JPH04128551U - チエーン式動力伝動用ベルト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ピンとリンクとの摩耗を軽減してベルトの寿
命を向上させるチェーン式動力伝動用ベルトを提供す
る。 【構成】 相対向した一対の円錐状プーリ片から形成さ
れるＶ状溝に巻き掛けられたプーリ表面との摩耗力によ
り伝動を伝達するチェーン式動力伝動用ベルトである。
このベルトを構成するリンクプレート２、４群を連結ピ
ン６によって長手方向に屈曲自在に連結し、プーリ片に
接するエンドプレート３、５を両端部に配して該両端部
に設けた一対のエンドプレート３、５を補強ピン８によ
り係止させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はチェーン式動力伝動用ベルト、特に自動車を初めとする車輌等の変速 装置に使用されるチェーン式動力伝動用ベルトに関する。

【０００２】

【従来の技術】

今日、自動車の無段変速装置に適用される高負荷伝動用ベルトとして、ゴム製 Ｖベルト、金属チェーン及び金属ベルトが提案されている。 このうち、金属チェーンベルトは複数のリンクプレート群がピンによって屈折 自在に結合され、このピンの間にＶベルトと接触するテーパー面を有するＶ形ブ ロックを嵌入した構成になってる。 また、同種ベルトとしてリンクプレート群を連結するピンの両端をテーパー面 にしてＶプーリの壁面に係合させるベルトも、例えば実開昭６３−３７８４６号 公報に開示されており、この種のベルトはピンの径を大きくすることで充分な動 力を伝達できることが知られいる。

【０００３】 また、更に他のチェーンベルトとして、複数のリンクプレート群を連結してい るピンの両端部に自由動可能なチップ体を装着し、ベルトをプーリに進入させる 時にチップ体端面をプーリの側壁に適合させ、また、チップ体自身を回転させる ことにより、ベルトがプーリへ進入する際の振動、ローリングあるいは衝突を緩 和させるベルトも知られており、実用化の試みが進められている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記各ベルトのうち、ピンの両端部にチップ体を装着したチェーン 式ベルトはチップ体がピンの回りをわずかながら旋回するよう設計されているた め、特に高負荷伝動の条件下においてベルトがプーリに進入またはプーリから離 脱するとき、Ｖプーリの側壁とチップ体間の接触線上にかかる側圧あるいはベル ト長手方向の引っ張り力がこの接触線上において異なる大きさで分散し、これが チップ体及びピンに回転モーメントを発生させるため、チップ体及びピンが積極 的に回転しようとする。そして、この結果、チップ体とピンが回転することによ り、ベルトがプーリに進入する際の衝突音が緩和されるが、ベルトの伝達効率が 減少していた。

【０００５】 しかも、プーリのベルトを挟持する推力が大きくなると、チップ体とピンとの 接触面の摩擦力が増大してピンが自転することなく固定され、またピン間隔を大 きくしようとする力によりピンとリンクの接着面の面圧が過大になって、ピン及 びリンクの摩耗を引き起こし、これがベルトの早期故障の原因になっていた。

【０００６】 本考案は、このような問題点を改善するものであり、ピンとリンクとの摩耗を 軽減してベルト寿命を向上させるチェーン式動力伝動用ベルトを提供することを 目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

即ち、本考案においては相対向した一対の円錐状プーリ片から形成されるＶ状 溝に巻掛けられプーリ表面との摩擦力により動力を伝達するチェーン式動力伝動 用ベルトであり、リンクプレート群を連結ピンによって長手方向に屈曲自在に連 結し、前記プーリ片に接するエンドプレートを両端部に配し、該両端部に設けた 一対のエンドプレートを補強ピンにより係止した構成とする。

【０００８】

【作用】

本考案のベルトでは、リンクプレート群を連結している連結ピンがベルトの張 力を受け持ち、また両端部に設けた相対向する一対のエンドプレートを連結した 補強ピンがプーリ片からの推力を受け持つことになる。従って、前記連結ピンは 従来のようにベルトの張力をプーリ片からの側圧を同時に受けることがないため 、これにかかる応力は軽減され、また同時にリンクプレート群との摩擦も大きく 軽減される。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例を添付図面に従って説明する。 図１は本考案に係るチェーン式動力伝動用ベルトの要部平面図、図２は図１の Ａ−Ａ断面図であるが、このチェーン式動力伝動用ベルト１では、２枚の主エン ドプレート３も含む主リンクプレート２の列と２枚の副エンドプレート５からな る副リンクプレート４の列が互いに位置をずらされた状態で配列され、連結ピン ６によって屈曲可能なエンドレスチェーンに形成されている。そして、プーリ片 ７に当接する主エンドプレート３及び副エンドプレート５はそれぞれ補強ピン８ 、８を嵌入している。

【００１０】 この補強ピン８、８は該プーリ片７から受ける側圧を担持し、ベルトの張力を 受けることはないため、軸方向において耐圧縮性に優れる材質を選定すればよい 。また、連結ピン６はベルトの張力のみ担持して、プーリ片からの側圧を受けな いために、これにかかる応力は大きく軽減される。

【００１１】 前記主エンドプレート３および副エンドプレート５は、いずれも本体９と一体 となった突起部１０を有し、この突起部１０の端面１１はプーリ片７と接触する ような傾斜角を有している。勿論、突起部１０は本体９と別のものであって本体 ９に装着できるものでもよい。

【００１２】 副リンクプレート４は、副エンドプレート５のみから形成されているが、ベル ト巾を大きくする場合には副エンドプレート５間に他のプレートを介在してもよ い。

【００１３】 また、本実施例に示すベルトでは、連結ピン６へ潤滑油を付着させるために、 リンクプレート群の貫通穴１２付近を肉厚として、他の領域を肉薄にすることに より、各プレートに間隙１３を設け、この間隙１３へ潤滑油を入れるようになっ ている。これにより、連結ピン６と各プレート間との潤滑性が保持され、連結ピ ン６及びリンクプレート群の摩擦が阻止される。

【００１４】

【考案の効果】

以上のように本考案のチェーン式動力伝動用ベルトでは、リンクプレート群を 連結している連結ピンにベルトの張力を担持させ、そしてプーリ片に接するエン ドプレートを連結している補強ピンにプーリからの側圧を受け持たせることで、 前記連結ピンが受ける力は軽減されて、その摩耗が阻止されることになり、ベル トの寿命が伸びる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るチェーン式動力伝動用ベルトの要
部平面図。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図。

【符号の説明】

１ チェーン式動力伝動用ベルト ２ 主リンクプレート ３ 主エンドプレート ４ 副リンクプレート ５ 副エンドプレート ６ 連結ピン ７ プーリ片 ８ 補強ピン

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 相対向した一対のプーリ片から形成され
   るＶ状溝に巻掛けられたプーリ表面との摩擦力により動
   力を伝達するチェーン式動力伝動用ベルトにおいて、リ
   ンクプーリ群を連結ピンによって長手方向に屈曲自在に
   連結し、プーリ片に接する一対のエンドプレートを両端
   部に相対向するに配し、該エンドプレートを補強ピンに
   より係止したことを特徴とするチェーン式動力伝動用ベ
   ルト。