JPH035538Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はラムネやコーラ等の炭酸飲料を充填す
る合成樹脂製びんに関するものである。

（従来の技術） 合成樹脂製びんとしては、実公昭55−20591号
公報などに見られるように、合成樹脂製のびん主
体の底部をびん内部に向けくぼませてびん底のシ
ール部をびん主体の下端面より上方に位置させる
ことにより自立できるようにしたブロー成形びん
が安価で破損による危険もないので、洗剤やシヤ
ンプーなどの充填用びんとして広く知られている
が、このような合成樹脂製びんは大きな内圧がか
かるとびん底が膨張し、びん底のシール部をびん
主体の下端面より突出して自立できなくなるの
で、ラムネやコーラ等の炭酸飲料を充填するびん
としては使用できない。このため、炭酸飲料を充
填するびんとしてはガラスびんが一般に使用さて
いるが、ガラスびんは重くて輸送費が嵩み、ま
た、高価なため回収して再使用することとなるの
でこの回収作業に手数がかかる。そこで、軽量な
使い捨て用の合成樹脂製びんが要望されてすでに
一部使用されているが、炭酸飲料の炭酸ガス圧に
耐えるだけの強度を必要とする関係上安価な塩化
ビニル樹脂やポリエチレン樹脂製のものは使用で
きず、僅かに高価なPET樹脂をインジエクシヨ
ンブロー成形で延伸成形したものが出回つている
現状にある。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、このようなPET樹脂製びんは原料
樹脂自身高価なうえインジエクシヨンブロー成形
機も高価であり、しかも、パリソンをインジエク
シヨン成形するための型と、延伸成形するための
ブロー型との２種の型が必要となることと相まつ
て設備費が高額となるうえに成形時間がかかり、
生産効率が悪く、また、PET樹脂製びんにおい
てはびん主体をやや大型のものとすると炭酸飲料
充填時に底部が膨らむため、はかまと称されてい
る別の部材を底部に接着して自立できるようにす
る必要があり、生産性及び価格の点でも問題があ
つた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は前記のような問題点を解決した合成樹
脂製びんを目的として完成されたもので、合成樹
脂製のびん主体の底部をびん内部に向け膨出する
球面状底部に形成した合成樹脂製びんにおいて、
該球面状底部の上面には、その中心線上にある主
リブと、中心線に交叉して主リブの両端に続かせ
た副リブと該主リブから張出されて両副リブを繋
ぐブリツジ部とよりなるびん底膨出阻止用の補強
リブを一体に設けたことを特徴とするものであ
る。

（作用） このように構成さたものは、ブロー成形された
合成樹脂製のびん主体に炭酸飲料を充填したう
え、びん主体の口部を密栓して従来のこの種びん
と同様使用すれば、びん主体には炭酸飲料のガス
圧がかかることになるが、びん主体の底部がびん
内部に向け膨出する球面状底部に形成されていて
耐内圧性が高められているうえ、この球面状底部
の上面にはその中心線上にある主リブと、中心線
に交叉して主リブの両端に続かせた副リブと、該
主リブから張出されて両副リブを繋ぐブリツジ部
とよりなる特殊なびん底膨出阻止用の補強リブが
一体に設けられているから、底部が外方に膨張し
てびん主体の自立が妨げられたり亀裂が発生した
り破損することがなく、ガラスびんやPET樹脂
製の小型びんと同等の機能をもつものである。

（実施例） 次に、本考案を図示のラムネびんについて詳細
に説明すれば、１は塩化ビニール樹脂によりブロ
ー成形された肉厚が0.6mm程度のびん主体であつ
て、その底部はびん内部に向け膨出する球面状底
部３に形成されている。２は前記球面状底部３の
上面にびん主体１と同時に一体成形されたびん底
膨出阻止用の補強リブであつて、該補強リブ２は
球面状底部３の中心線上に該中心線の約3/4にわ
たつて設けられる弦状の主リブ２ａと、その両端
に前記中心線と交叉するように設けられる低くて
短い副リブ２ｂ，２ｂと、主リブ２ａの上端から
張出されて両副リブ２ｂ，２ｂを繋ぐ弧状のブリ
ツジ部２ｃとよりなり、該ブリツジ部２ｃは中心
が狭く、副リブ２ｂ，２ｂ側にゆくに従い広幅と
なつた上面からみて鼓型をしており、この補強リ
ブ２の肉厚は各部分共びん主体１の肉厚よりも厚
肉とされている。４はラムネを飲む時に密栓用の
ガラス玉５がびん主体１の口部６に転がり落ちて
口部６を塞ぐことを防ぐためびん主体１の上部に
形成される４個の玉止め用凹部であり、７はガラ
ス玉５がびん底部に落ちないようにするガラス玉
受であり、該ガラス玉受７は中間の各狭窄壁部７
ａを中央で連繋してびん主体１の胴部の耐内圧性
を増しており、８はびん主体１の口部６に螺着さ
れる弁座用キヤツプ、９はびん主体１の口部６の
上端と弁座用キヤツプ８間に介在されるフランジ
付のシール用パツキンである。なお、底部に補強
リブ２を形成する手段は特に限定されることはな
いが、図示の補強リブ２は押出機より押し出され
てくるパリソンの下方部を両側からピンで押圧し
てパリソンの一部を重ね合せて溶着したうえ、該
圧潰部が型内面の底部より若干上方に位置したと
き型合わせしてブロー成形することにより得られ
るもので、このようにして得られる補強リブ２は
強度的にも優れているうえ製作も容易で好まし
い。

（考案の効果） このような合成樹脂製びんは、びん主体１にラ
ムネ等の炭酸飲料を充填して口部を密栓して従来
のこの種びんと同様使用した場合において、該び
ん主体１に炭酸飲料のガス圧がかかつても、びん
主体１の底部がびん内部に向け膨出する球面状底
部３に形成されて耐内圧性を高めているのみなら
ず、この球面状底部３の上面にある主リブ２ａと
副リブ２ｂ，２ｂとブリツジ部２ｃとよりなる特
殊な構造のびん底膨出阻止用の補強リブ２がブリ
ツジ作用により一層耐内圧性を高めているから、
肉薄の塩化ビニール樹脂やポリエチレン樹脂であ
るにもかかわらずPET樹脂と同等の耐圧強度を
有することとなつてガス圧に耐えることができ、
びん底部が膨張してびん主体１が自立できなくな
つたり、亀裂が生じたり破損することがなく、ま
た、びん底のシール部に相当する前記したびん底
膨出阻止用の補強リブ２が球面状底部３の上面に
あつて取扱中において手に触れることがないの
で、シール部がびん底外面にあるもののように作
業時にシール部が手にふれて傷付けられることも
ない。しかも、安価な原料樹脂をもつて肉薄に成
形できるうえにインジエクシヨンブロー成形の場
合のように２種の型を使用することなく１種の型
による１回のブロー成形でも容易に成形できるか
ら、従来のPET樹脂製びんに比較して２〜３割
のコストダウンを計ることができる等多くの利点
を有するものである。

従つて、本考案は大きな内圧がかかつてもびん
底が膨出して自立ができなくなつたり、亀裂が生
じたり破損したりすることがないうえに、びん底
のシール部によつて取扱中に手が触れて傷つけら
れることもなく、安価に量産できる利点と相俟ち
実用的価値極めて大なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す一部切欠斜視
図、第２図は同じく要部の一部切欠傾斜図、第３
図は同じく中央横断面図である。 １：びん主体、２：びん底膨出阻止用の補強リ
ブ、２ａ：主リブ、２ｂ：副リブ、２ｃ：ブリツ
ジ部、３：球面状底部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂製のびん主体１の底部をびん内部に向
   け膨出する球面状底部３に形成した合成樹脂製び
   んにおいて、該球面状底部３の上面には、その中
   心線上にある主リブ２ａと、中心線に交叉して主
   リブ２ａの両端に続かせた副リブ２ｂ，２ｂと該
   主リブ２ａから張出されて両副リブ２ｂ，２ｂを
   繋ぐブリツジ部２ｃとよりなるびん底膨出阻止用
   の補強リブ２を一体に設けたことを特徴とする合
   成樹脂製びん。