JPH0414439Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 高炉より製鋼工場までの溶銑運搬には、いわゆ
る混銑車が多用される。

近ごろになつてこの混銑車内における脱けい、
脱硫、脱りんなどの溶銑予備処理が工程化される
に至り、この処理は混銑車内の溶銑に、粉状フラ
ツクスたとえば酸化鉄、生石灰、石灰石、カーバ
イドソーダ、灰などの、搬送ガスによるインジエ
クシヨン操作もつて適切に成就される。

このような処理が混銑車の運行の度毎に行われ
ると、運行のサイクルが何回が繰返えされること
により混銑車内にて、溶滓や未反応フラツクスが
凝集した大塊が生成するようになつて、溶銑予備
処理の反応率低下のみならず、混銑車の有効内容
積の減少、つまり受銑量の低下による、運搬効率
の悪化を引おこす。

従つて一定期間の運行を経る毎に、混銑車内の
凝固物を排出することが混銑車の運用上必要なわ
けである。

そこでこの明細書では、混銑車の能率的でかつ
円滑な運用を図るための内容物の悉皆排出を、と
くに混銑車の走行軌道その他の施設への悪影響を
伴うことなく確実かつ簡便に成し遂げるように工
夫をこらした、混銑車の運用設備について以下に
述べる。

（従来の技術） これまで混銑車内の残滓は、混銑車の傾動によ
り残銑と一緒に、走行軌道わきのバラス上に放出
していたが残銑がのろに混つて無駄になる不利が
あり、そこで残銑だけでは容器に受けることも試
みられたが、何れにしてもバラス中に水がしみこ
んでいるようなときには、水蒸気爆発を起す危険
がある。

特公昭57−6488号公報には、残銑と溶滓を別個
に受け処理することも開示されているが、上記し
た地金の回収の場合と同じく冷銑化して、いわゆ
る荒銑の扱いとなつて評価額が低い上に荒銑が多
量に上ると処分に困ることにもなる。

何れにしても混銑車の傾動位置で内容物を放出
する際混銑車の炉口つまり受銑兼用の出銑口はさ
ほどに広くもないので溶滓塊の流下は容易でなく
さりとて、傾動角度を大きくすると、混銑車の走
行軌道上に高温溶融物が飛散して軌条や附帯施設
に損傷を与える心配も加わる。

（考案が解決しようとする問題点） 混銑車内容物の悉皆排出を、走行軌道その他の
施設への悪影響や、もちろん災害の発生のおそれ
なく、円滑にしかも確実かつ適切に成就すること
ができ、常に最大の運搬効率での混銑車の運用を
目指した設備を与えることがこの考案の目的であ
る。

（問題点を解決するための手段） この考案は混銑車の走行軌道を混銑車の前後ボ
ギー台車間の内のり距離よりも短い区間にわたつ
て分離区分した部分軌道を、上記走行軌道を横切
る向きに可動の横行台車上に塔載し、この部分軌
道の横行台車とともにする待避位置にて傾動させ
た混銑車の炉口から流出する残銑と塊状凝集物を
含む残滓とを、個別処理するレードル及びスクレ
ーパーを、鍋台車上に塔載して成ることを特徴と
する、混銑車の運用設備である。

この考案においては、レードルが、これに受入
れた残銑を溶融状態に保持する保温蓋並びに、該
残銑を直立姿勢に復元させた混銑車の炉内へ再装
入する持上げ装置と連繋可能であるようにするこ
とが実施態様として、とくに推奨される。

さて第１図、第２図にこの考案による混銑車の
運用設備の具体例を示し、図中１はトピードカー
と呼ばれる型式の混銑車、２はその前後のボギー
台車、３は、その走行軌道である。

走行軌道３は、前後のボギー台車２−２間の内
のり距離ｌよりもやや短い区間にわたつて分離区
分した部分軌道４を含むものとし、この部分軌道
４は走行軌道３を横切る向きに掘削したピツト５
内で可動の横行台車６上に塔載してある。図中７
はピツト５の棚段８に敷設した横行台車６の軌道
である。

ピツト５は棚段８より下位のレベルにピツト９
を切下げ、その棚段１０上に敷設した軌道１１に
より鍋台車１２をやはり走行軌道３と交差する向
きに可動とする。

鍋台車１２には、レードル１３とスクレーパー
１４とを塔載し、このレードル１３は、部分軌道
４の第２図に示した待避位置でのトピードカー１
の傾動により流出する残銑を一時的に収容したの
ち鍋台車１２を進めた図の仮想線位置にて加熱手
段１５を内蔵するを可とするレードル蓋１６の適
用により収容残銑の保温を行い、このときトピー
ドカー１の一層の傾転下に塊状凝集物を含む残滓
をすつかり放出させてスクレーパー１４内に仮受
けするようにする。

ピツト９はその棚段１０よりさらに下位のレベ
ルでピツト１７を切下げ、このピツト１７内には
スクレーパー１４に仮受けした残滓を受入れるス
ラグパン１８を用意し、この残滓の掻き出しに先
立つてレードル１３中にて保温した残銑を、クレ
ーン１９によるレードル１３の吊揚げによつて処
理施設の架構２０上に仕組んだレードル支持部に
て、正立位置に復帰させたトピードカー１の内部
に戻し、次に装入される高炉溶銑と混合再使用に
供する。

クレーン１９はその後レードル１３を鍋台車１
２上に再塔載して引続き鍋台車１２の初期位置へ
の後退を経てから、スラグパン１８をスラグ処理
場に移送する用にも供する。

（作用） トピードカー１の残銑・滓処理場への入構によ
りそのボギー台車２，２間の部分軌道４を横行待
避させてから、鍋台車１２上のレードル１３に向
けてまず残銑の流出、次にスクレーパー１４への
残滓の放出を行う際にその流動経路に対し部分軌
道の干渉は全く生じないので、軌道に損傷を来す
おそれがなく、この間にレードル１３内に仮受け
した残銑の保温を行うことによつて、冷銑又は荒
銑の発生をなくして、次回の装入溶銑に混入して
有効な活用を図るとともにこのようにして溶銑を
溶滓から十分に分離処理できるので、混銑車の運
用が、円滑かつ効率的に行われるわけである。

（実施例） 250t混銑車につき第１図、第２図に示した運用
設備を実際に適用したことろ、残滓の排出量は、
平均5tにも上り、その結果、混銑車の有効内容積
につき、2.5m³もの残滓による無効占有がなくな
り、その分の受銑量増加は17tにも及びこの運搬
効率の上昇は、耐火物原単位の低減、溶銑温度低
下の防止及び溶銑予備処理用フラツクス原単位の
削減をもたらし、結局混銑車の運用コストが８〜
10％低減した。

（考案の効果） この考案によれば、混銑車の走行軌道が損傷す
るうれいなく残滓の悉皆排出が確実に行われて、
混銑車の有効内容積が容易に確保されるため、受
銑量の経時的な低下を来すうれいがなく、加えて
残溶銑の有効利用も図れるため、混銑車による溶
銑の運搬効率の上昇だけでなく、耐火物原単位、
溶銑予備処理用のフラツクス原単位の削減と、溶
銑温度低下の防止などにも役立つ。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図はこの考案による混銑車の運用
設備を示す側面図と断面図である。 １……混銑車、２……前後ボギー台車、３……
走行軌道、４……部分軌道、６……横行台車、１
２……鍋台車、１３……レードル、１４……スク
レーパー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 混銑車の走行軌道を混銑車の前後ボギー台車
   間の内のり距離よりも短い区間にたつて分離区
   分した部分軌道を、上記走行軌道を横切る向き
   に可動の横行台車上に塔載し、この部分軌道の
   横行台車とともにする待避位置にて傾動させた
   混銑車の炉口から流出する残銑と塊状凝集物を
   含む残滓とを、個別処理するレードル及びスク
   レーパーを、鍋台車上に塔載して成ることを特
   徴とする、混銑車の運用設備。 ２ レードルが、これに受入れた残銑を溶融状態
   に保持する保温蓋並びに、該残銑を直立姿勢に
   復元させた混銑車の炉内へ再装入する持上げ装
   置と連繋可能である１記載の設備。