JPH0410400B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、排水の浄化処理装置に関し、詳しく
は、上下迂流式脱窒槽と、酸素供給槽と、水平迂
流式硝化槽とからなり、家庭雑排水や工場排水等
を上下迂流式脱窒槽に流入し、該槽から酸素供給
槽、水平迂流式硝化槽へ順次移行させ、排水中に
含まれている汚濁源、特に、有機性汚濁成分及び
窒素化合物を除去する排水の浄化処理装置に関す
るものである。

〔従来の技術〕

排水中の汚濁源である有機性汚濁成分（以下、
BODという）、窒素化合物（以下、単に窒素とい
う）、リン化合物を除去する装置としては、水平
迂流式脱窒槽に水平迂流式消化槽を並列的に接続
し、排水をそれら各槽の充填材間を通過させる構
造のものが、従来から、提供されている。しかし
ながら、脱窒槽においてはその反応機構上、溶存
酸素を極力少なくすることが必要であるにも拘わ
らず、従来品は、それが水平迂流式であるため
に、再曝気効果、日光等による藻類の酸素供給が
あつて、溶存酸素を少なくすることが困難であつ
た。また、硝化槽においては、排水の流量が増大
したとき等、補助的に曝気する必要がある他、脱
窒槽及び消化槽がいずれも水平迂流式であるため
に、設備費や維持費を要し、しかも、広大な設置
面積を必要としていた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明は、上述のような欠点を解消したもの
で、排水が充填材間を上下交互に通過する上下迂
流式脱窒槽と、排水が充填材の表面上を自然に落
下する酸素供給槽と、排水が充填材間をジグザグ
状に流れる水平迂流式硝化槽とからなり、排水を
上記上下迂流式脱窒槽に流入し、該槽から酸素供
給槽、水平迂流式硝化槽に順次移行するように構
成することによつて、ブロアー等の動力を使用す
ることなく、設備費や維持費を要せず、排水中の
BOD、窒素を効率よく除去することができ、し
かも、設置面積を要しない排水の浄化処理装置を
提供するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、上方部に越流口を設けた仕切板と下
方部に連通口を穿設した仕切板とを交互に配して
槽内を仕切ると共に、該槽内に充填材を充填し、
排水が上記充填材間を上下交互に通過する上下迂
流式脱窒槽と、槽内に充填材を充填すると共に、
該充填材の上方から排水を散水し、排水が充填材
の表面上を自然に落下する酸素供給槽と、仕切板
により槽内にジグザグ状の通水路を形成すると共
に、該通水路内に充填材を充填し、排水が充填材
間を通り通水路に沿つてジグザグ状に流れる水平
迂流式硝化槽とからなり、排水を上記上下迂流式
脱窒槽に流入し、該槽から上記酸素供給槽、水平
迂流式硝化槽に順次移行するようにしたことを特
徴とする排水の浄化処理装置であつて、以下その
実施例を添附の図面において詳述する。

第１図は概略斜視図、第２図は上下迂流式脱窒
槽の平面図、第３図は第２図−線に沿う断面
図、第４図は第２図−線に沿う断面図、第５
図は第２図−線に沿う断面図、第６図は一部
分を切欠した酸素供給槽の斜視図、第７図は一部
分を切欠した水平迂流式硝化槽の斜視図である。

本発明に係る排水の浄化処理装置は、第１図に
示す如く、上下迂流式脱窒槽１と、酸素供給槽２
と、水平迂流式硝化槽３とからなる。上下迂流式
脱窒槽１は、第２図乃至第５図に示す如く、槽４
内を複数枚の仕切板５及び６によつて仕切られて
いる。一方の仕切板５は上方部に越流口７を設け
てあり、他方の仕切板６は下方部に連通口８を穿
設してあつて、これら仕切板５と仕切板６とを交
互に配して槽４内が仕切られている。また、槽４
内の各仕切板５と６との間には、充填材９を充填
してあつて、流入口１０から槽４内に流入した排
水が上記充填材９の間を上下交互に順次通過し、
流出口１１より酸素供給槽２に移行するようにな
つている。なお、槽４の底部は外側に向つて傾斜
形成し、そこにバルブ付けの排泥管１２を仕切板
６毎に設置したものを例示してある。このように
なつていると、底部に汚泥が集積し、それを確実
に排出処理することができるので好ましい。一
方、上記酸素供給槽２は、第６図に示す如く、槽
１３内に充填材１４を充填してある。充填材１４
は合成樹脂製で、図示していないが、表面を凹凸
に形成する。これを多数枚所定の間隔に、しか
も、槽１３の縦方向に沿い平行に重ね合せて槽１
３内に充填する。この充填材１４は、図示してい
ないが、ハニカム形状やその他の形状のものであ
つてもよい。また、槽１３の上端部を開口してあ
つて、排水をその上端部側から散水でき、散水さ
れた排水は充填材１４の表面に接触しながら槽１
３の下方に落下するようになつている。この充填
材１４の上方から排水を散水する。充填材１４の
上方には、傾斜した樋板１５を設け、該樋板１５
から排水を充填材１４の上面に散水できるように
なつているものを例示してある。しかし、これに
限定されない。図示していないが、充填材の上方
に散水口を有する複数本の散水管を配設してもよ
い。この酸素供給槽２の槽１３の下方に落下した
排水が水平迂流式硝化槽３に移行するようになつ
ている。水平迂流式硝化槽３は、第７図に示す如
く、槽１６内を複数枚の仕切板１７によつて仕切
られている。第１図及び第７図においては５枚の
仕切板１７に仕切られた槽１６を例示してある
が、これに限定されない。これらの仕切板１７に
よつて槽１６の両側方、即ち、流入口１８側と排
泥路１９側の槽１６内に折曲迂流部２０を有する
ジグザグ状の通水路２１を形成してある。また、
該通水路２１内に充填材２２を充填してあつて、
流入口１８から槽１６内に流入した排水は、充填
材２２の間を通り通水路２１に沿つてジグザグ状
に流れるようになつている。なお、排泥路１９に
はバルブ付きの排泥管２４を設置してある。この
水平迂流式硝化槽３において、上記酸素供給槽２
による溶存酸素供給量以上の酸素を必要とする場
合には、水平迂流式硝化槽３内に段差を設けて別
途に酸素供給槽を設置するか、または、水平迂流
式硝化槽３内に部分的に補助曝気装置を設置して
もよい。以上のような上下迂流式脱窒槽１と、酸
素供給槽２と、水平迂流式硝化槽３とからなり、
排水を槽４の流入口１０から上下迂流式脱窒槽１
に流入し、該槽から上記酸素供給槽２、水平迂流
式硝化槽３に順次移行するように構成してある。
第１図においては、酸素供給槽２の樋板１５を上
下迂流式脱窒槽１の槽４の流出口１１に当接する
ように酸素供給槽２を設置し、該流出口１１から
流出した排水が酸素供給槽２の充填材１４の上面
に散水されるようになつているものを例示してあ
る。また、酸素供給槽２と水平迂流式硝化槽３と
の間にポンプ２３を設置し、酸素供給槽２の槽１
３の下方に落下した排水を、ポンプ２３で水平迂
流式硝化槽３に移行させるようにしたものを例示
してある。更に、水平迂流式硝化槽３を通過した
排水は、その流入口２５から計量槽２６へ流れ込
むようになつているものを例示してあるが、これ
に限定されない。上下迂流式脱窒槽１に流入した
排水が該槽から酸素供給槽２、水平迂流式硝化槽
３へと順次移行するようになつていればよい。

なお、実施例では、上下迂流式脱窒槽１の上方
に水平迂流式硝化槽３を立体的に配置したものを
例示してあるが、これに限らない。図示していな
いが、上下迂流式脱窒槽を前段に、水平迂流式硝
化槽をその後段になるよう平面的に配置してもよ
い。しかし、実施例のものであると、上下迂流式
脱窒槽１内の溶存酸素が一層低くなる他、設置面
積もより少なくて済むので好ましい。

〔発明の作用〕

以上のような排水の浄化処理装置は、例えば、
家庭や工場か排水される排水中の汚濁源を除去す
るために使用するもので、排水を流入口１０から
上下迂流式脱窒槽１内に流入する。この上下迂流
式脱窒槽１において、排水は槽４内の充填材９間
を上下交互に通過するので、空気との接触が少な
く、溶存酸素量が低くなるから、充填材９の近傍
が嫌気化する。この嫌気化状態において充填材９
の表面に着生した脱窒素菌により窒素が還元され
て除去される。また、上下迂流式であるから、水
平迂流式のものに比べその設置面積が少なくて済
む。次いで、排水は上下迂流式脱窒槽１の流出口
１１より酸素供給槽２に移行し、その充填材１４
の上方から表面上を自然に落下する。この際、排
水に充分な酸素が供給される。この排水をポンプ
２３で上方に扱み上げ、水平迂流式硝化槽３の流
入口１８より流入し、充填材２２間を通水路２１
に沿つてジグザグ状に通過させる。この際、排水
は空気と接触し易いばかりでなく、酸素供給槽２
によつて充分な酸素が供給されているから、充填
材２２の表面にBOD酸化菌が繁殖し、該菌によ
つてBODが除去されるものである。

〔発明の効果〕

以上のように本発明は、上下迂流式脱窒槽と、
酸素供給槽と、水平迂流式硝化槽とからなり、そ
れらはいずれも排水が自然に流れ、落下するもの
であつて、排水循環用のポンプや酸素供給用のブ
ロアー等の動力を使用しないから、設備費や維持
費を要しない。また、上下迂流式脱窒槽において
は、排水中の溶存酸素量が低くなつて嫌気化し、
脱窒素菌によつて窒素が除去され、次いで、水平
迂流式硝化槽においては、排水中の溶存酸素量が
極めて高くなつてBOD酸化菌が繁殖するから、
排水中の汚濁源、特に、窒素とBODとを効率良
く除去することができる他、設置面積を要しない
等幾多の効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は概略
斜視図、第２図は上下迂流式脱窒槽の平面図、第
３図は第２図−線に沿う断面図、第４図は第
２図−線に沿う断面図、第５図は第２図−
線に沿う断面図、第６図は一部分を切欠した酸
素供給槽の斜視図、第７図は一部分を切欠した水
平迂流式硝化槽の斜視図である。 図中１は上下迂流式脱窒槽、２は酸素供給槽、
３は水平迂流式硝化槽、４，１３及び１６は槽、
５，６及び１７は仕切板、７は越流口、８は連通
口、９，１４及び２２は充填材、２１は通水路を
示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上方部に越流口を設けた仕切板と下方部に連
   通口を穿設した仕切板とを交互に配して槽内を仕
   切ると共に、該槽内に充填材を充填し、排水が上
   記充填材間を上下交互に通過する上下迂流式脱窒
   槽と、槽内に充填材を充填すると共に、該充填材
   の上方から排水を散水し、排水が充填材の表面上
   を自然に落下する酸素供給槽と、仕切板により槽
   内にジグザグ状の通水路を形成すると共に、該通
   水路内に充填材を充填し、排水が充填材間を通り
   通水路に沿つてジグザグ状に流れる水平迂流式硝
   化槽とからなり、排水を上記上下迂流式脱窒槽に
   流入し、該槽から上記酸素供給槽、水平迂流式硝
   化槽に順次移行するようにしたことを特徴とする
   排水の浄化処理装置。