JPH04211414A - 熱可塑性グラフト共重合体及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性グラフト共重合体及びその製造方法

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JPH04211414A
JPH04211414A JP3053185A JP5318591A JPH04211414A JP H04211414 A JPH04211414 A JP H04211414A JP 3053185 A JP3053185 A JP 3053185A JP 5318591 A JP5318591 A JP 5318591A JP H04211414 A JPH04211414 A JP H04211414A
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JP
Japan
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graft copolymer
cellulose
thermoplastic graft
group
copolymer according
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Application number
JP3053185A
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English (en)
Inventor
Tadashige Hata
畑 忠重
Kazuhiko Matsuzaki
一彦 松崎
Shuji Yahiro
八尋 修二
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な熱可塑性グラフ
ト共重合体及びその製造方法に関するものである。さら
に詳しくいえば、本発明は、エンジニアリング樹脂とし
て優れた特性を示すとともに生分解性を有する、単糖類
や多糖類セグメントを主鎖とし、ポリオキシメチレンセ
グメントをグラフト鎖とする熱可塑性グラフト共重合体
、及びこのものを効率よく製造する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】エンジニアリング樹脂の中でもポリアセ
タール樹脂は機械的特性、クリープ特性、疲労特性及び
電気特性などに優れていることから、自動車部品や電気
・電子部品などの分野において幅広く用いられている。
【0003】このポリアセタール樹脂は、通常水やアル
コールなどの活性水素を有する化合物を連鎖移動剤とし
て、ホルムアルデヒド又はトリオキサンを単独重合させ
るか、あるいはホルムアルデヒド又はトリオキサンと環
状エーテルとを共重合させることによって得られるが、
これらの方法で得られたポリアセタール樹脂は全く生分
解性を示さない。
【0004】一方、単糖類や多糖類は生分解性を有する
が、そのままでは熱可塑性樹脂としての使用は不可能で
ある。したがって、特に多糖類については、種々の方法
を用いて変質し、熱可塑性樹脂としての使用が試みられ
ている。
【0005】例えば、セルロースはエステル化やエーテ
ル化などが施されて、射出成形や押出成形などに利用さ
れている。しかしながら、従来の方法で熱可塑化された
多糖類は、エンジニアリング樹脂として要求される機械
的特性や疲労特性などを有しておらず、エンジニアリン
グ樹脂としての使用は不可能である。
【0006】ところで、これまでに、けん化されたセル
ロースエステルの存在下に、トリオキサンと環状エーテ
ルとをカチオン重合させる方法は知られている(特公昭
46−22054号公報)。しかしながら、この方法に
より得られる重合体は生分解性を有していない上に、エ
ンジニアリング樹脂としてのポリアセタール樹脂本来の
特性が損なわれるという欠点がある。
【0007】また、ジメチルスルホキシド中でセルロー
スとパラホルムアルデヒドとを反応させる方法も知られ
ている[「ジャーナル・オブ・ウッド・ケミカル・テク
ノロジー(J.Wood  Chem  Techno
l.)」第3巻、第1号、第59ページ(1983年)
]。しかしながら、この方法はセルロースの熱可塑化に
は有効であるが、得られたものはエンジニアリング樹脂
としての要求特性を欠き、エンジニアリング樹脂として
は不適当である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、エンジニア
リング樹脂としてのポリアセタール樹脂本来の優れた特
性を有し、かつ良好な生分解性を有する熱可塑性樹脂を
提供することを目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、生分解性
を有し、しかも本来の望ましい性質を保持する熱可塑性
ポリアセタール樹脂を開発すべく鋭意研究を重ねた結果
、特定の官能基を有する単糖類や多糖類の存在下に、ホ
ルムアルデヒドをアニオン重合させることにより、該単
糖類や多糖類セグメントを主鎖とし、かつポリオキシメ
チレンセグメントをグラフト鎖とする熱可塑性グラフト
共重合体が得られ、このものは、エンジニアリング樹脂
としての特性と生分解性を併せもつことを見い出し、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、活性水素含有官能基
をもつ単糖類又は多糖類若しくはその両方から誘導され
たセグメントから成る主鎖と、ポリオキシメチレンセグ
メントから成るグラフト鎖から構成され、粘度数が0.
1〜10dl/g、融点が150〜175℃の熱可塑性
グラフト共重合体を提供するものである。
【0011】この熱可塑性グラフト共重合体は、例えば
活性水素含有官能基をもつ単糖類又は多糖類若しくはそ
の両方の存在下に、アニオン重合触媒を用いてホルムア
ルデヒドを重合させることによって製造することができ
る。
【0012】本発明の熱可塑性グラフト共重合体は、単
糖類や多糖類から成るセグメントを主鎖とし、これに前
記官能基を介して、グラフト鎖となるポリオキシメチレ
ンセグメントが結合した構造を有するグラフト共重合体
であって、該ポリオキシメチレンセグメントは、オキシ
メチレン単位−(CH2O)−の繰り返しから成る重合
体のセグメントである。
【0013】本発明のグラフト共重合体は、通常重合直
後にポリオキシメチレンセグメントの一方の末端がヒド
ロキシル基を有し不安定であるので、このヒドロキシル
末端をエステル化、エーテル化、ウレタン化などの公知
の方法によって安定な基に変換させる処置を行うのがよ
い。
【0014】該グラフト共重合体の主鎖を構成している
単糖類や多糖類から成るセグメントは、分子中に水酸基
、チオール基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基の
ような活性水素含有官能基を少なくとも1個有する単糖
類や多糖類から誘導される。
【0015】該単糖類としては、例えばグルコース、ア
ロース、アルドロース、マンノース、グロース、イドー
ス、ガラクトース、タロース、フルクトース、リボース
、アラビノース、キシロース、リキソース、エリトルロ
ース、トレオース、グルコサミン、ガラクトサミンなど
が挙げられ、また多糖類としては、例えばマルトース、
イソマルトース、セロビオース、ラクトース、スクロー
ス、アミロース、アミロペクチン、セルロース、ペクチ
ン酸、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、デキストラン
、プルラン、カードラン、スクレロタン、β‐1,3‐
グルカンレバン、α‐1,6‐マンナン、サイクロデキ
ストリン、キサンタンガム、サクシノグリカンなどが挙
げられる。
【0016】これらの単糖類や多糖類は、官能基の一部
又は全部が化学修飾されたものであってもよく、また、
化学修飾法としては、代表的な例としてエステル化、エ
ーテル化、メチロール化、トシル化などを挙げることが
できるが、これらの中で製造の容易さからエステル化、
エーテル化及びメチロール化が好適である。
【0017】エステル化の例としては、アセチル化、ニ
トロ化、プロピオニル化、ブチリル化、メチルカルバミ
ル化、フェニルチオカルバミル化、メトキシカルボニル
化、メタクリロイル化などが挙げられる。
【0018】また、エーテル化の例としては、メチル化
、エチル化、ベンジル化、カルボキシメチル化、カルボ
キシエチル化、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピ
ル化、ベンジル化などが挙げられる。
【0019】化学修飾された化合物の中でも、入手の容
易さの点から、セルロースの水酸基の一部がメチロール
化、エステル化及びエーテル化されたものが好適に用い
られる。このようなものとしては、例えばメチロールセ
ルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロース、プ
ロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、メチルセ
ルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキ
シエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチ
ルセルロース、ベンジルセルロースなどが挙げられる。
【0020】本発明のグラフト共重合体は、150〜1
75℃の融点を有しており、この融点は共重合体中のポ
リアセタールセグメントの重合度を表わす指標であって
、融点が高いほどポリアセタールセグメントの重合度が
高い。
【0021】本発明のグラフト共重合体中の単糖類や多
糖類セグメントの含有量は、通常該グラフト共重合体の
全重量に基づき1〜60重量%の範囲で選ばれる。この
含有量が1重量%未満では生分解性が不十分であるし、
60重量%を超えると機械物性や疲労特性などのエンジ
ニアリング樹脂としての特性が大きく損なわれ好ましく
ない。好ましい含有量は10〜50重量%の範囲で選ば
れる。
【0022】本発明のグラフト共重合体における単糖類
や多糖類セグメントの割合及びグラフト共重合体の構造
(ポリオキシメチレンと単糖類や多糖類との反応結合の
有無)は次のようにして確認することができる。
【0023】すなわち、該グラフト共重合体を酸性水溶
液中で加水分解させると、ポリオキシメチレンセグメン
ト部分はホルムアルデヒドとなるのでこれをガスクロマ
トグラフィーを用いて分析、定量することにより、ポリ
オキシメチレンセグメントの含有量を求めることができ
る。
【0024】また、単糖類や多糖類セグメントは、これ
らとポリオキシメチレンセグメント間の結合が切断され
るため、活性水素含有官能基を有する単糖類や多糖類に
なるので、これらを液体クロマトグラフィー、IR、N
MR、GPCなどの手段を用いて分析、定量すればよい
。本発明のグラフト共重合体の粘度数は0.1〜10d
l/gの範囲にあることが必要である。
【0025】ここでいう粘度数とは、p‐クロロフェノ
ール50重量%とテトラクロロエタン50重量%との混
合溶媒系において、通常のオストワルド粘度管を用い、
60℃の条件下で測定した粘度数をいう。具体的には、
前記混合溶媒5mlに、グラフト共重合体25mgを溶
解したのち、60℃の条件下で粘度管の標線間を通過す
るのに要する時間T1を測定する。同様に、前記混合溶
媒のみで測定を行い、要した時間をT2とすると、本発
明でいう粘度数は、計算式 粘度数(dl/g)=(T1−T2)/T2×2によっ
て得られる。この粘度数はグラフト共重合体の分子量の
指標となる。
【0026】該グラフト共重合体の粘度数が0.1dl
/g未満では機械的物性に劣り、実用性に欠くし、10
dl/gを超えると成形加工性が大幅に悪くなり、実用
性に欠く。好ましいグラフト共重合体の粘度数は0.5
〜5dl/gの範囲で選ばれる。
【0027】次に、本発明の熱可塑性グラフト共重合体
の製造方法においては、単糖類や多糖類は重合時の連鎖
移動剤として作用し、その官能基を介してホルムアルデ
ヒドが反応し、単糖類や多糖類から成るセグメントにポ
リオキシメチレンセグメントがグラフトして成る構造を
有する共重合体となる。
【0028】この反応において用いられる単糖類や多糖
類としては、前記のグラフト共重合体の説明において例
示したものが挙げられる。これらの単糖類や多糖類は1
種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0029】これらの単糖類や多糖類は、重合に供され
る前に、あらかじめ洗浄、吸着、乾燥などの方法によっ
て精製しておくことが望ましい。
【0030】本発明方法においては、ホルムアルデヒド
は十分に精製されたものを用いるのが望ましい。このホ
ルムアルデヒドの重合にはアニオン重合触媒が用いられ
る。
【0031】前記アニオン重合触媒としては、例えばナ
トリウム、カリウムなどのアルカリ金属、ナトリウム‐
ナフタレン、カリウム‐アントラセンなどのアルカリ金
属錯化合物、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素
化物、水素化カルシウムなどのアルカリ土類金属水素化
物、ナトリウムメトキシド、カリウムt‐ブトキシドな
どのアルカリ金属アルコキシド、カプロン酸ナトリウム
、ステアリン酸カリウムなどのカルボン酸アルカリ金属
塩、カプロン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム
などのカルボン酸アルカリ土類金属塩、n‐ブチルアミ
ン、ジエチルアミン、トリオクチルアミン、ピリジンな
どのアミン、アンモニウムステアレート、テトラブチル
アンモニウムメトキシド、ジメチルジステアリルアンモ
ニウムアセテートなどの第四級アンモニウム塩、テトラ
メチルホスホニウムプロピオネート、トリメチルベンジ
ルホスホニウムエトキシドなどのホスホニウム塩、トリ
ブチルスズクロリド、ジエチルスズジラウレート、ジブ
チルスズジメトキシドなどの四価有機スズ化合物、n‐
ブチルリチウム、エチルマグネシウムクロリドなどのア
ルキル金属などが挙げられる。これらのアニオン重合触
媒の中で、特にアンモニウム塩が好適である。
【0032】これらのアニオン重合触媒は、ホルムアル
デヒド100重量部に対し、通常0.0001〜5重量
部の範囲で用いられる。この量が0.0001重量部未
満では所望の熱可塑性グラフト共重合体が得られにくい
し、5重量部を超えると得られるグラフト共重合体の熱
安定性が低下する傾向がみられる。好ましいアニオン重
合触媒量は0.0005〜3重量部の範囲で選ばれる。
【0033】また、この重合反応は溶媒の不在下に行っ
てもよいし、有機溶媒中で行ってもよい。本発明におい
て用いることのできる有機溶媒としては、例えばn‐ペ
ンタン、n‐ヘキサン、n‐ヘプタン、n‐オクタン、
シクロヘキサン、シクロペンタンなどの脂肪族炭化水素
、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素
、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチ
レン、トリクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水
素、クロロベンゼン、o‐ジクロロベンゼンなどのハロ
ゲン化芳香族炭化水素などが挙げられる。これらの溶媒
は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いても
よい。
【0034】本発明方法において、前記単糖類や多糖類
は、反応系中に均質に溶解若しくは分散させて重合に供
するが、系中の濃度は所望するグラフト共重合体の分子
量に応じて適宜選ばれる。
【0035】重合温度は、通常−20〜230℃の範囲
で選ばれるが、無溶媒の場合は20〜210℃の範囲で
、溶媒を用いる場合は−10〜120℃の範囲で選ぶの
が望ましい。重合時間については特に制限はないが、通
常5秒ないし300分間程度である。
【0036】このようにして得られたグラフト共重合体
は不安定な末端を有しているため、エステル化、エーテ
ル化、ウレタン化などの方法で封鎖することによって安
定化される。
【0037】本発明の熱可塑性グラフト共重合体には、
所望に応じ、従来ポリアセタール樹脂に慣用されている
添加剤、例えば酸化防止剤、光安定剤、耐熱剤、難燃剤
、滑剤、離型剤、着色剤などを添加することができる。
【0038】
【発明の効果】本発明の熱可塑性グラフト共重合体は、
単糖類や多糖類から成るセグメントを主鎖とし、これに
ポリオキシメチレンルセグメントがグラフト結合した構
造を有するものであって、エンジニアリング樹脂として
の優れた特性と生分解性を併せもち、例えばフイルム、
シート、電気・電子部品、自動車部品などに好適に用い
られる。また、その成形品の廃棄物は生分解処理が可能
であるので、産業上の利用価値が極めて大きい。
【0039】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。なお、重合体の特性は次のようにして
求めた。
【0040】(1)融点 示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した。サンプル
5±0.05mgを室温でDSCに装填し、200℃ま
で320℃/minで加温し、その後10℃/minで
130℃まで冷却する。次いで25℃/minの昇温速
度で測定する。本発明で求められる融点は吸熱ピークの
最大値である。 (2)粘度数 サンプル25mgを混合溶媒(p‐クロロフェノール5
0重量%、テトラクロロエタン50重量%)5mlに溶
解させ、オストワルド式粘度管を用いて60℃の条件下
で粘度数を測定した。粘度数は分子量の指標である。 (3)振動疲労特性 平板より試験片を切削し、ASTM  D‐671に準
じて20℃で繰り返し振動サイクル1800回/分で測
定し、106回繰り返し振動を与えた際の試験片を破壊
させない最大応力=疲労強度を以って耐疲労性の指標と
する。疲労強度の大きい方が耐疲労性に優れている。 (4)摩耗量 機械物性の尺度である、JIS  K‐7218A法に
準じ、相手材S45C、面圧1kg/cm2、線速度2
4cm/sec、走行距離50kmの条件で摩耗量を測
定した。摩耗量が少ないほど機械物性に優れる。 (5)生分解性 30℃恒温下、純水10mlに単糖類又は多糖類分解酵
素50mgを加え、この中に重合体の試験フイルム(厚
さ0.1mm)10mgを浸せきし、フイルムの重量が
半分に減少する日数を求めた。この値が小さいほど生分
解性に優れていることを示す。該単糖類又は多糖類分解
酵素としては、セルラーゼ、キチナーゼ、アミラーゼを
用いた。
【0041】実施例1 (1)グラフト共重合体の製造 シクロヘキサン10lに、多糖類としてのアセチルセル
ロース(アセチル化度50%)1000gを懸濁させた
のち、この懸濁液中に、無水のホルムアルデヒドガスを
2000g/hrで、かつ重合触媒としてのテトラブチ
ルアンモニウムアセテートを1.2g/hrで2時間連
続的に導入した。この間重合温度を50℃に維持した。 次に、生成した重合体をシクロヘキサンより分離したの
ち、アセトンで十分洗浄後60℃にて真空乾燥し、48
00gの重合体を得た。
【0042】 (2)グラフト共重合体の構造の確認 (1)で得たグラフト共重合体をトルエン中、110℃
で6時間抽出処理を行ったが、未反応のアセチルセルロ
ースは全く検出されなかった。この重合体5gを0.3
N塩酸水溶液95g中に分散させ、98℃にて3時間加
熱した。この加熱操作によりポリオキシメチレン単位は
すべてホルムアルデヒドに分解された。一方、アセチル
セルロースはこの条件では分解を受けない。酸性水溶液
を0.5N水酸化ナトリウム水溶液で中和し、水溶液中
のアセチルセルロースを分離回収したところ、0.9g
のアセチルセルロースが回収された。以上の結果より、
アセチルセルロースにポリオキシメチレンセグメントが
結合していることが確認された。グラフト共重合体中の
アセチルセルロースセグメントの含有量は18重量%で
あった。また、このグラフト共重合体の融点は171℃
であり、粘度数は1.1dl/gであった。
【0043】(3)グラフト共重合体の物性測定無水酢
酸を用いて末端安定化を終了したグラフト重合体に、安
定剤を加え30mmのダイ径を有する二軸押出機で溶融
混練し、ペレット状のグラフト共重合体を得た。 このペレットを用いて射出成形したところ、成形性は良
好であり、優れた機械物性を有する強靭な成形品が得ら
れた。この成形品の物性値及び生分解性は次のとおりで
ある。 疲労強度:250kg/cm2、摩耗量:3.1×10
−4g/km、生分解性(分解酵素セルラーゼ):11
日このように、本発明のグラフト共重合体は、エンジニ
アリング樹脂としての優れた特性を示すとともに、生分
解性を有している。
【0044】実施例2 (1)グラフト共重合体の製造 多糖類としてのエチルセルロース(エチル化度30%)
100g/l及び重合触媒としてのジメチルジステアリ
ルアンモニウムアセテート0.4g/lを含むシクロヘ
キサン5l中に、無水のホルムアルデヒドガスを2kg
/hrの割合で、5時間連続して供給するとともに、エ
チルセルロースを500g/hr及び0.4g/lのジ
メチルジステアリルアンモニウムアセテートを含むシク
ロヘキサンを5l/hrの割合で5時間連続して供給し
た。この間重合温度は60℃に維持した。一方、重合体
を含むシクロヘキサンの供給量に見合う量だけ反応液を
連続的に抜き出し、ろ過により重合体をシクロヘキサン
より分離した。重合体をアセトンで十分洗浄後、60℃
にて真空乾燥し、11kgの重合体を得た。
【0045】(2)グラフト共重合体の構造の確認(1
)で得た重合体をトルエン中で6時間抽出処理したがエ
チルセルロースは全く検出されなかった。この重合体5
gを0.3N塩酸水溶液95g中に分散させ、98℃に
て3時間加熱した。この加熱操作によりポリオキシメチ
レン単位はすべてホルムアルデヒドに分解された。 一方、エチルセルロースはこの条件では分解を受けない
。酸性水溶液を0.5N水酸化ナトリウム水溶液で中和
し、水溶液中のエチルセルロースを分離回収したところ
、1.05gのエチルセルロースが回収された。以上の
結果より、エチルセルロースにポリオキシメチレンが結
合していることが確認された。グラフト共重合体中のエ
チルセルロースセグメントの含有量は21重量%であっ
た。また、このグラフト共重合体の融点は169℃であ
り、粘度数は0.8dl/gであった。
【0046】(3)グラフト共重合体の物性測定無水酢
酸を用いて末端安定化を終了したグラフト重合体に、安
定剤を加え、実施例1と同様に射出成形を行ったところ
、成形性は良好であり、以下の物性値及び生分解性を有
する成形品が得られた。 疲労強度:230kg/cm2、摩耗量:1.1×10
−4g/km、生分解性(分解酵素セルラーゼ):13
日このグラフト共重合体は、優れた機械物性及び疲労特
性を有するとともに、生分解性にも優れていた。
【0047】実施例3 (1)グラフト共重合体の製造 実施例2において、エチルセルロースの代りにヒドロキ
シエチルセルロース(ヒドロキシエチル化度20%)を
用いた以外は、実施例2と同様に操作して重合体を1.
1kgを得た。
【0048】(2)グラフト共重合体の構造の確認(1
)で得た重合体をジオキサン中で6時間抽出処理したが
、ヒドロキシエチルセルロースは全く検出されなかった
。この重合体を実施例2と同様にして加水分解を行い、
グラフト共重合体中のヒドロキシエチルセルロースセグ
メントの含有量を求めたところ、19重量%であった。 また、グラフト共重合体の融点は169℃であり、粘度
数は0.8dl/gであった。
【0049】(3)グラフト共重合体の物性測定(1)
で得た重合体の物性値及び生分解性は次のとおりである
。 疲労強度:240kg/cm2、摩耗量:2.1×10
−4g/km、生分解性(分解酵素セルラーゼ):16
日このグラフト共重合体は、エンジニアリング樹脂とし
ての優れた特性を有するとともに、生分解性にも優れて
いた。
【0050】比較例1(ポリアセタール樹脂)実施例2
において、エチルセルロースの代りに公知の連鎖移動剤
であるメタノール(2.5g/hr)を用いた以外は実
施例2と同様に操作した。得られた重合体は下記の物性
及び生分解性を有していた。 疲労強度:260kg/cm2、摩耗量:1.3×10
−4g/km、生分解性(分解酵素セルロース):10
0日経過しても重量減が全く認められない、粘度数:1
.8dl/g、融点:176℃ このように、ポリアセタール樹脂の場合は、エンジニア
リング樹脂としての物性は優れるが、生分解性は全く有
していない。
【0051】比較例2(特公昭46−22054号公報
記載の方法) 特公昭46−22054号公報に記載されている例1と
全く同じ方法でセルロースエステルのグラフト共重合体
を得た。得られた共重合体は下記の物性値及び生分解性
をを有していた。 疲労強度:110kg/cm2、摩耗量:51×10−
4g/km、生分解性(分解酵素セルラーゼ):100
日経過しても重量減は認められなかった。 このように、特公昭46−22054号公報記載の方法
で得られたグラフト共重合体は生分解性を全く有してい
ない。また、エンジニアリング樹脂としての特性にも劣
っていた。これは、この共重合体の分子構造が本発明の
グラフト共重合体とは本質的に異なることに由来する。
【0052】比較例3 「ジャーナル・ウッド・ケミカル・テクノロジー(J.
Wood  Chem.Technol.)」第3巻、
第1号、第59ページ(1983年)に従って重合体を
製造した。すなわち、ジメチルスルホキシド2.5l中
に、セルロース100g及びパラホルムアルデヒド20
0gを含有する溶液を調製したのち、かきまぜながら9
6〜105℃で11分間反応を行った。得られた重合体
をジメチルスルホキシドより分離し、重合体210gを
得た。この重合体の融点は128℃であった。次に、こ
の重合体をアセチル化後、安定剤を加え、射出成形を行
ったところ、成形性は良好であった。得られた成形品の
物性値及び生分解性は以下のとおりであった。 疲労強度:40kg/cm2、摩耗量:90×10−4
g/km、生分解性(分解酵素セルラーゼ):7日この
ように、従来の方法で得られる熱可塑化されたセルロー
ス(メチルセルロース)は優れた分解性を有するが、機
械物性及び疲労特性などが不良であり、エンジニアリン
グ樹脂として使用することは不可能である。
【0053】実施例4〜25、比較例4〜8表1に示す
種類と量の重合触媒及び表1に示す種類の単糖類又は多
糖類を用い、表2に示す熱可塑性グラフト共重合体を製
造した。このものの疲労強度、摩耗量及び生分解性を表
2に示す。これらの表から分かるように、実施例のもの
はいずれも優れた機械物性、疲労特性を示し、エンジニ
アリング樹脂として使用が可能であるとともに生分解性
にも優れていた。一方、比較例4では、多糖類セグメン
トの含有量が少なすぎるため、生分解性が著しく不良で
あった。また、比較例5の場合では多糖類セグメントの
含有量が多すぎるため、機械物性に劣っていた。比較例
6では、グラフト共重合体の粘度数が小さいために機械
物性が著しく劣り、また、比較例7ではグラフト共重合
体の粘度数が大きいため、成形加工が困難であった。比
較例8では、多糖類セグメントの含有量が多すぎるため
、融点が低く、かつ機械物性も著しく劣っていた。
【表1】 (注)重合触媒量はホルムアルデヒド100重量部に対
する値である。
【表2】

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  活性水素含有官能基をもつ単糖類又は
    多糖類若しくはその両方から誘導されたセグメントから
    成る主鎖と、ポリオキシメチレンセグメントから成るグ
    ラフト鎖から構成され、粘度数が0.1〜10dl/g
    、融点が150〜175℃の熱可塑性グラフト共重合体
  2. 【請求項2】  多糖類がセルロース、メチロールセル
    ロース、セルロースエステル、セルロースエーテルであ
    る請求項1記載の熱可塑性グラフト共重合体。
  3. 【請求項3】  活性水素含有官能基が水酸基、チオー
    ル基、カルボキシル基、アミノ基、モノ置換アミノ基、
    アミド基、モノ置換アミド基の中から選ばれた少なくと
    も1種である請求項1記載の熱可塑性グラフト共重合体
  4. 【請求項4】  セルロースエステルがアセチルセルロ
    ース、ニトロセルロース、プロピオニルセルロース又は
    ブチリルセルロースである請求項2記載の熱可塑性グラ
    フト共重合体。
  5. 【請求項5】  セルロースエーテルがメチルセルロー
    ス、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
    ヒドロキプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロ
    ース、カルボキシエチルセルロース又はベンジルセルロ
    ースである請求項2記載の熱可塑性グラフト共重合体。
  6. 【請求項6】  単糖類又は多糖類若しくはその両方か
    ら誘導されたセグメントが、グラフト共重合体の全重量
    に基づき10〜50重量%である請求項1記載の熱可塑
    性グラフト共重合体。
  7. 【請求項7】  粘度数が0.5〜5dl/gである請
    求項1記載の熱可塑性グラフト共重合体。
  8. 【請求項8】  活性水素含有官能基をもつ単糖類又は
    多糖類若しくはその両方の存在下に、アニオン重合触媒
    を用いてホルムアルデヒドを重合させることを特徴とす
    る請求項1記載の熱可塑性グラフト共重合体の製造方法
  9. 【請求項9】  多糖類がセルロース、メチロールセル
    ロース、セルロースエステル、セルロースエーテルであ
    る請求項8記載の熱可塑性グラフト共重合体の製造方法
  10. 【請求項10】  活性水素含有官能基が水酸基、チオ
    ール基、カルボキシル基、アミノ基、モノ置換アミノ基
    、アミド基、モノ置換アミド基の中から選ばれた少なく
    とも1種である請求項8記載の熱可塑性グラフト共重合
    体の製造方法。
  11. 【請求項11】  セルロースエステルがアセチルセル
    ロース、ニトロセルロース、プロピルオニルセルロース
    又はブチリルセルロースである請求項9記載の熱可塑性
    グラフト共重合体の製造方法。
  12. 【請求項12】  セルロースエーテルがメチルセルロ
    ース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース
    、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセ
    ルロース、カルボキシエチルセルロース又はベンジルセ
    ルロースである請求項9記載の熱可塑性グラフト共重合
    体の製造方法。
  13. 【請求項13】  有機溶媒中で行う請求項8記載の熱
    可塑性グラフト共重合体の製造方法。
  14. 【請求項14】  アニオン重合触媒が第四級アンモニ
    ウム塩である請求項8記載の熱可塑性グラフト共重合体
    の製造方法。
  15. 【請求項15】  アニオン重合触媒の使用量がホルム
    アルデヒド100重量部当り0.0005〜3重量部の
    範囲内である熱可塑性グラフト共重合体の製造方法。
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