停止板は、コンテナの所定停止位置の前後
に設けられ、ほぼ同様に制御さる。更に、回転枠
を水平位置で停止させる制御手段も設けられる。
例えば、水平位置検出センサとその信号により回
転枠を水平に一時的に支持するソレノイドなどが
設けられる。

反転された培養瓶に対して行なう作業は、前述
の通り、きのこの人工栽培においては、死滅菌の
かきだし、培養基の除去、瓶洗いなどがあり、こ
れらの装置は、反転された培養瓶の下方に設置さ
れる。

また、本装置は、一連のラインの処理工程に組
み込まれることがあり、その場合には本装置の前
後にローラコンベアが連設されたり、その前に脱
栓装置が設けられたり、その後にキヤツプ装着装
置が連設される。また、本装置に培養基かきだし
装置が内装される場合には、本装置に洗瓶手段を
内装した装置を後に連続装備させるとよい。

（作用） 本発明は、以上のように構成されているので、
リセツト時には、回転枠は、基台の支杆の間に水
平に保持されており、その真上には、コンテナに
入つた培養瓶が通過可能な高さで、押え板が回転
枠と平行に位置している。

この状態から、回転枠の間に装架されている送
り手段により、コンテナの各培養瓶を押え板の下
に送り込むとこれを検知して停止板が上昇しコン
テナはこの停止板によつて停止され、押え板の各
穴の真下に培養瓶が位置する。

このようにして位置決めが行なわれたならば、
手動の場合には回転枠に取付けられたハンドル
で、自動的に行なう場合には、回転枠の軸を回転
駆動するモータを駆動させる。

押え板は、昇降手段により培養瓶の方向に下降
し、まず押え板の穴に同心円状に培養瓶の首が入
り込み、更に下降すると押え板の穴が培養瓶の肩
の位置に到達し、穴の縁が培養瓶の肩に接触する
に至り、その位置を保持する。従つて、培養瓶は
コンテナと共に回転枠と押え板の間で脱出不能に
保持さる。この状態で回転枠が回転すると培養瓶
全体も回転しやがて反転状態となる。この反転状
態で、基台内に内装された機器によつて例えば、
死滅菌の除去などの作業が行なわれる。

これらの作業が終了したならば、回転枠を逆転
させれば、前記したのと逆に、回転枠を逆転させ
るかそのまま順転させ元の位置に復帰させる。

一方、反転した回転枠の上面にもう１つのコン
テナを送り込み回転枠を更に順転させるならば、
かきだし作業を終えた培養瓶のコンテナは、反対
側に回転され、同様にしてもとの位置にリセツト
され、送り出し可能となる。

押えの板の昇降手段を回転枠の上下それぞれ設
けて置く場合には、回転枠を反転させその状態で
回転枠の下面に位置することになるので、そこに
コンテナをセツトし、反転していた下の培養瓶に
対する作業が終つたなら回転枠を順転または反転
させ、作業の終了したコンテナを取り除いて、下
で作業が行なわれている間に作業未完の新たなコ
ンテナを回転枠の上にセツトするという操作が繰
り返される。

（実施例） 以下実施例として示す図面に従つて説明すると
１は、脚部２に支持され任意の高さに設けられた
２本の平行の支杆３を有する基台であり、２本の
支杆３の間は上下に空間となつている。４は、支
杆３の間に橋架された軸であり、５は、この軸を
ベルトを介して正転逆転させるサーボモータであ
る。この軸４には、回転枠６が回転自在に軸支さ
れており、回転枠６内には、適宜の間隔を開け
て、複数の回転ローラ７が装架され、更に、この
ローラ７により回転枠６上に案内された複数の培
養瓶８入りのコンテナ９の位置決めを行なうため
の停止板１０が昇降自在に突設している。

１１は、押え板であり、その両端中央には、ラ
ツク１２が設けられ、このラツク１２には回転枠
６に回転自在に立設された軸１３の上方に設けら
れたウオームギア１４が噛み合つており、また軸
１３の下方には笠歯車１５ａがあり、この笠歯車
１５ａには、笠歯車１５ａに動力を伝える笠歯車
１５ｂが噛み合つている。

押え板１１には、培養瓶８が所定停止位置に到
達したときその真空上に位置し、培養瓶８の肩部
任意位置の直径に等しい大きさの穴１６が開けら
れている。１７は、押え板１１を上下に案内する
ガイドポールである。

１８は、基台１の下に設けられた死滅菌かき出
し装置であり、１９は、基台１の脚部２に案内さ
れた昇降する昇降台、２０は、昇降台１９に回転
自在に植え立てられ、反転した培養瓶８の瓶口に
入り込んでかき出しを行なうかき出し具である。

（効果） 以上のように、本発明においては、回転枠６
は、基台１の端部を支点として回転するものでは
なく、回転枠６の中央に設けられた軸４を中心と
して回転するため、工場内における占有面積を少
なくすることが出来るとともに、回転トルクが小
さいので、作業者に過度の負担を与えることな
く、手動でも楽に反転作業を可能とするものであ
り、モータを使用する場合においても、小出力の
もので足りるので、製造コスト、ランニングコス
トの面で極めて有利である。

また、本発明では、コンテナが前記停止手段に
より回転枠の上の所定位置に到達した後、前記押
え板が培養瓶の肩部にまで下降させ、更にこれを
検知して回転枠が反転を開始するのであるから、
従来のように回転枠の回転に応じて押え板が徐々
に回転枠方向に近接しやがて培養瓶の肩に穴が当
接させるための複雑な機械要素、例えば、特珠の
形状をしたカム、ガイドバーを装備する必要はな
く、その部分の装置を簡単にすることができる。

また、コンテナの中の培養瓶が密に収納されて
いない場合でも、回転枠は、押え板が下降して培
養瓶を固定した後に回転するので、コンテンナ中
の培養瓶全体が一方に偏位して所定の位置から外
れ押え板による固定が出来ず、また培養瓶が反転
中にコンテナから脱落する等の事故が生ずること
もない。

更に、多数のコンテナ、培養瓶を処理する必要
にせまられているこの種きのこの人工栽培の分野
において、ラインの自動化は不可欠となつている
が、本装置は、一方向にコンテナを送ることが可
能であるから、流れ作業による大量処理に適して
いるものである。特に回転枠の上下に押え板と昇
降手段を対象的に配置しておけば、より生産性の
高い作業を実現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、回転枠上にコンテナをセツトした状
態を示す本発明装置の側面図、第２図は、押え板
を下限にまで下した状態の正面図、第３図は、第
２図の平面図である。 ３……支杆、４……軸、６……回転枠、７……
ローラ、８……培養瓶、９……コンテナ、１１…
…押え板、１２……ラツク、１３……軸、１４…
…ウオームギア、１５……笠歯車、１６……穴、
１７……ガイドポール。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 基台上に設けられた平行な支杆の間に橋架さ
   れた軸に中央部分で回転自在に軸止され且つコン
   テナの送り手段とコンテナの停止位置を規制する
   停止手段とを備えた回転枠と、初期位置において
   回転枠との間に培養瓶の入つたコンテナがセツト
   される間隔を開けて回転枠上方に設置され且つ各
   培養瓶の位置に対応して複数の穴を有する押え板
   とからなり、押え板が、コンテナが前記停止手段
   により回転枠の上の所定位置に到達した後、培養
   瓶の肩部にまで下降し、その後に回転枠が反転を
   開始することを特徴とするきのこ培養瓶のコンテ
   ナの反転装置。