JPH04102779U - ボルトの締付工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】孔無ボルト及び孔付ボルトの双方を同一工具に
て締め付ける。 【構成】締付工具は、六角ボルトの頭部に嵌合可能な凹
部２と、六角形状のレンチ孔に嵌合可能な凸部３ｂを有
するレンチ部材３とを備える。レンチ部材３は凹部２内
に摺動可能に収容されており、復帰バネ４によって凸部
３ｂは凹部２の開口面から没入可能に突出している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は多角形状の頭部を有するボルトや多角形状のレンチ孔を有する孔付ボ ルトを締め付けるための締付工具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、六角形状の頭部を有するいわゆる六角ボルトの締付工具としては、その 頭部に嵌合可能な凹部を有する六角ボックスが知られている。一方、頭部に六角 形状のレンチ孔を有するいわゆる六角孔付ボルトの締付工具としては、そのレン チ孔に嵌入可能な凸部を有する六角レンチが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

一般に、各種部材の取り付けに際し、六角ボルトを使用するか六角孔付ボルト を使用するかは、取り付けられる部材の形状、ボルトの締付位置あるいは製品の 規格によって定められる。それ故、同一製品においてネジ径の同じボルトを複数 使用する場合でも、そのボルトの取り付け位置に応じて六角ボルトと六角孔付ボ ルトとを使い分けることも多い。このような場合、従来の六角ボックスや六角レ ンチでは一方の種類のボルトしか締め付けることができなかったため、ボルトの 種類（頭部形状）が変わる毎にその都度締付工具を取り替えねばならず、作業が 極めて煩雑であるという問題があった。

【０００４】 本考案の目的は、ボルトの種類にかかわらず同一工具にてボルトの締め付け作 業を行うことが可能なボルトの締付工具を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために本考案は、ボックス本体内にレンチ部材を回動不能 かつスライド可能に収容すると共に、ボックス本体とレンチ部材との間には復帰 バネを介在し、孔無ボルトの頭部に相対回動不能に嵌合する凹部をボックス本体 に設けると共に、孔付ボルトのレンチ孔に相対回動不能に嵌合するレンチ部材の 凸部を前記凹部から没入可能に突出させることにより、ボルトの締付工具を構成 した。

【０００６】

【作用】

上記構成によれば、レンチの嵌合凸部は通常復帰バネの作用によってボックス 本体の嵌合凹部から突出している。従って、嵌合凸部を孔付ボルトのレンチ孔に 嵌合させることができ、本工具をレンチとして使用することができる。また、孔 無ボルトの頭部にレンチ部材の嵌合凸部を押し当てれば、該嵌合凸部が嵌合凹部 内へ没入し、孔無ボルトの頭部を嵌合凹部に嵌入させることができ、本工具をボ ックスとしても使用することができる。

【０００７】

【実施例】

以下に本考案を具体化した一実施例を図１〜図４に従って説明する。 図１及び図２に示すように、略円柱状のボックス本体１の一端側には凹部２が 形成され、他端側にはトルクレンチ取付用の取付孔６が形成されている。凹部２ は断面六角形状に形成されており、その開口部分から六角ボルトの頭部を嵌入さ せることができる。凹部２内にはレンチ部材３が回動不能かつ摺動可能に収容さ れている。レンチ部材３は凹部２の内壁面に摺接する大径のスライド部３ａと小 径の凸部３ｂとからなり、凸部３ｂは六角孔付ボルトのレンチ孔に嵌合可能な六 角柱状に形成されている。

【０００８】 図１に示すように、凹部２の内壁面には環状の係止溝２ａが設けられ、係止溝 ２ａにはスナップリング５が装着されている。スライド部３ａはスナップリング ５より凹部２内側に配置され、スナップリング５はスライド部３ａと係合してレ ンチ部材３の凹部開口方向への移動を規制する。 凹部２の底壁とレンチ部材３との間には復帰バネ４が介装され、復帰バネ４に よってレンチ部材３が凹部開口方向へ付勢されている。図１に示すように、スラ イド部３ａがスナップリング５に係合された状態においては、凸部３ｂは凹部２ から突出している。復帰バネ４に抗してレンチ部材３を押し込めば、凸部３ｂは 凹部２内に没入する。

【０００９】 さて、図３に示すように本工具を六角ボックスとして使用する場合、六角ボル ト８の頭部８ａにレンチ部材３の凸部３ｂを当接させ、頭部８ａに向かって本工 具を押し付ける。すると、復帰バネ４の弾性に抗してレンチ部材３が凹部２内に 没入し、凹部２の開口端面にボルト８の頭部８ａが当接する。この状態において 取付孔６に取り付けたトルクレンチ（図示略）を回動操作することにより、凹部 ２の開口と頭部８ａとが重合一致し、頭部８ａが凹部２内に嵌入する。従って、 本工具によりボルト８の締め付け又は締め付け状態の解除を行うことができる。 締め付け作業等の完了後、ボルト８から本工具を取り外すに伴い、レンチ部材３ は復帰バネ４の反発力によって押し戻され、スナップリング５に係合する原位置 に再び復帰される。

【００１０】 図４に示すように本工具を六角レンチとして使用する場合、六角孔付ボルト９ のレンチ孔９ａに凸部３ｂを嵌入させる。この状態において取付孔６に取り付け たトルクレンチ（図示略）を回動操作すると、凹部２とレンチ部材３のスライド 部３ａとの係合に基づいて凸部３ｂがボックス本体１と一体回転される。従って 、六角孔付ボルト９の締め付け又は締め付け状態の解除を行うことができる。

【００１１】 本工具は同一径の六角ボルト８及び六角孔付ボルト９を対象としており、凹部 ２及び凸部３ｂの径はそれぞれ同一径の六角ボルト８の頭部８ａ及び六角孔付ボ ルト９のレンチ孔９ａに適するように設定してある。ボルトの規格として六角孔 付ボルト９の頭部径は孔の無い六角ボルト８の頭部径（角部間の最大距離）に一 致しており、六角孔付ボルト９の頭部９ｂが凹部２内に入り込むことはない。

【００１２】 このように本実施例によれば、同一の工具を六角ボックス及び六角レンチ両用 の工具として使用することができる。そのため、従来のようにボルトの種類に応 じて締付工具を取り替える必要がなく、ボルトの締め付けやその締め付け状態の 解除作業を効率的に行うことができる。 また、ボックス本体１の凹部２内壁面又はレンチ部材３が磨耗した場合でも、 スナップリング５を取り外して容易に分解できるため、磨耗した部材の取り替え を容易に行うことができる。

【００１３】 尚、本考案は上記実施例に限定されるものではなく、次の態様にて実施しても よい。即ち、 （１）図５に示すように、ボックス本体１の凹部２開口縁を切り欠いてテーパー 面１０とすること。この工具をレンチとして使用する場合、六角孔付ボルト９の 頭部上縁がそのテーパー面１０に当接するため、六角孔付ボルト９の回動操作が 安定する。 （２）六角形状以外の別の多角形状をした頭部を有するボルトに適用可能な工具 とすること。

【００１４】

【考案の効果】

以上詳述したように本考案によれば、ボックス本体内にレンチ部材をスライド 可能に設けると共に、ボックス本体には孔無ボルトの頭部に嵌合可能な凹部を設 け、孔付ボルトのレンチ孔に嵌合可能なレンチ部材の凸部を前記凹部内に没入可 能としたので、ボルトが孔無ボルトか孔付ボルトかにかかわらず同一工具にてボ ルトの締め付け作業を行うことができるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を具体化した一実施例の断面図である。

【図２】図１におけるＡ−Ａ線断面図である。

【図３】六角ボックスとしての使用状況を示す断面図で
ある。

【図４】六角レンチとしての使用状況を示す断面図であ
る。

【図５】本考案の別例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ ボックス本体、２ 凹部、３ レンチ部材、３ｂ
凸部、４ 復帰バネ、８孔無ボルトとしての六角ボル
ト、８ａ 頭部、９ 六角孔付ボルト、９ａレンチ孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボックス本体内にレンチ部材を回動不能
   かつスライド可能に収容すると共に、ボックス本体とレ
   ンチ部材との間には復帰バネを介在し、孔無ボルトの頭
   部に相対回動不能に嵌合する凹部をボックス本体に設け
   ると共に、孔付ボルトのレンチ孔に相対回動不能に嵌合
   するレンチ部材の凸部を前記凹部から没入可能に突出さ
   せたボルトの締付工具。