JPH0368741B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、例えば塗装のように、塗布すべき物
質を対象物に向け分散供給する吹付けに関する。

従来の技術及びその問題点 吹付けの技術においては、対象物に対し望まし
い吹付をなすには、吹付装置と対象物との距離が
重要なフアクタであることが知られている。例え
ば塗料の吹付けにおいては、吹付装置と物品との
距離が各吹付装置の吹付物噴出条件により決まる
所定の位置にあるときに、均一な吹付パターンと
望ましい塗膜厚さが得られる。このように吹付装
置と対象品との距離に望ましい一定の値があるの
は、吹付物質が液体である場合に限らず粉体塗装
のように吹付物質が微細な固体である場合にもあ
てはまり、また、塗装のみに限らず、物品を各種
薬剤や水、接着剤等で処理するため吹付けを行う
場合等にも同様にあてはまる。

吹付装置と物品との距離を最適値に保つため、
物品との距離を検知しこれによつて吹付装置を移
動させる方法（例えば昭和58年２月２日公開の特
開昭58−17864号公報に記載のもの）や、物品の
形状を予め記憶回路に記憶させておき、このデー
タに基づいて物品との距離が一定に保たれるよう
に吹付装置を移動させる方法（例えば昭和58年５
月26日公開の特開昭58−88064号公報に記載のも
の）が知られているが、いずれも吹付装置を物品
との距離を変える方向に自動的に移動させる機構
を必要とし装置全体が大規模なものとなり、また
手持で使用する吹付装置には応用することができ
なかつた。

本発明の目的は、上述の問題点に鑑み、吹付装
置を移動する機構を必要とすることなく最適な吹
付条件を自動的に得ることができる吹付方法及び
装置を提供することにある。

問題点を解決するための手段 本発明による方法では、吹付装置と物品との距
離を吹付装置に一体に設けた距離測定装置により
計測し、該計測値に応じ吹付物質の噴出条件を、
距離計測装置にあらかじめ記憶させた吹付距離に
対する噴出条件の関係にもとづいて求め、この求
めた噴出条件を得るよう、吹付装置に付属の調整
装置を自動的に同調変化させるようになして上記
問題を解決した。

本発明による装置では、吹付装置と物品間の距
離を計測し測定距離に応じた信号を出力する距離
計測装置を吹付装置と一体に設け、この出力に応
じ、吹付装置の噴出口を通り流出する吹付物質の
量を制御する制御弁装置の開度を決定するように
なすことにより、上記問題を解決した。また本発
明による装置のうち、吹付物質の供給路内にあつ
て噴出口を通り流出する吹付物質の量を制御する
吹付物質用の制御弁装置と、加圧空気の供給路内
にあつて空気口を通る空気量を制御する空気用の
制御装置とを有し、空気口より吐出する空気によ
つて吹付物質を霧状に分散させる型式のものにあ
つては、上述した距離計測装置からの出力に応じ
吹付物質用及び空気用の制御弁装置の少くとも一
方の開度を決定するようにして上記問題を解決し
た。

実施例 第１図は本発明の１つの実施例である塗装用の
吹付装置の縦断面図であり、塗料の噴出口１とこ
れに連通した塗料の供給路２とを有している。供
給路は塗料の供給源Ｓに連通している。噴出口１
の周囲には空気口３が形成され、これに連通して
加圧空気の供給路４が形成され。該供給路には空
気コンプレツサＰが接続されている。空気供給路
からはパターン調整用空気通路４ａが分岐しパタ
ーン調整用空気口３ａ、まで延びており、この空
気口３ａを出る空気で噴霧のパターンが変わる。
塗料用の供給路２内には塗料の流量を制御する制
御弁装置５が設けられ、これは噴出口１に近接し
て形成された弁座６と、該弁座に近づきまたそれ
から離れるよう変位可能に設けられた弁部材７と
を有する。同様に空気用の供給路４にも空気用の
制御弁装置８が設けられ、これは弁座９と弁部材
１１とを有している。各々の弁部材７，１１はば
ね１２によつて弁閉鎖位置に向け押圧されてい
る。

弁部材７，１１にはそれぞれソレノイド１３，
１４が組合わせてあり、ソレノイドが付勢された
とき弁部材を弁開放方向に変位させるようになつ
ており、またこれらソレノイドが付勢されたとき
の弁部材の位置はストツパ１５，１６により決定
される。ストツパはサーボモータ１７，１８の出
力軸１９，２１に設けたねじ部とねじ対偶をな
し、また図示しない任意の手段により出力軸の長
手方向には移動可能であるがその回転は阻止され
るようになつており、従つて出力軸１９，２１の
回転位置によつて出力軸の長手方向に沿う位置が
決まるようになつている。

吹付装置は距離計測装置２５を一体に備えてい
る。対象物の距離を検知しその距離に応じた電気
的な出力を生ずる装置は、超音波、光、電波等を
使用したものが周知であり、本発明はそのいずれ
も応用することが可能であるが、本例では超音波
を利用した装置を用いており、超音波を発信、受
信する検出部２６と、これによつて得た距離のデ
ータを基にソレノイド１３，１４及びサーボモー
タ１７，１８に与える出力を生じる演算出力回路
２７とより成る。検出部２６は噴出口１と同じ水
平位置とすることが望ましい。距離計測装置、ソ
レノイド、サーボモータへの電力は電池２０より
供給するが、これに代え、外部の電源から給電す
る構成にもできる。

最適の塗装被膜を得るための塗料噴出条件、即
ち弁部材７，１１の位置により決定される塗料又
は空気あるいはその両方の噴出流量は、吹付装置
と物品間の距離により変化し、逆にこの距離の変
化に応じて塗料噴出条件を変えることにより、一
定の距離の範囲では一定した塗装被膜が維持でき
る。このような距離と塗料噴出条件との関係は各
吹付装置について実験により容易に求めることが
できる。演算出力回路２７はこのような距離と塗
料噴出条件との関係のデータを記憶させ、これに
よつて検出部２６により得た距離のデータを基
に、それに応じて弁部材７，１１の開放位置をと
らせるべく、サーボモータ１７，１８の回転位置
を決定する出力を生じる構成とする。尚、本例に
おいては、演算出力部２７は、吹付装置と物品間
の距離が、弁部材７，１１の位置制御によつて所
望の塗装被膜が得られる限界内にあるときのみ、
ソレノイド１３，１４を付勢する出力を生じ、こ
れによつて距離が上記限界を外れた場合には自動
的に塗料の噴出が停止できるようになつている
が、このような機能をもたせる必要がない場合、
始動スイツチ（図示せず）を入れたときにソレノ
イド１３，１４が付勢されるようにして、これら
ソレノイドを単に操作員による塗装の開始、停止
を行う手段としてもよい。

上述した実施例の使用に当つては、操作者が吹
付装置を対象物に向け図示しない始動スイツチを
入れる。これによつて距離計測装置２５が作動
し、連続的に物品までの距離を測定しこの距離が
所定の範囲内であればソレノイド１３，１４を付
勢し吹付を開始する。その直前あるいは同時にサ
ーボモータ１７，１８が回転しストツパ１５，１
６を移動させ、弁部材７，１１に、そのときの距
離に最も適した位置をとらせる。すなわち噴出の
条件は常にリアルタイムに変動し、吹付距離に同
調しながら最適の噴出条件を維持していく。尚、
この弁部材の位置による噴出条件の選定は、塗料
及び空気の一方のみの流量を変化させて行うこと
も可能である。

第３図は本発明の他の実施例である塗装用の吹
付装置の縦断面図であり、塗料の噴出口３１とこ
れに連通した塗料の供給路３２とを有している。
供給路は塗料の加圧供給源PSに連通している。
加圧された塗料はその圧力の作用で噴出口３１を
出る際に霧状に分散し、従つて本例では加圧空気
を供給する必要はない。供給路３２内には塗料の
流量を制御する制御弁装置３５が設けられ、これ
は噴出口３１に近接して形成された弁座３６と、
該弁座に近づきまたそれから離れるよう変位可能
な弁部材３７とを有する。弁部材３７にはラツク
部３８が形成されており、これにはピニオン３９
が噛合している。ピニオン３９はサーボモータ４
１の出力軸に固定した歯車４２により駆動を受け
る。吹付装置はそれと一体に距離計測装置４５を
備え、これは超音波を発信、受信する検出部４６
とこれによつて得た距離のデータを基に弁部材３
７に所望の位置をとらせるための出力を生ずる演
算出力回路４７とより成る。またこの演算出力回
路は図示しない始動スイツチが入れられていない
ときは、自動的に弁部材３７を弁閉鎖位置に戻す
出力をサーボモータ４１に与えるようになつてい
る。電池３０により距離計測装置とサーボモータ
への給電を行う。

第３図の実施例の使用に当り、操作者が吹付装
置を対象物に向け始動スイツチを入れると、距離
計測装置４５の作動によつてサーボモータ４１が
連続的に作動し弁部材３７をその距離に応じた最
適の塗料噴出条件を得る位置に移動させる。

以上の説明において判るように、本発明では、
吹付物質の噴出条件を変化させるためには幾つか
の手段がある。本明細書では、便宜上、これら手
段を調整装置と総称する。これまでの説明で判る
ように、調整装置には、噴出口１の開度を変化さ
せる手段、空気口３の開度を変化させる手段、及
び噴出口３１の開度を変化させる手段が含まれ
る。

発明の効果 本発明においては上述のように、吹付装置と物
品との間の距離に応じ吹付物質の噴出条件を自動
的に変えて最適の吹付状態を維持するようになし
たため、吹付装置を距離調整のために移動させる
機構は不要となり構造を単純化でき、また手持ち
の吹付装置への応用も可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の１つの実施例である吹付装置
の縦断面図；第２図は第１図の装置の端面図；第
３図は本発明の他の実施例である吹付装置の縦断
面図である。 １，３１……噴出口、２，３２……吹付物質の
供給路、３……空気口、４……空気の供給路、
５，３５……吹付物質用の制御弁装置、６，３６
……弁座、７，１１，３７……弁部材、８……空
気用の制御弁装置、１３，１４……ソレノイド、
１５，１６……ストツパ、１７，１８，４１……
駆動装置の一部であるサーボモータ、１９，２１
……出力軸、２５，４５……距離計測装置、３９
……伝達機構の一部のピニオン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 吹付装置と物品との距離を吹付装置に一体に
   設けた距離計測装置により計測し、該計測値に応
   じ吹付物質の噴出条件を、前記距離計測装置に予
   め記憶させた吹付距離に対する噴出条件の関係に
   もとづいて求め、この求めた噴出条件を得るよ
   う、吹付装置に付属の調整装置を自動的に同調変
   化させるようになした吹付方法。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載の方法におい
   て、前記噴出条件を、吹付物質の噴出流量を変化
   させることにより変えるようになした吹付方法。 ３ 特許請求の範囲第１項に記載の方法におい
   て、前記噴出条件を吹付物質を霧状に分散させる
   ための空気流量を変化させることにより変えるよ
   うになした吹付方法。 ４ 特許請求の範囲第１項に記載の方法におい
   て、前記噴出条件を、吹付物質の噴出流量及び吹
   付物質を霧状に分散させるための空気流量を共に
   変化させることにより変えるようになした吹付方
   法。 ５ 吹付物質の供給路と、吹付物質の噴出口と、
   前記供給路内にあつて前記噴出口を通り流出する
   吹付物質の量を制御する制御弁装置を有した吹付
   装置において、吹付装置と物品間の距離を計測し
   測定距離に応じた信号を出力する距離計測装置を
   吹付装置と一体に設け、かつ前記出力に応じ前記
   制御弁装置の開度を決定する駆動装置を設けたこ
   とを特徴とする吹付装置。 ６ 特許請求の範囲第５項に記載の装置におい
   て、前記制御弁装置は前記供給路内に設けた弁座
   と、該弁座に対し近づきまた離れるよう移動可能
   に設けられた弁部材より成る吹付装置。 ７ 特許請求の範囲第６項の記載の装置におい
   て、前記駆動装置は前記出力に応じ回転位置が決
   定される出力軸を有したモータと、該出力軸の回
   転を前記弁部材の変位に変換する伝達機構とより
   成る吹付装置。 ８ 特許請求の範囲第６項の記載の装置におい
   て、前記駆動装置は前記出力に応じ回転位置が決
   定される出力軸を有したモータと、前記弁部材を
   前記弁座から離れる方向に移動するように作用す
   るソレノイドと、前記出力軸の回転により該出力
   軸の長手方向に変位するよう該出力軸に連結され
   前記弁部材の開放位置を決定するストツパとより
   成る吹付装置。 ９ 吹付物質の供給路と、吹付物質の噴出口と、
   前記供給路内にあつて前記噴出口を通り流出する
   吹付物質の量を制御する吹付物質用の制御弁装置
   と、加圧空気の供給路と、吐出する空気により前
   記噴出口より流出する吹付物質を霧状に分散させ
   るよう配置された空気口と、加圧空気の供給路内
   にあつて空気口を通る空気流量を制御する空気用
   の制御弁装置と、を有した吹付装置において、吹
   付装置と物品間の距離を計測し測定距離に応じた
   信号を出力する距離計測装置を吹付装置と一体に
   設け、かつ前記出力に応じ前記吹付物質及び空気
   用の制御弁装置の少くとも一方の開度を決定する
   駆動装置を設けたことを特徴とする吹付装置。