JPH0349460B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、患者等の身体を、群毎に交互に減圧
して支持する支持機構と、体圧を分散して支持す
る機構とを合理的に組み合わせて支持することに
より、褥瘡の発生を予防するための身体支持装置
に関するものである。

〔従来の技術および課題〕

褥瘡を予防する目的で患者等の身体を支持する
機構としては、患者等の身体を、群毎に交互に減
圧して支持する機構や、体圧を分散して支持する
機構がある。

まず前者の機構としては、例えば膨張、収縮自
在な気のうを多数縦横に配設すると共に、これら
の気のうを群毎に連通させて膨張、収縮自在とし
た空気マツトがある。かかる空気マツトは、空気
ポンプによつて加圧空気を供給した一方の群の気
のうを加圧すると共に、他方の群の気のうは空気
を抜くことによつて減圧し、かかる動作を交互に
繰り返すことにより、加圧されている身体部位を
所定時間経過後減圧し、以つて長時間の加圧継続
による血流循環の阻害を防止しようとするもので
ある ところが空気マツトは、このように空気の出し
入れによつて加圧、減圧を行なうものであるか
ら、加圧、減圧の周期をある程度以上短縮するこ
とは難かしく、加圧期間に於いては血流の阻害が
継続されるという問題点がある。また、空気マツ
トは、気密性の樹脂シートで構成されているの
で、身体の当接部位との間で、蓄熱、蓄湿の傾向
が強く、従つて発熱、発汗のある長期臥床患者の
使用や夏期に於ける問題があり、更に空気で支持
することにより、船酔現像や就寝時の異和感の問
題点もある。

次に後者の機構としては、例えば柔軟なマツト
内に空気や水を封入したエアーマツトやウオータ
ーベツドがあり、これらは封入された流体による
弾性や浮力によつて、身体を支持する面積を拡げ
ることにより、体圧を分散させるものである。

ところが、このような流体による身体支持機構
では、前述した空気マツトと同様に、身体との当
接部分が気密、液密であるため、身体との間で蓄
熱、蓄湿の傾向が強く、従つて発熱、発汗のある
長期臥床患者の使用や夏期に於ける使用には問題
があり、また流体の流動や波動によつて船酔現像
や就寝時の異和感が発生すると共に、治療処置や
寝返り等に際して身体を動かし難くく、生活活動
に不便であるという問題点がある。

また他の後者の機構として、ベツドの上部に、
底壁と周囲壁とを構成した支持枠を構成すると共
に、該支持枠の上面に通気性シートを張設して身
体支持面を構成し、前期支持枠内に医療用セラミ
ツクビーズを充填すると共に、前期底壁に、ブロ
ワーに連なる空気圧入部を構成し、圧入空気によ
つてセラミツクビーズを流動させることによつて
全身を浮上させて支持すると共に、空気の圧入を
停止することによつてセラミツクビーズを身体の
形に沈降させて固定状態で支持し、これら状態に
於いて体圧を分散させて支持する機構がある。
（例えば特開昭61−22860号公報参照）このような
支持機構では、前述の問題点のうち、蓄熱、蓄湿
の問題点は解決し得るものの、依然として身体を
動かし難くく、生活活動が不便であるという問題
点があることに加えて、装置が全体として非常に
大ががりな高価な装置となり、また患者等の滲出
物が所定以上蓄積した場合に於ける前記セラミツ
クビーズの交換等も非常に面倒であるという問題
点がある。

本発明は以上の課題を解決することを目的とす
るもので、即ち本発明は、群毎に交互に減圧して
身体を支持する機構を、多数のコイルスプリング
を配設した構成に於いて実現することにより、か
かる支持機構としての空気マツトの問題点を解決
すると共に、身体に於いて、より褥瘡の発生し易
い頭部、臀部及び部踵部等の部位に対しては、蓄
熱、蓄湿の問題点を解決した対圧分散支持機構に
よつて部分的に支持することにより、より効果的
に褥瘡の発生を予防を行なうものである。

（課題を解決するための手段） 上述した課題を解決するための本発明の構成を
実施例に対応する第１図〜第７図を参照して説明
すると、本発明の身体支持装置は、多数のコイル
スプリング１を縦横に配設すると共に、そのうち
の所望の多数の伸縮方向への強制変位手段２を構
成し、夫々の強制変位手段２を群毎に制御可能に
構成したクツシヨン機構を有する第一の身体支持
Ｆと、該第一の身体支持部Ｆの所望個所に前記コ
イルスプリング１に代えて収納凹部８を構成し、
該収納凹部８内に着脱支持体４を収納自在に構成
した第二の身体支持部Ｓとから構成し、前記着脱
支持体４は上面を通気性シート３で構成した収納
体内に中空微小粒体５を流動可能に充填して構成
すると共に、該収納体の下側には振動部位７を構
成し、前記収納凹部８の底部１８と振動部位７間
に振動装置６を設置する構成としたものである。

（作用） 以上の構成に於いて、第一の身体支持部Ｆに於
いては、強制変位手段２を構成した多数のコイル
スプリング１を、例えば第１図、第２図に示すよ
うに、縦横方向に隣接するコイルスプリング１が
異なつた群となるように２群Ａ，Ｂに分け、これ
らの群Ａ，Ｂ毎に前記強制変位手段２によつて変
位させる構成とすると共に、収納凹部８は第一の
身体支持部Ｆに於ける、例えば身体の頭部、臀部
及び踵部に対応して構成し、こらの収納凹部８の
夫々に着脱支持体４を収納すると共に、該収納凹
部８の底部１８と着脱支持体４の振動部位２間に
振動装置６を設置して第二の身体支持部Ｓを構成
している。

しかして第一の身体支持部Ｆに於いて、多数の
コイルスプリング１を、群Ａ，Ｂ毎に交互に前記
強制変位手段２によつて伸縮方向に変位させ、即
ち、ある時間は群Ａのコイルスプリング１を短縮
させて、主に残りの群Ｂのコイルスプリング１に
よつて身体を支持すると共に、次の時間は、群Ａ
のコイルスプリング１を伸長させると共に群Ｂの
コイルスプリング１を短縮させて、主に群Ａのコ
イルスプリング１によつて身体を支持し、かかる
交互動作を繰り返す。こうすることにより夫々の
コイルスプリング１によつて支持されている身体
の部位、即ち加圧されている身体の部位が前記群
Ａ，Ｂの分布に対応して交互に所定時間経過後減
圧され、従つて長時間の加圧継続による血流循環
の阻害を予防することにより、褥瘡の発生を予防
することができる。

次に第２の身体支持部Ｓに於いて、振動装置６
を作動すると、中空微小粒体５は振動エネルギを
与えられて運動し、流動状態となる。しかして身
体の前記部位は、流動状態の中空微小粒体５の嵩
比重によつて、圧力を効果的に分散されて支持さ
れ、従つて該部位の血流循環を阻害しない。また
着脱支持体４に於ける身体当接部分は、通気性シ
ート３で構成しているので、気密、液密シートの
ように蓄熱、蓄湿せず、前述した流循環の阻害防
止効果と共に、褥瘡を効果的に予防することがで
きる。更に、前述した振動装置６により、前記中
空微小粒体に与える振動の、振幅及び周期を適宜
変えることにより、中空微小粒体５の流動状態を
変え、前述した身体の当接部位に対しての圧力を
交番的に変えることもできるので、この場合には
マツサージ効果を期待することができる。

第２の身体支持部Ｓは、以上の如く使用してい
ると、着脱支持体４内には通気性シート３を通し
て患者等の滲出物や水分等が次第に蓄積してく
る。そのため、これらが所定量蓄積された場合に
は、使用していた着脱支持体４を収納凹部８から
取り出すと共に、これに替えて新しい着脱支持体
４を収納凹部８に収納すれば、再び清潔な着脱支
持体４によつて前述したように身体部位の体圧の
分散支持を行うことができる。このように着脱支
持体４は身体支持装置の身体支持面の部分に対応
し、これだけを取り替えることができるので、取
り替えが容易で、コストも低く、また身体支持装
置４上に患者が仰臥している場合でも随時即座に
取り替えを行なうことができる。

（実施例） 本発明の実施例を図について更に詳細に説明す
ると、まず第１の身体支持部Ｆに於いて、強制変
位手段２は、例えば第３図に示すように、コイル
スプリング１自体を形状記憶合金で構成すると共
に、該コイルスプリングに通電用電線９を接続し
て構成し、通電による自体の形状記憶効果によつ
て強制変位させる構成や、第４図に示すように、
コイルスプリング１の両端に形状記憶合金で構成
した引張コイルスプリング１０を連結すると共
に、該引張コイルスプリング１０に通電用電線９
を接続して構成し、通電による引張コイルスプリ
ング１０の形状記憶効果による収縮により、コイ
ルスプリング１を収縮方向に変位させる構成や、
第５図に示すように、コイルスプリング１の両端
に連結した空気シリンダ装置１１による構成等適
宜である。また強制変位手段２は構成したコイル
スプリング１の配設方法は、各コイルスプリング
１を独立に支持ポケツト等に収納して支持するこ
とにより、縦横に配設したり、実開昭50−135411
号公報に開示されるように、コイルスプリングを
軟質円柱体等で成型すると共に、これを弾性フレ
キシブルボートの円孔部等に嵌合して支持した
り、また後述する第３図、第４図の構成のように
隣接する夫々のコイルスプリング１を疎結合した
りする等、夫々のコイルスプリング１の変位が、
隣接するコイルスプリング１によつてできるだけ
阻害されないような構成として配設するのが好ま
しい。更に多数のコイルスプリング１の配設形状
は、網目状、千鳥状等、規則的に連続して配設し
ても良いし、適宜部分の配設密度を粗あるい密に
構成するようにしても良い。第１の身体支持部Ｆ
はコイルスプリング１上に適宜クツシヨン体１２
及び被覆部材１３を設置して構成するのである
が、その具体的構成は適宜である。例えば前記ク
ツシヨン体１２及び被覆部材１３は、身体に対し
てコイルスプリング１の圧力を適当に分散させて
痛み等を感じさせず、しかも隣接するコイルスプ
リング１の干渉を極力低減するように、適宜の伸
縮性を持たせることにより、前述した加圧部位の
減圧による効果を向上させることができる。

次に、第２の支持部Ｓに於いて、まず前記中空
微小粒体５としては、例えば火山噴出物の一種で
あるシラスを加熱し、中空球状に発泡させて成る
中空ガラス球、いわゆるシラスバルーンを使用す
ることができる。シラスバルーンは例えば粒径
100〜600μｍに於いて、比重0.2〜0.3程度であり、
かかる性状のものを使用すれば前述した流動に要
する振動エネルギが小さくて済み、また流動状態
に於ける嵩比重と粒体相互間の表面摩擦によつ
て、身体の部位の支持を良好に行なうことができ
る。しかしながら、中空微小粒体３の材質及び性
状は、振動装置６の構成等を勘案して適宜に選択
して良い。次に、通気性シート３は、例えばポリ
エステル等のモノフイラメントオープニングメツ
シユ等で構成する他、前記中空微小粒体５は通さ
ずに、通気性を有するものであれば適宜の素材で
構成することができる。

次に、振動装置６の振動を中空微小粒体５に伝
達させるために着脱支持体４の下側に設ける振動
部位７は、実施例に於いて、収納体の下側から内
方に突設したベローズ１４により構成している。
このベローズ１４は、このように内方に突設する
ことにより振動装置６の設置空間１５を構成する
と共に、該ベローズ１４の上端外側に、該振動装
置６の振動子１６への接続部１７を構成したもの
で、振動装置６自体は、収納凹部８の底部１８等
に固定し、そして着脱支持体４は、接続部１７を
振動子１６から外すことによつて取り外し可能と
するものである。尚、着脱支持体４当りの振動装
置６の数は適宜である。更に、図に示す実施例に
於いて、底壁２１をプラスチツク等の硬質材で構
成すると共に、側壁１９は伸縮可能な材質で構成
し、そしてこの側壁１９の周囲に調節可能なベル
ト２０を巻装した構成としてもので、この構成で
は、ベルト２０の締付位置を変えることにより、
着脱支持体４の内容積を調節することができ、こ
うして通気性シート３の上下位置を調節すること
ができるものである。この他、側壁１９も硬質材
で構成し、収納体１自体を昇降する機構等の他の
調節機構によつて通気性シート３の上下位置を調
節することもできるし、予めの設計により調節不
要な構成とすることもできる。

次に、図に示す実施例に於いて、符号２２は中
空微小粒体５の封入口、２３は側壁１９の上端か
ら、前記通気性シート３方向に適宜幅突出させた
周縁部材であり、この周縁部材２３は、端部に通
した紐２４を締めることにより、通気性シート３
の周縁部の膨出を防ぐと共に、該通気性シート３
と側壁１９との接続部を保護するためのものであ
る。

尚、本発明の身体支持装置は、マツトレスとし
て構成して寝台の床板等から分離自在としたり、
この床板等上に固定したものと構成することがで
きるものである。

（発明の効果） 本発明の身体支持装置は以上の通り、群毎に交
互に減圧して身体を支持する第一の身体支持部
と、体圧を分散支持する第二の身体支持部とから
構成して、体圧の比較的低い身体部位は、身体を
動かし易い第一の身体支持部によつて支持すると
共に、頭部、臀部及び踵部等のように体圧が高く
なる傾向にあり、従つて褥瘡も発生し易い身体部
位は、褥瘡の予防効果のより高い第二の身体支持
部によつて支持する構成であるので、褥瘡の予防
を従来よりも、より効果的に行なえると共に、身
体を動かし易く、しかも異和感も殆んどないとい
う効果がある。殊に本発明は、第一の身体支持部
を多数のコイルスプリングを配設した構成に於い
て実現したので、気密性の樹脂シートで構成し、
空気圧によつて交互に身体を支持する従来の空気
マツトと比較して通気性を良好にすることができ
ると共に、船酔現像や就寝時の異和感の発生も極
めて少なく、また寝返り等に際して身体を動かし
易いという利点がある。また第二の身体支持部
は、振動装置の振動で流動状態とする中空微小粒
体によつて通気性シートを介して支持する構成と
した着脱支持体を用いて実現したので、空気マツ
トやウオーターベツド等の従来の体圧分散支持装
置に於ける蓄熱、蓄湿の問題点を解決することが
できると共に、この第二の身体支持部は必要に応
じての取り替えが可能で、従つて患者等の滲出物
や水分等蓄積した着脱支持体を、随時、容易に取
り替えることができ、従つて患者等は本発明に適
用した寝台等を連続的に使用し得ると共に、前記
着脱支持体の取り替えを低コストで行なうことが
できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

全図は本発明の実施例に対応するもので、第１
図ａ，ｂは本発明の機構を適用したベツドを模式
的に表わした夫々平面図、側面断面図であり、第
２図ａ，ｂは動作を示す要部拡大側面断面図、第
３図ａ，ｂはコイルスプリングの配設方法と強制
変位手段の一例を示す夫々平面図、側面断面図、
第４図ａ，ｂ，ｃ，ｄはコイルスプリングの配設
方法と強制変位手段の他例を示す平面説明図と側
面説明図、第５図は強制変位手段の更に他例を示
す側面説明図、第６図は着脱支持体の外観を示す
斜視図、第７図ａ，ｂは着脱支持体の収納及び取
り替え動作を示す要部断面図である。 符号Ｆ……第１の身体支持部、Ｓ……第２の身
体支持部、１……コイルスプリング、２……強制
変位手段、３……通気性シート、４……着脱支持
体、５……中空微小粒体、６……振動装置、７…
…振動部位、８……収納凹部、９……通電用電
線、１０……引張コイルスプリング、１１……空
気シリンダ装置、１２……クツシヨン体、１３…
…被覆部材、１４……ベローズ、１５……設置空
間、１６……振動子、１７……接続部、１８……
底部、１９……側壁、２０……ベルト、２１……
底壁、２２……封入口、２３……周縁部材、２４
……紐。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 多数のコイルスプリングを縦横に配設すると
   共に、そのうちの所望の多数に伸縮方向への強制
   変位手段を構成し、夫々の強制変位手段を群毎に
   制御可能に構成したクツシヨン機構を有する第一
   の身体支持部と、該第一の身体支持部の所望個所
   に前記コイルスプリングに代えて収納凹部を構成
   し、該収納凹部内に着脱支持体を収納自在に構成
   した第二の身体支持部とから構成し、前記着脱支
   持体は上面を通気性シートで構成した収納体内に
   中空微小粒体を流動可能に充填して構成すると共
   に、該収納体の下側には振動部位を構成し、前期
   収納凹部の底部と振動部位間に振動装置を設置す
   る構成とした身体支持装置 ２ 強制変位手段は、コイルスプリング自体を形
   状記憶合金で構成すると共に、該コイルスプリン
   グに通電用電線を接続して構成し、通電による自
   体の形状記憶効果によつて強制変位させる構成と
   した特許請求の範囲第１項記載の身体支持装置 ３ 強制変位手段は、コイルスプリングの両端に
   形状記憶合金で構成した引張コイルスプリングを
   連結すると共に、該引張コイルスプリングに通電
   用電線を接続して構成し、通電による引張コイル
   スプリングの形状記憶効果による収縮により、コ
   イルスプリングを収縮方向に変位させる構成とし
   た特許請求の範囲第１項記載の身体支持装置 ４ 強制変位手段は、コイルスプリングの両端に
   連結した空気シリンダ装置によつて構成したこと
   を特徴とする特許請求の範囲第１項記載の身体支
   持装置