JPH03382Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈技術分野〉 この考案は、印刷用ブランケツトに関し、より
詳しくは、ブランケツト胴の周囲に巻回装備され
て、対応する版胴の版面より転移されたインク
を、印刷紙面上に転写させる印刷用ブランケツト
に関する。

〈背景及び従来技術〉 従来より、印刷用ブランケツトとしては、片面
にインク転移層を１層形成し、その裏面に補強層
を積層したものが一般なものとして堤供されてい
る。

上記印刷用ブランケツトは、印刷中に、版胴と
圧胴により常に圧縮作用を受けることから、主材
としてのゴムが漸次疲労して劣化するほか、印刷
インクの付着や、印刷作業終了後に付着インクを
拭き取るために使用される洗浄油等にて、上記ゴ
ムが徐々に膨潤して劣化する。また、紙跡や紙紛
残り等の表面傷が生じると、印刷障害が発生する
ことからブランケツトの継続使用はできなくな
る。

このため、一定期間使用されたブランケツト
は、新品と取り替えられて廃棄されているのが実
状である。

しかし、高価なブランケツトを、単にインク転
移層が劣化し又は損傷しただけで廃棄することは
非常に不経済であり、印刷コストが高くつくとと
もに、省資源化の見地からも妥当でない。

一方、従来、洗浄油にてブランケツトの裏面ゴ
ム又は内部ゴムが膨潤される不都合を回避するた
め、その裏面及び側面を耐油性層で被覆すること
も行なわれたが、単に裏面ゴム等の膨潤劣化を防
止できるだけであるから、疲労劣化にて圧縮応力
が減退したり、表面傷が生じた時点で新品と交換
されており、やはり不経済なものであつた。

〈目的〉 この考案は上記実状に鑑みてなされたものであ
り、稼働寿命を大幅に延長でき、印刷コストの低
減化に貢献できる印刷用ブランケツトを堤供する
ことを目的とする。

〈構成〉 上記目的を達成するためのこの考案の印刷用ブ
ランケツトの構成としては、インク転移層に対し
て少なくとも補強層が積層されている印刷用ブラ
ンケツトにおいて、上記インク転移層が、剥離層
を介して複数層構成されていることを特徴とする
ものである。

〈実施例〉 次いでこの考案の実施例について図を参照しな
がら以下に説明する。

第１図は、この考案の印刷用ブランケツトＡの
拡大断面図である。

１はインク転移層であり、２は上記インク転移
層１の裏面に積層された補強層である。図の場
合、インク転移層１と補強層２がそれぞれ２層ず
つ構成されている。

両インク転移層１は、ポリエステルフイルム等
の樹脂フイルムによる剥離層３を介して相互に積
層されているものであり、さらに詳細にいえば、
上層（表面側）のインク転移層１と剥離層３と
は、プライマー等で接着されて相互に剥離不能に
なつており、一方、下層のインク転移層１と剥離
層３とは、粘着剤等で接合されて相互に剥離可能
になつている。即ち、上層のインク転移層１は剥
離層３とともに下層のインク転移層１より剥離で
きるように構成されている。

以上の構成であれば、表面のインク転移層１が
劣化するか、或いは表面傷が生じた時点で、これ
を剥離層３とともに下層のインク転移層１から引
き剥すことにより、下層のインク転移層１を使用
できることになる。この際、上記インク転移層１
の剥離によつて全体厚みが減少し、そのままでは
印圧が変化することになるが、これは、従来より
印圧調整のために用いられている胴張用紙をブラ
ンケツトＡとブランケツト胴の間に介装すること
により容易に調整できる。

なお、インク転移層１としては、ゴムのほか、
ウレタン等のプラスチツクを素材とするものであ
り、一方、補強層２としては、アクリル樹脂、ポ
リエステル樹脂等のプラスチツクシート、又は、
綿、レーヨン、ポリエステル等の織布をゴム引き
したシートで形成されている。

また、裏面の補強層２は、洗浄油等による膨潤
作用を受けないように、ポリエステルフイルム等
の合成樹脂フイルムによる剥離可能な耐油性層４
で覆つておくのが好ましい。

次に、第２図に示す実施例は、補強層２間に圧
縮性層５を介在したものであり、この場合におい
ても、インク転移層１は、剥離層３を介して相互
に剥離可能に構成されている。上記圧縮性層５と
しては、発泡剤、サラン微小中空球等を混入する
ことにより得られる柔軟な合成樹脂発泡シートを
素材とするものであり、従つて、この実施例にお
いては、上記圧縮性層５の介在により、非常に良
好な衝撃吸収特性を発揮できるものとなる。

さらに、第３図に示すように、圧縮性層５の表
裏に補強層２を２層ずつ構成すること、剥離可能
なインク転移層１をさらに多層構成すること等、
この考案の要旨を変更しない範囲で種々の設計変
更を施すことができる。

〈効果〉 以上のごとく構成されたこの考案の印刷用ブラ
ンケツトによれば、インク転移層が、剥離層を介
して複数層構成されているので、表面のインク転
移層が劣化するか、或いは表面傷を生じた時点で
そのインク転移層を剥離すれば、下層のインク転
移層を順次使用できることになり、インク転移層
を１層しか構成していない従来の印刷用ブランケ
ツトに比べて稼働寿命を大幅に延長できることに
なる。

従つて、使用至便で印刷コストの低減化に貢献
できる等、種々優れた実用的効果を奏するものを
堤供できることになる。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の実施例を示すものであり、第１
図は拡大断面図、第２図及び第３図は他の実施例
を示す拡大断面図である。 １……インク転移層、２……補強層、３……剥
離層、４……耐油性層、５……圧縮性層、Ａ……
ブランケツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ インク転移層に対して少なくとも補強層が積
   層されている印刷用ブランケツトにおいて、上
   記インク転移層が、剥離層を介して複数層構成
   されていることを特徴とする印刷用ブランケツ
   ト。 ２ 剥離層が、合成樹脂フイルムである上記実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の印刷用ブラン
   ケツト。