JPH0373424B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明は、穴内面や曲面等の被加工物表面を研
磨し、平滑化するに際して用いられる研磨加工装
置に係り、特にその耐久性および加工精度を効果
的に向上せしめ得る構造に関するものである。

（従来技術とその問題点） 従来から、精密中ぐり盤や研削盤等で仕上げら
れた穴内面や曲面等の被加工物表面を、更に平滑
にすると共に、寸法精度を向上させ或いは真円誤
差を矯正するに際しては、一般に、ラツプ盤やホ
ーニング盤、超仕上盤などの研磨加工装置が用い
られている。

ところで、このような研磨加工装置の一種とし
て、外周縁に幾つかの研磨砥石が取り付けられた
円柱状の回転工具（ホーン）を、スピンドルの先
端部に取り付け、該スピンドルを回転駆動せしめ
ると共に、更にその軸方向に工程の短い急速な往
復運動、即ち振動を付加せしめることによつて、
砥石の被加工面に対する研磨能率を一層向上させ
たものが知られている。

すなわち、このような研磨加工装置にあつて
は、そのスピンドルが回転と軸方向の振動との二
つの異方向の運動を行なう構造とされているため
に、かかるスピンドルに対して外部の電動機など
の回転駆動力に伝達するに際しては、軸方向の動
きを許容しつつ行なう必要があるのであり、それ
故、通常、スピンドルに取に付けられる歯車やプ
ーリ等の回転駆動力伝達部材が、スプライン機構
を介して、相対回転不能に且つ軸方向に所定距離
相対移動可能に嵌め合わされてなる構造とされて
いる。

しかしながら、上述の如き構造とされた研磨加
工装置にあつては、そのスピンドルに加えられる
軸方向の動きが、極めて急速な往復運動であるた
めに、かかるスプライン機構の摺動部分における
摩耗が甚だしく、またその摩耗によつてスピンド
ルのガタツキ等が惹起されることとなるために、
装置の耐久性および加工精度上の大きな問題点を
有していたのである。

（解決手段） ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背
景として為されたものであつて、その特徴とする
ところは、ベツトに立設されたコラムに保持され
た主軸ヘツドに、所定の駆動手段にて回転駆動せ
しめられるスピンドルを上下動可能に取り付ける
一方、該スピンドルをその軸方向で且つ上下方向
に往復動せしめることにより、該スピンドルの下
端部に取り付けた研磨砥石にて所定のワークの被
加工面を研磨するようにした研磨加工装置におい
て、該スピンドルの上端部と前記駆動手段の回転
軸とをコイルスプリングを介して連結せしめ、該
駆動手段の回転駆動力を、該コイルスプリングを
介して前記スピンドルに伝達して、該スピンドル
が回転駆動せしめられるようにすると共に、該コ
イルスプリングの伸縮によつて該駆動手段に対す
る該スピンドルの接近・離間を可能と為す一方、
該スピンドルを偏心カムにて前記主軸ヘツドに支
持せしめ、該スピンドルの回転に従う該偏心カム
の回転によつて該スピンドルがその軸方向に往復
動せしめられるようにしたことにある。

（発明の効果） このような本発明に従う構造とされた研磨加工
装置にあつては、その先端部に研磨砥石が取り付
けられるスピンドルの他方の端部に対して、コイ
ルスプリングを介して所定の駆動手段の回転軸が
接続され、該コイルスプリングを介して回転駆動
力が伝達されることとなる。それ故、そのスピン
ドルが回転駆動させられて、同時に偏心カムの作
用にて軸方向に往復動させられた場合にあつて
も、駆特手段の回転軸に対するスピンドルの軸方
向の相対動はコイルスプリングの伸縮作用にて許
容、吸収されるのであり、その回転駆動力が良好
に伝達され得るのである。

従つて、このように、コイルスプリングを介し
て駆動手段の回転駆動力をスピンドルに伝達する
本発明に従う構造のものにあつては、従来の装置
の如きキーを設ける必要がないところから、スピ
ンドルの往復動によつて、駆動力伝達部に摩耗が
惹起されるようなこともないのであり、それ故か
かる研磨加工装置の耐久性および加工面の面粗度
等の加工精度が効果的に向上され得るものであ
る。

（実施例） 以下、本発明を更に具体的に明らかにするため
に、本発明に従う構造とされた一実施例を、図面
を参照しつつ詳細に説明することとする。

先ず、第１図には、本発明に従う構造とされた
研磨加工装置の全体図が示されている。この図に
おいて、１０はベツドであり、その上面上には被
加工物把持チヤツク１２が設けられていると共
に、矩形状断面を呈するコラム１４が垂直に立設
されている。このコラム１４には、その一垂直面
上において、上下方向に延びるガイド１６が固設
されている。そして、このガイド１６にて案内さ
れつつ、上下方向に移動可能な状態で設けられた
アーム１８に対して、主軸ヘツド２０が一体的に
取り付けられ、支持されている。また、このアー
ム１８は、ガイド１６に沿つて設けられた、外周
面に雄ネジを有する上下駆動用スピンドル２２に
螺合されており、該スピンドル２２が、上下駆動
用モータ２４にて回転駆動せしめられることによ
つて、これらアーム１８と主軸ヘツド２０とが、
ガイド１６にて案内されつつ、上下方向に一体的
に移動せしめられるようになつている。なお、第
１図中、２６はロータリーエンコーダであり、図
示はされていないが、該ロータリーエンコーダ２
６から出力されるパルスを計測することによつ
て、上下駆動用スピンドル２２の回転状態、換言
すれば主軸ヘツド２０の位置を外部のカウンタな
どにおいて視覚表示し、或いはその停止位置を設
定し得るようにされている。

そころで、上記の如く、ガイド１６にて案内さ
れつつ、上下方向に移動せしめられる主軸ヘツド
２０は、略円筒形状を呈しており、第２図に示さ
れているように、その内部において、スピンドル
２８が、その下端部が該主軸ヘツド２０の下端面
から所定長さで突出する状態で配設されている。
このスピンドル２８は、その外周面がラジアルベ
アリング３０，３２を介して、主軸ヘツド２０或
いは主軸ヘツド２０に嵌入されたベアリングケー
ス３４にて支持されていると共に、その下端部近
傍が、スラストベアリング３６を介して、主軸ヘ
ツド２０の下端開口部に螺入され、ナツト３８に
て固定されたグランド４０にて支持されており、
該主軸ヘツド２０内において、回転可能且つ軸方
向に上下動可能な状態で収容されている。なお、
このスラストベアリング３６は、グランド４０の
主軸ヘツド２０に対する螺入深さを調整すること
により、その上端面に当接されるスピンドル２８
の段付面との間に所定距離の隙間が形成されるよ
うになつており、それによつて該スピンドル２８
の軸方向の動きを許容し得る構造とされている。
また、第２図中、４２は止め輪である。

また、かかるスピンドル２８の軸方向略中央部
には、略円錐台形状を呈するカム４４が外嵌さ
れ、止めネジ４５によつて一体的に取り付けられ
ている。一方、このカム４４の下方には、それぞ
れの互いに対向する端部に略円錐台形状の偏心カ
ム４６が取り付けられた二つの支持ピン４８，４
８が、スピンドル２８を狭んで対向する状態で、
同一軸心上に配置されている。そして、それぞれ
の支持ピン４８が、ベアリング５０を介して、フ
ランジ５２によつて主軸ヘツド２０に固定された
ベアリングケース５４にて回転可能に支持されて
いることによつて、二つの偏心カム４６，４６
が、スピンドル２８の軸心に直交する同一水平軸
心上において回転可能に配設されている。なお、
図中、５５は支持ピン４８をベアリング５０に取
り付けるためのナツトである。

そして、これら二つの偏心カム４６，４６は、
それぞれの傾斜面の上側面部分において、前記ス
ピンドル２８に取り付けられたカム４４の下側傾
斜面に当接されており、それによつて該スピンド
ル２８が、これらの偏心カム４６，４６にて軸方
向に支持されているのである。また、このことか
ら明らかなように、かかるスピンドル２８が回転
せしめられた際には、カム４４を介して、これら
偏心カム４６，４６が、それぞれの回転軸心回り
に回転せしめられることとなり、そして該偏心カ
ム４６の作用に基づいて、スピンドル２８が周期
的に上下動せしめられるようになつているのであ
る。

さらに、このスピンドル２８の上端部には、円
環状のカツプリング５６が外嵌され、相対回転不
能に取り付けられている。

一方、このようなスピンドル２８を内部に収容
する主軸ヘツド２０の上端部には、第２図に示さ
れているように、回転駆動モータ５８が、その回
転軸６０が前記スピンドル２８に対して同一軸心
上に且つ所定距離を隔てて対向する状態で固設さ
れている。また、この回転軸６０の先端部には、
ベアリング６２を介して前記主軸ヘツド２０に固
定されたフランジ６４にて回転可能に手持された
カツプリング６６が外嵌され、止めネジ６８にて
相対回転不能に固定されている。

そして、このカツプリング６６と前記スピンド
ル２８に取に付けられたカツプリンング５６との
間には、コイルスプリング７０が介装されてお
り、該コイルスプリング７０の両端部７２，７２
が、それぞれ両カツプリング６６，５６の外周縁
部に形成された切欠溝７４，７４に係止され、相
対回転不能に係合されていることによつて、駆動
モータ５８の回転駆動力が、該コイルアツプリン
グ７０を介してスピンドル２８に伝達せしめられ
るようになつているのである。また、このコイル
スプリング７０によつて、スピンドル２８が、所
定の付勢力をもつて常時下方に付勢されており、
該スピンドル２８に固設されたカム４４の偏心カ
ム４６に対する当接が、常に所定の押圧力をもつ
て為されるようにされているところから、それら
のカム４４，４６間のスリツプが効果的に防止さ
れ、スピンドル２８が回転駆動モータ５８にて回
転駆動せしめられた際の、偏心カム４６の回転に
従う該スピンドル２８の上下動が、それら偏心カ
ム４６に追従して良好に為され得るようにされて
いるのである。

このような構造とされた研磨加工装置にあつて
は、第１図に示されているように、スピンドル２
８の下端部に取り付けられた砥石脱着用チヤツク
７６を介して、その外周面に幾つかの研磨砥石が
配された回転工具７８が取り付けられるのであ
り、そして、モータ２４を駆動させて主軸ヘツド
２０を所定位置に保持せしめた状態下において、
回転駆動モータ５８を駆動させて、かかる回転工
具７８を回転及び上下振動せしめることによつ
て、前記被加工物把持用チヤツク１２にて把持さ
れた所定のワークに対して研摩加工が施されるこ
ととなるのである。

従つて、上述の如き構造とされた研磨加工装置
にあつては、回転駆動モータ５８の回転軸６０と
スピンドル２８とが、コイルスプリング７０にて
連結されていることによつて、該スピンドル２８
に対して、コイルスプリング７０による伸縮作用
にてその軸方向の相対動を許容しつつ、回転軸６
０の回転駆動力を伝達せしめ得る構造とされてい
るのであり、これによつてスピンドル２８に対す
るモータ５８の回転駆動力の伝達が良好に為され
得て、該スピンドル２８における回転作動及び上
下振動が極めてスムーズに行なわれ得るのであ
る。

また、かかる研磨加工装置にあつては、従来の
装置の如く、そのスピンドル２８に対して回転駆
動力を伝達するためにキーを設ける必要がないこ
とから、スピンドル２８の往復動によつて駆動力
伝達部に著しい摩耗が惹起されるようなこともな
いのであり、それ故研磨加工装置の耐久性が有効
に向上され得ると共に、そのような摩耗に起因す
る加工面の面粗度などの加工精度の低下が惹起さ
れるようなこともなく、その性能が極めて効果的
に向上され得るのである。

更にまた、本実施例における研磨加工装置にあ
つては、カム４４および偏心カム４６が、それぞ
れ略円錐台形状とされていることから、円板形状
の場合に比して、その回転による摩耗が有効に低
減され得ると共に、偏心カム４６が主軸ヘツド２
０側に手持されているところから、該偏心カム４
６が摩耗した際の交換が、フランジ５２を取り外
すことによつて極めて容易に行なうことができる
のである。

以下、本発明に従う構造とされた一実施例につ
いて詳述してきたが、これは文字通りの例示であ
つて、本発明は、かかる具体例にのみ限定して解
釈されるべきものではない。

例えば、前記実施例における研磨加工装置にお
いて、そのスピンドル２８を上下方向に往復動せ
しめる偏心カム４６は、２つの円錐台形状の部材
にて構成されていたが、この偏心カム４６は、ス
ピンドル２８に取りつけられたカム４４に作用し
て、該スピンドル２８を上下動せしめるものであ
ればよく、その形状や数量などは限定されるもの
ではなく、更にはそれらカム４４および偏心カム
４６を傘歯車にて構成することを可能である。

また、本発明は、回転作動せしめられるスピン
ドル２８を、駆動軸６０に対してコイルスプリン
グ７０を介して連結すると共に、該スピンドル２
８を偏心カム４６にて支持せしめられるようにし
たことに最も大きな特徴を有し、それによつて前
述の如き種々なる優れた効果を奏し得たものであ
り、上下駆動用モータ２４や或いはロータリーエ
ンコーダ２６等は必ずしも必要なものではなく、
例えば主軸ヘツド２０の上下動を手動にて行なう
ようにすることを可能である。

その他、一々列挙はしないが、本発明は当業者
の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、ま
た、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱
しない限りにおいて、何れも本発明の範囲内に含
まれるものであることは言うまでもないところで
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に従う構造とされた研磨加工装
置の一実施例を示す全体図であり、第２図は第１
図に示されている研磨加工装置における主軸ヘツ
ド部分を説明するための縦断面図である。 １０：ベツド、１４：コラム、２０：主軸ヘツ
ド、４４：カム、４６：偏心カム、５８：回転駆
動モータ、６０：回転軸、７０：コイルスプリン
グ、７８：回転工具（研磨砥石）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ベツトに立設されたコラムに保持された主軸
   ヘツドに、所定の駆動手段にて回転駆動せしめら
   れるスピンドルを上下動可能に取り付ける一方、
   該スピンドルをその軸方向で且つ上下方向に往復
   動せしめることにより、該スピンドルの下端部に
   取り付けた研磨砥石にて所定のワークの被加工面
   を研磨するようにした研磨加工装置において、 該スピンドルの上端部と前記駆動手段の回転軸
   とをコイルスプリングを介して連結せしめ、該駆
   動手段の回転駆動力を、該コイルスプリングを介
   して前記スピンドルに伝達して、該スピンドルが
   回転駆動せしめられるようにすると共に、該コイ
   ルスプリングの伸縮によつて該駆動手段に対する
   該スピンドルの接近・離間を可能と為す一方、該
   スピンドルを偏心カムにて前記主軸ヘツドに支持
   せしめ、該スピンドルの回転に従う該偏心カムの
   回転によつて該スピンドルがその軸方向に往復動
   せしめられるようにしたことを特徴とする研磨加
   工装置。