JPH04133972U - 索道の受索輪ライナー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 索道の索条を支承する受索輪において、摩耗
による交換限度等を目視により容易に判別できるように
した受索輪ライナーの提供を目的としている。 【構成】 受索輪の円環状をなすゴム質ライナーにおい
て，受索溝から半径方向内方に向かって摩耗量の所定値
寸法に相当する位置を境界面として、色相の異なった少
なくとも２層の同心円状複数層準の成層構造に形成され
たものである。受索溝の摩耗が徐々に進行して所定値に
達すると色相の異なった下位の層準が露出されるので、
交換限度に達したことを目視で容易に判別できる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は索道設備の分野において索条を支承する受索輪のライナーに関するも のである。

【０００２】

【従来の技術】

索道設備は、滑車と滑車との間に巻き掛けた索条に、搬器を握索機で握索させ て、索条の循環移動と共に該搬器を運行して輸送を行うもので、搬器として椅子 式搬器を用いたリフトや客車式搬器を用いたロープウエイ等があり、積雪地にお けるスキーヤー輸送用、山岳観光地における乗客輸送用等に多用されていること は汎く知られている。

【０００３】 このように搬器を曳行する動索ないし索条は索道線路中においては支柱に設備 した受圧索装置の受索輪によって支承誘導され、また停留場内においてはガイド ローラないし誘導車輪によって支承誘導される。

【０００４】 このような受索輪５１の一例として実開昭５４−２１３６８号公報によって開 示されたものを掲げる。図５は断面図で示されたもので、受索輪５１は輪芯５２ の外周面５４には円環状に形成されたゴム質のライナー７０が外嵌されている。 かつ、ほヾ円環平板状のフランジ部材５５，５６を用いてライナー７０を両側か らサンドウイッチ状に挟んで予圧すると共に、外周面５４に係止したものである 。

【０００５】 ライナー７０の外周には受索溝７５が形成されており、この受索溝７５に導か れて索条８０が支承誘導される。索条８０には所定の間隔ごとに握索機８１が咬 着しているが、図示は握索機８１がライナー７０上に接当し通過している状態を 示している。

【０００６】 相当に以前の時期においては、このような受索輪には金属溝を有するものが用 いられていたが、その後このようなゴム質のライナーが用いられるようになって から、索道設備の騒音は著しく減少した。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

このようなライナー７０には通常、合成ゴム等の材料よりなるものが用いられ るので経年使用すると摩耗を生じてくる。摩耗の程度が著しく進行しても気付か ずに運転を続行しているとライナーが裂断したり、握索機８１の握子部８２がフ ランジ部材５６または５５に不慮に接当するなどして、該フランジ部材５６また は５５の破損事故を起こすおそれもあって危険である。従ってライナーの摩耗に は常に注意して監視し、必要の場合には新品と交換しなければならない。

【０００８】 このためには、従来から、過去の経験から知られているライナーの寿命を勘案 して寿命を予測したり、または、フランジ部材の外周部からの摩耗寸度をスケー ルまたはゲージ等で計測して判断するなどの方法が行われていたが、予測や測定 が煩雑であるなどの問題があった。

【０００９】 本考案はこのような事情の改善のためになされたもので、ゴム質ライナーの摩 耗の程度ないし交換限度を直感的に知ることができるようにした索道用受索輪ラ イナーを提供することを課題ないし目的としてなされたものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

この目的に対応して本考案は、索道の動索を支承誘導する受索輪に用いるゴム 質のライナーであって、該ライナーは外周部に前記動索を支承すべき受索溝が形 成され内周部には前記受索輪の輪芯に外嵌すべき嵌着面を有する円環状部材であ って、かつ、該ライナーはそれぞれ色相の異なった少なくとも２層の同心円状複 数層準の成層構成をなし、前記各層の境界面は前記受索溝からの所定の摩耗量に 応当する寸度に定められたものであって、前記受索溝の摩耗が進行すると色相の 異なった下位の層準が外部に露出するようになした索道の受索輪ライナー、とし て構成したものである。

【００１１】

【作用】

本考案の索道用受索輪ライナーは円環状をなしたもので、内周側は受索輪の輪 芯に外嵌され、かつ、フランジ部材を用いて両側から挟圧して組立てられている 。受索輪ライナーの外周には全周に亘って受索溝が形成され、この受索溝で動索 ないし索条を支承誘導し、また、握索機通過時はこれを支承する。

【００１２】 該受索輪のライナーは少なくとも２層の同心円状複数層の成層構造をなすもの であり、各々の層準はそれぞれ異なる色相に着色されたものである。即ち、ライ ナーの最も外周側の層準の色相を基調色とし、例えば黒色とした場合に、境界面 を隔てて下位ないし内周側の層準の色相を例えば黄色とし、更に次の境界面を隔 ててさらに下位ないし内周側の層準を有する場合にはこれの色相を例えば赤色と する…、という如くに定める。

【００１３】 かつ、前記の各層準の境界面は、受索溝から起算した摩耗量の所定値毎に応当 した寸度に定められている。

【００１４】 このような構成をなした受索輪のライナーを用いた場合、索道運転による経年 使用によって、外周部ないし受索溝付近から摩耗が徐々に進行して境界面に達す ると、下位ないし内周側の例えば黄色をなす層準が外部に露出して、摩耗量の所 定値、例えば摩耗の注意値に達したことを現示する。

【００１５】 更に、この下位の層準を有する場合には、摩耗が更に進行すると、更に下位の 異なった色相の、例えば赤色をなす層準が外部に露出し、第二の摩耗量の所定値 、例えばライナーを交換すべき限度値に達したことを現示する。

【００１６】 よって、受索輪のライナーの摩耗の状態を直感的に視認することができて、交 換または交換準備等の適切な処置をとることができる。

【００１７】

【実施例】

（第１の実施例） 図１は受索輪１を断面図で示したものである。輪芯２のボス部３にはころがり 軸受（図示していない。）が内嵌されていて、図において一点鎖線で示した軸中 心１１を中心に回動自在に枢着されている。この輪芯２の外周面４には円環状に 形成されたソリッドタイヤないしゴム質のライナー２０が外嵌されている。フラ ンジ部材５，６はそれぞれほヾ円環平板状をなすもので、これらのフランジ部材 ５，６を輪芯２の外周面４に外嵌して前記のライナー２０の両側からサンドウイ ッチ状に挟圧する。前記の外周面４には全周に亘って２条の係止溝７，８が線刻 されていて、ここにはピアノ線材等よりなるＣ型止め輪ないしスナップリング状 の係止リング９、１０をそれぞれ外嵌して、フランジ部材５または６を係止し、 組み立てられている。図１において、軸中心１１に関して上下は対称であるから 、下半部の図示は省略されている。

【００１８】 ライナー２０は、図２，図３のごとくで、図２に一点鎖線で示した軸中心１１ を中心とする円環状の部材で、合成ゴム等のゴム質または弾性体を用いて形成さ れている。該ライナー２０の内周側は嵌着面２１であり、ここは前記のとおり輪 芯３の外周面４に嵌着されるべき部位である。また、側面２２，２３はそれぞれ フランジ部材５または６と接当して挟圧される部位である。外周面２４には全周 に亘って断面視半月状凹部をなす受索溝２５が形成され、ここは索条３０を支承 誘導するための部位である。

【００１９】 次にライナー２０の成層構造について述べる。本実施例は２層の層準を有する 場合のものである。

【００２０】 図１、図２に示す如くに、境界面２８より外周面２４側に第一の層準２６があ り、境界面２８より下位ないし嵌着面２１寄りに第二の層準２７があって、これ ら第一の層準２６と第二の層準２７とは同心円状に一体となった成層構成をなし ている。ここで、受索溝２５を有する第一の層準２６には基調色として例えば黒 色に着色されており、第二の層準２７には前記第一の層準２６の色相とは異なる 色相、例えば黄色に着色されている。前記の境界面２８は、図２のごとくに、受 索溝２５から起算して内周側に摩耗量の所定値Ｃの寸度に定められている。ここ で摩耗量の所定値Ｃは、例えばライナー２０を新品と交換すべき限度値に応当し た寸度とする。

【００２１】 このようなライナー２０を製造するには次のようにして行うことができる。即 ち、第二の層準２７のための例えば黄色をなすゴム質の帯状ないしテープ状素材 を内周側の嵌着面２１から順次外側に巻き付け、こうして摩耗量の所定値Ｃに相 当する直径まで達したら、この上層に第一の層準２６のための基調色ないし黒色 をなすゴム質の帯状ないしテープ状の素材を外周面２４に達するまで巻き付けて 、これらが一体に密着するように加圧成型するのである。

【００２２】 または、ライナー２０を金型で成型する場合には、まづ、第一の工程において 第一の金型を用いて嵌着面２１から境界面２８に到る例えば黄色をなす素材を用 いて中間半製品を形成し、次に第二の工程に於いて先の第一の金型よりも大径の 第二の金型を用いて、境界面２８から外周面２４に到る間を基調色ないし黒色を なす素材で埋めて、これらが一体に密着するように加圧成型するのである。

【００２３】 次に図１に戻り、図示はライナー２０に握索機３１の握子部３２が通過中の模 様を示しているが、握索機３１の通過時以外には受索溝２５は索条３０を直接に 支承している。

【００２４】 こうして受索輪１ないしライナー２０を経年使用していると次第に受索溝２５ の摩耗が進行して、図３の摩耗した受索溝２５ａに状態となり、第二の層準２７ が外部に露出されてくる。第二の層準２７は第一の層準２６と異なる色相とされ ているので容易に判別することができて、摩耗が摩耗量の限度値、またはこれ以 上に進行したことを知ることができる。 （第２の実施例） 本実施例は図４に示す如く、３層の層準を有してこれらが同心円状に成層構成 となっている場合のものである。

【００２５】 ライナー４０は前記の実施例の場合と同様に、外周面４１と嵌着面４３とを有 する円環状のゴム質部材で、外周面４１には受索溝４２が全周に亘って凹状に形 成されている。かつ、該ライナー４０は外周面４１から内周側の嵌着面４３に向 かって同心円状に３層準を有する成層構成となっている。即ち、外周面４１から 受索溝４２を含んで境界面４７までは第一の層準４４であり、境界面４７から下 位の境界面４８までは第二の層準４６であり、かつ、境界面４８から嵌着面４３ までは第三の層準４６となっている。各々の層準は容易に識別できるようにそれ ぞれ異なった色相とされている。例えば第一の層準４４は基調色として黒色とし 、第二の層準４５は例えば黄色とし、更に第三の層準４６は例えば赤色とする。

【００２６】 かつ、境界面４７は受索溝４２から起算して内周方向に摩耗量の第一の所定値 Ｃａに応当する寸度に定め、境界面４８は同様に受索溝４２から起算して摩耗量 の第二の所定値Ｃｂに応当する寸度に定めるようにする。

【００２７】 このような構成のライナー４０を用い、経年使用により受索溝４２の摩耗が進 行して境界面４７に達すると、例えば黄色をなす第二の層準４５が外部に露出す る。ここで摩耗の第一の所定値Ｃａを摩耗の注意値とすればライナー４０の交換 時期が近づいたことを知ることができる。

【００２８】 更に受索溝４２の摩耗が進行して境界面４８に達すると、ここで例えば赤色を なす第三の層準４６が外部に露出し、ここで摩耗量の第二の所定値Ｃｂを交換の 限度値とすれば、ライナー４０の摩耗が交換限度に達したことを容易に目視で判 別することができる。

【００２９】

【考案の効果】 索道設備に用いられる受索輪ライナーは、ゴム質材料で製造されており、索道 の静粛運転のために著しく効果的であるが、その反面で半消耗部品として、摩耗 量が一定の限度に達すると新品と交換する必要があり、摩耗の進行状態を常に注 意深く監視している必要がある。しかし、摩耗の計測は煩雑であるため、しばし ば摩耗の進行が見落とされたりすることもある。

【００３０】 本考案の索道用受索輪ライナーは摩耗量の所定値、即ち注意値ないし限度値ま で摩耗が進行すると、該受索輪ライナーの基調色と異なった色相の下位の層準が 外部に露出するので、直感的に摩耗の進行を知ることができる。

【００３１】 よって保守、管理作業が容易となり、かつ、索道の安全運転に効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の受索輪及びライナーを断面図で示した
正面図である。

【図２】受索輪のライナーを断面図で示した正面図であ
る。

【図３】摩耗量の所定値に達した受索輪のライナーを断
面図で示した正面図である。

【図４】第２の実施例における受索輪のライナーを断面
図で示した正面図である。

【図５】従来の受索輪及びライナーを断面図で示した正
面図である。

【符号の説明】

１ 受索輪 ２ 輪芯 ３ ボス部 ４ 外周面 ５ フランジ部材 ６ フランジ部材 ７ 係止溝 ８ 係止溝 ９ 係止リング １０ 係止リング １１ 軸中心 ２０ ライナー ２１ 嵌着面 ２２ 側面 ２３ 側面 ２４ 外周面 ２５ 受索溝 ２５ａ 摩耗した受索溝 ２６ 第一の層準 ２７ 第二の層準 ２８ 境界面 ３０ 索条 ３１ 握索機 ３２ 握子部 ４０ ライナー ４１ 外周面 ４２ 受索溝 ４３ 嵌着面 ４４ 第一の層準 ４５ 第二の層準 ４６ 第三の層準 ４７ 境界面 ４８ 境界面 ５１ 受索輪 ５２ 輪芯 ５３ ボス部 ５４ 外周面 ５５ フランジ部材 ５６ フランジ部材 ７０ ライナー ７５ 受索溝 ８０ 索条 ８１ 握索機 ８２ 握子部 Ｃ 摩耗量の所定値 Ｃａ 摩耗量の第一の所定値 Ｃｂ 摩耗量の第二の所定値

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】索道の動索を支承誘導する受索輪に用いる
   ゴム質のライナーであって、該ライナーは外周部に前記
   動索を支承すべき受索溝が形成され内周部には前記受索
   輪の輪芯に外嵌すべき嵌着面を有する円環状部材であっ
   て、かつ、該ライナーはそれぞれ色相の異なった少なく
   とも２層の同心円状複数層準の成層構成をなし、前記各
   層の境界面は前記受索溝からの所定の摩耗量に応当する
   寸度に定められたものであって、前記受索溝の摩耗が進
   行すると色相の異なった下位の層準が外部に露出するよ
   うになした索道の受索輪ライナー。