JPH0349504B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は乳児の保育器に関し、より詳細には、
保育器内の乳児に手を入れること（アクセス）が
できるようにした手穴すなわち手穴装置に関す
る。

保育器には従来から手穴装置が用いられてい
る。基本的には手穴装置は小さな扉で構成されて
おり、扉は通常閉じられているが、病院の職員
（看護婦等）が乳児の世話をする必要があるとき
には保育器に手を入れることができるように開け
られるようになつている。保育器は、温度および
湿度の双方に関し厳格に調節された環境を与える
ためのものであるから、保育器のフード（覆い）
を開ける代りに手穴が使用され、これにより、周
囲の空気が保育器内に入つて調節された環境が損
われてしまうことを最小限にすることができる。

手穴装置の好ましい特徴の１つとして、肘（ひ
じ）操作ができるようになつていることである。
すなわち、便利のために手穴装置の扉は一般にば
ね作動形の扉として構成されており、ラツチを解
除したときに扉がばねの作用で開くようになつて
いる。保育器を取扱う病院の職員は、単に肘を扉
に触れるだけで扉を開けることを一般に好んでい
るため、肘操作ができるということは特に優れた
特徴であるといえる。肘で操作することのできる
典型的な手穴扉か、米国特許第3335713号明細書
に開示されている。

現在、手穴装置は、個々のコイルばねを含む多
数の部品を用いて製造されており、かつ、手穴装
置の組立ておよび保育器への取付けにはかなりの
労力が必要とされる。多大の労力が必要とされる
理由は、扉をそのフレームに対して適正に配向す
ること、ラツチの配向並びに手穴装置を保育器の
フードに適正に位置決めするのに広範囲に亘る整
合作業が必要になるからである。従つて従来の手
穴装置は、個々の部品の製造コストと、手穴装置
の組立ておよび取付けに要する労働コストとの双
方の点で比較的高価なものとなつてしまうという
欠点がある。

従つて本発明の目的は、主要部品としては透明
なプラスチツク成形材料で射出成形された単に２
つの部品が使用されているに過ぎず、製造コスト
が安く、組立て取外しが容易な、ユニークな構造
の手穴装置を提供することにある。２つの部品の
うちの１つの部品すなわちフレームは、手作業に
より取付けられるねじにより容易に保育器に取付
けることができ、従つて、特殊な工具等を用いる
ことなく容易に組立ておよび取外しを行なうここ
とができる。フレームは、該フレームの単一片構
造の一部として外側に突出しておりかつ腕輪状フ
レームを取付けるための特別なフランジを備えて
いる。同様に扉も射出成形された単一片部品とし
て構成されていて、開放位置および閉鎖位置を占
めることができるようにフレームに枢着されてい
る。閉鎖位置において、扉の自由端は、ラツチに
より該閉鎖位置に保持される。

扉のばね付勢力は、該扉が閉鎖位置にあつて僅
かに曲げられた状態からラツチを解放することに
より発生され、扉を構成するのに用いられた材料
に固有の可撓性によつて扉が外側に撓み、扉自体
のばね力によつて扉は開放位置に弾き開かれる。
このため、扉は使用者の肘によつて開けることが
できる。扉は、該扉の重心がヒンジ連結部よりも
高く位置するように、水平に対して或る角度をな
して保育器のフードに取付けられ、これにより、
可撓性の扉が最初に弾き開かれた状態から、扉の
自重により更に開き続けられるようになつてい
る。

従つて、本発明の手穴装置は肘で操作できるだ
けでなく、単に２つの主要射出成形部品で構成さ
れているため、製造コストが安いと共に点検およ
び掃除のための着脱作業を容易に行なうことがで
きる。また、扉とフレームとが予め整合されてい
るため、ばねの調節をすることなくあるいは扉を
フレーム又はラツチ機構と整合させる必要なくし
て手穴装置を取付けることができる。実際に、適
当な寸法に予め組立てることができるように各部
品を製造することによつて手穴装置を適宜配向で
きるようになる。２つの主要部品を成形するだけ
ですべての整合が行なえかつばね作用を得ること
ができ、従つて保育器に最終的に組付けることの
みが必要とされる。

本発明の上記および他の利点および特徴は、添
付図面に基く本発明の実施例についての以下の詳
細な説明により明らかになるであろう。

第１図は、本発明に従つて構成された手穴すな
わち手穴装置１２を備えた保育器１０の斜視図で
ある。この保育器１０は、ベース１４と該ベース
１４の上に配置されたフード１６とを有してお
り、フード１６の中には乳児室１８が形成されて
いて、該乳児室１８内の特別に調節された環境内
に乳児が置かれるようになつている。

乳児室１８内の環境は一般に空気が暖められて
いて湿度が調節されている。一般にかような保育
器１０のフード１６にはピアノの扉に用いる形式
のヒンジ２０が設けられていて、乳児を保育器に
入れたり又は取出したりする場合のように乳児に
完全なアクセスをすることには、フード１６を開
けることができるようになつている。かようなヒ
ンジはフード１６の後側にも設けられていて、乳
児室１８の中にアクセスするときにはフード１６
を完全に開くことができるようになつている。

手穴装置１２自体に関しては、該手穴装置１２
は２つの基本的な構成部分、すなわち、保育器１
０のフード１６に固定されかつ開口を備えている
フレーム２２と、ヒンジ２６によりフレーム２２
にヒンジ止め（蝶番止め）されていて該ヒンジ２
６のまわりを開放位置と閉鎖位置との間で枢動す
る扉２４とから構成されている。第１図に示すよ
うに、フレーム２２はラツチ２８を備えている。
該ラツチ２８は、フレーム２２と一体に成形され
ていて、扉２４を閉鎖位置に保持する機能を有す
る。

従つて、図示のように手穴装置１２に対し病院
の職員又は乳児の世話をする他の人が容易に手を
触れて開けることができ、これにより手穴装置１
２から手を入れて乳児にアクセスできるため、開
口面積を最小にして、乳児室１８内の調節された
環境に与える影響を最小限にすることができる。

前述のように、手穴装置１２は２つの主要部品
すなわちフレーム２２と扉２４とから構成されて
いる。これらのフレーム２２および扉２４の各々
は、射出成形により作られた単一片として構成さ
れている。また、フレーム２２および扉２４の
各々は、手穴装置として用いるのに充分な公差を
もつて容易に射出成形できるポリカーボネートの
ような透明プラスチツクで作るのが好ましい。他
に必要となる部品はヒンジ２６であり、該ヒンジ
２６はフレーム２２と扉２４とをヒンジ結合する
ためのピン３０を備えている。

第２Ａ図は、扉２４が閉じられた状態にあると
ころを示す手穴装置１２の側面図である。まずフ
レーム２２について説明すると、該フレーム２２
は前述のように射出成形された単一片として構成
されていて、フランジ３２を備えている。このフ
ランジ３２は、手穴装置１２を保育器１０に取付
けるときに、保育器のフード１６に設けた開口の
周縁部上に横たわるようになつている。フランジ
３２には複数のボス３４が設けられており、これ
らのボス３４は、保育器のフード１６に形成した
同様な形状の孔内に挿入されて、手孔装置１２を
保育器１０に固定するのに用いられる。手で締付
けることのできるねじと係合するこれらのボス３
４を使用しているため、手穴装置１２を保育器の
フード１６に取付ける際に正しく配向することが
できる。

ラツチ２８はフレーム２２から外方に突出して
おり、肘で操作するように構成されたアクチユエ
ータすなわち肘アクチユエータ３６を備えてい
る。この肘アクチユエータ３６は、フレーム２２
から外方向かつ横方向に延びており、このためラ
ツチ２８はＬ字形に形成されている。肘アクチユ
エータ３６を押下げると、Ｌ字形のラツチ２８が
撓んでエツジ３８が扉２４から離れる方向に移動
するため、以下に述べるようにして扉２４が解放
される。

第２Ａ図からも理解できようが、扉２４は射出
成形プラスチツクからなる一体片構造をなしてい
る。扉２４はその一端に設けたヒンジ２６とピン
３０とを介してフレーム２２に連結されていて、
ヒンジ２６のまわりで種々の位置に枢動できるよ
うになつている。第２Ａ図に示すように、扉２４
は、フレーム２２のフランジ３２から突出したラ
ツチ２８を扉２４に重ね合わせる関係にすること
により閉鎖位置に保持される。

また第２Ａ図は、扉２４が閉鎖位置にあると
き、該扉２４が曲げられた状態にあることを示し
ている。このように、扉２４が閉鎖位置において
曲げられた状態にあると、該扉２４の曲げ量およ
び扉２４の射出成形に用いたプラスチツク材料に
固有の撓み特性に基いて、開放位置に向かうばね
付勢力が創成される。扉２４のばね付勢力すなわ
ち扉２４の撓み量が所定の大きさになるようにす
るため、パンプすなわち衝合部４０が扉２４と一
体に射出成形されており、該衝合部４０は、扉２
４が閉鎖位置にあるときフレーム２２のフランジ
３２を押し付けるように機能する。パンプすなわ
ち衝合部４０の位置決めおよびその突出量の大き
さを適当に定めることにより、扉２４の曲がり量
すなわち扉２４のばね付勢力を所定の大きさに定
めることができる。もちろん、衝合部４０の突出
量は、衝合部４０の形状、位置および扉２４の構
成に使用する材料に固有の可撓性等に基いて定め
られ、正確な寸法は、扉の材料の選定や衝合部４
０を種々の位置に配置するという経験により決定
される。別の方法として、図示してはいないが、
衝合部としての突出部をフレーム２２のフランジ
３２に射出成形することもできる。

第２Ｂ図には、手穴装置１２の側面図すなわ
ち、扉２４がラツチ２８から解放されていて、扉
２４が閉鎖位置にあるときに僅かに曲げられてい
たことによる弾発力により弾き開かれた状態を示
すものである。また第２Ｂ図には腕輪状のフラン
ジ４２が示されている。このフランジ４２も一体
片からなるフレーム２２の一部として射出成形さ
れたものであり、乳児の世話をする人が腕を保育
器内に入れたときに、腕のまわりにシールを形成
することによつて乳児の周囲の雰囲気を付加的に
保護する働らきをなす一般的な腕輪状フレームを
取付けるのに用いられる。

再び第１図に戻つて説明すると、扉２４の曲げ
作用は、水平に対して扉２４が一定の角度をなす
ように保育器１０に位置決めすることにより、す
なわち、ヒンジ２６およびラツチ２８の中心を通
る中心線が水平に対して約５〜25°の角度をなす
ようにして、扉２４の重心がその枢着点より上方
の位置にあるように位置決めすることによつて更
に有効になる。扉２４をこのように位置決めする
ことにより、扉２４がその曲げによるばね付勢力
によつて僅かに開かれた後、重力の作用によつて
扉２４は、乳児の世話をする人が乳児にアクセス
するのに必要な程度まで開くようにすることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に従つて構成された手穴装置
を備えた保育器の斜視図である。第２Ａ図は、本
発明に従つて構成された手穴装置の側面図であ
る。第２Ｂ図は、第２Ａ図と同様な側面図であ
り、扉が部分的に開放した位置にあるところを示
すものである。 １０……保育器、１２……手穴装置、２２……
フレーム、２４……扉、２６……ヒンジ、２８…
…ラツチ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 乳児保育器のフードに取付けられる手穴装置
   において、開口と保育器のフードに取付ける固定
   手段とを備えている単一片として射出成形された
   プラスチツクのフレームであつて、該フレームか
   ら外方に突出しているラツチ手段を備えているフ
   レームと、該フレームにヒンジ止めされておりか
   つ前記開口に関して開放位置と閉鎖位置との間で
   枢動できる単一片として射出成形されたプラスチ
   ツクの扉であつて、前記ラツチ手段によつて閉鎖
   位置に保持される扉と、該扉が閉鎖位置にあると
   きに扉に所定の曲げを生じさせて、前記ラツチ手
   段が解除されたときに扉をその開放位置に弾き開
   かせるに充分な大きさのすべてのばね付勢力を発
   生させるための、前記扉と前記フレームとの間に
   配設された突出部とを有していることを特徴とす
   る保育器のフードに取付けられる手穴装置。 ２ 前記曲げを生じさせる突出部が、前記手穴装
   置に位置決め一体成形された所定の大きさの突出
   部であることを特徴とする請求項１に記載の手穴
   装置。 ３ 前記突出部が前記扉に射出成形されているこ
   とを特徴とする請求項２に記載の手穴装置。 ４ 射出成形された前記プラスチツクのフレーム
   および扉が、ポリカーボネートで作られているこ
   とを特徴とする請求項２に記載の手穴装置。 ５ 射出成形された前記フレームが、更に腕輪状
   のフランジを備えていることを特徴とする請求項
   ４に記載の手穴装置。