JPH04101697U - 便座の取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 洋風便器などの便器本体１において、便座２
を揺動可能に保持するためのヒンジ体６により覆い隠さ
れる領域やその周縁部を簡単に清掃できるようにする。 【構成】 便器本体１に対して縦方向に深い孔８ｂを設
け、この孔８ｂに沿ってヒンジ体６が上下方向へスライ
ドできるように保持させた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、洋風便器などの便器本体に対して便座を取り付ける場合に用いられ る構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

便座は、洋風便器などの便器本体上で揺動できる状態に取り付けられるもので あって、その取り付けに用いられるヒンジ体としては、図３に示す如きヒンジボ ルト３のタイプと図４に示す如き便座ボックス４のタイプとがあった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ヒンジボルト３や便座ボックス４などのヒンジ体は、いずれも便器本体１の所 定部位を上下に貫くようにして締結される螺子構造５により固定されるものであ った。そのため、メンテナンスなどに際してヒンジ体（３，４）を取り外すこと はできるが、その取外作業は非常に面倒であると共に困難でもあった。従って、 日常的な清掃のたびにいちいちヒンジ体（３，４）を取り外すようなことはしな いのが普通であった。殊に、便座２に対して暖房機能や温水洗浄装置など（いず れも図示省略）が付設される場合には、それらのコード類がヒンジ体（３，４） の螺子構造５を利用して便座２側から便器本体１側へと接続されているため、該 ヒンジ体（３，４）の取り外しは素人にはそもそも不可能であった。結局、便器 本体１においては、ヒンジ体（３，４）により覆い隠される領域とその周縁部の 清掃が実質的にできないものであり、使用期間が長引くと黒ずんで、使用者に不 潔な感じを与えるものとなっていた。

【０００４】 本考案は、上記の如き事情に鑑みてなされたものであって、便器本体において 便座ボックスやヒンジボルトなどのヒンジ体により覆い隠される領域やその周縁 部の清掃が主婦などの素人にも簡単に行えるようにして、便器本体や便座などが いつまでも奇麗な状態のまま使用できるようにした、便座の新規な取付構造（以 下、本案構造と言う）を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本案構造の要旨とするところは、便器本体上で便座を揺動可能に保持するヒン ジ体には下方へ向く縦軸が垂設され、便器本体の上面側所定部位には前記ヒンジ 体の縦軸を挿通可能な縦深孔が一体的又は別体的に設けられ、ヒンジ体の縦軸と 便器本体の縦深孔との両者間に形成される周方向の隙間にはリング状乃至円筒状 の弾性体が介設されている点にある。

【０００６】 また本案構造は、ヒンジ体の縦軸において、その内部に配線用空孔が形成され ているものであってもよいとする。

【０００７】

【作用】

ヒンジ体の縦軸と便器本体の縦深孔とは、リング状乃至円筒状をした弾性体に より互いに外向き又は内向きの全周的な圧迫力を受けるため、両者間の位置的関 係は、弾性体における弾性の範囲内で拘束されることとなる。すなわち、ヒンジ 体に対してその上向き方向へ弾性体による圧迫力を超える力を加える（ヒンジ体 を引っ張り上げる）とすると、両者間の位置的拘束関係は解かれ、ヒンジ体を便 器本体上へ浮きあがらせた状況とすることが可能となる。そして、ヒンジ体の浮 き上がり状況は再び弾性体の圧迫力（弾性）によて保持されるようになるので、 便器本体においてヒンジ体により覆い隠されていた領域やその周縁部を清掃する ことができる。

【０００８】 一方、ヒンジ体の縦軸内に配線用空孔を形成させておけば、便座に付設される 暖房機能や温水洗浄装置などのコード類を該配線用空孔内へ挿通させることがで きるものとなる。そのため、上記した如く便器本体上へヒンジ体を引き上げる場 合にあって、このコード類を傷つけたり断線させたりするおそれはない。

【０００９】

【実施例】 以下、本考案を、その実施例を示す図面に基づいて説明すると次のとおりであ る。 図１及び図２は、いずれも本案構造の主要部を示す側断面図である。すなわち 、図１は、ヒンジ体６が便器本体１上に当接している状況であり、図２は、ヒン ジ体６を引き上げた状況である。なお、本案構造のヒンジ体６は、ヒンジボルト タイプ（図３参照）としてある。

【００１０】 ヒンジ体６は、樹脂などを素材として形成されたものであって、便座２の揺動 を保持するヒンジ部分６ａの下方へ向かって縦軸７が一体的に垂設されて成る。 該縦軸７は外周面が平滑となった丸棒状をしており、その内部には、上端側にあ ってヒンジ部分６ａの内部へ連通し下端側にあって開放された空孔７ａが形成さ れている。該空孔７ａは、便座２に対して暖房機能や温水洗浄装置など（いずれ も図示省略）が付設される場合に、そのコード類を配線のため挿通するのに用い られる。

【００１１】 一方、便器本体１には、ヒンジ体６を取り付けるための所定部位（図３又は 図４に示す如く便器本体１の後方部に相当する）に筒状をしたホルダー具８が取 り付けられている。該ホルダー具８は、その外周面に雄螺子が刻設されており、 ここへ螺合されるナット部材９とホルダー具８の上端鍔８ａとによって便器本体 １の所定部位を挟持するように固定される。図２に示す如く、ホルダー具８の内 部は、前記ヒンジ体６の縦軸７を挿通するための縦深孔８ｂとされている。そし て該縦深孔８ｂへヒンジ体６の縦軸７を挿通した場合には、両者間に周方向の僅 小な隙間（図１中に符号Ｘで示す）が形成されるようになっている。

【００１２】 ヒンジ体６の縦軸７と便器本体１の縦深孔８ｂとの両者間に設けられた周隙間 Ｘには、リング状乃至円筒状をした弾性体１０が介設されており、該弾性体１０ によって周隙間Ｘが充満されている。従って該弾性体１０は、ヒンジ体６の縦軸 ７をその全周にわたって内向きに圧迫すると共に、便器本体１の縦深孔８ｂをそ の全周にわたって外向きに圧迫する。このような弾性体１０による圧迫力（弾性 ）は、ヒンジ体６の縦軸７及び便器本体１の縦深孔８ｂによる互いの位置的関係 を拘束するものとなる。 本実施例では、弾性体１０としてＯリングを用いてある。そして図１に示す如 く、ヒンジ体６の縦軸７に対してその中央部よりもやや下端寄りとなる外周面へ 凹溝１１を凹設させた。該凹溝１１の溝深さは、弾性体１０（Ｏリング）におけ る圧縮状態での断面形状を約７割程度収容し得るものとした。また他方、便器本 体１の縦深孔８ｂ（図２参照）には、その内周面に２本の環状凹溝１３及び１２ （図１参照）を凹設した。これらの凹溝１３，１２の溝深さは、弾性体１０にお ける圧縮状態での断面形状を約３割程度収容し得る寸法である。そして、このう ち下位の凹溝１３（図２参照）は、図１に示す如く便器本体１の上面にヒンジ体 ６が当接している状態で、その縦軸７の凹溝１１（弾性体１０の嵌着位置）と対 応する高さになる如く位置付けられている。また、上位の凹溝１２（図１参照） は、図２に示す如くヒンジ体６を便器本体１の上方へ引き出すに適した高さに応 じて適宜位置付けられている。

【００１３】 このようにして成る本案構造では、ヒンジ体６を図２に示す如く便器本体１の 上方へ向けて引っ張り上げるようにするだけで、その下面領域の清掃が行えるこ ととなる。この状態では、ヒンジ体６の縦軸７に体して嵌着状態にある弾性体１ ０が、便器本体１における縦深孔８ｂの上位の凹溝１２（図１参照）と係合する ようになるから、ヒンジ体６が落下することはなく、清掃も容易に進められる。

【００１４】 ところで、本実施例では、便器本体１に対して筒状のホルダー具８を取り付け ることによってその筒内部に縦深孔８ｂを設けるようにした。しかし、このよう な別体構造を採ることの他にも、便器本体１の所定部位へ直接的に縦深孔８ｂを 穿設する如き一体構造を採ることができる。また、ヒンジ体６の縦軸７に設けら れる凹溝１１（図１参照）と便器本体１の縦深孔８ｂ（図２参照）に設けられる 凹溝１３及び１２（図１参照）との深さ関係は、上記実施例と反対になるものと してもよい。この場合は、便器本体１における縦深孔８ｂの各凹溝１３，１２に 対してそれぞれ弾性対１０を嵌着させるようにする。更に、ヒンジ体６の縦軸７ に設けられる凹溝１１を２個又はそれ以上に増加させ、便器本体１の縦深孔８ｂ に設けられる凹溝１３，１２をいずれか１個に減らすことも可能である。そして また、これらの各凹溝１１，１２，１３を一切設けないようにしたり反対に螺子 の如く多数設けたりすることも可能であり、これらの場合にはヒンジ体６の引き 上げ度合を無段階的に調節できる利点がある。このように、本案構造の細部にわ たる構成及び形状は、実施の態様に応じて適宜変更可能である。

【００１５】

【考案の効果】

以上の説明で明らかなように、本考案に係る便座の取付構造によれば、便座を 揺動可能に保持するヒンジ体を便器本体上へ引き出すことができるので、主婦な どの素人であっても、便器本体においてヒンジ体で覆い隠される領域やその周縁 部の清掃ができるものとなる。そのため、便器本体や便座などを、いつまでも奇 麗に使用することができる。また、このようなヒンジ体の引き上げに際して、便 座の暖房機能や 温水洗浄装置などに用いられているコード類を破損又は断線さ せるおそれはない等、幾多の優れた利点を有している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本案構造においてヒンジ体を便器本体上へ当接
させた状況を示す側断面図である。

【図２】本案構造においてヒンジ体を便器本体上へ引き
出した状況を示す側断面図である。

【図３】便座を便器本体へ取り付けるにあたりヒンジ体
としてヒンジボルトを用いた従来の構造を示す側面図で
ある。

【図４】便座を便器本体へ取り付けるにあたりヒンジ体
として便座ボックスを用いた従来の構造を示す側面図で
ある。

【符号の説明】

１…便器本体 ２…便座 ６…ヒンジ体 ７…縦
軸 ７ａ…配線用空 孔 ８…ホルダー具 ８ｂ…縦深孔 １０…弾性
体 １１，１２，１３ …凹溝 Ｘ…周隙間

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 便器本体上で便座を揺動可能に保持する
   ヒンジ体には下方へ向く縦軸が垂設され、便器本体の上
   面側所定部位には前記ヒンジ体の縦軸を挿通可能な縦深
   孔が一体的又は別体的に設けられ、ヒンジ体の縦軸と便
   器本体の縦深孔との両者間に形成される周方向の隙間に
   はリング状乃至円筒状の弾性体が介設されていることを
   特徴とする便座の取付構造。
2. 【請求項２】 ヒンジ体の縦軸にはその内部に配線用空
   孔が形成されていることを特徴とする請求項１に記載さ
   れた便座の取付構造。