JPH0357305Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は熱交換器、特にクロスフインコイル形
熱交換器における多段多列配置をなす伝熱管の管
端をＵ字管と接続するために、少なくとも２個所
を同時に拡管処理するための熱交換器用伝熱管拡
張装置に関する。

（従来の技術） 数mmの細かいピツチで並設した多数のフイン
Ｆ，Ｆに対して、銅管からなる多数の伝熱管Ｐ，
Ｐを多段多列に配置すると共に直行叉させて貫挿
することにより形成されるクロスフインコイルＥ
（第３図参照）は凝縮器、蒸発器に多用されるが、
それ等伝熱管Ｐ，Ｐの管群を複数パスの冷媒通路
にするには、例えば伝熱管P_2Aと伝熱管P_1B，P_4A
と伝熱管P_3B、伝熱管P_6Aと伝熱管P_5Bを夫々管端
においてＵ字管（図示せず）により連結する必要
があり、そのために各伝熱管P_2A〜P_5Bの同一側端
部をＵ字管の端部が若干長だけ嵌まり込み得るよ
うに機械的に拡張させることが従来から行われて
いて、この嵌まり合つた部分をロウ付け処理する
ことによつて気密にかつ強固に接続させることが
可能であるが、そのための拡張装置として第４図
及び第５図に示す構造のものが従来から使用され
ている。

（考案が解決しようとする問題点） 上述する従来の装置は筒状をなして可搬し得る
ハウジングの前端に、コレツトを介挿させる貫通
孔９が中心部に１個設けられてなる端板８を一体
に取り着けて、油圧シリンダのピストンロツド３
端に同軸で固着させた拡管マンドレル６′の円錐
状の先端部を前記貫通孔９内に遊挿通する一方、
軸方向の縦に６等分割した爪片１０，１０からな
るコレツト７を円錐状の先端部の周りの前記貫通
孔９内に拡張・収縮可能に介挿した構成である。

かかる構造の拡張装置は、伝熱管の１本毎に拡
管を行わせる１穴加工用であつて、多段多列の伝
熱管の拡管処理に際して多くの加工時間を要し能
率が悪い問題があり、また、コレツト７の爪片１
０，１０における内壁面が拡管マンドレル６′の
比較的大きいテーパ角例えば20°（勾配10°）に対
応して円錐面となつているので後端側が薄肉構造
であり、従つて爪の強度が小さくて割れ易いのが
難点であつた。

このような問題点に対処して本考案は一回の操
作で同時に２本以上の拡管を行わせ得る多穴加工
用構造となすと共に、ツール部と加工用のシリン
ダ部とを係脱し得る連結構造にさせ、さらにコレ
ツトを拡張させるための拡管ロツドの先端円錐部
分における勾配を緩やかにせしめてなることによ
つて、拡管加工時間の短縮、拡張装置の保全面の
容易化ならびに装置の強度増大化を果たさせよう
とすることを目的とする。

（問題点を解決するための手段） しかして、・本考案は熱交換器用伝熱管拡張装
置を、ツール部１とシリンダ部２とが同軸の前後
に連結されてなる基本構造と成したものであつ
て、前記シリンダ部２はピストンロツド３を前方
に向けた複動油圧シリンダにより形成し、一方、
前方ツール部１は、複数個の貫通孔９，９が設け
られた端板８を有する筒体をなして、前記シリン
ダ部２の本体に係脱可能に固着したハウジング４
と、シリンダ部２のロツド端に中心部を固定せし
めて前記ハウジング４内空所に前進・後退可能に
収設した取付用基板５と、緩やかな勾配の円錐に
形成した先端部を前記貫通孔９，９に夫々遊挿通
すると共に、後端部を前記取付基板５に夫々固定
せしめ、ハウジング４の軸方向に一体で平行移動
可能となした複数個の拡管ロツド６，６と、軸方
向の縦に少なくとも３等分割された爪片１０，１
０からなり、外面に円筒面、内面に前記拡管ロツ
ド６，６の先端部外面に対応した円錐面が存する
筒状体に形成して、前記各先端部の周りの貫通孔
９，９内に拡張・収縮可能に介挿すると共に、収
縮方向の弾機力を付与せしめたコレツト７とによ
り形成せしめたことを特徴とする。

（作用） 本考案は、先端のツール部１をコレツト７の大
きさ及び配列数、配列ピツチが異なる数種を装備
して、ハウジング４と取付用基板５とによりシリ
ンダ部２に連結させることによつて、管径及び管
配列ピツチの異なる伝熱管群に対して同時に２個
所以上の拡管が行える。

また、本考案は拡管ロツド６における先端円錐
部を、テーパ角10°（勾配5°）の緩やかな勾配の形
状とすることによつて、コレツト７の爪片１０を
厚肉構造となし、爪の強度を向上させている。

（実施例） 以下・本考案の１実施例を添付図面にもとづい
て説明する。

第１図、第２図は本考案の一例に係る２穴加工
用の伝熱管拡張装置を示し、この装置はツール部
１とシリンダ部２との２つの部材によつて形成さ
れている。

シリンダ部２はロツドカバー１１とヘツトカバ
ー１２とからなるシリンダ本体内に両ロツド形の
ピストンロツド３を気密摺動可能に収納した両ロ
ツド形複動油圧シリンダからなり、ヘツドカバー
１２の後端部にはピストンロツド３のビストンの
後面側に臨む室に連通する第１ポート１３を設け
る一方、ピストンロツド３の後方側のロツドに
は、ピストンの前面側に臨む室に連通する通路１
５をロツド後端面からロツドの中心部に穿孔せし
めて、このロツド後端面の開口を第２ポート１４
に形成している。

１６，１７は後方側のロツド、前方側のロツド
に夫々嵌合したカラー、１８はピストンロツド３
のストロークを調節するためのストローク調節用
ダブルナツト、１９，２０，２１は気密保持用の
０リングを夫々示している。

かく構成したシリンダ部２は第１ポート１３に
圧油を供給してピストンロツド３を前方、すなわ
ち第１図の左方に前進させ、逆に第２ポート１４
に圧油を供給してピストンロツド３を後退させる
ことができる。

ツール部１は前記シリンダ部２に対して同軸の
前後に連結せしめてロツドカバー１１及びピスト
ンロツド３のロツド前端に係着しているが、２個
の貫通孔９，９が所定の間隔を存して穿設されて
なる端板８を有して前記ヘツドカバー１２と同径
をなす筒体に形成したハウジング４と、前記貫通
孔９，９と同じパターンの貫通ネジ孔が設けられ
てシリンダ部２における前記ピストンロツド３の
ロツド端に中心部を固定せしめて前記ハウジング
４内空所に収納しして取付用基板５と、後端部を
前記貫通ネジ孔に対し螺挿し、セツトボルト２２
で取付用基板５に固定せしめると共に、先端部を
前記端板８の貫通孔９，９に夫々遊挿通してなる
２本の拡管ロツド６，６と、この拡管ロツド６，
６の先端部の周りの前記貫通孔９，９内に夫々介
挿せしめたコレツト７とによりツール部１を構成
している。

ハウジング４はこの筒部に前後方向に貫通した
２本の六角穴付ボルト２３によつてロツドカバー
１１に同軸固着せしめている。

一方、拡管ロツド６は、スチール鋼から成つて
いて丸棒の先端部を緩やかな勾配例えば5°を有す
る円錐に形成していて、後端部を前述したように
セツトボルト２２で取付用基板５に固定せしめる
と共に、先端が尖つた円錐をなす先端部を前記端
部８の各貫通孔９，９内に遊挿通し、さらに丸棒
身部をハウジング４に嵌着したカラー２４により
支持せしめて、ハウジング４の軸方向にピストン
ロツド３との平行度を保つた平行移動可能に夫々
取付用基板５に固定せしめている。

次にコレツト７は後端部に鍔を軸直角となし縁
設して有する筒状体をなしていて、軸方向の縦に
４等分割せしめることにより４個の爪片１０，１
０が形成されるが、この各爪片１０，１０は、拡
張しようとする伝熱管の内壁に添わせるための円
筒面を外面に、拡管ロツド６の先端円錐部に対応
する円錐面を内面に有していて、前記鍔部分を端
板８の内側端面と前記カラー２４の前側端面とで
挟持させた状態となして各貫通孔９内に軸直角方
向の拡張・収縮可能に介挿せしめている。

なお、コレツト７は各爪片１０における鍔の外
周と、端板８の外側の外周部分とに夫々０リング
２５，２６を巻装させていて、この０リング２
５，２６が有する弾機力によつて４個の爪片１
０，１０が筒状をなすと共に常に外径を小さくさ
せて互いに密接し得る収縮方向に保持されるよう
になつている。

なお、コレツト７は爪片１０の数を４個に限定
するものではなく、３個、５個、又は６個の爪片
１０により形成されたものであつてもよい。

第２図中、２７は拡管ロツド６をその出入り方
向を揃えた状態で固定するためのナツトでなる。

叙上の構成になる拡張装置は、取付用基板５の
各貫通ネジ孔に拡管ロツド６を夫々螺挿し前記ナ
ツト２７により固定せしめた後、各拡管ロツド
６，６を一体に有する取付用基板５をシリンダ部
２のピストンロツド３端に嵌合固定せしめ、スプ
リングピン２８により抜けないように保持して、
その後に、コレツト７が取り付けられてなるハウ
ジング４を拡管ロツド６，６に被せるようにして
シリンダ部２のロツドカバー１１に、六角穴付ボ
ルト２３，２３で締め付け固定せしめて、かくし
て第１図図示状態の一体された拡張装置が得られ
る。

そして第１ポート１３、第２ポート１４を四路
切換弁を介して油圧ラインに接続せしめる。

ツール部１、シリンダ部Ｇの筒身部分を把持し
て各コレツト７，７の先端部をクロスフインコイ
ルの隣り合う伝熱管の各管端は夫々差し込ませた
後、第１ポート１３に圧油を供給するよう操作す
ると、ピストンロツド３に所定ストローク前進し
て拡管ロツド６，６の先端円錐部分によつてコレ
ツト７の各爪片１０，１０を押し拡げるように作
用する結果、２本の伝熱管の管端は同時に拡管加
工される。

しかる後、第２ポート１４に圧油を供給するよ
う切換え操作すると、ピストンロツド３が後退す
るので拡管ロツド６，６も同時に後退し、コレツ
ト７の各爪片１０，１０は弾機力により収縮復元
するので、拡張された伝熱管の管端からコレツト
７を抜き出し、かくして１回目の拡管加工は完了
する。

（考案の効果） 本考案はツール部１とシリンダ部２とに容易に
分離可能な構造であるので、１個のシリンダ部２
に対して数種のツール部１を用意しておけば、配
列ピツチ、管径が異なる伝熱管の拡張が簡単に行
える。

しかも同時に２個以上の拡管が行えるので、加
工時間の短縮がはかれる。

さらに拡管ロツド６の先端円錐部の勾配を例え
ば5°程度の緩やかなものとしておくことによつ
て、コレツト７における爪片１０を厚肉構造と成
し得て機械強度を増大し得る。

また、拡管ロツド６のストローク量即ちシリン
ダ部２のピストンロツド３のストーク量を加減す
ることによつて拡管寸法調節は容易かつ自在に行
える。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の１例に係る半部断
面示正面図及び左側面図、第３図はクロスフイン
コイルコイルの部分示斜視図、第４図は従来の管
拡張装置の要部断面図、第５図イ，ロは第４図に
おけるコレツトの左側面図、断面示正面図であ
る。 １……ツール部、２……シリンダ部、３……ピ
ストンロツド、４……ハウジング、５……取付用
基板、６……拡管ロツド、７……コレツト、８…
…端板、９……貫通孔、１０……爪片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ツール部１とシリンダ部２とを同軸の前後に連
   結させて有し、前記シリンダ部２はピストンロツ
   ド３を前方に向けた複動油圧シリンダから成り、
   一方、前記ツール部１は、複数個の貫通孔９，９
   が設けられた端板８を有する筒体をなして、前記
   シリンダ部２の本体に係脱可能に固着したハウジ
   ング４と、シリンダ部２のロツド端に中心部を固
   定せしめて前記ハウジング４内空所に前進・後退
   可能に収設した取付用基板５と、緩やかな勾配の
   円錐に形成した先端部を前記貫通孔９，９に夫々
   遊挿通すると共に、後端部を前記取付用基板５に
   夫々固定せしめ、ハウジング４の軸方向に一体で
   平行移動可能となした複数個の拡管ロツド６，６
   と、軸方向の縦に少なくとも３等分割された爪片
   １０，１０からなり、外面に円筒面、内面に前記
   拡管ロツド６，６の先端部外面に対応した円錐面
   が存する筒状体に形成して、前記各先端部の周り
   の貫通孔９，９内に拡張・収縮可能に介挿すると
   共に、収縮方向の弾機力を付与せしめたコレツト
   ７とを備えてなることを特徴とする熱交換器用伝
   熱管拡張装置。