JPH036184Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、枝打機に装備したチエンソーバーに
嵌合案内されるチエンソーの先端部（略一定曲率
のチエンソーバー先端湾曲部に嵌合案内されてく
るチエンソーをいう）による枝切断を確実に回避
できる枝打機のチエンソー先端部枝噛み防止装置
に関する。

従来より、適当数の駆動車輪および遊動車輪に
よつて木の幹の周囲を接当抱持し、駆動車輪を駆
動して前記幹に対して上昇させる一方、上方へ起
立状に装備されたチエンソーバーに嵌合案内され
るチエンソーを、幹周りに回動させながら上昇途
中の枝を切断する枝打機があるが、このチエンソ
ー先端部に迎えた枝を切断する際、この箇所のチ
エンソーの周速は速くなり枝噛み等の過負荷によ
りエンストし易い上、この箇所にあるチエンソー
と幹表面との間隔を好適に確保できる膨出状の先
端当て位置に切断中途の枝がくると、この当てが
切断箇所に喰込みそれが抵抗となつてエンスト等
の原因となつていた。また、切断せんとする枝の
下部のみをチエンソー先端部で切断するときは、
切断途中で、枝の自重により、切断面がチエンソ
ーに喰付きエンストしたり、未切断部分の枝がむ
しれ、後日、当所に雨水が侵入し腐敗し品質が低
下する等の不具合もあつた。

そこで、本考案は、チエンソーバー外面側上部
適当位置に、枝の下部周面に接当する枝案内部と
枝脱落防止部を先端部に形成してなるチエンソー
先端部枝噛み防止用揺動カムを揺動自在に装着す
ることで、チエンソー先端部による枝噛み等のト
ラブルを確実に防止できる枝打機のチエンソー先
端部枝噛み防止装置を提供し、前記欠点に対処し
たものである。

以下本考案の具体的な実施例を図面を参照して
説明する。

まず、本考案を実施した枝打機の概略構成を説
明すると、第１〜３図に示すように、原動機２、
チエンソーバー３、駆動車輪４等を装着したミツ
シヨンケース５を取付けた主枠１と、遊動車輪７
等を装着した巻付枠６とを相互にバネ８で弾性付
勢装着可能に構成し、幹９に対して本機を弾性付
勢装着したとき、これら車輪４，７が木の幹９の
周囲を所定上昇リード角度αをもつて接当抱持す
るようになつている。

また、前記ケース５に上方に起立状に装着され
るチエンソーバー３は、板材を正面視概略長円状
に形成したものの下端に一部切欠欠円部３ａを形
設し、その欠円部を除く周側面の板厚中途部にチ
エンソー１０の一部を嵌合案内する嵌合案内溝３
ｂ（第６図参照）を刻設しているもので、この欠
円部３ａ位置に、前記ケース５から突設した出力
軸１１ａに取けたチエンソー駆動用スプロケツト
１１を配設し、無端状のチエンソー１０をチエン
ソーバー３とこのスプロケツト１１間に巻掛張し
ている。なお、チエンソーバー３の下部は、前記
ケース５に上下移動固定調節手段１２で適宜装着
し、この移動固定調節することにより、チエンソ
ーの取付け取外しおよび張り具合の調節をし得る
ようになつている。

一方、原動機２の動力は、前記ケース５内で適
宜減変速された後、駆動車輪４へ正逆転伝達さ
れ、幹９に対して本機を螺旋上昇、下降可能にす
る他、この動力は、同じく前記ケース５内で適宜
減速された後、前記スプロケツト１１にも伝達さ
れ、これによりチエンソー１０を作動し、このチ
エンソーで上昇途中の枝の切断がなされる。

ところで、本考案に係るチエンソー先端部枝噛
み防止装置１３は、チエンソー１０先端部に迎え
る枝９ａ下部周面に接当し摺接案内する枝案内部
１５と、この前端部に同枝９ａの脱落を防止する
枝脱落防止部１６を先端部に形成してなるチエン
ソー先端部枝噛み防止用揺動カム１４を、チエン
ソーバー外面側（幹９と反対側）の上部適当位置
に揺動自在に装着し、チエンソー１０先端部が同
枝９ａに接当することなくこの下方をくぐり抜け
可能にしたものである。

すなわち、前記揺動カム１４は、チエンソー１
０前方（螺旋上昇進行方向）の枝切断能力の高い
略直線状切断側の上部で枝を切断する際、支障の
ないチエンソーバー３外面側上部適当位置、例え
ば、第４図のＡ−Ａ線上もしくはその左側上部位
置に、その基部を揺動自在に軸１７着するととも
に、その先端部には、正面視湾曲形状の枝案内部
１５と、この枝案内部の前端部に枝脱落防止部１
６を形成したもので、この揺動カム１４の先端部
１５，１６がチエンソー１０先端部切断側位置に
位置した起立状の待機姿勢（第４図の実線参照）
と常時なるようチエンソーバー３適所に立設した
ストツパー１８に接当させ回動規制されるように
なつている。そして、この先端部１５，１６は、
チエンソー１０先端部非切断側位置から前方の同
切断側の前記待機姿勢位置へバネ１９で弾性付勢
され自己復帰可能としている。さらに、枝案内部
１５の先端摺接案内面もしくは摺接案内線は、前
記待機姿勢時に、チエンソー先端部切断側が枝９
ａに接当し切断しないように、チエンソー１０の
切刃の移動軌跡である第４図の曲率R′と面一も
しくはそれより突出状曲率Ｒ（つまりＲ≧R′）に
形成され、その断面上部形状は樹皮への喰込みを
防止できるように角のない湾曲形状に形成されて
いる。なお、前記した曲率Ｒを大きくし、その突
出量△Ｒ＝Ｒ−R′を大きくしすぎると、チエン
ソー先端部に連続して迎える枝を処理できなくな
るので、最初に迎えた枝を速やかに処理し、次位
の枝を迎えるため待機姿勢に速やかに復帰させる
ようこの突出量△Ｒを少な目にすることが好まし
い。

枝脱落防止部１６は、枝案内部１５の曲率Ｒの
延長線上より正面視凸形状（第１図および第４図
参照）もしくは凹形状（第５図参照）に形成さ
れ、枝案内部１５が摺接案内する枝９ａが脱落し
ないよう構成されている。また、実施例では、こ
の枝脱落防止部１６は、前記待機姿勢時に、チエ
ンソー先端部切断側とチエンソー略直線状切断側
との分岐点Ｐを通る本機の上昇リード角度α進行
方向線Ｓ上に、その中心がくるようになつてい
て、カム１４の揺動支点１７を、この進行方向線
Ｓより下方に配置構成している。これにより、枝
脱落防止部１６を凸形状にした場合には、進行方
向線Ｓよりやや下方の枝とやや上方の枝はこれに
よつて確実に振り分けできることになり、また、
これを凹形状にした場合には、進行方向線Ｓより
下方が振り分け点になる。もつとも、枝脱落防止
部１６と揺動支点１７位置を夫々同量づつ上方も
しくは下方にシフトしても同様に振り分けできる
ことになるのであるが、上方にシフトしすぎると
チエンソー先端部切断側の前方がカバーできなく
なり、逆に下方にシフトしすぎるとチエンソー先
端部切断側に枝が接当しないように前述の要領で
枝脱落防止部１６を形成しなければならなくな
り、勢いカム１４形状が大きくなる上、待機姿勢
への復帰も遅くなる等のマイナス面がでてくるの
で、この近傍にカム１４を装着することが好まし
い。

なお、図中、２０はバネ１９の一端を係止する
ためカム１４に立設したバネ係止ピン、２１はバ
ネ１９の離脱を防ぐワツシヤ、２２はチエンソー
１０と幹９表面との間隔を好適に確保できる当
て、２３は予め設定した一定距離上昇すると駆動
車輪４を逆転に切換える正逆転切換装置である。

したがつて、幹９に対して本機を第１図および
第４図の矢視イ方向に螺旋上昇させている枝打作
業時に、チエンソー１０の先端部切断側位置にく
る枝９ａのうち枝脱落防止部１６よりやや上方に
くる枝９ａは、まず、待機姿勢にあるカム１４の
枝案内部１５に接当する。これにより、本機を上
昇させていた駆動車輪４の駆動力は、チエンソー
バー３、軸１７等を介してカム１４の枝９ａに対
する第４図の矢視ロ方向の突張り方向に作用する
突張り力と、同図の矢視ハ方向の本機の回転方向
に作用する回転力に変化する（そのため本機の螺
旋上昇リード角度αと突張り方向のなす角βとの
なす角は常にα＜βとなる設計がなされている）
ので、カム１４は軸１７周りをバネ１９力に抗し
て揺動すると同時に、枝案内部１５は枝９ａの下
部周面をこの最下端位置方向に向けて摺接案内
し、もしくは摺接案内途中で枝脱落防止部１６に
達し（仮にこの枝脱落防止部１６がなければ、摺
接案内途中で枝からカム１４が外れ、チエンソー
先端部に枝が脱落し枝噛み等のトラブルを生じる
ことになる）、この枝脱落防止部１６によつて同
枝を脱落させることなくスリツプ状態で保持さ
れ、同枝の下方をチエンソー１０とともに本機は
確実かつ円滑にくぐり抜け、チエンソー先端部で
の枝切断が回避される（第４図鎖線参照）。また、
最初から枝脱落防止部１６で受けられた枝９ａに
対しても、同様に枝を脱落させることなくスリツ
プ状態で保持され、同枝の下方をくぐり抜け、チ
エンソー先端部での枝切断が回避される。そし
て、再び無負荷となつたカム１４は、バネ１９力
で待機姿勢まで自己復帰して次に備えられると同
時に、本機も再び螺旋上昇し枝切断を続行するこ
とになる。なお、カム１４によつてチエンソー先
端部での切断を回避された同枝は、当所より本機
が新たに１ピツチ螺旋上昇してきたときのチエン
ソー１０の略直線状切断側中途部で好適に切断さ
れる。

なお、チエンソー１０およびこの装着部を上方
に弾性付勢する構成にしておくと、カム１４等を
介して本機全体を押し下げることなくチエンソー
およびこの装着部を下方に押し下げるだけで、同
枝の下方をくぐり抜けることができることにな
る。

以上の構成からなる本考案によると、枝打作業
時に、チエンソー１０先端部切断側位置に迎える
枝９ａは、従来のようにそのままチエンソー先端
部で切断されることなく、カム１４の枝案内部１
５および枝脱落防止部１６で受けられ、しかも、
この枝脱落防止部１６の存在により、同枝の下部
周面を摺接案内する枝案内部１５が摺接案内途中
から外れることなく確実に保持されるので、同枝
の下方をチエンソー１０とともに本機が確実かつ
円滑にくぐり抜けることができ、チエンソー先端
部の枝噛みによるエンスト等を完全確実に防止で
きる上、前述のようなチエンソー先端部で枝切断
する際に生じていた枝むしれ等の各種トラブルも
解消できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を実施した枝打機を示す正面
図、第２図は同平面図、第３図は同要部断面図、
第４図は本考案に係るチエンソー先端部枝噛み防
止装置を示す拡大正面図、第５図はチエンソー枝
噛み防止用揺動カムの別の実施例を示す要部正面
図、第６図は第４図の断面図である。 符号、３……チエンソーバー、４，７……車輪
（４……駆動車輪、７……遊動車輪）、９……幹、
９ａ……枝、１０……チエンソー、１４……チエ
ンソー先端部枝噛み防止用揺動カム、１５……枝
案内部、１６……枝脱落防止部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 木の幹９の周囲に接当抱持させ、一車輪以上４
   を駆動させることによつて前記幹９に対して上昇
   可能に適当数の車輪４，７を配備する一方、上昇
   途中の枝９ａを、前記幹９周りに回動させながら
   切断するチエンソー１０を上方へ起立状に装備し
   てなる枝打機において、前記チエンソー１０先端
   部に迎える枝９ａ下部周面に接当し摺接案内する
   枝案内部１５と、この前端部に同枝９ａの脱落を
   防止する凸形状もしくは凹形状の枝脱落防止部１
   ６を先端部に形成してなるチエンソー先端部枝噛
   み防止用揺動カム１４を、前記チエンソーバー３
   外面側上部適当位置に揺動自在に軸支するととも
   に起立状の待機姿勢まで前記チエンソー１０の非
   切断側から切断側へ向けて弾性付勢し、前記チエ
   ンソー１０先端部が同枝９ａに接当することなく
   この下方をくぐり抜け可能にしたことを特徴とす
   る枝打機のチエンソー先端部枝噛み防止装置。