JPH0414440Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、底吹き転炉あるいは上底吹き転炉内
に装入した溶湯中に、酸化性ガス、粉体燃料を切
換弁を介して吹き込む装置において、各種自動弁
類の駆動用電源断および駆動用ガス圧力低下など
の異常時における安全装置に関するものである。

＜従来の技術＞ 本考案者らは、特公昭60−40487号公報に開示
された切換弁３を介して底吹きあるいは上底吹き
転炉内に酸素ガスまたは粉体燃料のいづれか一方
を選択的に吹込む場合の確実な切換え方法を特願
昭61−287626号において提案した。すなわち粉
体燃料から酸化性ガスへの切換えは、酸化性ガス
放散弁５、酸化性ガス遮断弁７などの操作で酸化
性ガス吹込み系統４における吹込み圧力を切換え
に必要な値以上に維持した上で、粉体燃料吹込み
系統１０によるキヤリアガスの供給を停止すると
共に、キヤリアガス放散弁１１、キヤリアガス遮
断弁１４などの操作で粉体燃料吹込み系統内に残
存したキヤリアガスを放出してから行うこと、
酸素ガスから粉体燃料への切換えは、キヤリアガ
ス放散弁１１、キヤリアガス遮断弁１４などの操
作で粉体燃料吹込み系統１０における吹込み圧力
を切換えに必要な値以上に維持した上で、酸化性
ガス吹込み系統による酸化性ガスの供給を停止す
ると共に、酸化性ガス遮断弁７、酸化性ガス放散
弁５の酸化性ガス吹込み系統４に残存した酸化性
ガスを放出してから行うこと（第３図参照）が特
徴でありこれらの切換えは、自動弁類が開閉する
ことで行われる。

この設備において、前記２系統の各種自動弁類
の駆動用電源断や駆動用ガス圧力低下などの突発
事故によつて、正常な制御による正常な酸素ガス
または粉体燃料の吹込みができなくなると、浴面
下の吹込み口への転炉内溶湯の侵入とその凝固に
よる吹込み口の閉塞や、吹込み口を通じて溶湯の
炉外への漏洩、といつた事故が生じる。これらの
事故を防止するために、前記の自動弁類の駆動用
電源断や駆動用ガス圧低下などの突発事故時に
は、吹込み口に所定圧力以上キヤリアガスを供給
するように設計されている。

すなわち、突発事故時には酸化性ガス遮断弁７
が閉、酸化性ガス放散弁５が開となつて、遮断弁
７から切換弁３までの酸化性ガスを放散しつつ、
キヤリアガス遮断弁１４、キヤリアガス流量調節
弁１７を開、粉体燃料切出し弁１８、キヤリアガ
ス放散弁１１を閉とし、切換弁３を介して吹込み
口２にキヤリアガスが供給されるようになつてい
る。

ここで、酸化性ガス遮断弁７が閉じ、キヤリア
ガス流量調節弁１７、キヤリアガス遮断弁１４が
開いてから、キヤリアガスが吹込み口２で転炉内
溶湯を支えるのに必要な所定圧力に達するまでの
時間t₁は、キヤリアガス遮断弁１４から吹込み口
２までの配管内容積や吹込み口の内径によつて決
まる。一方、酸化性ガス遮断弁７が吹込み口２ま
での配管内ガスが酸化性ガス放散弁５から放散さ
れ、かつこのガス残圧が吹込み口２の先端部で溶
湯を支えられなくなるまで低下する時間t₂は、酸
化性ガス放散弁５および分岐管１９の内径と酸化
性ガス遮断弁７から吹込み口２先端までの配管内
容積とによつて決まる。

このような状態下で、常にt₁＜t₂となるような
設備にしておけば、吹込み口２への溶湯の侵入、
炉外への湯洩などの事故の危険はない。このた
め、酸化性ガス遮断弁から切換弁３までの配管
長さを長くする、キヤリアガス遮断弁１４から
切換弁３までの配管長さを短くする、酸化性ガ
ス放散弁５、分岐管１９の内径を小さくする、な
どの対策が考えられるが、は通常操業時の酸化
性ガスの放散量を多くして経済的でない、は転
炉工場の設備の配置上、必ずしも実現できない、
は酸化性ガスから粉体燃料への切換えに時間が
かかり、操業時間が長くなる、という欠点があ
る。

＜考案が解決しようとする問題点＞ 本考案は、前述のような従来方法の欠点を克服
し、各種自動弁類の駆動用電源断や駆動用ガス圧
力低下などの突発事故時に吹込み口の溶湯による
閉塞や溶湯の炉外への漏洩を確実に防止できる転
炉への酸化性ガスおよび粉体燃料吹込み装置を提
供するためになされたものである。

＜問題点を解決するための手段＞ 本考案者らは、突発事故時の吹込み口への溶湯
流出防止について鋭意検討を重ねた結果、放散流
量制限部材を配設することによつて問題点を解決
できるとの知見をえ、この知見にもとづいて本考
案をなすに至つた。

すなわち本考案は、酸化性ガス吹込み系統と粉
体燃料吹込み系統とを切換弁により切換えて、吹
込み口を通じて酸化性ガスまたは粉体燃料のいづ
れかを溶湯中に吹込み精錬する底吹き転炉あるい
は上底吹き転炉において、酸化性ガス吹込み系統
もしくは粉体燃料吹込み系統のいづれかに、その
自動遮断弁から切換弁までの配管系統内に第１の
分岐管を配設し、この第１の分岐管に第１のガス
放散弁を配設し、この弁の排出側配管に少なくと
も１個の第２のガス放散弁と少なくとも１個の放
散流量制限部材とを並列に設けた第２分岐管を接
続してなるガス放散系を設けた転炉への酸化性ガ
スおよび粉体燃料吹込み装置である。

＜作用＞ 本考案の具体的構成を第１図に基づいて説明す
る。第１図において酸化性ガス吹込み系統４の酸
化性ガス自動遮断弁７から切換え弁３までの配管
の途中に第１の分岐管２０を設け、この分岐管に
第１の酸化性ガス放散弁２１が接続され、この放
散弁の排出側には第２の分岐管２２ａ，２２ｂが
接続されている。これら第２の分岐管の１つであ
る２２ａには、第２の酸化性ガス放散弁２３が、
もう一方の第２の分岐管２２ｂには、放散流量制
御部材として制限オリフイス２４が設けられ、こ
れらの排出側は大気に開放されている。第１の分
岐管２０、第１の酸化性ガス放散弁２１、第２の
分岐管２２ａおよび第２の酸化性ガス放散弁２３
の口径は、十分に大きなものとしておき、第２の
分岐管２２ｂ及び制御オリフイス２４の口径は先
に述べたt₁＜t₂となる条件を常に満足するように
前記口径より十分小さいものとしておく。

ここで第１図において、各種自動弁類の駆動用
電源断、駆動用ガス圧力低下等の突発事故がおき
た場合に、各自動弁類を以下のように作動するよ
うに構成しておく。すなわち酸化性ガス自動遮断
弁７閉、第１の酸化性ガス放散弁２１開、第２の
酸化性ガス放散弁２３閉、キヤリアガス自動遮断
弁１４開、キヤリアガス流量調節弁１７開、粉体
燃料切出し弁１８閉、キヤリアガス放散弁１１閉
とする。

以上のように構成することによつて、酸化性ガ
ス自動遮断弁７が閉じ、同時にキヤリアガス遮断
弁１４が開いてから、キヤリアガスが粉体吹込み
系統１０の配管内に充満し、吹込み口２の先端で
転炉１内の溶湯を支えるのに必要な所定圧力に達
するまでの時間t₁に対して、前述の時間t₂を十分
に大きくできる。

したがつて、常にt₁＜t₂という条件を満足でき
るため、吹込み口２への溶湯の侵入、その凝固に
よる閉塞や溶湯の漏洩は確実に防止できる。

なお、弁類駆動用電源およびもしくは駆動源ガ
ス圧力が正常な場合の粉体燃料の吹込みから酸化
性ガスの吹込みへの切換えに際しては、酸化性ガ
ス遮断弁７を閉じた後、第１の酸化性ガス放散弁
２１及び第２の酸化性ガス放散弁２３を共に開と
すれば、これらの口径は十分大きくとつてあるの
で、酸化性ガス自動遮断弁７から切換え弁３に至
る配管内の残存酸化性ガスが速やかに大気中へ放
散され管内残圧が急激に低下するので、切換え弁
３内における酸化性ガスとキヤリアガスの差圧が
速やかに切換えに必要な所定圧力となるので切換
えに必要以上に時間がかかることもない。

＜実施例＞ 前記の例では、酸化性ガス吹込み系統４に第１
の分岐管２０、第１の酸化性ガス放散弁２１、第
２の分岐管２２ａ，２２ｂ、第２の酸化性ガス放
散弁２３、制限オリフイスを設けた。これは異常
時に長時間酸化性ガスを吹込みつづけると転炉内
の溶湯が著しく酸化し、例えば多量の酸化鉄の生
成による歩止り低下や転炉耐火物の激しい溶損を
招くため、窒素ガスのような安価で大量に得られ
るキヤリアガスを吹込んだ方がよいからである。
一方例えばキヤリアガスがアルゴンガスのような
高価な場合、あるいはキヤリアガス供給源の供給
能力に制限がある場合は、前記のような分岐管、
第１、第２の放散弁、制限オリフイス等を粉体吹
込み系統１０のキヤリアガス自動遮断弁１４以降
切換え弁３に至る配管経路内に設けてもよい。ま
た第２の分岐管を３本以上と制限オリフイスを複
数設けてもよいことは勿論である。

また前記の例では放散流量制限部材として制限
オリフイスを使用したが、制限オリフイスの代わ
りにニードルバルブのような放散流量微調節可能
な手動バルブでもよいし、弁類駆動用電源断、駆
動用ガス源圧力低下等の場合に開となる小径の自
動遮断弁でもよいし、また単なる細管でもよい。
これらの口径は前記の如くt₁＜t₂となるように設
計または調節される。

第２図は、本考案を適用しない第３図のような
構成の設備において弁類駆動用電源断の場合と、
本考案を適用した第１図のような構成の設備にお
いて弁類駆動用電源断の場合の、酸化性ガス圧力
計６による酸化性ガス吹込み系圧力計測値、キヤ
リアガス圧力系１３による粉体吹込み系統圧力計
測値および吹込み直前に取りつけた圧力計（図示
せず）による吹込み口前圧力計測値の経時変化を
比較して示した。

本考案を適用しない比較例ａにおいては、羽口
前圧力が一時的に0.9Kg／cm²と転炉１内の溶湯の
静圧以下に下り、このため溶湯が２重管でなる吹
込み口の内管に溶湯が侵入して凝固し閉塞してし
まつたため内菅の交換を必要としたのに対して、
本考案の実施例では、吹込み口前のガス圧力は最
低で４Kg／cm²までしか低下せず上記のような羽口
閉塞事故が防止された。

＜考案の効果＞ 本考案によると、底吹き転炉あるいは上底吹き
転炉内に装入した溶湯中に酸化性ガス、粉体燃料
を切換弁により切換えて吹込む設備において、駆
動用電源断や駆動用ガス圧力低下などの突発事故
時に、吹込み口への必要なガス供給圧力を確実に
確保でき、吹込み口への侵入溶湯による閉塞や溶
湯の炉外への漏洩を防止することができた。ま
た、酸化性ガスおよび粉体燃料吹込み設備の構成
機器の配置上の自由度も大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示す設備の系統
図、第２図は、第１図の本考案設備を用いた場合
と第３図の従来設備を用いた場合の突発事故時の
圧力の経時変化を示すグラフ、第３図は、従来の
設備の系統図である。 １……転炉、２……吹込み口、３……切換弁、
４……酸化性ガス吹込み系統、５……酸化性ガス
放散弁、６……酸化性ガス圧力計、７……酸化性
ガス自動遮断弁、８……酸化性ガス流量計、９…
…酸化性ガス供給圧力制御装置、１０……粉体燃
料吹込み系統、１１……キヤリアガス放散弁、１
２……粉体燃料貯蔵切出し装置、１３……キヤリ
アガス圧力計、１４……キヤリアガス自動遮断
弁、１５……キヤリアガス流量計、１６……キヤ
リアガス供給圧力制御装置、１７……キヤリアガ
ス流量調節弁、１８……粉体燃料切出し弁、１９
……分岐管、２０……第１の分岐管、２１……第
１の酸化性ガス放散弁、２２・ａ，ｂ……第２の
分岐管、２３……第２の酸化性ガス放散弁、２４
……放散流量制限オリフイス、２５……酸化性ガ
ス流量調節弁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 酸化性ガス吹込み系統と粉体燃料吹込み系統と
   を切換弁により切換えて、吹込み口を通じて酸化
   性ガスまたは粉体燃料のいづれかを溶湯中に吹込
   み精錬する底吹き転炉あるいは上底吹き転炉にお
   いて、 酸化性ガス吹込み系統もしくは粉体燃料吹込み
   系統のいづれかに、その自動遮断弁から切換弁ま
   での配管系統内に第１の分岐管を配設し、この第
   １の分岐管に第１のガス放散弁を配設し、この弁
   の排出側配管に、少なくとも１個の第２のガス放
   散弁と少なくとも１個の放散流量制限部材とを並
   列に設けた第２分岐管を接続してなるガス放散系
   を設けたことを特徴とする転炉への酸化性ガスお
   よび粉体燃料吹込み装置。