JPH0345743Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、建物に備えつけておく非常用の避難
器具に関する。

〔従来の技術とその問題点〕

火災等の災害発生時に建物の窓を越えて室内か
ら外へ緊急避難することがあり、かかる場合に避
難を急ぐあまり、窓から落下して事故に至ること
もある。

このような事態を避けるために、避難梯子等の
避難器具を備えている所もあるが、これは収納ス
ペースを要することから例えばベランダ等に収納
されることが多く、また、各室毎に備えつけられ
るとも限らない。

また、きわめて簡単な避難脱出方法として、ロ
ープを備えておき、非常時にはその一端を例えば
窓枠の近くの固定物に結び付け他端を窓から外へ
投げ出してこれを伝つて脱出する方法もある。し
かし、かかる方法では、ロープの端を結びつける
適当な固定物が見つからない場合や、あるいは固
定の仕方が充分でないと使用中にロープがほどけ
たり、また、ロープの途中が窓枠と接してこすれ
使用時に加わる荷重により切断するおそれ等があ
り、安全面での充分なものとはいえなかつた。

本考案の目的はかかる事情を考慮してなされた
もので、建物の各窓毎に簡単に設置でき、しかも
構造簡単で安価に製造でき、かつ安全性を充分に
確保できる非常用避難器具を提供することにあ
る。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は前記目的を達成するため、建物の窓枠
近くで室内側の壁に避難ロープ収納部を形成し、
該避難ロープ収納部にロープ支持アームを前後水
平方向に回動自在に取付け、このロープ支持アー
ムの先端にロープの一端を固定するとともに途中
をロープ収納部内に適宜間隔で配設した複数の係
止突起に順次掛止することを要旨とするものであ
る。

〔作用〕

本考案によれば、ロープ支持アームを室内側に
回すことにより、これに端部を固定してある避難
ロープの途中が係止突起から外れる。そして、こ
の状態でロープの他端を窓から外へ出せば該ロー
プは窓枠と接触せずに窓外に垂れ下がる。

〔実施例〕

以下、図面について本考案の実施例を詳細に説
明する。

第１図は本考案の非常用避難器具の実施例を示
す正面図、第２図は同上縦断側面図で、図中１は
ロープ収納ケースを示し、該ロープ収納ケース１
は例えば引違い窓２を取付けた窓枠３の上下左右
いずれかの側（図示の例では上部）に一体的に形
成したもので、コンクリート壁４に埋込まれる。

そして、このロープ収納ケース１の上部には該
ケース１を貫通させて棒状のロープ支持金具５の
端を壁４に埋設して該ロープ支持金具５を収納ケ
ース１及び壁４に固定し、このロープ支持金具５
の他端のロープ支持アーム５ａを前後水平方向に
回動自在に取付けた。

また、ロープ収納ケース１内の正面には複数の
係止突起６を適宜間隔で例えば上下左右方向に千
鳥状に配設し、ロープ７の一端を前記ロープ支持
アーム５ａに固定するとともにその途中を係止突
起６に順次掛渡す。こうしてロープ７を収納ケー
ス１内で壁４に沿うようにして収納する。

図中８は、ロープ収納ケース１の前面開口１ａ
を覆う上下に回動する開閉蓋を示す。

次に使用法及び動作について説明すると、平常
時は、ロープ支持アーム５ａを壁４と平行状態に
してロープ収納ケース１内に収め、前面開口１ａ
には開閉蓋８を施しておく。このようにしておけ
ば、ロープ７が直接室内側に露出せず体裁がわる
くなることはない。火災発生時の緊急事態等に
は、開閉蓋８を上方に回動して持上げ、ロープ支
持アーム５ａを手前に水平方向に回動してこれを
室内Ａ側に引出せば該ロープ支持アーム５ａに固
定されているロープ７の端が手前に引出され、こ
れによりロープ７の途中は、引張られるようにし
て順次係止突起６から外れて第３図に示すように
室内側で床に落ちる。

そして、ロープ７の自由端を窓９から外へ出し
てこれを伝つて室内Ａから室外Ｂへと避難する。
この時、ロープ７の固定端は第４図に示すように
ロープ支持アーム５ａが室内Ａ側に突出している
ことで窓枠３と離間した室内Ａ側に位置し、その
結果、ロープ７は窓枠３の上部室内側と接するこ
となく室外Ｂへ引出され、窓枠３に負荷がかかる
ことはない。

なお、前記実施例はロープ収納ケース１を窓枠
３と一体に形成したものであるが、これに限定さ
れるのではなく、他の例として第５図に示すよう
に下方にカーテン１１を吊下げるカーテンレール
１２を取付けたカーテンレールボツクス１０と一
体化することも可能であり、かかる場合は既設の
建物にも適用できる。

また、ベル等の警報装置を別途設け、これを開
閉蓋８の開閉に連動させて開閉蓋８を開けば警報
装置が作動するようにしておけば、非常時の報知
のみならずいたらず防止にも役立つ。

〔考案の効果〕

以上述べたように本考案の非常用避難器具は、
窓際に簡単に設置でき、しかも使用に際してはロ
ープ支持アームを手前に引出すだけの簡単な操作
でロープが自動的に引出されるから、短時間でロ
ープをセツトでき非常用のものとして適してい
る。

また、使用時にロープに加わる荷重は壁で支え
るようにし、かつロープの途中が窓枠と接触する
ことがないからこれとこすれてロープが切断する
おそれもなく、きわめて安全なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の非常用避難器具の実施例を示
す正面図、第２図は同上縦断側面図、第３図はロ
ープを室内側に引出した状態の縦断側面図、第４
図はロープを室外へ出した状態の縦断側面図、第
５図は他の例を示す縦断側面図である。 １……ロープ収納ケース、１ａ……前面開口、
２……引違い窓、３……窓枠、４……壁、５……
ロープ支持金具、５ａ……ロープ支持アーム、６
……係止突起、７……ロープ、８……開閉蓋、９
……窓、１０……カーテンレールボツクス、１１
……カーテン、１２……カーテンレール、Ａ……
室内、Ｂ……室外。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 建物の窓枠近くで室内側の壁に避難ロープ収納
   部を形成し、該避難ロープ収納部にロープ支持ア
   ームを前後水平方向に回動自在に取付け、このロ
   ープ支持アームの先端にロープの一端を固定する
   とともに途中をロープ収納部内に適宜間隔で配設
   した複数の係止突起に順次掛止することを特徴と
   した非常用避難器具。