JPH0312894B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は患者等の身体の体圧を分散して支持す
ることにより、褥瘡の発生を予防するための身体
支持装置に関するものである。

〔従来の技術および課題〕

患者等の身体の体圧を分散して支持することに
より、褥瘡の発生を予防するための従来の身体支
持装置としては、例えば柔軟なマツト内に空気や
水を封入したエアーマツトやウオーターベツドが
あり、これらは封入された流体による弾性や浮力
によつて、身体を支持する面積を拡げることによ
り、体圧を分散させるものである。

ところが、このような流体による身体支持装置
では、身体との当接部分が気密、液密であるた
め、身体との間で蓄熱、蓄湿の傾向が強く、従つ
て発熱、発汗のある長期臥床患者の使用や夏期に
於ける使用には問題があり、また流体の流動や波
動によつて船酔現象や就寝時の異和感が発生する
と共に、治療処置や寝返り等に際して身体を動か
し難くく、生活活動に不便であるという問題点が
ある。

また他の装置として、ベツドの上部に、底壁と
周囲壁とを構成した支持枠を構成すると共に、該
支持枠の上面に通気性シートを張設して身体支持
面を構成し、前記支持枠内に医療用セラミツクビ
ーズを充填すると共に、前記底壁に、ブロワーに
連なる空気圧入部を構成し、圧入空気によつてセ
ラミツクビーズを流動させることによつて全身を
浮上させて支持すると共に、空気の圧入を停止す
ることによつてセラミツクビーズを身体の形に沈
降させて固定状態で支持し、これらの状態に於い
て体圧を分散させて支持する装置がある。（例え
ば特開昭61−22860号公報または実開昭57−79519
号公報参照）しかしながら、このような支持装置
では、前述の問題点のうち、蓄熱、蓄湿の問題点
は解決し得るものの、依然として身体を動かし難
くく、生活活動が不便であるという課題があるこ
とに加えて、装置が全体として非常に大がかりな
高価な装置となり、また患者等の滲出物が所定以
上蓄積した場合に於ける前記セラミツクビーズの
交換等も非常に面倒であるという課題がある。

本発明は以上の課題を解決することを目的とす
るものである。

〔課題を解決するための手段〕

上述した課題を解決するための本発明の構成を
実施例に対応する第１図〜第４図に基づいて説明
すると、本発明の身体支持装置は、身体支持装置
の身体支持面側の適所に収納凹部５を構成すると
共に、該収納凹部５内に着脱支持体２を収納自在
に構成し、該着脱支持体２は上面を通気性シート
１で構成した収納体内に中空微小粒体３を流動可
能に充填して構成すると共に、該収納体の下側に
は振動部位７を構成し、前記収納凹部５の底部と
振動部位７間に振動装置６を設置する構成とした
ものである。

〔作用〕

しかして、収納凹部５は、身体支持装置４に於
いて、例えば身体の頭部、臀部及び踵部に対応し
て構成し、これらの収納凹部５，５ａ，５ｂ，５
ｃの夫々に前記着脱支持体２を収納し、そして該
収納凹部５の底部と着脱支持体２の振動部位７間
に振動装置６を設置する。

かかる構成に於いて、振動装置６を作動する
と、中空微小粒体３は振動エネルギを与えられて
運動し、流動状態となる。しかして身体の前記部
位は、流動状態の中空微小粒体３の嵩比重によつ
て、圧力を効果的に分散されて支持される。従つ
てこれら部位の血流循環を阻害しない。また着脱
支持体２に於ける身体当接部分は、通気性シート
１で構成しているので、気密、液密シートのよう
に蓄熱、蓄湿せず、前述した血流循環の阻害防止
効果と共に、褥瘡を効果的に予防することができ
る。更に前述した振動装置６により、前記中空微
小粒体３に与える振動の振幅及び周期を適宜変え
ることにより、中空微小粒体３の流動状態を変
え、前述した身体の当接部位に対して圧力を交番
的に変えることもできるので、この場合にはマツ
サージ効果を期待することができる。

以上の如く使用していると、着脱支持体２内に
は通気性シート１を通して患者等の滲出物や水分
等が次第に蓄積してくる。そのため、これらが所
定量蓄積された場合には、使用していた着脱支持
体２を収納凹部５から取り出すと共に、これに替
えて新しい着脱支持体２を収納凹部５に収納すれ
ば、再び清潔な着脱支持体２によつて前述したよ
うな身体部位の分散支持を行なうことができる。
このように着脱支持体２は身体支持装置４の身体
支持面の部分に対応し、これだけを取り替えるこ
とができるので、取り替えが容易で、コストも低
く、また身体支持装置４上に患者が抑臥している
場合でも随時即座に取り替えを行なうことができ
る。また着脱支持体２は、このように身体支持装
置４の身体支持面の部分に対応し、他の部分は適
宜の支持機構で構成することができるので、他の
支持機構としては、身体を安定に支持し得る、例
えばスプリングを用いたクツシヨン機構を有する
もの等とすることにより、治療処置や寝返り等に
際して、身体を動かし易く構成することができ
る。

〔実施例〕

次に本発明の実施例を説明すると、まず前記中
空微小粒体３としては、例えば火山噴出物の一種
であるシラスを加熱し、中空球状に発泡させて成
る中空ガラス球、いわゆるシラスバルーンを使用
することができる。シラスバルーンは例えば粒径
100〜600μmに於いて、比重0.2〜0.3程度であり、
かかる性状のものを使用すれば前述した流動に要
する振動エネルギが小さくて済み、また流動状態
に於ける嵩比重と、粒体相互間の表面摩擦によつ
て、身体の部位の支持を良好に行なうことができ
る。しかしながら、中空微小粒体３の材質及び性
状は、振動装置６の構成等を勘案して適宜に選択
して良い。次に、通気性シート１は、例えばポリ
エステル等のモノフイラメントオープニングメツ
シユ等で構成する他、前記中空微小粒体３は通さ
ずに通気性を有するものであれば適宜の素材で構
成することができる。

次に、振動装置６の振動を中空微小粒体３に伝
達させるために着脱支持体２の下側に設ける振動
部位７は、図示例に於いては、収納体の下側から
内方に突設したベローズ７により構成している。
ベローズ７は、このように内方に突設することに
より振動装置６の設置空間８を構成すると共に、
該ベローズ７の上端外側に、該振動装置６の振動
子６′への接続部９を構成したもので、振動装置
６自体は、収納凹部５の基台１０等に固定し、そ
して着脱支持体２は、接続部９を振動子８から外
すことによつて取り外し可能とするものである。

尚、着脱支持体２当りの振動装置６の数は適宜
である。更に、図に示す実施例に於いては、着脱
支持体２は底壁１１をプラスチツク等の硬質材で
構成すると共に、側壁１２は伸縮可能な材質で構
成し、そしてこの側壁１２の周囲に調節可能なベ
ルト１３を巻装した構成としたもので、この構成
では、ベルト１３の締付位置を変えることによ
り、着脱支持体２の収納体の内容積を調節するこ
とができ、こうして通気性シート１の上下位置を
調節することができるものである。この他、側壁
１２も硬質材で構成し、着脱支持体２を全体とし
て昇降する機構等の他の調節機構によつて調節す
ることもできるし、予めの設計により調節不要な
構成とすることもできる。次に、図に示す実施例
に於いて、符号１４は中空微小体３の封入口、１
５は側壁１２の上端から、前記通気シート１方向
に適宜幅突出させた周縁部材であり、この周縁部
材１５は、端部に通した紐１６を締めることによ
り、通気シート１の周縁部の膨出を防ぐと共に、
該通気シート１と側壁１２との接続部を保護する
ためのものである。更に、１７は他の身体支持機
構のマツト表面材、１８はシーツである。

〔発明の効果〕

本発明は以上の通り、上面を通気性シートで構
成した収納体内に中空微小粒体を流動可能に充填
すると共に、下側に振動部位を設けて着脱支持体
を構成し、この着脱支持体を身体支持装置の所望
部位、例えば患者等の頭部、臀部、踵部に対応す
る部位に構成した収納凹部内に収納して、該収納
凹部の底部と着脱支持体の下側に設置した振動装
置によつて、前記中空微小粒体を流動させ、流動
状態の該中空微小粒体によつて前記通気性シート
を介して前記身体の部位を支持するので、かかる
部位を蓄熱、蓄湿させずに、その体圧を分散して
支持することができ、以つて褥瘡を効果的に予防
し得るという効果がある。また本発明は、中空微
小粒体に与える振動の、振幅及び周期を容易に変
えることができ、例えば身体の当接部位に対して
の圧力を交番的に変えることもできるので、この
場合にはマツサージ効果を期待することができ
る。

そして、本発明は前述した通り、全身に対応す
る身体支持装置の、部分に対応して構成するもの
であるので、この部分だけの取り替えが可能で、
従つて患者等の滲出物や水分等が蓄積した着脱支
持体を、随時、容易に取り替えることができ、従
つて患者等は本発明を適用した寝台等を連続的に
使用し得ると共に、前記着脱支持体の取り替えを
低コストで行うことができ、また、着脱支持体以
外の部位を他の支持機構で安定に支持することに
より、身体を動かし易く、生活活動がやり易いと
いう効果がある。

【図面の簡単な説明】

全図は本発明の実施例に対応するもので、第１
図ａ，ｂ，ｃは本発明の機構を適用したベツドを
模式的に表わした夫々側面断面図、平面図、要部
斜視図であり、第２図は第１図ａの要部拡大図、
第３図は収納体の外観を示す斜視図、第４図は収
納体の収納及び取り替え動作を示す要部断面図で
ある。 符号１……通気性シート、２……着脱支持体、
３……中空微小粒体、４……身体支持装置、５，
５ａ，５ｂ，５ｃ……収納凹部、６……振動装
置、７……ベローズ（振動部位）、８……設置空
間、９……接続部、１０……基台、１１……底
壁、１２……側壁、１３……ベルト、１４……封
入口、１５……周縁部材、１６……紐、１７……
マツト表面材、１８……シーツ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 身体支持装置の身体支持面側の適所に収納凹
   部を構成すると共に、該収納凹部内に着脱支持体
   を収納自在に構成し、該着脱支持体は上面を通気
   性シートで構成した収納体内に中空微小粒体を流
   動可能に充填して構成すると共に、該収納体の下
   側には振動部位を構成し、前記収納凹部の底部と
   振動部位間に振動装置を設置する構成とした身体
   支持装置。