JPH0418600B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は緊急避難用の膨脹式シユート装置に係
り、より詳しくは、複式脱出径路をもつたシユー
トパネルと、互いに独立に膨脹可能な二つの膨脹
チヤンバとを備え、夫々の膨脹チヤンバが複数の
互いに接続された管状部材の組立体によつて形成
されて成るシユート装置に関する。

〔従来技術〕

航空機や海洋堀さく用プラツトフオームの様な
建造物には、一般に、緊急時に建造物から人員を
迅速に脱出させる様にするため膨脹式の避難用シ
ユート装置が設備される。この様なシユート装置
は、通常は、直ちに展開させ得る様な姿勢で膨脹
させない状態で建造物に格納されている。

従来のこの種のシユート装置は複数の管状部材
から成る２組の流体的に独立した膨脹式の組立体
を結合して成り、夫々の管状部材は互いに独立し
たチヤンバを形成しており、一つのチヤンバから
膨脹用媒体が逸失した場合や欠如したいて場合に
もシユート装置が完全に凋むことがなく、一方の
組立体が膨脹状態で残されて安全に使用できる様
になつている。したがつて、この様な二重チヤン
バ式のシユート装置は一方のチヤンバが膨脹しな
かつた場合や急激に凋んだ場合にも使用し得る様
に設計しなければならない。しかし、管状部材は
特殊な形状に設計されているので、一方のチヤン
バのみが膨脹した時に斯る従来の装置をシユート
装置として使用するには問題がないわけではな
い。従来技術のシユート装置の例は米国特許 3712417；3827094；3833088；3860984、等に開
示されている。

例えば、上部チヤンバと通常云われているチヤ
ンバのみが膨脹した場合には、シユート面には実
質的にサイドレールがないこととなり、これでは
シユート装置の全長上の任意の点で人員が装置か
ら滑落するのを防止することができない。あるい
は、下部チヤンバと通常云われているチヤンバが
凋んだ場合には、シユートパネルはその複式脱出
径路形の輪郭を失なつて深い樋の様な形となり、
シユートパネルの下部に沿つて実質的に何らの支
持も行なわれないこととなる。

更に、より最近のシユート装置はシユートパネ
ルの下側に於て横断方向に延長するトラス部材を
用いており、シユートパネル装置に剛性を付加し
てシユートパネルを側方に延長させた姿勢で保持
し得る様になつている（例えば米国特許
3473641）。これらのトラス部材は、通常は、膨脹
管または膨脹バツグで構成されており、これらの
膨脹バツグはシユート装置を構成する二つのチヤ
ンバの一方または他方に接続されている。したが
つて、一方のチヤンバの圧力が低下すれば、シユ
ート装置の有効な側方指示は失なわれることとな
る。

〔発明の概要〕

本発明は複式チヤンバを備えた膨脹式シユート
装置を提供するもので、複数の膨脹チヤンバの一
方または他方が収縮した場合でも残る構造体が前
述した問題を生ずることのない様なシユート装置
を提供するものである。

本発明の複式チヤンバを備えたシユート装置は
互いに接合され流体的に独立した二つのチヤンバ
を備えて成り、夫々のチヤンバは互いに接続され
た複数の管状部材から成り、これらの管状部材は
それらのうちの或る数の管状部材が複数の管状部
材全体によつて基本的に発揮される機能の一部を
分担する様に構成されている。

特に、本発明のシユート装置はシユートパネル
を支持する第１チヤンバすなわち下部チヤンバを
備えて成り、この第１チヤンバは複数の管状部材
で構成されている。これらの管状部材は互いに連
結されているとともに、一本の長手方向中央管
と、複数のサイドレール管と、一つのトラス部材
と、他の管と空気作用により相互に連結する機能
を有している複数の追加的管状部材とを備えてい
る。更に、このシユート装置は第２チヤンバすな
わち上部チヤンバを備えており、この第２チヤン
バは１本の長手方向中央管と、複数のサイドレー
ル管と、一つのトラス部材と、他の管と互いに空
気作用により相互に連結する機能を有している複
数の追加的管状部材とで構成される。第１チヤン
バ（下部チヤンバ）および第２チヤンバ（上部チ
ヤンバ）の管状部材は夫々独立にシユートパネル
（これは複式脱出路線を備えている）を支持する
ものである。

本発明によれば、前述した特徴は本発明の改良
された膨脹式脱出角 シユート装置により達成されるもので、このシユ
ート装置は二つの膨脹区間（膨脹チヤンバ）のい
ずれか一方のみが膨脹した時にもなおシユート装
置を安全かつ有効に使用し得る様な複数の膨脹式
管状部材から構成されている。

「実施例」 次に添附図面を参照して本発明の実施例を説明
するが、複数の図面を通じて同様の部材もしくは
対応する部材は共通する参照番号で示すものとす
る。これ等の図面には、本発明の原理に基づいて
構成された膨脹式の避難用シユート装置が示され
ている。

このシユート装置１０は、航空機１６の出口ド
アまたは他の領域を地面１８に接続し得る様にな
つた頭部側の端部１２と脚部側の端部１４とを備
えている。

好ましくは、この装置全体はウレタンの様なエ
ラストマーまたは織布で被覆された他の適当なエ
ラストマーの様な非通気性の材料で製造されてい
る。このシユート装置の各構成部分は適当な接着
剤によつて互いに接合されているので、膨脹状態
に於ける使用中（これは水中および水上での使用
を含む）にこの複合構造体は空気がその種々のチ
ヤンバから流動するのを阻止することができる。

第１図以下の図面に示した様に、下部膨脹区間
すなわちチヤンバ２２は中央管状部材２４を備え
て成り、この中央管状部材２４はこのシユート装
置の軸方向中央線に沿つて頭部側端部１２から脚
部側端部１４まで延長している。この中央管状部
材２４と平行にサイドレール２８および３０が延
長している。これらのサイドレール２８，３０も
またシユート装置の頭部から脚部まで延長してい
るとともに、頭部側端部の近傍で高められていて
航空機の近傍に於て高レベルの肩部３２を形成し
ている。避難者はこの肩部３２のところで航空機
からこのシユート装置に進入することができる。
これらのサイドレール２８，３０の輪郭は上向き
に立上がつており、このシユート装置の頭部側端
部すなわち入口側端部の近傍で更に別の拘束手段
を避難者に提供している。この下部膨脹区間のサ
イドレールはシユートパネル３６によつて長手方
向支持者（すなわち中央管状部材）に連結されて
いる。このシユートパネル３６は避難者が緊急中
時に滑降するためのものである。

この中央支持管２４はシユートパネルを平行な
２本の路線、すなわち左側路線３８と右側路線４
０とに分割している。シユートパネル３６の最上
側領域ならびに中央管状支持部材２４の頂部の最
上側領域はサイドレール２８，３０の最上側領域
よりも下方に位置しており、したがつてこれらの
サイドレールは避難者がこのスライド装置の側部
を越えて滑り落ちるのをその全長にわたつて阻止
する様に作用するものである。

このシユート装置の脚部側端部１４には摩擦パ
ネル４４および４６が設けてあり、この装置の脚
部側部分に於ける避難者の滑降速度を減少させる
様になつている。このシユート装置の中央区間に
はまた横断方向トラスバツグ５０が設けてある。
このトラスバツグ５０はこのスライド装置の中央
支持部材の近傍に於て横方向の支持を行なうもの
である。これらの下部膨脹区間の横方向支持は更
に横断方向管状部材５４によつて行なわれる。こ
れらの管状部材５４はこのシユート装置の上部お
よび下部の近傍に於て異なる管状部材の間の連通
を行ない、このシユート装置の下部チヤンバを構
成する異なる管状部材を空気力的に連結する作用
をも営むものである。

このシユート装置の上部膨脹区間すなわち上部
チヤンバ６０にも互いに接続された同様な管状部
材が設けてある。これらの管状部材はこのシユー
ト装置の前記第１の区間すなわち下部膨脹区間と
は独立に膨脹させ得るものであるが、適当な接着
剤を用いて下部膨脹区間に物理的に接合されてい
る。この上部膨脹区間すなわち上部チヤンバ６０
は長手方向に延長した中央支持管状部材６２を備
えて成り、この管状部材６２は長手方向中央線に
沿つて装置の頭部１２から脚部１４まで延長して
いる。この管状部材６２にはサイドレール６６お
よび６８として機能する側方支持管が接続してあ
る。これらのサイドレール６６，６８はこのシユ
ート装置の頭部側端部１２の近傍に於て参照番号
６４のところで高レベルに形成してあり、もつて
このシユート装置に進入する避難者のために追加
的な側方支持を提供する様になつている。この上
部シユート支持部材は次に参照番号７０のところ
で下向きに延長してシユート装置の頭部側端部の
近傍で下部膨脹区間のサイドレールの頭部側端部
を囲繞しており、もつてこのシユート装置を展開
した時に航空機に対して当接する支持部材を構成
している。この高レベルの部分はまたこのシユー
ト装置に進入する避難者に更に追加的な側方拘束
手段を提供してその安全性を更に高めるものであ
る。

これらのサイドレール６６，６８に隣接して補
助支持管７８および８０が設けてあり、これらの
補助支持管７８，８０は上部チヤンバ６０に空気
で連通している。これらの補助的な支持管７８，
８０はこのシユート装置の下部彎曲部分の近傍に
於てその側部に平行に延長しているもので、上部
チヤンバ６０が下部チヤンバによつて支持されな
かつた場合や避難者による負荷が通常の重量以上
に作用した場合に上部チヤンバが彎曲したり意に
反して着底したりするのを避けるために望ましい
ものである。

下部膨脹区間２２のトラスバツク５０の近傍に
於て、側方支持部材には長手方向中央線に対して
横断方向にトラスバツグ７２が設けてある。この
上部チヤンバのトラスバツグ７２は、したがつ
て、シユート装置が完全に展開した時には下部チ
ヤンバならびに上部チヤンバの側方支持手段を構
成するものである。このシユート装置の脚部側端
部と頭部側端部の近傍には更に別の横断方向管状
部材７６が設けてあり、これらの管状部材７６は
この装置の上部区間を構成する種々の管状部材を
互いに連結している。下部チヤンバ２２と同様
に、上部チヤンバ６０のサイドレール６６，６８
の上部区域はシユートパネル３６の上方ならびに
中央管状部材６２の上部区域の上方に延長してお
り、これら上下チヤンバのいずれか一方もしくは
双方を膨脹させてこの装置を使用する時に避難者
がこのシユート装置の側方を乗り越えて意に反し
て落下しない様になつている。

このシユート装置の下側には一対のトラススト
ラツプ（トラス帯索）９４および９６が設けてあ
り、この装置を展開した時に装置の頭部側端部か
ら脚部側端部にわたつて適当な張力が作用する様
になつている。これらのトラスストラツプは前述
した米国特許に開示されているものである。

上下のチヤンバに空気を充填するため、膨脹装
置すなわち空気源８２，８４，８６，８８が設け
てある。これらの膨脹装置はこのシユート装置の
頭部側端部１２の近傍に配置されている。これら
のうち二つの空気源８２，８４は下部チヤンバ２
２に連結されており、他の二つの空気源８６，８
８は上部チヤンバ６０に連結されている。これら
全ての空気源すなわち膨脹装置はこのシユート装
置を展開させる時に適当な空気をシユート装置に
充填し得る様になつており、もつて航空機からの
避難者に対しシユート装置の頭部側端部から脚部
側端部の地面に至るまで安全な通路を提供するも
のである。この目的のために使用される好ましい
膨脹装置の一例は米国特許3840057に開示されて
いる。

この様に、従来技術に於ける中央管状部材を前
述した様に互いに別々に膨脹可能な独立の管状部
材２４と６２とに分割したので、夫々のチヤンバ
は２本の大きな側方管と１本の小さな中央管から
構成されることとなり、したがつて管のサイズと
数に応じて各チヤンバの容積と強度が均衡される
こととなる。強度を更に均衡化するため、第１の
トラスバツグ５０に平行に第２のトラスバツグ７
２が取り付けてあり、上部チヤンバに接続してあ
る。この様な構成であるから、いずれかのチヤン
バが膨脹しない場合にもトラス機構が作動するの
であり、いずれのチヤンバもほぼ同じ曲げ抵抗を
持つのである。２本のトラスストラツプ９４，９
６はトラスバツク５０および７２の双方もしくは
一方と協働して作用するのである。上部チヤンバ
のトラスバツク７２はまたスプレツダ部材として
も作用するのであり、下部チヤンバが膨脹しない
時に上部チヤンバの管状部材を互いに引き離す様
に支持するのである。このため、シユート装置の
中央部に於てシユートパネルの表面が垂れ下がる
のが防止される。

このシユート装置を展開する際には、所定の空
気圧に達するまではシユート装置の頭部側端部１
２と脚部側端部１４とを完全に分離しない様に拘
束しておくことが望ましい。この目的のため、こ
の特許願と同日付の特許願58−217921号（特開昭
59−102699号公報）に記載されている様な型式の
拘束装置を用いるのが好ましい。

本発明のシユート装置は、上部膨脹チヤンバま
たは下部膨脹チヤンバのいずれか一方のみが膨脹
した場合でも完全に満足すべき程度に機能するも
のではあるが、双方のチヤンバが完全に膨脹した
時にはその目的とする安全機能を更に安全に発揮
し得るものである。

以上には本発明の一実施例のみについて説明し
たが、本発明の範囲を逸脱することなく種々の修
正や変更を加え得るものであることは明らかであ
ろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に基づく緊急脱出用
シユート装置の斜視図、第２図は仮想線で示した
航空機の出口ドアから地面に至るまで延長させた
第１図のシユート装置の側面図、第３図は第１図
のシユート装置の平面図、第４図は第１図のシユ
ート装置の底面図、第５図は第２図の５−５線に
沿つた断面図、第６図は第２図の６−６線に沿つ
た断面図、第７図は第１図および第２図のシユー
ト装置の側面図であつて、上部膨脹区間のみがま
だ膨脹しない状態にあるところを示したもの、第
８図は第７図の８−８線に沿つた断面図、第９図
は第７図の９−９線に沿つた断面図、第１０図は
第１図および第２図のシユート装置の側面図であ
つて、下部膨脹区間のみがまだ膨脹しない状態に
あるところを示したもの、第１１図は第１０図の
１１−１１線に沿つた断面図、第１２図は第１０
図の１２−１２線に沿つた断面図である。 １０……シユート装置、１２……頭部側の端
部、１４……脚部側の端部、１６……航空機、１
８……地面、２２……下部（第１）膨脹チヤン
バ、２４……中央管状部材、２８，３０……サイ
ドレール、３２……肩部、３６……シユートパネ
ル、３８……左側滑降路線、４０……右側滑降路
線、４４，４６……摩擦パネル、５０……横断方
向トラスバツグ、５４……横断方向管状部材、６
０……上部（第２）膨脹チヤンバ、６２……中央
支持管状部材、６６，６８……サイドレール、７
２……トラスバツグ、７６……横断方向管状部
材、７８，８０……補助支持管、８２，８４，８
６，８８……圧力流体源、９４，９６……トラス
ストラツプ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 緊急避難用の膨脹式シユート装置１０であつ
   て、シユート装置１０の頭部側の端部１２から脚
   部側の端部１４に至るまで延長したシユート面を
   画定する可撓性シユートパネル３６と、一つの第
   １膨脹チヤンバ２２を形成する互いに内部で接続
   された複数の第１管状部材２４，２８，３０，５
   ０と、前記第１膨脹チヤンバ２２から独立した一
   つの流体系を有する第２の膨脹チヤンバ６０を形
   成するそれぞれ互いに接続された複数の第２の管
   状部材６２，６６，６８，７２、とを備えて成
   り、前記チヤンバの中の１つのチヤンバ６０は、
   前記シユートパネル３６の各横縁の部分に沿つて
   管状のレール手段６４を備えており、前記レール
   手段６４はシート面に沿つて前記シユートパネル
   ３６から隆起しているとともに、シユート装置１
   ０の頭部側の端部１２の近傍において前記シユー
   トパネル３６からさらに隆起するような輪郭を成
   し、他のチヤンバ２２は、シユート面に沿つて前
   記シユートパネル３６から隆起している管状レー
   ル手段３２を備え、シユート装置１０の頭部側の
   端部１２の近傍において前記シユートパネル３６
   からさらに隆起するような輪郭を成していること
   を特徴とする膨脹式シユート装置。 ２ 前記第１チヤンバ２２および第２チヤンバ６
   ０の各々は前記シユートパネル３６を頭部側の端
   部１２から脚部側の端部１４に至るまで２本の路
   線３８，４０に分割する中央長手方向支持管２
   ４，６２を備えていることを特徴とする請求項１
   記載の膨脹式シユート装置。 ３ 前記シユートパネル３６の下方を前記シユー
   ト装置１０の軸方向中心線に対して横断方向に延
   びている複数のトラス支持部材５０，５４；７
   ２，７６が設けられ、前記複数のトラス支持部材
   は流体的に互いに独立していることを特徴とする
   請求項１又は２のいずれかに記載の膨脹式シユー
   ト装置。 ４ 前記２本の中央長手方向支持管２４，６２は
   互いに上下に配置されていることを特徴とする請
   求項２又は３のいずれかに記載の膨脹式シユート
   装置。 ５ 前記各中央長手方向支持管２４，６２の最上
   部はその対応する管状レール手段２８，３０；６
   ６，６８の最上部よりも下方の水平面内に位置す
   ることを特徴とする請求項１乃至４の中のいずれ
   か１項に記載の膨長式シユート装置。 ６ 少くとも１つの前記トラス支持部材７２がシ
   ユート装置１０の側部を囲繞して追加された支持
   手段を構成していることを特徴とする請求項３乃
   至５の中のいずれか１項に記載の膨脹式シユート
   装置。 ７ 前記シユートパネル３６の下方にはシユート
   装置１０の軸方向中心線に対し平行に頭部側の端
   部１２から脚部側の端部１４まで延長しているス
   トラツプ手段９４，９６が設けられ、追加された
   長手方向支持手段を構成していることを特徴とす
   る請求項１乃至６の中のいずれか１項に記載の膨
   脹式シユート装置。