JPH04105908U - ステムシールロア付きバルブ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、大型エンジンやディーゼルエンジ
ン等に用いて好適なステムシールロア付きバルブ装置に
関し、バルブステムとバルブガイドとの間のシール性を
向上させて、エンジンの性能を十分に向上させうるよう
にすることを目的とする。 【構成】 エンジンにおける燃焼室２への開口部の開閉
を行なうべく装備されたバルブ１と、バルブ１に固着さ
れたバルブステム４と、シリンダヘッド５に装備され一
端を上記開口部の上流側部分に至るように延在しバルブ
ステム４を嵌挿されたバルブガイド７と、バルブガイド
７の外端においてバルブステム４との間に介装されたバ
ルブステムシール８とをそなえ、バルブガイド７の上記
開口部上流側部分へ至る部分に上記開口部上流側部分の
シールを行なうステムシールロア９を装備するように構
成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、大型エンジンやディーゼルエンジン等に用いて好適なステムシール ロア付きバルブ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、エンジンにおいて、吸排気用のバルブ装置は、図３に示すように装備さ れており、燃焼室２を開閉すべく、バルブ１が吸排気路３の開口端に配設されて いる。なお、ここでいう吸排気路３とは、吸気路または排気路という意味であり 、以下、吸排気路３というときは、同じ意味で使用する。また、バルブ１を先端 に固着されたバルブステム４が設けられている。

【０００３】 一方、シリンダヘッド５において外部から吸排気路３に連通する貫通孔６が設 けられており、この貫通孔６には円筒状のバルブガイド７が嵌装されている。そ して、このバルブガイド７に、バルブステム４が嵌挿されており、バルブステム ４は吸排気路３内を延在してバルブ１に達している。

【０００４】 また、バルブガイド７の外端には、バルブステムシール８が取り付けられてお り、バルブステム４のバルブガイド７に対する摺動を許容しながら、吸排気路３ 内の気体の、バルブガイド７内周とバルブステム４外周との間隙を通じての漏洩 を防止している。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような従来のバルブ装置による場合、バルブステム４の往 復動を円滑に行なわせるため、バルブステム４とバルブガイド６との間に適量の 潤滑油を供給しなければならない。このため、バルブステムシール８は、潤滑油 の供給を許容しながら良好なシール性を確保する必要がある。

【０００６】 ところが、バルブステムシール８とバルブステム４との間隙は、潤滑油供給の 面から決定される所要量以下にすることができない。

【０００７】 したがって、吸排気路３における混合気や空気の圧力が所要以上（ディーゼル エンジンで過給圧１．８〜２．０ａｔｇ程度）に高まると、バルブステム４とバ ルブガイド６との間を通じての漏洩が発生し、シール機能を達成することができ ないという不具合がある。このため、吸排気路３に供給される流体の圧力には自 ずから上限があり、エンジン性能向上の面で大きな制限となる。

【０００８】 そこで、バルブステムシール８のシール性を向上させる構造をとりたいが、従 来、シャフトやステムの回転に対するシールを目的としたシール構造は多く提供 されているものの、シャフトやステムの往復動に対するシールを目的としたシー ル構造はあまり提供されておらず、そのシール性能も回転を対象とするものに比 べ著しく制限が大きい。

【０００９】 本考案は、このような課題に鑑み創案されたもので、バルブステムとバルブガ イドとの間のシール性を向上させて、エンジンの性能を十分に向上させうるよう にした、ステムシールロア付きバルブ装置を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

このため、本考案のステムシールロア付きバルブ装置は、エンジンにおける燃 焼室への開口部の開閉を行なうべく装備されたバルブと、同バルブに固着された バルブステムと、シリンダヘッドに装備され一端を上記開口部の上流側部分に至 るように延在し上記バルブステムを嵌挿されたバルブガイドと、同バルブガイド の外端において上記バルブステムとの間に介装されたバルブステムシールとをそ なえ、上記バルブガイドの上記開口部上流側部分へ至る部分に上記開口部上流側 部分のシールを行なうステムシールロアが装備されたことを特徴としている（請 求項１）。

【００１１】 また、本考案のステムシールロア付きバルブ装置は、上記ステムシールロアが 、上記バルブステムを所要の締代で摺動自在に貫通させるテフロン製のリング状 シール部材をそなえて構成されたことを特徴としている（請求項２）。

【００１２】

【作用】

上述の本考案のステムシールロア付きバルブ装置（請求項１）では、バルブス テムとバルブガイドとの間のシールが、バルブガイドの両端部において、バルブ ステムシールとステムシールロアとにより行なわれ、燃焼室への開口部上流側部 分の流体圧が高まった場合にも、その漏洩を招来せず、エンジンの運転が支障な く続行される。

【００１３】 また、本考案のステムシールロア付きバルブ装置（請求項２）では、バルブス テムが、ステムシールロアにおけるテフロン製のリング状シール部材を貫通して 、このリング状シール部材を所要の締代で摺動する。

【００１４】

【実施例】

以下、図面により、本考案の一実施例について説明すると、図１は本考案の第 １実施例としてのステムシールロア付きバルブ装置の要部構成を示す模式的縦断 面図であり、この図１において、図３と同じ符号はほぼ同様の部分を示している 。

【００１５】 図１に示すように、このバルブ装置では、従来例とほぼ同様に、燃焼室２を開 閉すべく、バルブ１が吸排気路３の開口端に配設されており、更にバルブ１を先 端に固着されたバルブステム４が設けられている。

【００１６】 一方、シリンダヘッド５において外部から吸排気路３に連通する貫通孔６が設 けられており、この貫通孔６には円筒状のバルブガイド７が嵌装されている。そ して、このバルブガイド７に、バルブステム４が嵌挿されており、バルブステム ４は吸排気路３内を延在してバルブ１に達している。

【００１７】 また、バルブガイド７の外端には、バルブステムシール８が取り付けられてお り、バルブステム４のバルブガイド７に対する摺動を許容しながら、吸排気路３ 内の気体の、バルブガイド７内周とバルブステム４外周との間隙を通じての漏洩 を防止している。

【００１８】 ところで、バルブガイド７の吸排気路３へ至る部分には、吸排気路３のシール を行なうステムシールロア９が装備されている。

【００１９】 このステムシールロア９は、円筒状の裏金９ｂと、裏金９ｂの内周に固着され たシール部材９ａとで構成されている。

【００２０】 ここで、裏金９ｂは、バルブガイド７の内周における吸排気路３側端部の拡径 部６ａに嵌合しうるように形成されている。

【００２１】 また、シール部材９ａは、その軸方向中央部を縮径したリング状に形成されて おり、その内部には、最小径部９ｃに円柱状空間をそなえるとともに、円柱状空 間の両端面にそれぞれの台面を係合する一対の円錐台状空間をそなえている。

【００２２】 すなわち、ステムシールロア９においてそのシール部材９の最小径部９ｃにバ ルブステム４が嵌挿され、バルブステム４は最小径部９ｃに当接しながら所要の 締代で往復動を行なうようになっている。

【００２３】 また、シール部材９ａは、テフロン（ポリ四フッ化エチレン）等の樹脂、例え はＮＴＮ製ルーロンＬＥで形成されており、次のような条件を満たしている。 無潤滑状態で使用できること。 ガソリンや燃焼ガスにおかされないこと。 耐熱性があること。 バルブステムの往復運動に対する耐久性があること。

【００２４】 このような条件を満たした材料が、裏金９ｂ内周に焼き付けられてシール部材 ９ａを形成しているのである。

【００２５】 上述の構成により、バルブステム４とバルブガイド７の内周との間隙のシール は、バルブステムシール８とステムシールロア９とで協働して行なわれる。すな わち、従来の構造と同様に、バルブステム４とバルブガイド７内周との間隙に、 バルブステムシール８を介し潤滑油が供給され、バルブガイド７の外端部におけ るシールと潤滑油の供給とがともに行なわれる。

【００２６】 そして、バルブガイド７の吸排気路３側端部において、ステムシールロア９に より、吸排気路３の外部に対するシールが行なわれる。

【００２７】 このシールは、ステムシールロア９の最小径部９ｃがバルブステム４に当接す ることにより行なわれる。

【００２８】 このとき、吸排気路３内の高圧吸気または高圧排気のシールは、ステムシール ロア９において徐々に縮径している吸排気路３側内周面により行なわれる。

【００２９】 そして、バルブステム４の往復動は、ステムシールロア９のシール部材９ａが テフロンで形成されているため許容される。

【００３０】 すなわち、テフロンは、優れた耐摩耗性を持つとともに、摩擦係数が小さいた め、バルブステム４の往復動を妨げることがなく、長期にわたる往復動について も、摩耗によるシール性の低下が防止される。また、テフロンは、耐クリープ性 、耐薬品性、耐熱性（２３０℃）にも優れており、高圧の吸排気系をそなえたエ ンジンの長期にわたる運転が支障なく行なわれる。

【００３１】 ところで、図２は本考案の第２実施例としてのステムシールロア付きバルブ装 置の要部構成を示す模式的縦断面図であり、この図２において、図１，図３と同 じ符号はほぼ同様の部分を示している。

【００３２】 この図２に示す第２実施例は、第１実施例のバルブ装置を、副室式２サイクル エンジンに適用したものである。すなわち、エンジンの燃焼室２に開口部を有す る副室１１が設けられており、この副室１１を開閉すべく、バルブステム４付き バルブ１が副室１１の開口端に配設されている。

【００３３】 一方、シリンダヘッド５において外部から副室１１に連通する貫通孔６が設け られており、この貫通孔６には円筒状のバルブガイド７が嵌装されている。そし て、このバルブガイド７に、バルブステム４が嵌挿されており、バルブステム４ は副室１１内を延在してバルブ１に達している。

【００３４】 また、バルブガイド７の外端には、バルブステムシール８が取り付けられてお り、バルブステム４のバルブガイド７に対する摺動を許容しながら、副室１１内 の気体の、バルブガイド７内周とバルブステム４外周との間隙を通じての漏洩を 防止している。

【００３５】 さらに、バルブガイド７の副室１１へ至る部分には、副室１１のシールを行な うステムシールロア９が装備されている。

【００３６】 このステムシールロア９は、円筒状の裏金９ｂと、裏金９ｂの内周に固着され たシール部材９ａとで構成されており、裏金９ｂは、バルブガイド６内周におけ る副室１１側端部の拡径部６ａに嵌合しうるように形成されるいて、シール部材 ９ａは、その軸方向中央部を縮径したリング状に形成されており、その内部には 、最小径部９ｃに円柱状空間をそなえるとともに、円柱状空間の両端面にそれぞ れの台面を係合する一対の円錐台状空間をそなえている。すなわち、ステムシー ルロア９においてそのシール部材９の最小径部９ｃにバルブステム４が嵌挿され 、バルブステム４は最小径部９ｃに当接しながら所要の締代で往復動を行なうよ うになっている。

【００３７】 また、このシール部材９ａは、前記の実施例と同様の条件〜を満たす、テ フロン等の樹脂で形成されている。

【００３８】 なお、副室１１には、高圧燃料（１０＋３３５ｔａｇ）を供給する高圧燃料通 路１２と、高圧吸気（１０ｔａｇ）を供給する高圧吸気通路１３とが接続されて おり、この副室１１内で、高圧燃料と高圧吸気とが混合されて、燃焼室２へ供給 されるようになっている。

【００３９】 上述の構成により、バルブステム４とバルブガイド７の内周との間隙のシール は、バルブステムシール８とステムシールロア９とで協働して行なわれる。すな わち、バルブステム４とバルブガイド７内周との間隙に、バルブステムシール８ を介し潤滑油が供給され、バルブガイド７の外端部におけるシールと潤滑油の供 給とがともに行なわれる。

【００４０】 そして、バルブガイド７の副室１１側端部において、ステムシールロア９によ り、副室１１の外部に対するシールが行なわれる。このシールは、ステムシール ロア９の最小径部９ｃがバルブステム４に当接することにより行なわれる。

【００４１】 このとき、副室１１内の高圧混合気のシールは、ステムシールロア９において 徐々に縮径している吸排気路３側内周面により行なわれる。

【００４２】 そして、バルブステム４の往復動は、ステムシールロア９のシール部材９ａが テフロンで形成されているため許容される。すなわち、テフロンは、優れた耐摩 耗性を持つとともに、摩擦係数が小さいため、バルブステム４の往復動を妨げる ことがなく、長期にわたる往復動についても、摩耗によるシール性の低下が防止 され、又耐クリープ性、耐薬品性、耐熱性（２３０℃）にも優れており、これに より高圧の副室をそなえた２サイクルエンジンの長期にわたる運転が支障なく行 なわれるのである。

【００４３】

【考案の効果】

以上詳述したように、本考案のステムシールロア付きバルブ装置（請求項１） によれば、エンジンにおける燃焼室への開口部の開閉を行なうべく装備されたバ ルブと、同バルブに固着されたバルブステムと、シリンダヘッドに装備され一端 を上記開口部の上流側部分に至るように延在し上記バルブステムを嵌挿されたバ ルブガイドと、同バルブガイドの外端において上記バルブステムとの間に介装さ れたバルブステムシールとをそなえ、上記バルブガイドの上記開口部上流側部分 へ至る部分に上記開口部上流側部分のシールを行なうステムシールロアが装備さ れるというきわめて簡素で構成で、エンジンのバルブ装置におけるシール性能を 向上できるようになり、吸排気路や副室等の高圧化によるエンジン出力の向上に 寄与しうる利点がある。

【００４４】 また、本考案のステムシールロア付きバルブ装置（請求項２）では、上記ステ ムシールロアが、上記バルブステムを所要の締代で摺動自在に貫通させるテフロ ン製のリング状シール部材をそなえて構成されているので、無潤滑状態で使用す ることができ、更には耐クリープ性、耐薬品性、耐熱性に優れた効果を発揮でき るという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例の要部構成を示す模式的縦
断面図である。

【図２】本考案の第２実施例の要部構成を示す模式的縦
断面図である。

【図３】従来例を示す模式的縦断面図である。

【符号の説明】

１ バルブ ２ 燃焼室 ３ 吸排気路 ４ バルブステム ５ シリンダヘッド ６ 貫通孔 ７ バルブガイド ８ バルブステムシール ９ ステムシールロア ９ａ シール部材 ９ｂ 裏金 ９ｃ シール部材の最小径部 １１ 副室 １２ 高圧燃料通路 １３ 高圧吸気通路

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンにおける燃焼室への開口部の開閉
   を行なうべく装備されたバルブと、同バルブに固着され
   たバルブステムと、シリンダヘッドに装備され一端を上
   記開口部の上流側部分に至るように延在し上記バルブス
   テムを嵌挿されたバルブガイドと、同バルブガイドの外
   端において上記バルブステムとの間に介装されたバルブ
   ステムシールとをそなえ、上記バルブガイドの上記開口
   部上流側部分へ至る部分に上記開口部上流側部分のシー
   ルを行なうステムシールロアが装備されたことを特徴と
   する、ステムシールロア付きバルブ装置。
2. 【請求項２】上記ステムシールロアが、上記バルブステ
   ムを所要の締代で摺動自在に貫通させるテフロン製のリ
   ング状シール部材をそなえて構成されたことを特徴とす
   る請求項１記載のステムシールロア付きバルブ装置。