JPH0346172Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は内燃機関の排気ガス中の熱を回収する
装置に関する。

〔従来技術〕

内燃機関の排ガスを利用した排気熱交換器は、
その熱交換器コア外面側に排ガスを流通させると
共に、コアの内面側に被加熱用液体として水を流
通して両者の間に熱交換を行い、温水を供給する
等の用途に使われていた。

〔解決しようとする問題点〕

ところが、このような排気熱交換器は排ガス温
度が約600℃ほどの高温となるため、熱交換器コ
ア内に局部沸騰が起こり、該熱交換器の亀裂や破
損事故が発生し易かつた。又、排気ガス中の
NOx，SOx等が排ガス凝縮水に溶け込み、
NHO₃，H₂SO₄等の高濃度腐食成分水が生成し、
熱交換器コアを腐食して寿命を著しく短くしてい
た。そこで、熱交換器コアを耐熱及び耐蝕性の高
い高級金属板を使用しなければならず、装置全体
がコスト高にならざるを得なかつた。さらには、
腐食水の発生を極力防止する必要から、熱交換後
の排ガスの温度を200℃以下にすることができず、
熱交換効率が悪かつた。又、排ガス中のススが熱
交換器コアの各部分に詰まり、定期的なメンテナ
ンスを必要とした。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで、本考案は以上の問題点を取り除いた排
気熱回収装置を提供することを目的とし、その構
成は次の通りである。

即ち、装置本体１の上部に排ガス流出口５を形
成すると共に、該装置本体１の内部に水を収容し
得るように構成する。そして、装置本体１に熱交
換器コア２を内装し、該熱交換器コア２の外面側
を前記水と接触させると共に、内部に被加熱用の
液体８を流通させる。そして、熱交換器コア２の
下方に排ガス流入口３を開口する。さらに、排ガ
ス流入口３と熱交換器コア２との間に気泡生成用
の気液撹拌手段４を位置させたものである。

〔実施例〕

次に、図面に基づいて本考案の実施例につき説
明する。

第１図は本装置の説明的略図であり、第２図は
第１図の−断面図、第３図は第１図の−
断面図である。この実施例では装置本体１が水槽
からなり、その下部に排ガス管９が貫通し、その
先端が上方を向いて、そこに排ガス流入口３を形
成する。又装置本体１の上部に給水管１４及び排
ガス管９が設けられ、排ガス管９の下端に排ガス
流出口５を形成する。さらに、装置本体１内には
多数のプレートを積層した積層型の熱交換器コア
２が設けられ、各プレートの内外面に図示しない
フインが配設されている。そして、この熱交換器
コア２に入口管１０及び出口管１１が連通する。
さらに、装置本体１内にはフイルタ６およびジン
クロツド７が設けられている。このフイルタ６は
装置本体１内を循環する水を浄化する細かいメツ
シユからなるものである。又、ジンクロツド７は
亜鉛棒材からなり、それが装置本体１内の水に溶
け込んで、排ガス中のNOx及びSOx成分を
ZnNO₃，ZnSO₄等に変化させ、熱交換器コア２
の腐食を防止するものである。又、排ガス流入口
３と熱交換器コア２との間には細かいメツシユか
らなる気液撹拌手段４が位置されている。

〔作用〕

このようにしてなる装置には給水管１４からバ
ルブ１５を介して装置本体１内に給水が行われ
る。そして、熱交換器コア２のチユーブ内には入
口管１０から被加熱水としての液体８が流入し、
それが熱交換されて出口管１１から流出するもの
である。そして、排ガス管９には内燃機関の排気
ガスが導かれ、排ガス流入口３より上方へ流出
し、気液撹拌手段４を介してそれが気泡に分離す
る。そして、排気ガスと装置本体１内の水とが熱
交換されて装置本体１内の水が比較的高温の温水
となり、該温水と前記熱交換器コア２内の液体８
とが熱交換されるものである。そして、装置本体
１内の温水は仕切１６を境として図において右回
りに循環する。そして、フイルタ６を通過する間
に該フイルタ６内の細かいメツシユにより排ガス
中の固形分が取り除かれて再び熱交換器コア２の
下方に戻される。一方排ガス流入口３より装置本
体１内に流入した排ガスは排ガス管９の排ガス流
出口５より上方へ排出される。このとき、排気ガ
ス中のNOx，SOxの一部は水と反応し、HNO₃，
H₂SO₄の希釈水となる。そして、それがジンク
ロツド７によるZnの溶け込みにより、ZnNO₃，
ZnSO₄に変化し、腐食防止の効果を得る。なお、
内燃機関の急速始動や急激の加負荷変動が起こつ
ても、装置本体１内には水が充満され、その熱容
量が大であるから、前記した急激な変動に十分追
従し得る。又排気ガス中に含まれる18％程の
H₂O蒸気は装置本体１内で凝縮し、水となる。
又、熱交換器コア２の外面には気泡が流通するか
ら、コア２のフイン等にススが目詰まりすること
がなく、メンテナンスフリーとなる。なお、熱交
換器コア２の材料としては一般に広く用いられて
いる鋼板その他を使用できる。

〔考案の効果〕〕 本考案の排気熱回収装置は以上のような構成か
らなり、次の効果を有する。

(1) 本装置は、装置本体１内部の水を介し、熱交
換器コア２の外面側と該熱交換器コア２に流通
する液体８との間に熱交換が行われるものであ
るから、排ガスを直接熱交換器に導く従来型装
置の如く内燃機関の排気ガス中の腐食生成分が
高濃度の状態で熱交換器コア２に付着すること
がなく、寿命の長い装置を提供できる。

(2) さらに、本装置は熱交換器コア２内の局部沸
騰を防止し、該熱交換器コア２の亀裂や破損事
故を防止できる。

(3) 又、本装置は気液撹拌手段４の存在により高
温の排ガスと水とを撹拌し、効率よく排ガス中
の熱を回収できる。

(4) さらに、本装置は気液撹拌手段４の存在によ
り熱交換器コア２に細かい気泡が流通するか
ら、熱交換器コア２外周にススが付着すること
を防止し、メンテナンスフリーに近い装置を提
供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本装置の説明的略図であり、第２図は
第１図の−断面図、第３図は第１図の−
断面図である。 １……装置本体、２……熱交換器コア、３……
排ガス流入口、４……気液撹拌手段、５……排ガ
ス流出口、６……フイルタ、７……ジンクロツ
ド、８……液体、９……排ガス管、１０……入口
管、１１……出口管、１２……オーバーフロー
管、１３……ドレン管、１４……給水管、１５…
…バルブ、１６……仕切。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上部に排ガス流出口５を有すると共に、内部に
   水が収容される装置本体１と、該本体１に内装さ
   れ外面側が前記水に接触すると共に、内部に被加
   熱用の液体８が流通する熱交換器コア２と、該コ
   ア２の下方に開口する排ガス流入口３と、該口３
   と前記コア２との間に位置された気泡生成用の気
   液撹拌手段４と、を具備する内燃機関の排気熱回
   収装置。