JPH0419282Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は燃焼性を維持しながら、伝動効率の向
上をはかつた多管式貫流ボイラーに関するもので
ある。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

従来、多管式貫流ボイラーについては第３図、
第４図に示す如く水管群で構成される燃焼室を水
平の隔壁で区隔する構造は公知である。即ち、こ
の従来の缶体構造は、上部管寄せおよび下部管寄
せをともに環状に形成し、これら上下管寄せを多
数の垂直水管で連結し、これら水管は極めてわず
かな隙間を持たせた環状水管壁として配設し、水
管の外側に間隔をおいて配設したボイラー外壁と
の間に燃焼ガス通路を形成し、上部管寄せの内側
に燃焼装置を設け、環状水管壁内に燃焼室を形成
し、燃焼室の下部に隔壁を配して煙道を下部管寄
せの内側に設け、燃焼ガス水管の隙間を２度通る
ように構成したものである。ところが、この従来
の構造では隔壁を燃焼室の下部に設ける構成であ
るので、燃焼室から燃焼ガス通路へのガス通路断
面積が大きくガス流速を上げることができず、水
管隙間での対流伝熱を十分に発揮させることがで
きない。この対流伝熱を無理に向上させようとし
て水管隙間を小さくすると煤詰まりを起こし、ボ
イラー運転に支障をきたす上に、燃焼ガス通路か
ら煙道にいたる水管隙間でのガス流速が過大とな
りボイラーの送風容量を大幅に上げなければなら
ずコストアツプの要因ともなつている。

〔考案の目的〕

本考案は上記のような事情に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは、燃焼性に支障をき
たすことなく、ボイラー効率の向上をはかる低コ
ストの多管式貫流ボイラーを提供することにあ
る。

〔考案の概要〕

上記目的を達成するために本考案では、多数の
水管を隙間を設けて、両端の管寄せを連通して水
管壁状に配設し、一方の管寄せの中心部に燃焼装
置を設けると共に、他方の管寄せの中心に燃焼ガ
スの系外への排出口を設け、略コツプ状若しくは
碗状の耐火材による仕切壁を、その開口部が前記
燃焼装置に対向し、かつ、上記水管壁と実質上同
軸をなる状態で、その開口部周縁を上記水管壁に
おける水管管軸方向のほぼ中心位置に固定するこ
とにより水管壁内に懸吊し、この仕切壁によつて
前記水管壁で包囲される空間を２分して、燃焼装
置側空間を燃焼室に、排出口側空間を煙道に形成
し、水管壁の外側に間隔をおいて缶体カバーを設
け、水管壁と缶体カバーの間に燃焼ガス流路を形
成したことを特徴とする。

〔考案の実施例〕

以下、本考案を図面に従つて説明する。第１図
は本考案の実施例を示す縦断面図、第２図は第１
図の−断面図である。図面中の符号１は円環
状に形成した上下管寄せ２，３を連通する水管で
あつて、各水管が互いにわずかの隙間イをおいて
水管壁状に配設される。４は一方の管寄せ、例え
ば上部管寄せ２のほぼ中央に位置し、前記水管壁
で包囲される空間に向かつて開口する燃焼装置で
ある。

５は底部に向けて略テーパー状をなす略コツプ
状若しくは碗状の耐火材による仕切壁である。こ
の仕切壁５は、その開口部が燃焼装置４に対向
し、かつ、上記水管壁と実質上同軸をなす状態
で、水管壁内に配置してある。そして、仕切壁５
の開口部周縁を水管壁における水管管軸方向の略
中心位置に固定することにより、水管壁内に懸吊
する如く設ける。仕切壁５によつて前記水管壁で
包囲される空間を２分し、燃焼装置４側空間を燃
焼室６に、その反対側を煙道７に形成する。ここ
で、上記仕切壁５は、上述の如き略コツプ状若し
くは碗状に形成されているので、燃焼室６の容積
は仕切壁５を設ける前の水管壁で包囲される空間
と近似させることができる。８は水管壁の外側に
間隔をおいて水管壁を包囲する如く設けられる缶
体カバーである。９は水管壁と缶体カバー間に形
成される燃焼ガス流路である。しかして、燃焼室
は、水管隙間・燃焼ガス流路・水管隙間を通じて
煙道に通じている。

２０は、他方の管寄せ（下部管寄せ）３の中心
部に設けられ、煙道内の燃焼ガスを系外に排出す
るための排出口である。

以上の構成においてその作用について説明す
る。燃焼装置の働きにより燃焼室で燃焼した燃焼
ガスは主として輻射伝熱により水管と仕切壁を加
熱することにより温度を低下するとともに仕切壁
により反転流せしめられて水管隙間に向かう。水
管隙間では主として対流伝熱にて水管を加熱し、
燃焼ガス自体温度をさらに低下して燃焼ガス流路
に至る。燃焼ガスは水管を加熱しながら燃焼ガス
流路を下降し再び下側の水管隙間に向かう。この
下側の水管隙間でも主として対流伝熱にて水管を
加熱し燃焼ガス自体はさらに温度を低下して煙道
に至り、煙道より排出口を介して系外に排出され
る。下側の水管隙間における伝熱部においては燃
焼ガスはかなり低下しているが、水管の伝熱面は
水部に位置しているので、なお効率のよい熱伝達
を行うことができる。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように構成されており、仕切壁
は水管の軸方向のほぼ中心位置に懸吊されている
ので、燃焼室出口側の水管隙間のガス流路断面積
は従来に比べ大幅に減少させることができ、通過
ガスの流速が速くなり対流伝熱効率を大幅に向上
させることができる。しかも、水管隙間は従来と
同じ隙間に維持することができるので水管隙間に
煤詰まりを起こし燃焼に支障をきたすこともな
い。更に、仕切壁は、燃焼装置と対向した状態
で、しかも両者は環状の水管壁の略中心軸上に位
置しているため、一部の水管が過熱するといつた
ことがなく各水管に対して均等な伝熱が行える。
又、仕切壁はコツプ状あるいは碗状に形成され、
燃焼室は従来と略同等の容量並びに寸法に維持で
きるので、仕切壁により燃焼性に支障をきたすこ
とがないばかりでなく、仕切壁内部では燃焼ガス
と未燃焼ガスが混合し、燃焼性がさらに向上され
る。しかも仕切壁は輻射伝熱により赤熱している
ので仕切壁に到達した未燃分は完全燃焼され、低
質の燃料にも適する。

以上のように本考案では、水管隙間を従来と比
べ特に変化させることなく、燃焼性の維持向上を
はかりながら伝熱効率の向上をかはつたもので、
本考案では、送風容量を特に上げる必要もなく、
低コストの多管式貫流ボイラーを提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案における一実施例の縦断面図、
第２図は第１図の−断面図、第３図は従来の
実施例における縦断面図、第４図は第３図の−
断面図である。 １は水管、２は上部管寄せ、３は下部管寄せ、
４は燃焼装置、５は仕切壁、６は燃焼室、７は煙
道、８は缶体カバー、９は燃焼ガス流路、１０は
隔壁、２０は排出口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 多数の水管１を隙間イを設けて、両端の管寄せ
   ２，３を連通して水管壁状に配設し、一方の管寄
   せ２の中心部に燃焼装置４を設けると共に、他方
   の管寄せ３の中心部に燃焼ガスの系外への排出口
   ２０を設け、略コツプ状若しくは碗状の耐火材に
   よる仕切壁５を、その開口部が前記燃焼装置４に
   対向し、かつ、上記水管壁と実質上同軸をなす状
   態で、その開口部周縁を上記水管壁における水管
   管軸方向のほぼ中心位置に固定することにより水
   管壁内に懸吊し、この仕切壁５によつて前記水管
   壁で包囲される空間を２分して、燃焼装置４側空
   間を燃焼室６に、排出口２０側空間を煙道７に形
   成し、水管壁の外側に間隔をおいて缶体カバー８
   を設け、水管壁と缶体カバー８の間に燃焼ガス流
   路９を形成したことを特徴とする多管式貫流ボイ
   ラー。