JPH037261Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は鉄道車両用歯車装置の歯車箱吊り装置
に関するものである。

〔従来の技術〕

従来の鉄道車両用歯車箱吊り装置の一例を、台
車に装架した電動機と車軸に装着した歯車装置を
有する電動台車に使用する歯車装置について、図
面を用いて説明する。

第２図は台車枠１に装架された主電動機２を有
する鉄道車両用台車の一例を示す要部平面図で、
歯車装置３は車軸４に装着され、且つピニオン軸
側の一端で主電動機２の伝達トルクの反力を受け
るために、歯車箱吊り装置５により台車枠１の歯
車箱吊り座１ａに支えられる。なお、主電動機２
のトルクは自在継手６により歯車装置３のピニオ
ン軸に伝えられる。

第３図は歯車箱吊り装置の側断面図を示し、主
電動機等は省略してある。また、第４図は歯車箱
吊り装置と歯車装置との連結部を示す詳細縦断面
図である。

これらの図に示すように、歯車箱吊り装置の吊
り棒９の上端は、台車枠１の歯車箱吊り座１ａを
弾性体１１および押え板１２で挟み、吊り棒上端
ねじ部をナツト１３により締め付けることによ
り、台車枠１に弾性的に支持されている。

第４図において、８は吊り棒９の下端に嵌着さ
れた球面軸受、７は球面軸受８の内径に挿通され
ているピンであり、該ピン７の両端は歯車装置３
の歯車箱の歯車箱吊り座３ａの穴に遊嵌して支持
されている。１０はグリスシールで、内部には球
面軸受８およびピン７の潤滑のためのグリスが封
入されている。

第３図において、電車走行による軸ばね（図示
せず）の撓みや乗客の増加による軸ばねの撓みに
より台車枠１が下降すると、吊り棒９と歯車装置
３の連結点も下降するので、歯車装置３が車軸を
中心として第３図の場合反時計方向に若干回転す
る。

このよな車両用の歯車装置の揺動回転は、吊り
棒９の上端部の弾性体１１の弾性撓みと、吊り棒
９の下端部の球面軸受８の回転により吸収される
ので、球面軸受８部の潤滑は不可欠であつた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来の歯車箱吊り装置は前記のように構成され
ているので、吊り棒下端部の歯車装置との連結部
のグリス潤滑が不可欠であつた。

このため (1) 給油を要する。給油を容易にするためには図
示してないがグリスニツプルを付属する必要が
ある。

(2) グリスシールを必要とする。グリスシールを
しても油漏れが生じ易い。

(3) グリスニツプル、グリスシール１０の吊り棒
９への締金具など部品点数が多い。従つて保守
にも手間がかかる。

などの欠点があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案にかかる鉄道車両用歯車箱吊り装置は、
前記のごとき欠点を解消するためになされたもの
で、歯車箱吊り装置の吊り棒の下端部に従来使用
されていた球面軸受に代えて、内筒と外筒の間に
ゴムなどの弾性体をモールドしたゴムブシユを用
いたものである。

すなわち、トルクの反力を受ける歯車箱吊り装
置の吊り棒の歯車箱側端部に、内筒と外筒の間に
ゴムなどの弾性体をモールドしその内筒面をテー
パ状としたゴムブシユの外筒を圧嵌し、中央部に
前記テーパ形状と係合するテーパ部を有し両端に
ねじを有するピンを前記ゴムブシユの内筒に嵌着
し、該ピンのテーパ部の両側部を歯車箱の吊り座
にそれぞれ鍔付きのブシユを介して支持し、且つ
テーパ小径側のブシユの一端面は前記ゴムブシユ
の内筒の端面に当接して押圧するようになし、他
端鍔部は歯車箱の吊り座に突設された回り止め座
と係合して回り止めされる構造とし、前記両ブシ
ユの外側鍔面を前記ピンの両端のねじに螺合する
ナツトにより締着したものである。

〔作用〕

本考案にかかる鉄道車両用歯車箱吊り装置は吊
り棒と歯車箱との連結部を前記のごとく構成した
ので、歯車装置の揺動回転は吊り棒の上下端共に
弾性体により吸収され、摺動部は全く無くするこ
とができる。

しかも、ゴムブシユは内筒と外筒の間に弾性体
をモールドしたものであり、その外筒は吊り棒の
歯車箱側端部に圧嵌し、内筒はピンとテーパ部に
小径側端面をブシユにより押圧することにより強
固に固定され、そのピンもこのブシユによつて歯
車箱の吊り座に対して回り止めされているので、
弾性体部以外は相互移動する部分は全く無く、摩
擦の心配をする必要はない。

〔実施例〕

本考案にかかる鉄道車両用歯車箱吊り装置の一
実施例につき図面によつて説明する。第１図は本
考案にかかる鉄道車両用歯車箱吊り装置の吊り棒
と歯車装置との連結部の縦断面図で、第３図、第
４図と同一の符号は同一または同一機能を有する
部分を示す。また、第５図は第１図におけるア方
向からの矢視図を示す。

第１図において、３ｂは歯車装置３の歯車箱の
歯車箱吊り座で、回り止め座３ｃが突設されてい
る。１５は吊り棒で、図示していないが上端部は
第３図と同じ構成で台車枠１に弾性支持されてい
る。１６は吊り棒１５の下端に圧嵌固定されたゴ
ムブシユで、同心的に配置された外筒１６ａと内
筒１６ｂの間にゴムなどの弾性体１６ｃをモール
ドして構成されており、内筒１６ｂの内径部はテ
ーパ状になつている。

１７はピンで、中央部は内筒１６ｂの内径と係
合するテーパ状となつており、内筒１６ｂの内径
に嵌着されている。ピン１７のテーパ部の両側部
は歯車箱吊り座３ｂに嵌着されたブシユ１８，１
９に支持されている。ブシユ１８，１９はいずれ
も鍔部１８ａ，１９ａを持つており、テーパ小径
側のブシユ１９の鍔部は第５図に示すように、鍔
部外周の一部を１９ａのように水平に切り欠き、
歯車箱吊り座３ｂに突設した回り止め座３ｃに係
合し、ブシユ１９を回り止めしている。

ピン１７の両端部にはねじが形成されており、
ブシユ１９の端部がゴムブシユ１６の内筒１６ｂ
の端面に当接し、ブシユ１８，１９の鍔部１８
ａ，１９ａを当て板２０，２１を介してナツナ２
２により締め付け押圧している。この締付力によ
りゴムブシユ１６の内筒１６ｂはブシユ１９を介
してピン１７のテーパ部に圧着固定される。

本考案にかかる歯車箱吊り装置は前記のように
構成されており、ゴムブシユの内筒１６ｂ、ピン
１７、ブシユ１９および歯車箱吊り座３ｂの相互
間は、ナツト２２の締付力およびテーパ部の緊締
力により押えられて変位せず、またゴムブシユの
外筒１６ａは吊り棒１５に圧嵌固定されているの
で、歯車装置３が揺動回転した場合の歯車箱吊り
座３ｂと吊り棒１５の間の変位は、ゴムブシユの
内筒１６ｂと外筒１６ａの間の弾性体１６ｃの歪
みにより吸収される。

〔考案の効果〕

本考案にかかる鉄道車両用歯車箱吊り装置は前
記のように構成され、ゴムブシユ１６の回転方向
歪みにより歯車装置の揺動回転による回転変位を
吸収するように構成しているので、従来のような
球面軸受および潤滑機構を廃止することができ
る。

このため、摩耗、油漏れなどの解消、部品点数
の減少による構造の簡素化と分解組立の簡単化、
ゴムブシユの緩衝効果による車両走行時の緩撃力
の減少など多くの効果が得られるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる鉄道車両用歯車箱吊り
装置の吊り棒と歯車装置との連結部の縦断面図、
第２図は台車枠に装架された主電動機を有する鉄
道車両用台車の一例を示す要部平面図、第３図は
従来の歯車箱吊り装置の側断面図、第４図は歯車
箱吊り装置と歯車装置との連結部を示す詳細断面
図、第５図は第１図におけるア方向からの矢視図
である。 １……台車枠、２……主電動機、３……歯車装
置、３ａ，３ｂ……歯車箱吊り座、３ｃ……回り
止め座、４……車軸、５……歯車箱吊り装置、６
……自在継手、７，１７……ピン、８……球面軸
受、９，１５……吊り棒、１０……グリスシー
ル、１１，１６ｃ……弾性体、１２……押え板、
１３，２２……ナツト、１６……ゴムブシユ、１
６ａ……外筒、１６ｂ……内筒、１８，１９……
ブシユ、１８ａ，１９ａ……鍔部、２０，２１…
…当て板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 台車に装架した主電動機と車軸に装着した歯車
   装置を有する鉄道車両用電動台車に使用する歯車
   装置において、トルクの反力を受ける歯車箱吊り
   装置の吊り棒の歯車箱側端部に、内筒と外筒の間
   にゴムなどの弾性体をモールドしその内筒面をテ
   ーパ形状としたゴムブシユの外筒を圧嵌し、中央
   部に前記テーパ形状と係合するテーパ部を有し両
   端にねじを有するピンを前記ゴムブシユの内筒に
   嵌着し、該ピンのテーパ部の両側部を歯車箱の吊
   り座にそれぞれ鍔付きのブシユを介して支持し、
   且つテーパ小径側のブシユの一端面は前記ゴムブ
   シユの内筒の端面に当接して押圧するようにな
   し、他端鍔部は歯車箱の吊り座に突設された回り
   止め座と係合して回り止めされる構造とし、前記
   両ブシユの外側鍔面を前記ピンの両端のねじに螺
   合するナツトにより締着して構成したことを特徴
   とする鉄道車両用歯車箱吊り装置。