JPH0358Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、栽培地用建造物の集排水機構、特に
合掌屋根フレームを支持するための谷柱を有する
温室用雨水の集排水機構に関する。

〈従来技術〉 従来、温室フレームを利用して天井被覆部材を
開閉可能に張設し、作物の雨除けとしていたもの
がある。この種の温室用樋としては、第１図、第
２図に示すように、(a)予め凹断面を形成した所定
長の硬質プラスチツク板製や防錆加工を施した金
属板製の樋、或は(b)長尺な軟質プラスチツクシー
トを現場合せで適宜長にカツトしてその両側縁を
クリツプ等で固定して樋状に垂設したものなどを
用いて、温室１の谷柱２にボルト、ナツト等によ
り取りつけていた。３は樋、４は合掌屋根フレー
ム、５は天井被覆部材６用の仕切面形成部材、７
は天井被覆部材用の巻取軸である。

このような構造により、谷柱２の側面に樋３を
取り付けるものにあつては取付けのためボルト、
ナツト等を要し、取付けが面倒であつた。

また、樋３が温室内で谷柱の両側方に大きく張
り出すため、室内空間の利用効率が阻害される。
そこで、この欠点を改善するため、樋３を小さく
すると集水・回収量が制限されて温室内に溢水す
る場合も生じる。

更に、谷柱２の両側に取り付ける一対の樋３，
３は、谷柱の幅だけ相互に離間しており、谷柱間
には長尺な隙間が発生することになる。そこで、
両側の天井被覆部材６，６からの流水を谷柱間の
隙間に落とさずに樋３，３に導くため、第２図・
第３図に示すような傘部材８を各谷柱２の間に取
付けて、流水を左右に振り分ける構造としなけれ
ばなず、多くの部品点数と煩雑な組立工程を必要
としていた。

〈本考案の目的〉 本考案は上記のような従来の欠点を除去するた
めに考案されたものであり、その目的は、谷柱に
流水振り分け用の傘部材などを必要とせず、谷柱
を挟んだ２枚の天井被覆部材の下縁からの流水
を、１本の樋だけで集水可能とした栽培地用建造
物の集排水機構を提供することにある。

本考案の他の目的は、取付け作業を迅速容易に
なし得る栽培地用建造物の集排水機構を提供する
ことにある。

本考案の更に他の目的は、ボルト等の樋取付け
用の器具が不要な雨水等の集排水機構を提供する
ことにある。

〈本考案の構成〉 本考案にかかる集排水機構は、「合掌屋根フレ
ームを支持するための谷柱を有する栽培地用建造
物の集排水機構において、弾性又は可塑性を有す
るシート状の樋形成部材と、上記屋根フレームに
沿つて固定張設され又は開閉可能に張設され、か
つその下縁が上記谷柱の側面近傍に位置するよう
に設けられた天井被覆部材と、上記天井被覆部材
の下縁より下方の適所において、上記樋形成部材
を凹溝状に保形支持するとともに、該凹溝の中心
と谷柱の軸中心とが略一致する位置となるように
輪郭形成した環状フレームを有する谷柱と、から
なる」ことを特徴とする。

〈実施例〉 次に本考案を第４〜７図に示された実施例に従
つて更に詳しく説明することとする。

第４図、第５図には、栽培用建造物たる連棟の
温室１が示されており、２は該温室１の谷柱であ
り、屋根フレーム固定部２１の下方に形成された
環状フレーム部２２を有する。該環状フレーム部
２２は樋形成部材９を凹溝状に屈曲せしめて保形
支持するためのものであり、その関係状の中心が
谷柱の中心に略一致する位置となる用に配置さ
れ、かつ谷柱２と同一素材により略逆三角形状に
一体的に形成されている。尤も、この環状フレー
ム部を別部材で形成し、谷柱２の中間部に介在固
定してもよい。

４は合掌屋根フレームであり、谷柱２の屋根フ
レーム支持部２１に連結固定し、支持されてい
る。

５は天井被覆部材６用の仕切面形成部材であ
り、環状フレーム部２２の外側適所に連結固定し
支持されている。

仕切面形成部材５は、環状フレーム部２２の中
心から最も離れた部分に連結固定し支持され、谷
柱２に対して凸となる屈曲部５ａを有しているも
のが第５図に示されているが、屈曲部５ａを設け
ない直線状のものでもよい。

６は温室１の天井被覆部材であり、合掌屋根フ
レーム４に沿つて開閉可能に張設され、その下縁
は谷柱の側面に近接して環状フレーム部２２の上
方に配置されている。

天井被覆部材６は合掌屋根フレーム４に沿つて
固定張設されたものでもよい。

７は天井被覆部材６の巻取軸であり、環状フレ
ーム部２２の上方において、両妻間の全長に渉つ
て谷柱２の両側に平行して横架配設されており、
天井被覆部材６の下端縁が巻回可能に固定されて
いる。

樋形成部材９は弾性又は可塑性を有するシート
状のものであり、各谷柱２の環状フレーム部２２
の中空部を貫通して挿通され所定の凹溝状に保形
支持されている。

この樋形成部材９は、透明な硬質弾性プラスチ
ツクシート製とすることが好ましいが、不透明の
素材、可塑性の素材を用いてもよい。

１０は仕切面形成部材５に上端部を固定すると
ともに、杆端部は樋形成部材９の内側面を被覆す
るように垂設した案内部材であり、透明な硬質弾
性プラスチツク等を素材とし、必要に応じて設け
るものとする。

天井被覆部材６を巻取軸７に巻取る機構として
は、例えば第６図に示す構造のものを用いること
ができる。

牽引機構により常態において閉成方向に引張付
勢されている天井被覆部材６を開放方向に巻き取
るための巻取り軸７が、軸受本体７１に列設され
た複数個の支持ローラ７２により回動可能に支持
されている。巻取り軸７は、駆動装置（図示せ
ず）により巻取り方向に回転付勢されている。

７３は案内ローラである。軸受本体７１は取付
け金具７４により谷柱２に取り付けられている。

このような巻取り機構により、天井被覆部材６
を開閉し、建造物内の彩光、防風、保温等の目的
を達成するものである。

而して天井被覆部材６を閉成した際に、雨水又
は冷房用の散水等の流水は天井被覆部材６上面を
流下して樋形成部材９の凹溝部９ａに流入し、該
凹溝部９ａを流れて排水される。

このとき、樋形成部材９凹溝部９ａは、並列す
る天井被覆部材６，６の下縁の隙間すなわち２本
の巻取り軸相互の間隙の直下位置にあつて流水を
受けるように設けられているから、第３図に示す
従来の傘部材８を設ける必要がなく、両側の天井
被覆部材６を流下する雨水はすべて１本の樋にお
ける凹溝部９ａに流入可能となつている。

樋形成部材９は長尺な硬質又はやや硬質のプラ
スチツクシート等を現場合せで適宜長にカツトし
たのち、温室の一方の妻側から各谷柱２の環状フ
レーム部２２内に順次連通挿通するだけで所望の
樋を形成することができるものである。すなわ
ち、この挿通工程により、樋形成部材９は環状フ
レーム部２２の環形状に合致した凹溝形状に強制
的に屈曲形成されて保持されるから、ボルト、ナ
ツト等によつて固定する必要がないものである。

仕切面形成部材５は、谷柱２の中心から最も離
れた環状フレーム部２２の外側部に連結して固定
持され、屈曲部５ａを経て合掌屋根フレーム４と
平行な仕切面部５ｂを形成するものとされるの
で、環状フレーム部２２の上部に巻取軸７を横架
配設する空間を十分に確保することができる。

なお、環状フレーム部２２は、第４，５図に示
す逆三角形状のものの他、第７図に示すような形
状のものでもよい。

第７図ａに示す略Ｗ字状のものとすれば樋の深
さをより深くすることができる。

第７図ｂに示す四角形状のものとすれば樋を大
型にすることができる。

第７図ｄに示すような逆三角形状のものとすれ
ば合掌材４、仕切面形成部材５との連結がよりス
ムーズである。

〈本考案の効果〉 本考案は以上説明したように谷柱の環状フレー
ム部に樋形成部材を挿通するだけで樋形成部材が
環状フレーム部により溝状に保持されるから、ボ
ルト等で固定する必要がなく取付けが簡単であ
り、きわめて容易に樋を形成することができる。

また、谷部で対向する天井被覆部材の下端縁に
おける長手方向の隙間すべてをカバーする樋の配
置を可能としたので、谷柱間に傘部材を設ける必
要がなく、しかも、１本の樋により両側仕切面か
らの流水を受水することができる。

更に、樋の溝幅を小さくかつ深く形成できるか
ら、樋の外側が温室内に張り出すことがなく温室
内の空間を最大に利用することができる。

更に、樋形成部材の交換も容易であり、樋形成
部材を透明なフイルムとすれば採光も良好であ
る。

更に、天井用被覆部材は合掌屋根フレームと仕
切り面形成部材により挟持されているので、強風
を受けても変形や破損事故のおそれが少ない。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は従来の集排水機構の概略構成
図、第４図は本考案に係る集排水機構を示す概略
構成図、第５図はその要部機構を示す一部省略断
面図、第６図は巻取軸を示す一部断面側面図、第
７ａ〜ｆ図は谷柱における環状フレーム部の他の
実施例を示す一部省略正面図、である。 １……温室、２……谷柱、２２……環状フレー
ム部、４……合掌屋根フレーム、６……天井被覆
部材、９……樋形成部材、９ａ……溝部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 合掌屋根フレームを支持するための谷柱を有
   する栽培地用建造物の集排水機構において、弾
   性又は可塑性を有するシート状の樋形成部材
   と、 上記屋根フレームに沿つて固定張設され又は
   開閉可能に張設され、かつその下縁が上記谷柱
   の側面近傍に位置するように設けられた天井被
   覆部材と、 上記天井被覆部材の下縁より下方の適所にお
   いて、上記樋形成部材を凹溝状に保形支持する
   とともに、該凹溝の中心と谷柱の軸中心とが略
   一致する位置となるように輪郭形成した環状フ
   レームを有する谷柱と、 からなる栽培地用建造物の集排水機構。 ２ 環状フレームが、谷柱と同一素材により一体
   的に形成されてなる前記登録請求の範囲第１項
   記載の集排水機構。 ３ 環状フレームが、略逆三角形状に形成されて
   なる前記登録請求の範囲第１項又は第２項のい
   ずれかに記載の集排水機構。 ４ 樋形成部材が、透明プラスチツクシートであ
   る前記登録請求の範囲第１項記載の集排水機
   構。