JPH039839Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、空気の送入および貯留を阻害するこ
となく且つ構造強度が向上するように、貫通孔を
有するスペーサーを備えた空気揚水装置に関する
ものである。

（従来技術および考案が解決しようとする問題
点） 従来、湖沼、ダム等の閉鎖性水域における水質
保全あるいは向上の為に、地上のコンプレツサー
等りより深層水部に空気を送り込み、該空気の気
泡上昇によつて深層水と表層水とを交換する空気
揚水装置は、既に特公昭42−5795、実公昭56−
43438、実開昭58−137900号公報などで知られる
ところである。これらの空気揚水装置は、一般に
揚水筒の内側あるいは外側に空気貯留室を環状に
嵌装し、該空気貯留室と揚水筒壁を連通させた構
造であり、該空気貯留室内に加圧空気を供給しな
がら、揚水筒内へ空気を逆サイホン作用によつて
間欠的に噴出させ、下部の水を上部へ流動させる
装置である。

しかしながら、従来の空気揚水装置において
は、空気が空気貯留室へ送入されて間欠的かつ爆
発的に揚水筒から噴射上昇する際に、該空気貯留
室の圧力が急激に低下し、かつ該空気貯留室の通
水口より水が侵入し、急激な圧力上昇を受ける。
したがつて、空気貯留室壁が過大な繰り返し荷重
を負い、疲労破壊が起きるという問題があつた。
なお、このような空気貯留室の構造強度を保持す
る対策として、該空気貯留室壁の通気間隔を大き
くすることは、揚水に必要とする以上の過剰な空
気量を供給することになり、エネルギーを損失す
る結果を招く。

本考案は上記問題に鑑み成されたもので、長期
に亙つて使用可能な空気貯留室を有する良好な空
気揚水装置を提供する。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、揚水筒の内側または外側に取り付け
た空気貯留室の内壁間に貫通孔を有するスペーサ
ーを備えてなる空気揚水装置である。

以下、添付図面に従つて本考案を詳細に説明す
るが、本考案はこれらの添付図面に限定されるも
のではない。第１図および第２図は、それぞれ揚
水筒１の外側に空気貯留室２を取り付けた揚水装
置の縦断図面および平面図を示す。即ち、揚水筒
１の外壁に空気貯留室２が取り付けられ、該揚水
筒壁には、揚水筒１と空気貯留室２の間に空気等
が移動できるように流通孔３が設けられている。
空気貯留室２の内部には、同心環状に２枚の導入
壁４および５が設けられた態様であり、導入壁４
の上部および導入壁５の下部は空気等が空気貯留
室内部で移動できるように間隙６および７が設け
られている。空気貯留室２の上面板８および底面
板９は、揚水筒壁に接着され、底面板９は通水の
為に空気貯留室２の周壁と導入壁４の間の部分で
間隙１０が設けられている。また、空気貯留室２
に空気を導入するための送気管１１が設けられて
いる。このような揚水装置において、本考案では
貫通孔１２を有するスペーサー１３を備えること
が特徴である。

本考案の揚水装置は、空気がコンプレツサー等
により加圧され、送気管を通つて空気貯留室へ送
入され、該空気が逆サイホン作用によつて間欠的
且つ爆発的に揚水筒から噴射上昇することによつ
て生じる構造において、上記の如くスペーサーを
設けることによつて特に空気貯留室壁への繰り返
し荷重による揚水装置材料の疲労を軽減し、揚水
装置を長期にわたつて正常に作動することができ
る。また、本考案に設けるスペーサーは貫通孔を
有する為、空気貯留室における空気および水の均
一な流動が図られ、ひいては揚水筒内に空気の均
一な吹出しが達成され、良好な揚水効果が得られ
る。

このような本考案に設ける貫通孔を有するスペ
ーサーの形状、材質などは、空気貯留室の構造強
度を維持し且つ空気貯留室における導入空気及び
水の均一な流動がされるように、任意に設計、選
択すればよい。一般に空気揚水装置の重量増加を
軽減するためには、スペーサーの材質は鉄鋼より
ガラス繊維強化プラスチツク（FRP）が好まし
く、該スペーサーの許容応力度を超えない範囲で
スペーサーの貫通孔を設計することができる。

本考案において、揚水筒に取り付ける空気貯留
室は、揚水筒から空気を逆サイホン作用により間
欠的かつ爆発的に噴射上昇させる構造であればよ
く、該空気貯留室の形状は少なくとも空気を一定
時間かつ一定容量の割合で空気貯留室内に保持で
きれば特に制限されない。従つて、第１図に示す
形状のほか、空気貯留室２を揚水筒１の内側に設
けた態様を示す第３図および第４図の形状が一般
的である。この空気貯留室２の内壁でもある揚水
筒壁には、該空気貯留室２と揚水筒１との間の空
気の自由な移動の為に、流通孔３が設けられる。
流通孔３の位置は、空気貯留室２から揚水筒１へ
の間欠的かつ急激な移動を妨げなければ特に制限
されない。例えば、第１図に示した如く、導入壁
５下部の間隙７より充分に高く空気貯留室２の上
面板に近い空気貯留室内の揚水筒壁に流通孔が設
けられる。空気貯留室２には、空気を導入するた
めの送気管１１が設けられる。送気管１１は、空
気貯留室への加圧空気を送入および貯留が行えれ
ば特に制限されない。例えば第１〜４図に示した
如く、空気貯留室２の上面に送気管１１が設けら
れる。本考案では、揚水装置、特に空気貯留室の
構造強度の向上の為に、該空気貯留室内には貫通
孔１２を有するスペーサー１３が備えられる。ス
ペーサーは、空気貯留室の内壁間に設けられれば
よく、貫通孔はスペーサーで区切られた部屋の間
で空気および水の自由移動ができればよい。例え
ば、第１図および第３図に示した形状等が一般的
である。

本考案の揚水装置は、上述した要件を満足する
ものであれば充分効果を発揮するが、第１図に示
した如く、空気貯留室の縦断面をＵ字状にするこ
とが、逆サイホン作用による空気の間欠的かつ爆
発的な揚水筒からの噴射上昇の為に好ましい。

（効果） 以上の説明により理解される如く、本考案の揚
水装置は空気貯留室内に貫通孔を有するスペーサ
ーを設けることにより、繰り返し荷重による揚水
装置材料、特に空気貯留室を構成する部分の材料
の疲労が低減し、また、構造強度が向上できる為
に導水壁の通気間隙を所定（望）の大きさにする
ことができ、さらにスペーサーの貫通孔により空
気貯留内で空気および水が均一に流動する。した
がつて、本考案の空気揚水装置によれば、長期間
にわたり効果的に水質保全あるいは向上を行うこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、空気貯留室を揚水筒の外側に取り付
けた例に示す縦断面図、第２図は、第１図の揚水
装置の下部の平面図、第３図は空気貯留室を揚水
筒の内側に取り付けた例を示す縦断面図、第４図
は、第３図の揚水装置の下部の平面図である。ま
た各図において、１は揚水筒、２は空気貯留室、
３は流通孔、１１は送気管、１２は貫通孔、１３
はスペーサーを夫々示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 揚水筒の内側または外側に取り付けた空気貯留
   室の内壁間に貫通孔を有するスペーサーを備えて
   なる空気揚水装置。