JPH0357629A - 眼内レンズの製造方法 - Google Patents

眼内レンズの製造方法

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JPH0357629A
JPH0357629A JP1193557A JP19355789A JPH0357629A JP H0357629 A JPH0357629 A JP H0357629A JP 1193557 A JP1193557 A JP 1193557A JP 19355789 A JP19355789 A JP 19355789A JP H0357629 A JPH0357629 A JP H0357629A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は眼内レンズの製造方法に係り、特に紫外線の透
過率を減少させた眼内レンズの製造方法に関するもので
ある。
[従来の技術] 白内障などの手術において、水晶体を取り除いた後、双
眼視力の回復を目的として眼内レンズが用いられる。眼
内レンズは生体内に埋め込まれるものであるから、その
光学的透明性に加えて生体適合性、無毒性も非常に重要
である。白内障は老人に多く発生し、かつ平均寿命の延
びと共に眼内レンズの装用期間も長期化する傾向にある
ので、長期に亘って眼内レンズが人眼水晶体に近い光学
的特性を有するとともに、生体内での安全性を有するこ
とは必須の条件となる。
ポリメチルメタアクリレート樹脂(以下、PMMA樹脂
と記す)を光学レンズの形に成形した従来の眼内レンズ
はその光学的な透明性、生体内での安全性においてすぐ
れている。
しかしながら、人眼水晶体は約400nmよりも短波長
の紫外線を遮蔽するのに対して、PMMA樹脂製の従来
の眼内レンズは300nm以下の短波長の光までも透過
し、このためPMMA樹脂製の眼内レンズでは紫外線に
よる網膜への損傷が問題となる。また、短波長すなわち
青色系が相対的に強くなるため、物体が青みがかって見
えるという点でも問題であった。
上記の問題を解決する手段として、従来、PMMA樹脂
製の眼内レンズに紫外線吸収剤を含有させたものがある
。例えば特開昭60−232149号公報には、眼内レ
ンズの光学部(人工水晶体)を構成するPMMA樹脂に
2−(ヒドロキシ低級アルキルフエニル)ペンゾトリア
ゾールを紫外線吸収剤として含有させて、波長300n
m〜約380nmの範囲の紫外線を吸収するようにした
眼内レンズが記載されている。
また、眼内レンズ中に紫外線吸収剤を含有させることな
く、表面に紫外線吸収性を有する膜を被覆した眼内レン
ズがある。例えば特開昭63−203163号公報には
、眼内レンズの光学部のPMMA樹脂の表面にダイヤモ
ンド状炭素膜を被覆し紫外線を吸収するようにした眼内
レンズが記載されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、前記特開昭60−232149号公報記
載の眼内レンズでは、紫外線吸収剤の溶出による毒性の
問題がある。また紫外線吸収剤は、これをPMMA樹脂
の製造に先立ちモノマーであるメチルメタアクリレート
(MMA)に添加することにより、PMMA樹脂に含有
せしめられるが、紫外線吸収剤を添加することによるP
MMA樹脂の重合度の低下による生体内での未重合物の
遊離、溶出などの問題が派生的に発生し、生体適合性を
損うおそれがあり好ましいものではない。
一方、前記特開昭63−203163号公報記載の眼内
レンズでは、表面を被覆した膜が剥離する危険があり、
耐久性と安全性の点で問題がある。
さらに眼内レンズはそもそも光学素子であるから、その
寸法精度は非常に重要であるが、表面に膜を被覆した眼
内レンズではレンズとしての寸法精度を維持することが
必ずしも容易ではない。
したがって、本発明の目的はすぐれた可視光透過性を有
しながら、有害となる紫外線の透過率を減少させること
ができ、かつ生体内で安全に使用できる眼内レンズの製
造方法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討の結果、可
視光に対して透明な高分子材料によりなる眼内レンズに
イオン注入法によりイオンを注入することにより、すぐ
れた可視光透過性を有しながら、有害となる紫外線の透
過率を減少させることができ、かつ生体内で安全に使用
できる眼内レンズが得られることを発見し、本発明に至
ったものである。
すなわち、本発明の眼内レンズの製造方法は、可視光に
対して透明な高分子材料よりなる人工水晶体にイオン注
入法によりイオンを注入することを特徴とするものであ
る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の眼内レンズの製造方法において、イオン注入法
によりイオンが注入される人工水晶体は可視光に対して
透明な高分子材料よりなり、この高分子材料としては、
PMMA樹脂を用いるのが特に好ましい。その理由は、
PMMA樹脂は、光学的透明性にすぐれ、かつ生体に対
する無毒性が実証されている高分子材料であるからであ
る。しかし、PMMA樹脂と同様に眼内レンズ材料とし
て好適な他の高分子材料を用いることもできる。
これらの高分子材料としては、ヒドロキシエチルメタア
クリレート(HEMA)樹脂、ブチルアクリレート樹脂
等のアクリル系樹脂、アクリルゴム、ポリスルホン、ポ
リヵーボネート等の高分子材料及びこれらの高分子材料
の混合物が挙げられる。
また上記高分子材料を構或する、2種以上のモノマーを
共重合することにより得られる共重合体を用いることも
できる。さらに近年柔軟性を有する眼内レンズとして注
目されているシリコーン樹脂も好ましく用いることがで
きる。
本発明の眼内レンズの製造方法は、上記の人工水晶体に
イオン注入法によりイオンを注入することを特徴とする
ものである。本発明において用いられるイオン注入法と
は、真空中で熱電子衝撃、高周波放電などの手段によっ
て生成されたイオンを電場によって高速に加速し、加速
されたイオンを固体の表層に注入し固体の表層を変性す
る技術である。このイオン注入法について更に説明する
と以下に通りである。イオン注入装置のイオン源から生
或されたイオンは一定の電場によって引き出されたのち
質量分析電磁石によって、注入されるべき目的のイオン
種のみが選択される。こののちイオンビームは再び電場
によって高速に加速され、対象物である高分子材料から
なる人工水晶体(母材)に注入される。そのとき通常、
対象物を均一に処理するためにイオンビームを電界によ
って縦、横に掃引してイオンを注入する方法、あるいは
対象物をイオンビームに対して運動させる方法などが用
いられる。そして母材に注入されたイオンは表層内で母
材原子と衝突を繰り返しながら徐々にエネルギーを失っ
て遅くなり、最後には母村内で停止する。この過程でイ
オンは母材表層にエネルギーを与えて、母材表層を変性
する。本発明の眼内レンズの製造方法において人工水晶
体の表層に注入されるイオンとしては、生体に対する毒
性が懸念される元素以外のイオンであればすべて用いる
ことができるが、特に水素イオン、炭素イオン、窒素イ
オン、酸素イオン、ヘリウムイオン、ネオンイオン、ア
ルゴンイオン、クリプトンイオン、キセノンイオン等が
好ましく用いられる。
これらは単独でイオン注入させてもよいし、複数種のイ
オンを注入させてもよい。あるいは上記のうち1種以上
の元素よりなる分子イオン、例えば02″,N〆,H2
0’,Co〆などを注入させても良く、またそれらのう
ちの2種以上を含む混合物を注入させても良い。
上記のイオンの種類およびイオンの加速エネルギーを変
えることにより、人工水晶体(母材)に侵入するイオン
の深さを制御することができる。
人工水晶体の表層に付与されるエネルギーは、イオンの
加速エネルギーと、表面の単位面積あたりの注入量との
積で与えられる。本発明の眼内レンズの製造方法におい
て好適なイオン注入の条件としては、単位面積(cJ)
あたり2×1019eV以上、2×1020eV以下の
エネルギーを人工水晶体の表層に付与するような条件で
ある。2×10l9eVより小さいエネルギーでは紫外
線遮蔽効果が充分でなく、2×1020evより多いエ
ネルギーを与えた場合は可視光の透過率が大きく減少す
るため好ましくない。より好ましい条件は2.5xlQ
  eV以上、1.5X1020eV以下の19 エネルギーを付与するような条件である。なお、上記の
数値範囲でイオン注入の条件を変えることにより人工水
晶体の表層の変性の程度を制御することができる。
なおイオンビームの電流密度が大きいほどイオン注入に
要する時間は短くなるため、生産性は高くなり有利であ
る。しかしイオンビームの電流密度が大きすぎるとイオ
ン注入中に人工水晶体の表面で単位時間に発生する熱量
が多くなるので、人工水晶体の表面の温度も上昇す・る
ことになる。人工水晶体の表面の温度が上がりすぎると
高分子材料は損傷を受け、表面平滑性を損い、甚だしい
場合は眼内レンズ自身が変形をうけることも起る。
そのような事態を避けるためにはイオンビームの電流密
度を一定限度以下に保つことが必要である。
すなわちイオンビームが単位時間あたりに表層にあたえ
るエネルギー密度は、好ましくは0. 3W/ca!以
下、より好ましくは0.IW/cJ以下である。
本発明の眼内レンズの製造方法によりイオン注入された
人工水晶体の表層は、母材高分子材料を基本として、炭
素質の結合を含むものである。但し、この炭素質の結合
は、純粋な炭素あるいはダイヤモンドによって構成され
るものではなく、母材である高分子材料のもともとの化
学結合の一部が切断されて、炭素原子同志によって形戊
された二重結合や、6個の炭素原子によって形成された
六員環構造によって構成されているので、電子が非局在
化して移動し易くなった状態が新たに作られ、その結果
、得られた眼内レンズの紫外域における吸収が増大する
ものと考えられる。
この変性された表層は、上記の炭素質の結合の占める割
合が、表面から所定の深さまで実質的に一定あるいは表
面から所定の深さまで上昇して最大となり、その後母材
の非変性部分との界面に向うに従って連続的に減少する
ような構造を有している。イオン注入において高分子材
料からなる母材の表面に照射されたイオンは高分子材料
を構戊する原子との相互作用によって徐々にエネルギー
を失いながら最後には母材中に停止する。この過程でイ
オンから母材に付与されるエネルギーによって母材の表
層が変性される。この過程はランダムであるため、停止
したイオンの深さ方向の分布は、最大のイオン分布を示
す所定の深さのまわりにある幅をもっている。第3図は
コンピュータシミュレーションにより、注入されたイオ
ンが母材原子に与えるエネルギーの深さ方向の変化を計
算したものである。これは表層の変性の程度に対応して
いる。これにより明らかなとおり、変性は母材表面から
一定の深さまで及んでいるがその終端はなだらかに連続
的に母材と接続している。すなわち、本発明により得ら
れた眼内レンズは、高分子材料の表面に全く異種の物質
を被覆したものではなく、表面から内部へと連続的な組
戊変化を有する表層を有するものである。このため異種
の物質を被覆した場合と異なり、表層が母材である高分
子材料から剥離することがなく、眼内レンズとして安全
に使用できる。
変性された表層の厚さは100nm以上であることが好
ましい。100nm以下の場合は表層と非変性の内部と
の界面が実質的に急峻となり、目的とする連続的な組成
変化の構造が実現できない。また、変性された表層があ
まりに薄すぎるとごくわずかの摩擦によってその機能が
失われるからである。
人眼水晶体は加齢とともにその透過スペクトルが変化す
る。すなわち、年齢の増加と共に青色光の透過率が低下
して黄色味を帯び、かつ透過率も低下する。したがって
人工水晶体も年齢に応じた透過スペクトルを有するもの
を使用することが望ましい。この点においても本発明の
眼内レンズの製造方法はすぐれた特長を有する。すなわ
ち、本発明によればイオンが人工水晶体の表層に与える
エネルギーを変えることによって透過スペクトルを広範
囲に制御することができるからである。すなわち比較的
に若齢者の眼内Lノンズを得る場合には表層に与えるエ
ネルギーを少なく、比較的に高齢者の眼内レンズを得る
場合には表層に与えるエネルギーを多くすることにより
、年齢に応じて人眼水晶体と類似した機能を有する眼内
レンズを得ることが可能である。
[実施例] 実施例1 架橋したPMMA (ポリメチルメタアクリレート)樹
脂製の眼内レンズを約500rlの試料ホルダに50枚
ならべ50keVの窒素イオン(N+)をそれぞれ■5
 X 1 0t4/crl(2.  5 X 1 01
9eV/an?),■1×10l5/cJ (5 x 
1 019 ev/an?) .■2X 1 0”’/
cJ (I X 1 020e V/an?)注入した
。イオン注入機の試料室の真空度は2×10’Torr
,イオンビーム電流は50μAとした。イオンビームの
照射面積は50c♂であるので単位面積あたりのイオン
ビームの電流密度は1μA / ctlである。この注
入に要した時間は160秒であり、これを1枚あたりに
換算すると3.2秒となり、本発明の眼内レンズの製造
方法は非常に生産性が高いことも判った。
イオン注入後に得られた眼内レンズの透過スペクトルを
、PMMA樹脂製の眼内レンズの透過スペクトルと共に
第1図に示す。第1図より、■5X 10 ’/cdの
注入で400nraにおける透過率が65%、■I X
 10 t5/cdの注入で500nmにおける透過率
が65%、■2 X 10 15/cJの注入で600
nmにおける透過率が70%となり、イオン注入により
紫外線透過率が減少した眼内レンズが得られた。さらに
注入量を変えることにより■〜■に示されるように種々
の透過スペクトルが得られ、年齢に合せた紫外線吸収を
有する眼内レンズを作製できた。
実施例2 PMMA樹脂製の眼内レンズに100keVの酸素イオ
ン(O+)を1μA/cdの電流密度で■5×10 /
cJ(5X1019eV/cot)および■L4 {5 1 X 10  /crl (I X 1 020e 
V/cJ)注入した。
イオン注入後に得られた眼内レンズの透過スペクトルを
、PMMA樹脂製の眼内レンズの透過スペクトルと共に
第2図に示す。■および■のどちらの場合も可視光透過
率を実用的に減ずることなく4 0 0 nm以下の紫
外線の透過率を減少させた眼内レンズが得られた。
[発明の効果コ 以上説明したとおり、本発明によれば人工水晶体用高分
子材料にイオン注入法によりイオンを注入することによ
り、可視光の透過性を悪化することなく紫外線を遮蔽し
得る眼内レンズを得ることができため、紫外線による眼
球障害、青みが強まることによる異常視覚を抑制するこ
とができる。
また本発明により得られた眼内レンズは、変性された表
層が母材の非変性部と連続的に接続しているため剥離す
ることがなく生体内で安全に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は窒素イオンを注入して得られた眼内レンズの透
過スペクトル図、第2図は酸素イオンを注入して得られ
た眼内レンズの透過スペクトル図、第3図は注入された
イオンが母材原子に与えるエネルギーの深さ方向分布を
コンピューターシミュレーションによって求めた図であ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)可視光に対して透明な高分子材料よりなる人工水
    晶体にイオン注入法によりイオンを注入することを特徴
    とする紫外線の透過率を減少させた眼内レンズの製造方
    法。
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