JPH0367687B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、発症によつて人体の局部に温度変化
を生じる疾病の診断に用いる接触型サーモグラフ
イー装置に関する。

［従来の技術］ 従来より広く利用されている接触型サーモグラ
フイー装置は、人体の局部に接触させて局部の体
表温度を色彩熱画像に転換する熱応答性液晶板
と、その熱画像をカラー写真記録するカメラ装置
の２つの要部よりなり、通常金属製またはプラス
チツク製のパイプ等を適宜組立てた支持体上の前
部に熱応答性液晶板を、後部にカメラを固定し、
その支持体の下部に把手を具えた構造形態となつ
ている。

かかる構造のサーモグラフイー装置を臨床利用
するときは医師またはその補助操作者が支持体下
部の把手を握つて装置を支え、前部に固定した熱
応答性液晶板を患者の体表局部に押付けて、熱応
答性液晶板上に出現する熱画像を目視によつて確
認したうえで把手部分に配置したカメラのリリー
ズシヤツターを押して写真記録を撮る装置となつ
ている。

また上記と同様の構造物であるが支持体の下部
にキヤスター付きの脚を設けて床上に固定する構
造形態のものも利用されている。

上記いずれの装置も良質なカラー写真を得るた
めに複数個のストロボ光源を用いて光量の配分を
種々工夫している。

また、レイノー病のごとく末梢血管の病的収縮
による血行不良によつて発症する疾病を診断する
サーモグラフイー装置においては、通常手掌の末
梢血管の血行状態を熱画像化するために手掌を強
く熱応答性液晶板に押付ける必要がある。このた
めに前記２例の装置に代えてテーブル状の台座上
に比較的硬い表面に仕上げた熱容量の大きい発泡
スチロール板上に熱応答性液晶シートを貼付して
その貼付面に手掌を強く押付けて熱応答性液晶シ
ート上に手掌全体の熱画像を出現させたあと手掌
を取除き熱画像をカラー写真記録する装置が考案
されている。

この装置は熱応答性液晶シートを貼付する発泡
スチロールの蓄熱効果を利用して、熱応答性液晶
シート面に手掌を押付けたときに転移する熱を発
泡スチロールに蓄熱したあと、手掌を取除き、そ
の僅かな蓄熱持続時間内に熱応答性液晶シート上
に残る熱画像の写真撮影を行うことを試みてい
る。

［発明が解決しようとする課題］ 前掲のサーモグラフイー装置の構造形態のうち
前者は、支持体上に固定された液晶板とカメラを
支持体ごと両手または片手で支持し、適宜移動し
て患者の身体の各部局所の熱画像を観察および撮
影する操作に適しているが、その装置の重量が２
〜６Kgに達するため両手で支持しながら操作する
のは必ずしも容易ではないこと、また患部の部位
によつては液晶板と患部局所の良好な密着を得る
ために、医師その他の操作者は片手で患部局所に
液晶板を押付けながら他の片手でサーモグラフイ
ー装置を操作する必要に迫られるときにその操作
は著しく不便となる。

一方、装置に脚を設けて床に固定する装置にお
いては、患者が立位または椅子に直立した座位姿
勢で液晶板を接触できる患部にしか適用できない
といつた欠点がある。

また、レイノー病診断用として例示したサーモ
グラフイー装置は液晶板の表面に手掌を当てる用
法のために、手掌を取除かなければ熱画像を観察
することができないので、手掌を取除いたときに
熱画像が不鮮明であることが判明したときには写
真撮影を諦めて再度やり直す必要があることと、
また熱画像の持続を発泡スチロールの蓄熱性に依
存するために短い持続時間中に写真撮影を行わな
ければならない難点がある。

本発明は、上記欠点難点等を解決することを課
題とするものである。

［課題を解決するための手段］ 本発明は上記の課題を解決するために、ボツク
スの上面部と前面部にそれぞれ開口部を設け、上
面開口部に熱応答性液晶板を配置し、またボツク
ス内には前記熱応答性液晶板の裏面に形成される
色彩熱画像を反射面を経由して前記前面開口部よ
り目視可能とするミラーを具えた構成を採用し
た。

また、前記ボツクス内に、このボツクスの上面
開口部に配置した熱応答性液晶板の裏面に形成さ
れる色彩熱画像を撮影するカメラを具えた構成を
採用した。

また、前記ボツクスを仕切板により前室と後室
に区分し、前室側の上面部と前面部にそれぞれ開
口部を設け、上面開口部に熱応答性液晶板を配置
し、また前室内には前記熱応答性液晶板の裏面に
形成される色彩熱画像を撮影するカメラを具え、
一方、後室内にはストロボを具え、また前記仕切
板の上部には後室より照射されるストロボライト
を拡散して前室に透過する光透過板を設け、また
前室の内側壁上部に光を拡散反射する光反射面を
形成するとともにその下部に光を吸収する光吸収
面を形成し、更に前室の前面開口部の上部に、内
側に光を拡散反射する光反射面を形成した光反射
板を設けた構成を採用した。

［作用］ 本発明によれば、ボツクスの上面開口部に配置
した熱応答性液晶板に人体の患部を接触させるこ
とにより、熱応答性液晶板の裏面に色彩画像が形
成され、この色彩画像はボツクス内に具えたミラ
ーの反射面を経由して、ボツクスの前面開口部か
らの目視を可能とする。

また、ボツクス内に、このボツクスの上面開口
部に配置した熱応答性液晶板の裏面に形成される
色彩熱画像を撮影するカメラを具えたので、ボツ
クスの前面開口部よりミラーの反射面を経由して
色彩熱画像を観察、診断を行いながら、この色彩
熱画像の写真撮影を可能とする。

また、ボツクスを仕切板により前室と後室に区
分し、前室側の上面部と前面部にそれぞれ開口部
を設け、上面開口部に熱応答性液晶板を配置し、
また前室内には前記熱応答性液晶板の裏面に形成
される色彩熱画像を撮影するカメラを具え、一
方、後室内にはストロボを具え、また前記仕切板
の上部には後室より照射されるストロボライトを
拡散して前室に透過する光透過板を設け、また前
室の内側壁上部に光を拡散反射する光反射面を形
成するとともにその下部に光を吸収する光吸収面
を形成し、更に前室の前面開口部の上部に、内側
に光を拡散反射する光反射面を形成した光反射板
を設けたから、後室より照射されるストロボライ
トは、仕切板の上部に設けた光透過板から前室内
に拡散されて透過し、且つ前室に透過したストロ
ボライトは更に前室の内側壁上部及び光反射板の
内側に形成した光反射面に反射して拡散し、ま
た、前室内において下方に拡散したストロボライ
トは前室の内側壁下部に形成した光吸収面に吸収
されるので熱応答性液晶板の裏面に形成される色
彩画像をカメラで撮影するあたりに、ハレーシヨ
ンのない良好な撮影が行える。

［実施例］ 以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて詳
細に説明する。

図面において１は立方六面体のボツクスであ
り、このボツクス１は仕切板２により前室３と後
室４の２室に区分されている。

かかるボツクス１の前室３側の上面部に上面開
口部５が設けられ、前面部には前面開口部６が設
けてある。前記上面開口部５には透明なガラスや
アクリルからなる支持板７が設けてあり、この支
持板７の上面に熱応答性液晶板８が配置されてい
る。この熱応答性液晶板８はその表面で受熱し裏
面に色彩熱画像が形成されるようになつている。
ボツクス１の前室３内には、前記熱応答性液晶板
８の裏面に形成される色彩熱画像を反射面を経由
して前面開口部６より目視可能とるミラー９が設
けてある。このミラー９は球面対偶となる球１０
と球面軸受１１とからなる反射角度調節体１２に
より回動自在に支持されており、その反射角度を
自由に調節できるようになつている。

また、ボツクス１の前室３内には、ボツクス１
の上面開口部５に配置した熱応答性液晶板８の裏
面に形成される色彩熱画像を撮影するためのカメ
ラ１３が設けてある。このカメラ１３は、前部開
口部６からボツクス１内を覗き、ミラー９の反射
面に写つた熱応答性液晶板８の裏面の色彩熱画像
の観察をする際の妨げにならない位置に設けられ
ている。

ボツクス１の後室４にはストロボ１４が設けて
ある。また、前記ボツクス１を前室３と後室４に
仕切る仕切板２にあつては、その上部数センチの
部分に、前記後室４のストロボ１１により照射さ
れるストロボライトを前室３に拡散して透過する
光透過板１５を設けた。この光透過板１５はすり
ガラスや小孔を一面に多数穿つた板体等の光を拡
散して透過するものであれば特に限定されるもの
ではなく、この実施例では光透過板１５としてす
りガラスを使用している。

前室３の内側壁の上部には、前記仕切板２の光
透過板１５の幅に相当する部分に光を拡散反射す
る、例えばエンボス反射材を貼付して光反射面１
６を形成し、内側壁の下部には光を吸収する黒色
塗料を塗布して光吸収面１７を形成している。

また、前室３の前面開口部６の上部に、内側に
光を拡散反射する光反射面１８を形成した光反射
板１９を設けている。

また、前室３内には照明用の蛍光ランプ２０が
設けられている。

一方、前記した後室４の内面には、仕切板２の
上部に設けた光透過板１５の部分を除き、光を反
射する反射面に形成されており、ストロボライト
を反射するエンボス反射材を貼付したり或は白色
カラーを塗布した内部構造となつている。

前記したカメラ１３とストロボ１４と蛍光ラン
プ２０とは同期回路で（図示せず）接続され、カ
メラ１３のシヤツター釦を押すと、蛍光ランプ２
０が消燈し、ストロボ１４が発光し、そして撮影
が終了すると蛍光ランプ２０が自動的に点燈する
ように構成されている。

上記の実施例に示す診断用サーモグラフイー装
置によれば、その基本構造がボツクス構造になつ
ていることにより、特に精素静脈瘤のごとく病変
異常温度が睾丸に現れる疾病の診断には、患者が
ボツクス１の上面に腰掛けることによつて睾丸が
ボツクス１の上面に配置した熱応答性液晶板８の
上に自然に密着して液晶板８上のボツクス１の内
部面に熱画像を出現させることができることによ
つて、操作者は椅子に座つたままの姿勢でその熱
画像をミラー９を経てボツクス１の前面開口部６
より観察診断する一方、ボツクス１に固定したカ
メラ１３によつてカラー写真撮影を可能にする構
造によつて操作者は重量装置を手で支える操作か
ら開放される。

また、レイノー病の診断の場合は、ボツクス１
の液晶板８に手掌を強く押付けることによつて生
じる熱画像を前記と同様にミラー９によつて容易
に観察診断でき、写真撮影は画像を観察しながら
シヤツター操作ができる利便が生まれる。更に、
乳癌の診断用に利用するときは患者がボツクス１
上の液晶板８に胸部を密着するように横臥すると
患者の体重によつて患部と液晶板８の良好な密着
が得られる一方、操作者は椅子に腰掛けた状態で
ボツクス１の前面開口部６よりミラー９を経て熱
画像を観察、診断、写真撮影などの操作が可能に
なる。

また、足蹠部の難治性皮膚疾病などで末梢血流
と関連のある疾患の診断の場合は、患者をボツク
ス１上の液晶板８上に立たせることによつて患部
と液晶板８との良好な密着が得られるので、操作
者は従来の装置のように手動操作によつて液晶板
８と患部との良好な密着を得るための作業が不要
となり、熱画像の観察、診断、写真撮影は従来の
装置と比較してはるかに容易に行うことができ
る。

［発明の効果］ 以上のように本発明に係る診断用サーモグラフ
イー装置によれば、ボツクスの上面開口部に配置
した熱応答性液晶板に人体の患部を接触させるこ
とにより、熱応答性液晶板の裏面に色彩画像が形
成され、この色彩画像をボツクス内に具えたミラ
ーの反射面を経由して、ボツクスの前面開口部か
ら目視することができ、また、ボツクス内に、こ
のボツクスの上面開口部に配置した熱応答性液晶
板の裏面に形成される色彩熱画像を撮影するカメ
ラを具えたので、ボツクスの前面開口部よりミラ
ーの反射面を経由して色彩熱画像を観察、診断を
行いながら、この色彩熱画像の写真撮影をするこ
とができる。また、ボツクスの仕切板により前室
と後室に区分し、前室側の上面部と前面部にそれ
ぞれ開口部を設け、上面開口部に熱応答性液晶板
を配置し、また前室内には前記熱応答性液晶板の
裏面に形成される色彩熱画像を撮影するカメラを
具え、一方、後室内にはストロボを具え、また前
記仕切板の上部には後室より照射されるストロボ
ライトを拡散して前室に透過する光透過板を設
け、また前室の内側壁上部に光を拡散反射する光
反射面を形成するとともにその下部に光を吸収す
る光吸収面を形成し、更に前室の前面開口部の上
部に、内側に光を拡散反射する光反射面を形成し
た光反射板を設けたから、後室より照射されるス
トロボライトは、仕切板の上部に設けた光透過板
から前室内に拡散されて透過し、且つ前室に透過
したストロボライトは更に前室の内側壁上部及び
光反射板の内側に形成した光反射面に反射して拡
散し、また、前室内において下方に拡散したスト
ロボライトは前室の内側壁下部に形成した光吸収
面に吸収されるので熱応答性液晶板の裏面に形成
される色彩画像をカメラで撮影するあたりに、ハ
レーシヨンのない良好な撮影を行うことができる
とともに、写真撮影装置をボツクス内に収容する
ことは、ボツクス自体がフードの機能を果すこと
によつて良好な写真画像が得られるのみならず、
写真撮影時のストロボライト照射がボツクス内で
行われることによつて患者の目に不必要な刺激を
与えることを避けることができる。

上記にように、本発明に係る診断用サーモグラ
フイー装置は、従来のサーモグラフイー装置に比
べより正確な診断を可能とするとともに操作上の
手動労作を著しく軽減することができ、更には従
来のサーモグラフイー装置では利用困難とされて
いた局所にも容易に利用することができるといつ
た効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すものであり、第
１図は斜視図、第２図は第１図の一部切欠図、第
３図は縦断面図である。 １……ボツクス、２……仕切板、３……前室、
４……後室、５……上部開口部、６……前部開口
部、８……熱応答性液晶板、９……ミラー、１３
……カメラ、１４……ストロボ、１５……光透過
板、１６……光反射面、１７……光吸収面、１８
……光反射面、１９……光反射板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ボツクスの上面部と前面部にそれぞれ開口部
   を設け、上面開口部に熱応答性液晶板を配置し、
   またボツクス内には前記熱応答性液晶板の裏面に
   形成される色彩熱画像を反射面を経由して前記前
   面開口部より目視可能とするミラーを具えてなる
   診断用サーモグラフイー装置。 ２ ボツクス内に、このボツクスの上面開口部に
   配置した熱応答性液晶板の裏面に形成される色彩
   熱画像を撮影するカメラを具えてなる請求項１記
   載の診断用サーモグラフイー装置。 ３ ボツクスを仕切板により前室と後室に区分
   し、前室側の上面部と前面部にそれぞれ開口部を
   設け、上面開口部に熱応答性液晶板を配置し、ま
   た前室内には前記熱応答性液晶板の裏面に形成さ
   れる色彩熱画像を撮影するカメラを具え、一方、
   後室内にはストロボを具え、また前記仕切板の上
   部には後室より照射されるストロボライトを拡散
   して前室に透過する光透過板を設け、また前室の
   内側壁上部に光を拡散反射する光反射面を形成す
   るとともにその下部に光を吸収する光吸収面を形
   成し、更に前室の前面開口部の上部に、内側に光
   を拡散反射する光反射面を形成した光反射板を設
   けてなる請求項１記載の診断用サーモグラフイー
   装置。