JPH0342979B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は複数個の発泡合成樹脂モデル素材を接
合して１個の発泡合成樹脂消失鋳物模型を形成
し、その消失鋳物模型を鋳砂中に埋めて鋳砂型を
製作する発泡合成樹脂消失鋳物模型を使用する鋳
造方法において、鋳砂に埋める前に複数個の発泡
合成樹脂モデル素材の消失時において、吹かれと
称する現象により鋳砂型及び鋳物に悪影響を及ぼ
さない接着剤により接着する方法に関するもので
ある。

（従来の技術） 発泡合成樹脂からなる消失鋳物模型を鋳砂中に
埋め込んで鋳砂型を構成し、前記の鋳物模型を除
去することなく鋳砂型の湯口から金属溶湯を流し
込んでその金属溶湯の熱により鋳物模型を消失気
化させながら金属溶湯と置き換える発泡合成樹脂
消失鋳物模型鋳造法が急速に普及している。

前記した発泡合成樹脂消失鋳物模型は一体成形
が困難なものもあり、その場合には二つ以上のモ
デル素材を接着剤により接着して形成するのが普
通であるが、多くの接着剤は吹かれと称する現象
により鋳物の内部に気泡巣を生ずることが多くこ
れが普及の遅れている原因の一つに数えられてい
る。吹かれとは発泡合成樹脂消失鋳物模型または
鋳砂型を固化するため混合する合成樹脂系固化材
（合成樹脂系でないときもある。）の一種の拒絶反
応であつて、発泡樹脂鋳物模型について述べれ
ば、鋳砂型の湯口から流し込んだ金属溶湯の熱に
より発泡合成樹脂鋳物模型の殆んどが焼失し、そ
れに連れて接着剤も殆んど焼失したように見える
が、前記鋳物模型が、焼失し切る前において接着
剤が凝縮して小爆発現象を起こし、鋳砂型のシヤ
ビテイ内面壁の一部が損傷されて気泡巣を生ずる
現象であつて、第１図の発泡合成樹脂消失鋳物模
型４の形状にほぼ合致する鋳物製品ａの表面に第
４，５図のように前記した小爆発現象により鋳肌
に発泡ｃが起つて皮状の鋳物屑ｂを生ずることが
あるのを言う。この現象は殆どの場合免れ得ない
が、特にアルミ鋳物製品において前記の吹かれが
100％と非常に高いとされている。

しかして従来は発泡合成樹脂モデル素材専用の
Ａ、Ｂ二剤からなる接着剤を使用する等で吹かれ
の発生を可及的に少なくしており、Ａ、Ｂ二剤を
使用する場合は、一方のモデル素材の接合面にＡ
剤を塗布し、他方のモデル素材の接合面にＢ剤を
塗布して、瞬間的に接合接着する手段が取られて
いる。

このＡ、Ｂ二剤による接合は最もよい方法であ
ると技術者間で信じられているが、その接着剤に
より接合した消失鋳物模型の表面に離型剤を塗着
し、鋳物中に埋んだ砂鋳型の湯口から金属溶湯を
流し込んで鋳造した鋳物製品の鋳肌に荒れを生
じ、特に比較的低い温度で溶融及び固化するアル
ミ合金系金属溶湯を流し込んで製造した鋳物製品
ａにおいては、既述のように吹かれが起こる率は
約100％と非常に高く、さらに接着剤の研究を進
める必要が認められた。

（発明が解決しようとする課題・本発明の目的） 本発明者は、前記のＡ、Ｂ二剤を使用して発泡
合成樹脂モデル素材を接合した消失鋳物模型を用
法に従つて使用する場合にも表面が不良な鋳物が
100％と多発することに着目し、接着剤について
さらに研究することを本発明の目的としたもので
ある。

（問題点を解決するための手段） 本発明は発泡合成樹脂モデル素材の接着剤につ
いて適剤を探り出すことにあり、発明の完成まで
に幾多の試行錯誤を繰り返してついに目的を達成
することができた。その発明要旨は、複数個の発
泡合成樹脂モデル素材の接合面の接合により発泡
合成樹脂消失鋳物模型を構成する方法において、
複数個の発泡合成樹脂モデル素材の接合面に、水
溶性樹脂ニスを塗布し、その接着性により前記各
素材に接着することを特徴とする発泡合成樹脂消
失鋳物模型の接着方法に係るものである。本発明
に使用する水溶性樹脂ニスは発泡合成樹脂モデル
素材の組成により変換する必要はなくどの材質の
発泡合成樹脂モデル素材にも使用できる汎用性を
持つ。

（作用） 本発明方法による時は発泡合成樹脂モデル素材
の接着剤による鋳物模型（消失鋳型）に既述の欠
点が極く少なく、表面の切削量を少なくする鋳物
製品を鋳造できた。その理由は必ずしも明らかで
ないが、従来何の疑念のなく使用しているＡ、Ｂ
二剤からなる接着剤に第４図の鋳物屑ｂを生じさ
せる因子を含んでおり、水溶性樹脂ニスには前記
の因子をほとんど含んでいないことが主原因であ
ると推定できる。

（実施例） 本発明の好適な実施例を次に説明する。

本発明方法は接着剤として合成樹脂ベヒクルを
水に混合した水溶性樹脂ニスを選んだ。前記水溶
性樹脂ニスは家具、ドアー、板かべなどに艶を付
ける水性ニス塗料として一般に販売せられている
ものと同質であり、市販の水溶性ニスは塗布乾燥
により色彩を明確に表す微量の顔料を添加して乳
濁させている。本発明においてはかかる顔料は原
則として不要であるが微量の顔料を含んでいる市
販品を使用しても、そのための悪影響はなかつ
た。これは汎用性を持つ特色によるものである。

発泡合成樹脂モデル素材について、理解を容易
にするため同じ平面積をもち、かつ厚みのある第
２図図示の板材１，２と選んだ。（実際に成形す
るモデル素材は図示のようなシンプルなものでな
い） 本発明は発泡合成樹脂モデル素材である板材
１，２のそれぞれの接合面１ａ，２ａの一方また
は双方に前記した水溶性樹脂ニス３をスプレー用
具などにより薄く塗布し、溶剤である水の大部分
を輝散した未乾燥の状態のとき第３図のように接
合して発泡合成樹脂消失鋳物模型４を製作した。

水溶性ニス３が乾燥するまでには約１時間を要
したが接合のための重しは不用であつた。尤もモ
デル素材の形状によつては重しを使用した方が有
利なこともあるが、接合面１ａ，２ａを接合する
とき、水溶性樹脂のニス３は粘性をもち、軽量で
ある板材１，２の分離をさせることはないから、
発泡合成樹脂消失鋳物模型４の表面に離型剤を塗
布する必要があるとき、接合後水溶性ニス３の未
乾燥の状態のとき前記離型剤の塗布に必要な取扱
いを施しても接合が離れることはなかつた。

第１，３図に例示した発泡合成樹脂消失鋳物模
型４を鋳枠に充填する鋳砂中に埋めて鋳砂型を作
成し、その鋳砂型の外面全体を真空吸引により減
圧に保持し、鋳砂型の湯口からアルミ合金の金属
溶湯を注ぎ、発泡合成樹脂消失鋳物模型４を金属
溶湯の熱によりガス化して鋳砂型の外部に排出し
ながら常法通りに金属溶湯と置きかえて固化し、
適温に冷却してから鋳砂型を破壊して取出したア
ルミ鋳物製品ａには、第４，５図に示した鋳物屑
ｂの付着とか鋳肌の荒れ等が極く少なく、殆んど
計算通りの形状であつた。

（効果） 本発明方法において、水溶性樹脂ニスを接着剤
にして二以上の発泡合成樹脂モデル素材の接合面
を接合して形成した発泡合成樹脂消失鋳物模型を
鋳砂中に埋める消失鋳物模型使用の鋳造方法にお
いて、発泡合成樹脂消失鋳物模型４に何が故に吹
かれと称される現象が少ない優良な鋳物製品ａが
得られるを詳らかに解明してないが、前記したよ
うにおそらくは水溶性樹脂ニスは固形分が少ない
比較的希薄な溶液であり、吹かれの前提である小
爆発があつても小さいと推定され、二以上の発泡
合成樹脂モデル素材の接着接合によるも、第４，
５図に示したような鋳物屑の発生とか鋳肌の荒れ
が少ない、即ち吹かれ発生が極く少ない発泡合成
樹脂消失鋳物模型を製作できる。吹かれの被害が
少ないとされている前記したＡ、Ｂ二材からなる
接着剤を使用する公知の発泡合成樹脂消失鋳物模
型の接着方法では、アルミ鋳物の場合、吹かれの
発生率が100％であつて、仕上げ切削量を多くす
る必要があり、例えば10mmの切削量を見込んであ
つても表面に鋳物傷がある不良鋳物を削り出すこ
とがあるが、水溶液樹脂ニスを使用する本発明方
法は切削量が例えば５mmと少なくても表面に鋳物
傷を残さないが如き極く優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の方法により接着接合を施した
消失模型の斜視図、第２図は発泡合成樹脂モデル
素材１，２を示した側面図、第３図は同接着接合
により製作した合成樹脂消失鋳物模型の側面図、
第４図は従来の接着方法により発泡合成樹脂モデ
ル素材を接着接合した消失鋳物模型を使用したア
ルミ合金鋳造物の斜視図、第５図は同切断側面図
である。 ａ→鋳物製品、ｂ→鋳物屑、ｃ→発泡、１，２
→板材、３→水溶性樹脂ニス、４→発泡合成樹脂
消失鋳物模型、１ａ，２ａ→接合面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 複数個の発泡合成樹脂モデル素材の接合面に
   水溶性樹脂ニスを塗布し、その接着性により前記
   各素材を接着することを特徴とする発泡合成樹脂
   消失鋳物模型の接着方法。