JPH04113300U

JPH04113300U - 複ブレード式プロペラ

Info

Publication number: JPH04113300U
Application number: JP1991091565U
Authority: JP
Inventors: ルネ、ルイ、ムイユ; マルク、ドウクレルク; ジヤン‐ピエール、ジヤラギエ; ベルナール、ジヨージエ
Original assignee: アエロスパテイアル・ソシエテ・ナシヨナル・アンダストリエル
Priority date: 1983-03-18
Filing date: 1991-10-11
Publication date: 1992-10-02
Anticipated expiration: 1999-03-17
Also published as: JP2520442Y2; CA1278287C; EP0121462A1; IN163642B; DE3467138D1; CA1264313A; EP0212724B1; US4639284A; FR2542695B1; US4626172A; JPH066197U; JPS59199397A; JPS60236897A; EP0212724A2; US4626173A; JP2525083Y2; FR2542695A1; EP0212724A3; EP0121462B1; BR8401221A

Abstract

(57)【要約】（修正有）【目的】複ブレード式プロペラにおいて、簡単な構成
で製造の容易なブレードを提供する。【構成】含浸性のある重合性合成樹脂によって機械強
度を増したファイバ層を備えた主部分３７と、主部分中
に配置する合成材料よりなる充填体３８と、ブレード軸
にほぼ平行な長手方向軸を有するファイバ層からなり、
その大部分は主部分に固定され、主部分から突出する端
部は可撓的な固定部分を形成し、それによつてハブに固
定されるブーム３９と、主部分と一体成形しブレード前
縁に設ける金属製キヤップとを備えたプロペラ用ブレー
ドにおいて、その全長にわたって凹部を有し、凹部は充
填体の外面部分に向って曲がる充填体の面内で開口し、
主部分中に固定されるブームは充填体の凹部および主部
分の外面部分によって画定され部分に配置し、主部分の
外面部分に対して外面方向に曲がる面によって直接固定
する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】この考案は複ブレード式プロペラに係り、特にオートジャイロやヘリコプタの後部ロータのように流線形とした可変ピッチ型のプロペラのブレードに関する。

【０００２】

【従来の技術および考案が解決しようとする課題】

この種のブレードはフランス特許出願第７８−２０，２５８号に記載されており、また米国特許第３，６４７，３１７号および第４，３０６，８３７号にも記載されている。

【０００３】米国特許第３，６４７，３１７号には、冷却サイクルおよび一般的熱交換のためのベンチレータのプロペラについて記述しており、グラスファイバ製のブレードを有するプロペラが示されている。

【０００４】このブレードは基本的には高密度のポリウレタンを充填したグラスファイバ組織を整形した主部分からなる。ポリウレタンの充填材中には断面Ｈ形状の鋼性ブームを配置し、ブームがこの充填材と化学的に結合するようにする。

【０００５】この種のブレードはグラスファイバの表皮が極めて腐食に強くまた過酷な条件下にあっても剥離し難いため望ましい。また、高密度のポリウレタン層がブレード全域にわたってそのプロフィールを強化し、またブレードに加わるねじれに対する安定性や衝撃力に対する対抗力が増大するため表皮に加わる力が有効にビームに伝達される。

【０００６】しかし、この種のブレードはブームの性質および形状に起因する多大な欠点があり、また製造費用もかかり作り難いという欠点がある。このため、もっと薄く軽いブレードでなければ実用にならない。

【０００７】また、米国特許第４，３０６，８３７号には、共通のブームで互いに接続され径方向に対向する２つのブレードを有するヘリコプタの後部ロータが示されている。

【０００８】これによれば、各ブレードは、予め用意したハニカム状の充填体を囲繞する表皮と、細長いブームと、機械強度の高い方向性のある材料例えばケブラ（Kevlar ）またはグラファイトのガラスからなるファイバプレートとを備えている。

【０００９】このファイバプレートは２つのブレードに共通であり、ブレード全幅にわたって拡がっている。また、このプレートは比較的厚みのある中央部分を備え、ハブを形成している。このハブにはもっと細く可撓性のある２つの部分が隣接しており、この２つの部分は先端が２つの小ブームに分割されている。一方の小ブームは外面側にあり、他方の小ブームは内面側にある。これらの小ブームはブレードの対応する表皮部分の下で、表皮と充填体との間に伸長している。

【００１０】この場合も、ブレードが対向する２つのブームに共通でありまたＨ形状であるため、装置がむずかしく費用がかかるという欠点がある。

【００１１】したがって、この考案によれば簡単な構成で製造の容易なブレードを提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

この目的を達成するため、この考案によれば、 (1) 含浸性のある重合性合成樹脂によって機械強度を増した少くとも１つのファイバ層を備え空気力学的プロフィールを有する主部分と、 (2) この主部分中に配置する合成材料よりなる充填体と、 (3) ブレード軸にほぼ平行な長手方向軸を有し、重合性合成樹脂によって機械強度を増した単一のファイバ層からなり、このファイバ層の大部分は前記主部分に固定され、また前記主部分から突出する端部は可撓的な固定部分を形成し、この固定部分によって前記ハブに固定されるブームと、 (4) 前記主部分と一体成形しブレード前縁に設ける金属製キャップとを備えたプロペラ用ブレードにおいて、前記充填体はこの充填体の全長にわたって凹部を有し、この凹部は充填体の外面部分に向って曲がる充填体の面内で開口し、また凹部断面は主部分中に固定されるブームの断面にほぼ等しく、主部分中に固定されるブーム部分は充填体の凹部および主部分の外面部分によって画定される部分に配置し、主部分の外面部分に対して外面方向に曲がる面によって直接固定するようにする。

【００１３】

【作用】

主部分、充填体およびブームからなるこの構造の特徴は、主部分中に埋設するブームの全長にわたってブーム面を直接に外面組織と結合させる点にある。こうして、ブームと高品質の表皮との間の各要素を広い面積にわたって接着剤で接合することができる。また、このためブレードがたわんだ際やトルクを受けた際の遠心力も良好に保つことができる。

【００１４】ブレードのたわみに対する剛性を良好なものとするため、主部分は外側から内側に向って少くとも１つのグラスファイバのベッドあるいはケブラガラスのベッドを積層することによって形成する。この場合、望ましくは２つのベッドを交叉させ又はブレードの長手方向軸に対して４５°傾けて積層し、また少くとも１つのカーボンファイバの層を用いてもよく更にこの場合同様の方法で２つの層を交叉させ又は傾けてもよい。

【００１５】また、ブレードの後縁で主部分を形成する内面および外面の接合部分はカーボンファイバ製の補強部材によって強化されている。この接合は主部分の内側面上に外面を合わせて接着することにより行う。

【００１６】ハブに対するブレードの結合を簡単にするため、取付金具を有するブームの固定部分は、主部分中に固定したブームに対向するブレード端部と係合するボビンを囲繞するようにする。

【００１７】特に簡単な構成によれば、ブームを形成する長手ストリップ材は半分に折たたんだ積層体からなる。この場合、折たたんだ部分の隣合う内側部分はブームの固定部分となり、折たたんだ部分から遠い外側部分は互いに結合されており、主部分に挿入するブーム部分を形成している。

【００１８】ブームの固定部分が貫通するブレードの脚部は主部分を構成する一つまたは複数の層の伸長部分からなり、ファイバ層の積層体を蔽っている。このブレード脚部は例えば外側端部によってブレードの変位部分に結合した中空円筒状部分からなる。円筒状部分の内側端部は円錐台形状であり、ブレードはその脚部によってピッチ制御装置に容易に結合することができるようになる。なお、ピッチ制御装置はブレード脚部を蔽っている。

【００１９】

【実施例】

以下、添付図面に従ってこの考案の実施例を説明する。

【００２０】図１はこの考案の実施例に係る複ブレード式ロータ１を示している。

【００２１】このロータ１は自転を防止するための後部ロータとして用い、主トランスミッションボックスによって少くとも一つのロータに伝達される駆動隅力を補償する。ロータ１は垂直尾翼または垂直な窓部２に搭載され回転する。

【００２２】窓部２はわずかに円錐台形状をなしており、ヘリコプタの胴体後部または尾部３のクランプ板４によって形成されている。この窓部２内で、ロータ１は補助トランスミッションボックス５によって支持され駆動される。トランスミッションボックス５は一般に円筒形状の一組のカバーによって蔽われており、半径方向に伸長する複数のフレーム６を備えた支持手段によって窓部２の中心に保持されている。

【００２３】補助トランスミッションボックス５は、例えばフランス特許第１，５９３，００８号に詳細に記載されている。概要を述べると、このトランスミッションボックス５は円錐状のギア装置を含んでおり、このギア装置の第１のピニオンはトランスミッションロッド７を駆動し、主トランスミッションボックスの運動を補助トランスミッションボックス５に伝える。また、トランスミッションボックス５は回転ピン９を備えており、このピン９は、後述する制御シャフトを窓部２の軸に平行に配置するために制御ロッド１０によって駆動される。回転ピン９および制御ロッド１０は、前述の特許の図１に示したと同様に、簡単のために概略的に示してあるが、ロッド１０は場合によっては中空アーム８を通すようにすることもできる。

【００２４】図２および図３は図１のロータ１をさらに詳細に示すものである。

【００２５】ここで、ロータ１は窓部２と同軸の中空シャフト１１を備えており、補助トランスミッションボックス５に設けた軸受によって窓部２の軸Ａの周りに回動できるように搭載されている。シャフト１１は補助トランスミッションボックス５のカバー１３を貫通するシャフトの一部に設けた軸方向の縦溝１２によって回転可能となっている。この縦溝１２は、補助トランスミッションボックス５に設けた駆動用円錐ピニオン１４に対応する溝と噛合う。ピニオン１４はローラ軸受１５によってカバー１３内に回動自在に支持されている。また、溝１２によってシャフト１１は、駆動スリーブ１７の軸方向内側の端部に設け、したがって補助トランスミッションボックス５の方向に回転する溝と噛合う。

【００２６】スリーブ１７は前述の軸方向内側の端部でジョイント１６を支えており、ピニオン１４を押圧する。シャフト１１と協働するこのスリーブ１７は内部が円筒状であり軸方向に位置のずれた２つの支え面１８，１９によってシャフト１１と同軸となっている。また、シャフト１１の軸方向外側のねじを切った端部２０がスリーブ１７の軸方向外側の円筒状支え面１９から突出するようになっている。

【００２７】軸方向内側の支え面１８の位置に、スリーブ１７はその外周に環状のフランジ部分２１を有し、このフランジ部分２１によってスリーブ１７は後述するハブに固定される。スリーブ１７はピニオン１４およびシャフト１１を介して与えられるトルクをこのハブに伝達する。また、スリーブ１７は以下に説明するブレードの回転によって生ずる推進力を形成する。

【００２８】スリーブ１７は軸方向の所定の場所に位置し、ジョイント１６に所定の軸方向力を与えている。この力はアーム１１の端部２０のねじに螺合させたブッシュ２２によって与えられる。すなわち、ブッシュ２２上には軸方向に規則的に４つの小孔が設けられており、この小孔にストッパ用ビス２３が螺合されている。このビス２３の一端には支持ヘッド２４を形成してあり、ピン２５の底部の支持面と当接する。ピン２５はスリーブの外側端部の面内に形成されている。

【００２９】この４つのビス２３の頭部に所定の締付トルクを与え、ブッシュ２２およびスリーブ１７を支持する。したがって、４つのビス２３を同時に調整することにより、スリーブ１７、ジョイント１６および駆動用円錐ピニオン１４の全体に軸方向の遊びをなくすことのできる軸方向の強制力を付与することができる。また、この際、軸方向の遊びをなくすことができるとともに、各要素全体の振動や破損を避けることができる。

【００３０】ブッシュ２２は円形のケーキ型のような形状をしている。すなわち、ハブは金属板の打出しまたは合成材料の注入によって成形したハブプレート２６を備えている。このハブプレート２６は、半径方向外側には平坦部分２７を有し、これに連なり中心部分に向う円錐台状の中間部分２８がある。また、中心部分には平坦なリング状部分２９があり、スリーブ１７の外側直径よりもわずかに大きい中央開口部分をこのリング状部分２９が囲繞している。

【００３１】このリング状部分２９はフランジ２１の外側に位置し、したがってハブプレート２６はスリーブ１７のこの部分を軸方向に摺動可能である。この摺動は、スリーブ１７のフランジ２１にリング状部分が当接して停止する。

【００３２】ハブプレート２６は、また互いに同軸状の２つの円筒状の隔壁３０，３１を備えている。隔壁３０はハブプレート２６の半径方向外側の平坦部分２７の端部に連設されている。隔壁３０の高さは隔壁３１の高さより大きい。隔壁３１はハブプレート２６の円錐台状の中間部分２８に連設してある。

【００３３】この隔壁３０，３１内にはハブプレート２６の半径方向の軸と同軸に形成した２つの開口３２，３３が設けてあり、ロータの各ブレードを固定するようになっている。外側の隔壁３０の開口３２は内側の隔壁３１の開口３３より径が大きい。

【００３４】開口３２，３３の壁面にはリング状孔部が設けてあり、この孔部内にそれぞれ潤滑面を有する２つのブッシュ３４，３５が挿入配置されている。ブッシュ３４の内径はブッシュ３５の内径より大きい。

【００３５】ロータはまた１１枚のブレード３６を有し、例えば各ブレードの長さは４０cm 、幅は７．７cm、ねじれ角はほぼ７°である。このブレード３６の構造は、図２および図３に加えて図４および図５に示した。

【００３６】各ブレード３６は、空気力学的プロフィールを有する主部分３７と、予め形成した充填体３８と、後縁部の補強部材７２と、ブーム３９と、耐酸化性のあるチタン製または鋼鉄製の前縁部キャップ４０とを備えている。

【００３７】主部分３７は、その内側から外側まで、グラスファイバ組織あるいはケブラ（ Kevlar、登録商標）組織を積層した２層の積層体からなる。これらの層は各繊維が直角に交叉し、またブレードの長手方向軸に対して４５°この繊維が傾斜するように配置し、また同様に直交しかつ４５°傾いて配置したカーボンファイバ組織の２層を配置し、これらの４層を熱硬化性合成樹脂で中空体を作るようにして固める。こうすることにより、ブレード全体の歪に対する剛性を高めることができ、また充填体３８の剪断応力を高めることができる。

【００３８】この充填体３８は発泡性またはセル状の合成材料であり、その外形は合成材料を封入した主部分３７の内容積と一致する。また、充填体３８はその全長にわたって伸長するほぼ断面矩形状の凹部４１を有する。凹部４１は充填体の面内で開口しており、ブレード３６の外面に沿って曲っている。

【００３９】ブレード３６の後縁側となる充填体３８の後端部３８ａを蔽うようにＶ字状の補強部材７２が設けられている。この部材７２は合成樹脂を含浸させたカーボンファイバ組織からなる。この補強部材７２の上にはブレードの主部分３７をなす外面材および充填体３８と接する内面材とが接着されている。補強部材７２は主部分３７をねじれモーメントおよび引張りモーメントから保護するためのものである。

【００４０】ブーム３９は熱硬化性の合成樹脂で固めたグラスファイバ積層体からなるストリップ材である。ブレード３６の主要部分をなすこのブーム３９の2/3 の部分の断面は、充填体３８の凹部４１および主部分３７の外面部分の内面材によって画定される部分の断面と対応する。

【００４１】このブーム３９は残りの1/3 の部分によってブレード３６に作用する遠心力を吸収する。この部分は以下に説明するようにブレード脚部を通ってブレードの作用部分から突出するものであり、端部リング状の固定部分４２をなしている（図３）。この固定部分４２はリング状部分の端部に向って厚みを増している（図２）。また、この端部リング状部分はブレード３６の固定手段である金属性ボビン４３を囲繞しており、リング状部分はボビン４３の周囲の凹部に嵌合している。

【００４２】ブレード３６を構成する主部分３７、充填体３８およびブーム３９からなる集合体の特徴は、充填体３８の凹部４１の各面と対向しないブーム３９の面が、ブレード３６の作用部分となるブーム３９の全長すなわちブーム３９の長さのほぼ 2/3 にわたって、主部分３７の外面部分の内側層と直接に接していることである。

【００４３】このような構造上の特徴を有することにより、ブーム３９と主部分３７とをその広い面積にわたって接着剤で互いにしっかりと結合することができる。また、このことにより、ブレードに作用する遠心力、たわみモーメントおよびねじれモーメントを良好にすることができ、また後述する方法によってブレード３６の製造が容易となるという２つの利点がある。

【００４４】各ブレード３６は脚部４４を有し、この脚部４４に充分な厚みを持たせるため、主部分３７のファイバ層とファイバの補強層４５とを備えている。この脚部４４は中空円筒状部分４６を備えている。この円筒状部分４６の端部には円錐状部分が連設されている。この円錐状部分は過渡部分４７を有し、その端部はブレード３６の作用部分に連なっている。

【００４５】このブレード脚部４４は中空円筒状部分４６をもってアルミ合金製のスリーブ４８内に搭載される。

【００４６】スリーブ４８は同軸状の２つの管状部分４９，５０を備えている。この管状部分４９，５０の断面は円形であり、双方の半径は異なる。２つの管状部分４９，５０は円錐台状部分で互いに接合されている。

【００４７】ブレード３６の脚部４４の中空円筒状部分４６はこれより径の大きい管状部分４９およびスリーブ４８の円錐台状部分によって蔽われており、双方はそれぞれ接着剤によって固定する。このようなスリーブ４８の形状は遠心力の作用するブレード３６の脚部４４をしっかり支えることができる。

【００４８】スリーブ４８の小径の部分５０はリング状の隆起部分５２を有する。この隆起部分５２の外径はハブプレート２６の内側の隔壁３１の開口３３に配置した潤滑面を有するブッシュ３５の内径に対応する。同様に、スリーブ４８の大径の部分４９にはリング状の隆起部分５１を有する。この隆起部分５１の外径はハブプレート２６の外側の隔壁３０の開口３２に配置した潤滑面を有するブッシュ３４の内径に対応する。すなわち、この部分５１は半径方向外側の端部、すなわちスリーブ４８の隆起部分５１に対して最も広がった位置に形成してある。

【００４９】また、スリーブ４８はその円錐台状部分、したがって隆起部分５１，５２の間に横方向の突起部分５３を備えている。突起部分５３はスリーブ４８の軸、したがってロータの回転軸Ａにほぼ垂直な方向に伸長している。

【００５０】スリーブ４８および突起部分５３の大きさは、ブレード３６およびスリーブ４８を傾けながら固定部分４２のリング状端部と金属製ボビン４３とを挿入し、ハブプレート２６の外側の隔壁３０の開口３２内にスリーブ４８の部分５０を導入できるようなものとなっている。こうすることにより、突起部分５３を開口３２内に通過させることができ、また開口３３内にスリーブ４８の部分５０を係合させることができ、隆起部分５１，５２がそれぞれ開口３２，３３のブッシュ３４，３５で支持されるように、管状部分４９，５０を位置決めすることができる。

【００５１】ブレード３６をこのように位置決めすることにより、突起部分５３はロータのブレード数に等しい数の受部５４の１つに対向する。この突起部分５３の端部はリング状の制御プレート５５に接続される。この制御プレート５５の内側縁部は、リング状に複数配列したビス５６によって、円錐台形状のカバー５７の半径方向外側縁部にしっかりと接続されている。カバー５７の円錐台状の中心部分は集中ピッチ制御アーム５９の円錐状スピンドル５８上に搭載されている。

【００５２】ピッチ制御アーム５９は中空シャフト１１の管状アーム内で軸方向に摺動可能に搭載されている。カバー５７は、スピンドル５８の軸方向端部上に螺合したナット６０によってピッチ制御アーム５９に保持されている。

【００５３】プレート５５の各受部５４はブッシュ６１を配置する小孔を設けてある。このブッシュ６１内にはボルト６３によって軸受６２が支持されている。このボルト６３の端部は突起部分５３の貫通孔を横切っており、ボルト６３のねじを切った位置でナット６４で締められている。

【００５４】各突起部分５３はボルト６３、ナット６４、軸受６２、及び受部５４と組合わされている。ブレード３６のピッチ制御レバーの脚部４４は対応するスリーブ４８に接続されている。このようなピッチ制御レバー、制御プレート５５、カバー５７および集中ピッチ制御アーム５９は、ロータ１のブレード３６の集中ピッチ制御装置をなしている。

【００５５】中空シャフト１１内でピッチ制御アーム５９を軸方向に変位させることにより、スリーブ４８、したがって脚部４４およびブレード３６にトルクを伝える。このトルクは、スリーブ４８を回転させ、ブーム３９の固定部分４２にトルクを加えしたがって長手方向軸の周りに脚部４４およびブレード３６を回転させる。ピッチ制御レバーは互いに最大限に離れた２つの隆起部分５１，５２の間の部分である。

【００５６】このような構成により、ブレード３６を確実に支持することができ、また隆起部分５１，５２によってブッシュ３４，３５に作用する径方向の力を減衰させることができる。

【００５７】スリーブ４８の隆起部分５１，５２は開口３２，３３のブッシュ３４，３５の内側で支持されて、各ブレード３６はハブプレート２６中に配置される。このとき、ブーム３９の端部のリング状固定部分４２の金属製ボビン４３は２つの金属製リング状部材６５，６６の間に挿入される。このリング状部材６５，６６は駆動スリーブ１７の周囲に係合している。この係合は、スリーブ１７のフランジ部分２１、ハブプレート２６のリング状部分２９およびリング状部分６５，６６をボルト６７が貫通することによって行われる。ボルト６７はボビン４３の中央を通りねじを切った部分をナット６８で締付している。こうして、ボビン４３はハブプレート２６、したがって駆動スリーブ１７のフランジ部分２１に固定することができ、ボビン４３の両側のリング状部材６５，６６はボビン４３に加わる遠心力を他のボビンに分散させることができる。

【００５８】キャップ６９はブレード３６の集中ピッチ制御装置を蔽い、またほこりや小石がハブプレート２６内に侵入するのを防ぐためのものである。このキャップ６９の周縁部はハブプレート２６の外側の隔壁３０上に例えばビス等によって固定する。

【００５９】この実施例によれば、ハブプレート２６のリング状部分２９はほとんど機能せず、ブレード３６を回転させるために駆動スリーブ１７のトルクをブレード３６に伝達する機能しか果していない。しかし、ハブプレート２６はたわみ応力の一部を吸収している。これは、スリーブ４８の隆起部分５１，５２を適当に配置したためである。また、リング状部材６５，６６は遠心力を分散させ、駆動スリーブ１７の大きな力が加わるのを防止することができ、ボルト６７に力が加わるのを防止できる。

【００６０】図６乃至図８は図２乃至図５に構造を示したブレード３６の製造方法を示すものである。

【００６１】この製造方法は、以上で説明したようなヘリコプタの後部ロータとして用いる複ブレード式プロペラばかりでなく、ベンチレータや送風装置にも用いることができるものであり、特に空調装置や熱交換器にも用いることができる。

【００６２】この実施例によれば互いに相補的な形状を有する２つの型を用いる。下型７０は横方向および縦方向ともにブレード３６の内側面に対応する内部形状を有する。また、上型７１は同様にブレード３６の外側面に対応する内部形状を有する。

【００６３】まず、グラスファイバ組織を２つの層に切断し、つぎにカーボンファイバ組織を２つの層に切断し、各層が主部分３７の前縁に対応する長手方向軸の一方から他方に向って隣接する２枚のシート３７Ｉ，３７Ｅをそろえるようにする。このシート３７Ｉ，３７Ｅはそれぞれ主部分の内側面および外側面を形成する。これらの層は、例えば熱硬化性樹脂のような重合性合成樹脂で予め含浸しておく。

【００６４】つぎに、これらのグラスファイバ製の２層からなるシート３７Ｉ，３７Ｅを下型７０内に配置する。このとき、シート３７Ｅは前縁側で下型７０の外部に残るようにする。また、同様にして、これらの２つのファイバ層の上にカーボンファイバ組織の２つの層を配置する。したがって、主部分３７を形成する４つの層の各シート３７Ｉ，３７Ｅは、図６に示すように、下型７０内に積層する。この積層体のシート３７Ｉ上に予め形成した発泡性またはセル状の充填体３８を設置する。この充填体３８の凹部４１は上方に向って開口している。

【００６５】この充填体３８を別の鋳型で適当な型に製造することは何ら困難な点はなく、何ら特別の説明を要しない。

【００６６】充填体３８の後部３８ａには、別途Ｖ字状に成形し予め合成樹脂を含浸させたカーボンファイバ組織からなる補強部材７２を配置する。つぎに、充填体３８の凹部４１内に、下型７０内で、ブーム３９を配置する。このブーム３９は端部がリング状となったストリップ材からなる。

【００６７】ヘリコプタのロータブレードの軸を構成するためのこの種のストリップ材の製造は良く知られており、詳述するに及ばない。この種のストリップ材がケブラ・ガラスばかりでなく、グラスファイバでもカーボンファイバでも製造できることを付言すれば充分である。

【００６８】これらの積層体は、例えば熱硬化性樹脂を含浸させて硬化させることができる。この周知方法は細長形状のストリップ材を形成することができ、ヘリコプタのロータブレード軸を製造するために有利な機械的特性を示す。ストリップ材は軸方向の機械強度に優れ、ブレードに加わる遠心力に抗することができる。このストリップ材はブームを構成するが過大な疲労を受けることもなく、また特に軸方向周りのたわみに対して可撓性がある。このため、各ブレード上に比較的小さなトルクを与えることにより各ブレードのピッチを制御することができる。

【００６９】前述したブーム３９はその長さ方向の中心で折返した積層体からなる。この積層体の両端部は各層の各片半分のほぼ2/3 まで伸長している。この両端部はブレードの主部分３７に伸長するためのブーム部分を形成するため、互いに連結されている。一方、各層の中心部分はその長さの一方から他方に向って片半分のほぼ 1/3 に伸長している。この中心部分は、たわみ性および可撓性のある端部リング状の固定部分４２を、２つの等しい半分を折返した後、構成するためのものである。

【００７０】熱硬化性樹脂を含浸させた積層体は、充填材３８の凹部４１内に挿入し、ファイバ層のシート３７Ｅを図７に示すように充填材３８、ブーム３９およびキャップ４０の上に敷設する。このキャップ４０は耐酸化性のチタンまたは鋼製の薄板であり、前縁部に搭載する。

【００７１】つぎに、図８に示すように、下型７０の上に上型７１を下ろし、内容物を熱処理によって重合する。このため、前縁のキャップ４０を硬化した主部分の組織と一体化させることができる。すなわち、内側面の全体にわたって積層体上や、その積層を硬化させたブーム３９の外面部分のシート３７Ｅに内容物を接着することができる。

【００７２】ブレード３６の脚部４４の過渡部分４７および中空内筒状部分４６は、相補的な軸方向に関する中空形状であるため、双方をブレードの脚部に対応する型内で同時に成形することができる。また、端部リング状の固定部材４２を構成する積層部分が通過する中空部分内にチャックを配置する。補強材７２の層を囲繞するチャックはシート３７Ｉを敷設した外皮層の上方の下型７０の中空部分に配置する。このシート３７Ｉも下型内に配置されている。

【００７３】外皮層を構成するシート３７Ｅはチャックと補強材７２の上に敷設する。

【００７４】こうして、ブレード３６の作用部分、ブーム３９の対応する部分、ブレードの脚部４４および固定部分４２が形成される。この固定部分は可撓的な端部リング形状であり、熱処理によって型内で重合化される。

【００７５】２つに折り重ねた積層体の中央部分にリング状部分を容易に配置できるようにするため、下型７０内に積層体が囲繞するような契形状の要素を予め設置しておくことができる。

【００７６】また、中央部分内で前記積層体は長さ方向に沿って、図２に示すように、次第に厚さが増すようにする。同様に、中央部分に向って２つの端部の各々はわずかにしかも次第に幅を狭くする。したがって、ブレード３６の作用部分内に配置したブーム３９は、半径方向外側端部に向って拡がっていく。また、このブーム３９により積層体３８と主部分３７に作用する遠心力によるねじれに対抗することができる。

【００７７】

【考案の効果】

以上のような構成によれば、複ブレード式ロータの各要素の組立て及び取外しが容易となり、また保守を著しく容易にするとともに、保守費用も低減される。

【００７８】特に、破損した一枚のブレード３６の交換を、他の要素を取外すことなく容易に行うことができる。すなわち、ナット６４を外し対応するボルト６３を突起部分５３から引抜き、またナット６８を外し対応するボルト６７をボビン４３から引抜くことにより、ブレード３６を取外すことができる。

【００７９】したがって、全てのブレード３６の突起部分５３を外した後にアーム５９のカバー５７およびプレート５５を取外さずに、ナット６８を外すことができるようにカバー５７に開口を設けておくのがよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】複ブレード式プロペラの概要を示す側面図。

【図２】図１の主要部を断面で示す側面図。

【図３】図１の主要部を断面で示す平面図。

【図４】図１のブレートの一部を拡大して示す断面図。

【図５】図４のブレートの一部を拡大して示す断面図。

【図６】ブレードの製造工程を示す説明図。

【図７】ブレードの製造工程を示す説明図。

【図８】ブレードの製造工程を示す説明図。

【符号の説明】

１ロータ６ブレード１０制御ロッド１１中空シャフト１４駆動円錐ピニオン２６ハブプレート３０隔壁３１隔壁３２開口３３開口３６ブレード３７主部分３８充填材３９ブーム４５補強層４６中空円筒状部分４７過渡部分５５制御プレート５９集中ピッチ制御アーム６５金属製リング状部材６６金属製リング状部材６９キャップ７２補強材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｂ２９Ｋ 105:10 4Ｆ (72)考案者マルク、ドウクレルクフランス国ブシユ‐デユ‐ローヌ、ペリサーヌ、ビユー、シユマン、ド、ラムベ（番地なし) (72)考案者ジヤン‐ピエール、ジヤラギエフランス国ブシユ‐デユ‐ローヌ、ビトローユ、リユ、デユ、ソレイユ（番地なし) (72)考案者ベルナール、ジヨージエフランス国ブシユ‐デユ‐ローヌ、マルセーユ、クロ、デ、ゾルフイーユ（番地なし)

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】中心軸周りに回転する中空シャフトと、前
記中心軸周りに前記中空シャフトを回転させるためのハ
ブプレートと、複数のブレードとを備えた複ブレード式
プロペラにおいて、前記各ブレードは重合性合成樹脂に
よって機械強度を増したファイバ組織の少くとも１つの
層からなる空気力学的プロフィールを有し、また前記層
の内側端部を脚部とした主部分と、この主部分の内部に
配置され前記主部分と同じプロフィールを有し、先端部
から後端部に弧状に延びて配置され、全長に亘り凹部を
有するセル状または発泡性の合成材料からなる充填体
と、ブレード軸と平行な長手方向軸を有し、重合性合成
樹脂を積層し機械強度を増した単一のファイバ層を備
え、このファイバ層の大部分を前記充填体の凹部に固定
し、ブレード脚部を横切る前記充填体から突出させ前記
ファイバ層の端部は可撓的な固定部分を形成し、この固
定部分によって前記ハブプレートに取付けるようにした
ブームと、前記各ブレードは前記ブームの固定部分によ
って個々に前記ハブプレートに結合され、また前記固定
部分は内側端部に前記ハブプレート上に固定した単一の
ボビンを囲繞するリング状端部と、前記ブレード脚部に
接続され前記主部分にトルクを伝えるべく前記ブームの
長手方向軸上のほぼ中心に位置するとともに前記各ブレ
ードのピッチを集中的に制御する力を加えられ、ブレー
ドの長手方向軸の周りを回動するように前記ハブプレー
ト中に搭載するようにしたピッチ制御装置とを設けるよ
うにしたことを特徴とする複ブレード式プロペラ。
【請求項２】前記ボビンはハブプレートの平坦なリング
状部分に係合させるため端部にねじを切ったロッドがボ
ビンの軸方向に貫通しており、また中空シャフトと同軸
にハブプレートを配置するためハブプレートに設けた中
央の開口部分をこのボビンが囲繞するようになっている
ことを特徴とする請求項１に記載の複ブレード式プロペ
ラ。
【請求項３】前記ボビンは前記中空シャフトの周囲の２
枚の剛性のあるリング状部材に沿って配置し、ボビンに
作用する遠心力を分散させるためにボビンをハブプレー
トに結合するボルトを通すための貫通孔を前記ボビンに
設けたことを特徴とする請求項１または２に記載の複ブ
レード式プロペラ。
【請求項４】前記ハブプレートには半径方向に互いに離
れた２つの同軸状の円筒状の隔壁を設け、各円筒状の隔
壁は各ブレードの長手方向軸に位置決めした互いに同軸
状の開口をそれぞれ有し、この開口内にそれぞれ設けた
潤滑面を有するブッシュを介して回動自在にピッチ制御
装置を搭載するようにしたことを特徴とする請求項１乃
至３のいずれかの請求項に記載の複ブレード式プロペ
ラ。
【請求項５】前記ハブプレートの内側隔壁に設けた開口
の内径およびこの開口に取付けたブッシュの内径はそれ
ぞれハブプレートの外側隔壁に設けた開口の内径および
この開口に取付けたブッシュの内径よりも小さく、前記
ピッチ制御装置はブレードの長手方向軸に沿って一定間
隔をもって形成した２つのリング状の隆起部分を備え、
外側の隆起部分の外径は外側ブッシュの内径と一致し、
内側の隆起部分の外径は内側ブッシュの内径と一致し、
前記ピッチ制御装置は前記外側および内側ブッシュの間
に支持されるようにすることを特徴とする請求項４に記
載の複ブレード式プロペラ。