JPH0421310Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、椅子特に劇場等に多数配列して設置
し、座体が起伏自在となる椅子に関する。

従来の技術及びその問題点 この種の椅子は劇場等において客席として多数
配列して設置し、不使用時においては座体を背も
たれ体に合掌するように起立させ、椅子の横列間
の歩行に支障とならないようになされている。こ
の座体の起立動作は、着座者が立上がるとスプリ
ングの弾性偏倚力により自動的に行われるように
構成されており、このため、座体は起立状態では
背もたれ体に対し密接されることになるが、背も
たれ体に対して密接させると、座体上に置いた小
物やたばこの吸がらなどが挟まれて外部から見え
なくなるため、紛失の原因となつたり、火災を誘
発する原因となつたりする惧れがあり、またばね
の反撥力で座体が背もたれ体に衝合する状態とな
るためにストツパー音が生じると共に、ばねの劣
化をきたし、さらに着座する際の座体の倒伏が円
滑に行えないという欠陥を有する。

考案の目的、実施例及び作用 そこで本考案は、かかる点に鑑み、簡単な機構
により背もたれ体に対して、座体を所定の起立傾
斜角度で確実に保持できるように構成した椅子を
提供することを目的とする。

以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明
する。

図において、１は座体で、これが床面に立設さ
れた左右の脚体２ａ，２ｂ間に支軸３を介して垂
直状態から水平状態に起伏自在に軸着されてお
り、また前記脚体２ａ，２ｂ間の後部には、座体
１の後方に位置して背もたれ体４が稍後傾の状態
で起立固定され、かつ前記脚体２ａ，２ｂの上部
には、ひじ掛部５ｂ，５ｂが装着されている。

このような座体１、脚体２ａ，２ｂ及び背もた
れ体４から構成された椅子の座体１は、常時起立
方向に弾性偏倚されている。即ち、座体１を脚体
２ａ，２ｂに対して軸支する支軸３には、捩りコ
イルスプリング６が装巻されて、その一端部６ａ
が支軸３上に係止され、その他端部６ｂが支軸３
に対し直交方向に延長され座体１の側面に回転自
在に突設されたカム部片７に係合され、この捩り
コイルスプリング６の弾性力により、座体１を起
立方向に偏倚している。

この捩りコイルスプリング６は、座体１に設け
た支軸３の挿通用孔８内に嵌挿されると共に、前
記延長端部６ｂが、前記座体１側面に形成した前
後方向に長い方形状凹部１ａ内に介在し、その先
端部と係合するカム部片７が、前記凹部１ａの前
部位置に突設してある。前記カム部片７は、偏心
軸７ａを有しており、この偏心軸７ａは角孔７
a′を有したねじ軸から成り、また捩りコイルスプ
リング６の延長端部６ｂの先端部はコ字状に屈曲
されて、前記カム部片７え前記屈曲部６b′の一方
の片と常時圧接した状態におかれる。

また座体１の側面凹部１ａは、アーム板９によ
つて閉塞される。このアーム板９には、支軸３に
対応して軸孔９ａが穿設され、かつ側面凹部１ａ
を閉塞した状態で支軸３がブツシユ１０を介して
前記軸孔９ａに回転自在に軸支され、このアーム
板９は、座体１に対して前述した偏心軸７ａと、
座体１の後方に突設した取付ねじ１１とに挿通さ
れたのち、ナツト１２ａ，１２ｂにより締付けら
れて座体１の側面に固着されるものである。

また、このアーム板９の後部外側面には、係止
片１３が垂直状に突設されており、この係止片１
３は上面に水平部片１３ａを有しており、この水
平部片１３ａの上下面に緩衝体１４ａ，１４ｂが
固着されている。

なお、この係止片１３を突設したアーム板９
は、図示しないが、座体１の他側面にも、対称的
に方形状の凹部及びアーム板が配設される。前記
脚体２ａ，２ｂの内側面には、夫々座体１の水平
倒伏状態と起立極限位置において前記係止片１３
が緩衝体１４ａ及び１４ｂを介して当接する支受
体１５，１６が上下関係で固定され、上位の支受
体１５に、係止片１３が一方の緩衝体１４ａを介
して当接することにより座体１は第２図仮想線イ
で示すように略10度角の倒伏状態で固定され、ま
た下位の支受体１６に、係止片１３が他方緩衝体
１４ｂを介して当接することにより、第２図仮想
線ロで示すように、略88度角の起立状態、即ち座
体１が背もたれ体４に略合掌する起立極限位置の
状態に支持される。

本考案における捩りコイルスプリング６の弾力
は、第２図実線で示すように、座体１の起立極限
位置である略88度角の起立位置から、約20度角前
傾した定常起立位置に座体１を保持するように設
定されている。

即ち捩りコイルスプリング６の弾力は、定常起
立位置で座体１の重量とバランスが得られるよう
に設定されている。

しかして第２図実線で示す定常起立位置から座
体１を前方に倒伏すると、捩りコイルスプリング
６の延長端部６ｂと座体１に突設されたカム部片
７との当接により、捩り方向に押圧されて反撥弾
力が貯えられ、この状態から着座者が座体１から
離れると、捩りコイルスプリング６の反撥弾力が
カム部片７に作用していることにより、座体１
は、跳上げ回動して、係止片１３が下位支受体１
６に緩衝体１４ｂを介して当接し、これによつて
背もたれ体４とほぼ合掌する略88度角の起立極限
位置で受止められたのち、座体１は、その重量
と、捩りコイルスプリング６の弾力とのバランス
によつて定常起立位置に復することになる。

なおこのとき、カム部片７が、捩りコイルスプ
リング６の延長端部６ｂの先端屈曲部６′ｂの対
向片６″ｂに当接して、捩りコイルスプリング７
に反力を付与し、これによつて座体１は前記定常
起立位置に戻ることになる。即ち座体１が背もた
れ体４に合掌するとき捩りコイルスプリング６の
反力が作用して座体１の合掌状態は緩衝される。

ところで上記における定常起立位置は、捩りコ
イルスプリング６と座体１の重量とのバランスに
よつて保持されるので、製作上並びに取付状の誤
差などによつて、定常起立位置の開き角度にバラ
付きが生じる。

そのため本例においては、カム部片７を捩りコ
イルスプリング６の延長端部６ｂに対して偏心回
動することにより座体１の起立傾斜角度を可変調
節するものである。即ちカム部片７を捩りコイル
スプリング６の延長端部６ｂに対して偏心回動し
てカム部片７の小径部を当接させるときは、捩り
コイルスプリング６の弾力が減じられ、またその
大径部を当接させるときは、捩りコイルスプリン
グ６の弾力を増し、これによつて捩りコイルスプ
リング６の弾力と座体１の重量とのバランス位置
を可変調節することができる。このカム部片７の
偏心回動は、アーム板９の外側において例えば偏
心軸７ａを締付けているナツト１２ａをスパナ等
の工具で押さえ、その回動を抑止した状態で偏心
軸７ａをその角孔７a′に角レンチを挿入係合して
回動することにより行われる。

従つてこのように構成された椅子は、前述した
如く、多数配列して設置した場合、非着座状態に
おいて、座体１の定常起立位置における開き角度
を一定にして整然と列方向に揃えることができ
る。

考案の効果 本考案は叙上のように構成したので、非着座状
態で座体上の小物やたばこの吸がらなどを挟む惧
れがなく、かつ座体が稍前傾状態におかれるの
で、倒伏操作も容易であると共に、使用者が起立
したのち直ちに着座しようとした場合でも、座体
に伏倒方向の力が作用し易くなつて安全性の点で
有利であり、またこの椅子を劇場等の客席として
多数配列して設置し、各椅子の座体の起立傾斜状
態において不揃いが生じた場合は、カム部片を回
動するだけの極めて簡単な作業により各座体の起
立傾斜を揃えることができ、また長期の使用にお
いてコイルスプリングの弾撥力が弱くなつた場合
もカム部片の回動調整によりこれを簡単に補正で
きて、体裁も非常によく、椅子の設置場所の雰囲
気を損なう惧れがないなどの利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による椅子の一例の一部分解し
た斜視図、第２図は同椅子の起立傾斜状態におけ
る一部裁断した側面図である。 図中、１は座体、２ａ，２ｂは脚体、３は支
軸、４は背もたれ体、６は捩りコイルスプリン
グ、７はカム部片、７ａは偏心軸、９はアーム
板、１３は係止片、１５，１６は支受体である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 座体が脚体に対して起伏自在に軸支され、か
   つ背もたれ体を起立状態に固定して成る椅子に
   おいて、座体を脚体に対して起伏自在に軸支し
   た支軸に、コイル状のスプリングを巻装して、
   その一端部を支軸上に係止すると共に、その他
   端部を常時座体に起立方向の回動偏倚力を付勢
   するように座体の側面に回動操作可能に取付け
   たカム部片に係合せしめて成る椅子。 (2) カム部片が偏心軸を有しており、この偏心部
   を回動操作するように構成した実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の椅子。