JPH04123802U - 自動車用ホイール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶接性の悪い高強度材料を使用し、従来のホ
イールでは得られなかった軽量性を有するホイールを得
ることである。 【構成】 ディスクとリムの互いに螺合するそれぞれの
周面に、ネジを形成し、少なくとも一方のネジ部表面に
接着剤をつけ、上記ディスクとリムを一体的に螺合固着
して自動車用ホイールを構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車用ホイールの改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

自動車用ホイールの中でディスクとリムがそれぞれ異なった工程で製造され、 後工程で接合される、いわゆる２ピースホイールの場合、その接合方法は溶接が 一般的で、一部にボルト、ナットやリベット等が使用されている。また、特公昭 ４８−５１２１や特公昭４８−９８８２に見られるように、ディスク外周部の周 方向に全周にわたる溝を加工し、上記溝に接着剤を塗布し、ディスクをリムに嵌 入した後、リムをディスクの溝に沿ってかしめる方法が提案されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

最近、地球環境問題とも絡んで自動車の軽量化が要求されるようになってきた が、自動車用ホイールにおいても高強度材料を使うことによりホイール重量を減 少させる研究が進んでいる。

【０００４】 しかし、ホイール用材料である鋼やアルミニウムでは、高強度の材料ほど溶接 性が悪くなる傾向があり、とくにアルミニウムの高強度材料を用いてホイールを 製作しようとした場合、従来のディスクとリムの接合方法である溶接が使えない という問題点があった。このため、溶接にかえてボルト、ナットやリベットによ る接合方法が使用されているが、この方法ではボルト、ナットやリベットの分の 重量が増え、ホイール素材の重量が削減できてもホイール全体としての重量は減 少しないといった問題点があった。

【０００５】 また、前記した公報に示される接着剤による接合方法では、ホイールの回転方 向にかかる力が接着剤の接着力のみで保持されており、ディスクとリムの接合部 の面積から考えて、有効な接合力を得るのは困難であった。したがって、上記従 来の技術では、現在のホイールをさらに軽量化しようとした場合に解決できない 課題が残ることは明らかである。

【０００６】 本考案の目的は、溶接性の悪い鋼、アルミニウム、チタン等の高強度材料を使 用し、従来のホイールでは得られなかった軽量性を有するホイールを得ることで ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

自動車用ホイールを構成するディスクとリムが嵌合する部分、すなわち、ディ スク外周面およびリムのドロップ部内周面またはビードシート裏部内周面にそれ ぞれ互いに螺合されるネジを形成する。なお、ネジの加工はともに切削加工によ り行なうものである。

【０００８】 ディスク外周面には、リムと接触する全面にネジを加工する。また、リムのデ ィスクが取付けられる部分には、ディスク先端のねじ込まれる側からネジを加工 し、予め決められた位置までを有効ネジ部として加工する。ディスクをリムにね じ込む場合、所定位置でディスクの回転が止められ、ネジの締め付け圧力が発生 する様にする。

【０００９】 また、ディスクとリムの接合は、まずディスク外周部のネジ部に接着剤を塗布 、噴霧等適宜手段によりつける。次いで、ディスクをリムにねじ込み、その後接 着剤を硬化させる。

【００１０】

【作用】

本考案によるホイールは上記構成によるため、ホイールの回転によりかかる力 はディスクとリムのネジ部の締め付け圧力と接着剤の接着力で保持される。 また、ホイールの軸方向にかかる力はディスクとリムのネジ山のせん断応力と 接着剤の接着力により保持される。しかも、ディスクとリムの接合部はネジ加工 されているため、接触面積が従来のものより大きく増加し、接着力は充分に得ら れ、強固に固着される。

【００１１】 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

【００１２】

【実施例】

図１に示すように、自動車用ホイール１はタイヤを装着するリム２と、ホイー ルを自動車の車軸に取付けるためのボルト孔５を有するディスク３とから構成さ れている。

【００１３】 リム２は図２に示すように、ディスク３が取付けられるドロップ部４の内周面 ６に、等ピッチのネジ７を有している。

【００１４】 上記ネジ７は図３に示すように、ディスク３の先端部８がねじ込まれるリム２ のディスク導入部９から加工され、予め定められた位置である止端部10までを有 効ネジ部として形成されている。

【００１５】 ディスク３は図４に示すように、ディスク外周面11に、上記リム２に形成した ネジ７と同じピッチのネジ12を有している。なお、上記ネジ12はディスク外周面 11の全幅にわたって形成されるのが好ましいものである。

【００１６】 上記のように構成されたディスク３をリム２にねじ込んだ場合、リム２の止端 部10でディスク３の回転が止められ、ネジの締め付け圧力が発生する。 また、止端部10の位置を変更することにより、リム２の幅方向の中心とディス ク３の車軸への取付け面との偏心量、いわゆるオフセットを変更することができ る。

【００１７】 上記のように形成されたリム２またはディスク３の少なくとも一方のネジ部表 面に、図３に示すように接着剤13を塗布し、リム２とディスク３を螺合して自動 車用ホイール１を構成する。

【００１８】 次に、リム２とディスク３との接合方法について説明する。

【００１９】 ディスク３をリム２に螺合するのに先だって、ディスク３の外周部７に接着剤 13を塗布する。また、リム２は加熱装置により約１８０℃に加熱する。リム２は 、加熱されることにより、ドロップ部４の内周が熱膨張で拡大され、ディスク３ を回転させながら嵌入する場合に、容易に螺合することができる。嵌入後リム２ が冷却されるにつれて、ドロップ部４の内周も収縮し、リム２とディスク３のネ ジ部表面の接着剤が隅々まで行きわたり、安定した接着強度が得られる。 なお、上記リム２の加熱は必らずしも必要ではなく、常温で螺合することも可 能である。

【００２０】 上記実施例において接着剤は、住友スリーエム製のＪＡ７４６６で１液性加熱 硬化タイプを使用したが、これに限られるものではなく、構造用接着剤で、接着 剤の常温における引張せん断強度が２０ＭＰａ以上であれば使用できる。

【００２１】 接着剤により接合された接合部の接着強度は、接着面積に比例するが、本考案 によるホイール１のリム２とディスク３の接着強度は、ホイール１の軸方向の破 断強度では４０トンを記録した。これは、ネジを有しない円筒状の嵌合形状の従 来の接着ホイールの約1.6 倍の強度であり、ホイールとして充分な強度を有する ものである。また、回転方向の強度については、本考案によるホイールはネジの 締め付け圧力と接着剤の接着力により充分な強度を有しており、ＪＩＳＤ４１０ ３に規定されている半径方向負荷耐久試験でも合格していることから、従来の接 着ホイールに比べて充分な強度向上が得られている。

【００２２】 なお、リム２の内周面およびディスク３の外周面にそれぞれホイールの軸方向 の溝を形成し、上記ディスクとリムを螺合することにより前記溝と溝とで構成さ れた軸方向の孔に回り止めのためのピンを嵌合することもできる。

【００２３】

【考案の効果】

本考案の自動車用ホイールは、上記構成であるため、とくに溶接が困難な高強 度材料をホイール用材料として使用することができ、さらには、リムとディスク が異なった材料で構成されるホイールにも適用することができる。したがって、 必要特性の異なるリムとディスクにそれぞれ最適な材料が使用できることで、従 来のホイールでは達成することのできなかった軽量でかつ強度の優れたホイール が得られるという優れた実用的効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の自動車用ホイールの一実施例を示す正
面図である。

【図２】本考案の自動車用ホイールに用いられるリムの
一実施例を示す斜視図である。

【図３】本考案の自動車用ホイールにおけるリムとディ
スクとの係合部を示す要部拡大断面図である。

【図４】本考案の自動車用ホイールに用いられるディス
クの一実施例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 自動車用ホイール ２ リム ３ ディスク ４ ドロップ部 ５ ボルト孔 ６ 内周面 ７、12 ネジ ８ 先端部 ９ ディスク導入部 10 止端部 11 ディスク外周面 13 接着剤

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ホイールを自動車の車軸に取付けるため
   のボルト孔を有するディスクを、タイヤを装着する部分
   であるリムに固着してなる自動車用ホイールであって、
   ディスクとリムの互いに螺合するそれぞれの周面にネジ
   を加工し、上記ディスクまたはリムの少なくとも一方の
   ネジ部表面に接着剤をつけ、リムにディスクを螺合して
   ディスクとリムとを一体的に形成してなることを特徴と
   する自動車用ホイール。