JPH0371900B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 一般に繁用の簡易救急絆創膏は、殺菌消毒剤、
創傷治療剤を含浸させたガーゼを通気孔を有する
粘着性のシートに装着し、使用時に裏面の剥離紙
をはがして前記ガーゼ部を傷口局所に当てて使用
するようにしたものである。

しかしながら、これらの従来品においては、予
めガーゼに薬液を含浸させておくため、経時的に
薬液が蒸散し、また効力の失活をきたすばかりで
なく、局所への当接に際してはガーゼ部が乾燥状
態となつているため、傷口をいためるおそれがあ
り、使用に際しても、痛みを感じさせる等の欠点
があつた。

また、薬剤被覆膜により薬剤をシールしたブリ
スター部を有する救急絆創膏であつて、使用に際
してブリスター部を指で押圧して薬剤被覆膜を破
壊することにより薬剤パツドに含浸させるものも
知られている（実公昭54−23197号公報、米国特
許第3297032号明細書）。

しかしながら、この型の救急絆創膏は、ブリス
ター部が平滑な表面を有するものであるため、こ
れを押圧した時、力がブリスター部全体に分散
し、押圧部全体が不規則に窪んでしまうため、ブ
リスター部が薬剤被覆膜に到達してこれを破壊す
ることは非常に困難であつた。

また、例えブリスター部の内部圧力の上昇によ
つて薬剤被覆膜が破壊された場合でも、破壊箇所
はブリスター部と薬剤被覆膜の接線部分となり、
薬剤がパツド外縁部又はパツド外に移動し、その
効果が損なわれるという問題があつた。

また、米国特許第4117841号明細書には接着剤
が塗布された絆創膏ストリツプの中央部下表面
に、薬剤を保持する空間を形成して液体不浸透性
のシート（或いは液体不浸透性層を介して液体浸
透性のシート）を設け、該空間内の絆創膏ストリ
ツプの下表面にプラスチツクの歯のような突起体
を設け、また該空間内に薬剤を充填した絆創膏に
ついて記載されている。

この絆創膏は、使用に際し、前記シートを突起
体に指により押しつけ、シートを破壊して薬剤を
傷口に直接垂らした後、絆創膏を傷口に適用する
ものであるが、指によりシートを突起体に押しつ
けシートを破壊する操作は、突起体の先鋭部分に
より指を痛め、または傷つける恐れがあり、また
シートの破壊時に一部の薬液が指に付着し、更に
その後薬液を傷口に垂らす際に一部の薬液が傷口
から滴り落ちて薬液が無駄になる。また、この絆
創膏の基本的欠点として、絆創膏は突起体が残存
したまま、かつ、その先鋭部分が傷口に向つた状
態で傷口に適用されるので、突起体により傷をい
つそう傷める危険性があり、そうでなくても使用
感が極めて悪いという欠点を有するものである。

本発明は上記した従来技術の欠点を解決したも
のである。

即ち、本発明の救急絆創膏は、パツドを装着し
た粘着シートと剥離シートとからなり、剥離シー
トには、薬剤被覆膜によりその下面がシールさ
れ、かつ薬剤を内包するブリスター部がパツド上
に位置して設けられており、前記薬剤被覆膜には
ノツチが設けられていることを特徴とする。

本発明の救急絆創膏は、使用に際してブリスタ
ー部を指で押圧して薬剤被覆膜を破壊し、薬剤を
パツドに移動させるものであるが、薬剤被覆膜に
はノツチが設けられているので、薬剤被覆膜は、
そのノツチ部分に於て容易に破壊され、薬剤はパ
ツドに無駄なく確実に移動する。

このようにして、薬剤をパツドに含浸させた
後、薬剤被覆膜およびブリスター部を有する剥離
シートは粘着シートから除去される。そして、傷
口には薬剤の付いたパツドを有する粘着シートの
みが適用されるので使用上の危険性や違和感がな
い。

本発明に使用する薬剤については、殺菌消毒剤
としてグルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザ
ルコニウム、クロルキシレノール、アクリノー
ル、チアントール、塩化デカリニウム、スルフイ
ソミジン、スルフアミン、ニトロフラゾン、ホウ
酸、ホモスルフアミン、トリクロカルバン等があ
り、創傷部収斂治癒促進剤として酸化亜鉛、塩酸
ピリドキシン、酢酸トコフエロール、ジバルミチ
ン酸ピリドキシン等、止血剤としては塩酸ナフア
ゾリン、硫酸亜鉛、塩酸エフエドリン等、抗炎症
剤としてはプレドニゾロン、デキサメサゾン、酢
酸コルチゾン等のステロイド剤、グリチルレチ
ン、塩化リゾチーム等、抗ヒスタミン剤としてマ
レイン酸クロルフエニラミン、塩酸ジフエンヒド
ラミン等がある。

又、局麻剤としてはリドカイン、アミノ安息香
酸エチル、塩酸プロカイン、塩酸ジプカイン、塩
酸テトラカイン、塩酸パラブチルアミノ安息香酸
ジエチルアミノエチル等がある。

これらの薬剤は目的に合わせ、単味で又は複数
の配合剤とすることができ、又、薬剤の性状な溶
液状の他、軟膏状、グリース状、粉末等流動性の
あるものであれば以下なる性状でもよい。

粘着シートは、通常用いられるものでもよく、
パツドは、脱脂綿その他各種の綿、不織布等を使
用することができ、適宜その中央部をへこませた
形状とすることができる。又、通常の方法により
裏面を防水処理してもよい。

剥離シートは、塩化ビニール樹脂その他の合成
樹脂等の材質により成型され、中央部に円形、だ
円形若しくは矩形状のブリスター部を設け、又剥
離シートをめくり易くするために端部にスリツト
を設けるのがよい。

剥離シートのブリスター部下面には、薬剤を使
用時までパツドに接触させるのを防止するための
薬剤被覆膜がシールしてある。薬剤被覆膜はアル
ミ箔、グラシン紙等に破壊されやすい膜が採用さ
れる。該被覆膜は、薬剤を保護しうる大きさでよ
いが、剥離シートの下面全体に設けられていても
さしつかえない。

以下、図面により本発明を更に詳細に説明す
る。第１図は、本発明の救急絆創膏の一実施例の
断面図、第２図は第１図のＡ−A′縦断面図、第
３図は剥離シートの平面図である。

図面において、１はパツド２を装着した粘着シ
ートであり、パツド上部には薬剤３が、薬剤被覆
膜５と剥離シート４に設けられたブリスター部６
との空間内に内包されている。該薬剤被覆膜５に
はノツチが設けられており、また剥離シート４の
端部にはスリツト７が刻設してある。

救急絆創膏を使用するに際しては、ブリスター
部６を指で押圧して、薬剤被覆膜５のノツチ部８
を破壊することにより薬剤３をパツド２上に移動
させる。

次いで、スリツト７を折り曲げ剥離シート４を
粘着シート１よりはがし、新鮮な薬剤の付いたパ
ツド２の部分を創傷面に当接使用する。

また、本発明の救急絆創膏に於ては、第４図に
示すように、ブリスター部６の凹状の突起９を設
けることができる。このようにブリスター部に凹
状の突起を設けておくと、該凹状の突起に窪み部
分に指をかけて押圧することができるので、ブリ
スター部の押圧操作がしやすく、そして突起部分
は形状的にその周辺部分より硬いため、これを上
方より押圧すれば突起部分は、その形状が壊れる
ことなく薬剤被覆膜に到達し、その所望の場所、
一般的にはパツドの中央部に対応する箇所の薬剤
被覆膜を破壊するので薬剤のパツドへの移動をよ
り確実に行うことができる。

本発明の効果は次のとおりである。

本発明の救急絆創膏は、使用に際してブリスタ
ー部を指で押圧して薬剤被覆膜を破壊し、薬剤を
パツドに移動させるものであるが、薬剤被覆膜に
はノツチが設けられているので、薬剤被覆膜は、
そのノツチ部分に於て容易にかつ確実に破壊され
る。そして、薬剤はパツドに無駄なく確実に移動
する。

また薬剤をパツドに移動させた後、薬剤被覆膜
およびブリスター部を有する剥離シートは粘着シ
ートから除去され、傷口には新鮮な薬剤が付いた
パツドを有する粘着シートのみが適用され、米国
特許第411841号明細書の絆創膏のように突起体の
ような不要物が傷口部分に当接されることがない
ので傷口に対して違和感がなく、かつ安全に使用
することができ、殺菌、消毒、治療の所望の目的
を有効に達成できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の救急絆創膏の平面図、第２図
は第１図のＡ−A′縦断面図、第３図は第１図の
救急絆創膏の剥離シートの平面図、第４図は他の
実施例における剥離シートの縦断面図。 １……粘着シート、２……パツド、３……薬
剤、４……剥離シート、５……薬剤被覆膜、６…
…ブリスター部、７……スリツト、８……ノツ
チ、９……凹状突起。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ パツドを装着した粘着シートと剥離シートと
   からなり、該剥離シートには、薬剤被覆膜により
   その下面がシールされ、かつ薬剤を内包するブリ
   スター部が前記パツド上に位置して設けられてお
   り、前記薬剤被覆膜にはノツチが設けられている
   ことを特徴とする救急絆創膏。