JPH0337963B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はガスの混合物から一種類のガスを分離
する装置に関する。

ガスの混合物から一種類のガスを中空の繊維膜
の壁面を通して繊維膜の穴まで透過可能にするこ
とによりガスの混合物から一種類のガスを分離す
るために円筒形の胴体の中に配置された中空繊維
膜の束を利用することは知られている。中空繊維
膜は、通常、重合体材料から製造されており、そ
の結果、処理中かまたは繊維膜の束を胴体の中に
取りつける間に損傷し易い。また、この目的のた
めに使用される鋼製の胴体は、屡々、中空繊維膜
の束を胴体の中に組み立てる間またはその後の装
置の操作中に中空の繊維膜を損傷することがある
スケール、錆、塵埃またはその他の微粒状物質を
含んでいる。繊維膜の束を挿入する前に胴体の内
部を完全に清掃することは可能であるが、この作
業は時間を浪費し、従つてコスト高になる。熱交
換器およびガス透過装置の中の中空の繊維または
チユーブを取扱い中に損傷しないように保護する
ために、種々の解決方法が採られてきた。

米国特許第3526275号明細書は管状の重合体製
の熱交換エレメントを使用した熱交換器を開示し
ている。輸送中に管状熱交換エレメントを保護す
るために、管状エレメントは穴のあいた剛性の金
属製スリーブより囲繞されている。このスリーブ
は輸送中管状エレメントを保護することができる
が、管状エレメントを鋼製の胴体の中に存在する
スケール及びその他の破片からはなんら保護して
いない。このようなスケール等の物質は剛性スリ
ーブの開口部を通つて繊維の束の中に自由に侵入
する。

米国特許第33393341号明細書には、中空繊維膜
の束を管状の胴体の中に配置した透過装置が開示
されている。繊維の束を保護しかつ繊維の束を胴
体の中に挿入する間に繊維の束の横断面寸法を減
少させるために、好ましくは編まれた布で構成さ
れた円形のスリーブの形態の可撓性の多孔性スリ
ーブ部材が繊維の束を囲繞している。このスリー
ブの本来の目的は明らかに胴体の中で組み立てる
間に繊維の束の横断面積を減少させることであ
る。この米国特許明細書には、このスリーブが装
置の組立ておよび操作の間に繊維を保護すること
が記載されている。しかしながら、このような胴
体の中に屡々存在するスケールおよびその他の砂
のような物質は編まれた布を通つて繊維の束の中
に自由に侵入するので、このスリーブが中空の繊
維膜をかかるスケールのような物質から十分に保
護するとはいえない。

本発明によれば、ガスの混合物から一種類のガ
スを分離する装置であつて、 (a) その一端に拡大端部を有する円筒形の胴体で
あつて、該胴体内へガスの混合物を導入する入
口と該胴体から透過されなかつたガスを放出さ
せる出口とを備えた、前記円筒形の胴体と、 (b) 前記胴体内に位置決めされた中空の繊維膜の
束であつて、該繊維膜はガスの混合物の中の一
種類のガスに対して他のガスよりもより高い透
過性を有している、前記中空の繊維膜の束と、 (c) 前記中空の繊維膜の束の一端部において前記
胴体内に位置決めされているチユーブシート
（管状部材のこと、以下、「チユーブシート」と
いう）であつて、前記繊維膜は該チユーブシー
トを通つて延びている、前記チユーブシート
と、 (d) 前記チユーブシートに固定されていて且つ前
記胴体からのガスの混合物を前記中空の繊維膜
の束の中に導入するためのポートを有する管状
の分配部材と、 (e) 前記繊維の束を囲繞する位置で前記胴体内に
位置決めされた弾性シート形態を有するスリツ
トチユーブ（平坦な弾性シートをまるめてチユ
ーブに形成したものである）であつて、該スリ
ツトチユーブの一端部は前記分配部材に固定さ
れ、該スリツトチユーブの残部は拘束されてお
らず且つ前記胴体の内面と接触するように伸び
広げられている、前記スリツトチユーブと、 を備えた装置が提供される。

本発明は前述したごとき構成で成るスリツトチ
ユーブを具備しているので、このスリツトチユー
ブが繊維膜の束を、胴体内で更に保護しており、
繊維膜を損傷させる惧れのあるスケール、錆、塵
埃又はその他の微粒状物質が繊維膜の束の中に入
るを防止するのである。

さて、添付図面について詳細に説明すると、拡
大端部１２を有する円筒形の鋼製胴体１１を示し
てある。拡大端部１２はガスの混合物を導入する
ための入口１３を備えている。このガスの混合物
から一種類のガスが除去されるようになつてい
る。胴体１１の全長にわたつて配置されかつ延在
する中空繊維膜１６の束が重合体のチユーブシー
ト１７を通して延びている。チユーブシート１７
は拡大端部１２の端部に配置されそれにより繊維
膜１６の壁面を通して繊維膜の穴に透過した流体
がチユーブシート１７を通つて室１８に達するこ
とができるようになつている。室１８からの透過
したガスはこの装置から蓋板２０の出口１９を通
して流出する。蓋板２０はボルト２１により拡大
端部１２に固定されている。ガスケツト２２およ
びシール２３がガスの漏洩を阻止している。

チユーブシート１７かボルト２５により環状部
材２６に固定されている。環状部材２６はチユー
ブシート１７を保持するためのガスケツト２２の
間に配置されるフランジ２７を有している。ボル
ト２５の他方の端部には、リング３０が取りつけ
られている。リング３０には、チユーブ３１が溶
接されている。チユーブ３１は取扱い中にチユー
ブシート１７を囲繞しかつ保護する。また、リン
グ３０には、管状の分配部材３２が溶接されてい
る。分配部材３２は繊維膜１６の束を囲繞する位
置で胴体１１の拡大端部１２の中に延びている。
チユーブシート１７および拡大端部１２と協同し
て分配部材３２の囲繞する環状室３３を形成する
分配部材３２は入口１３に入つたガスを環状室３
３から分配部材３２を通つて繊維膜１６の束の中
に流入可能ならしめるための複数個のポート３４
を備えている。ポート３４は胴体１１の軸線に垂
直な平面中に形成されかつ次の式により位置決め
られている。

0.4ｌ／Ｄ1.3 0.2ｄ／Ｄ0.6 式中は、ｄはチユーブシート１７の面からポー
ト３４の中心までの距離、ｌはチユーブシート１
７の面から入口１３の中心までの距離、そしてＤ
はチユーブシート１７の面における中空繊維膜１
６の束の直径とする。このポート３４の位置決め
により、入口１３に入るガス混合物による中空繊
維膜１６の侵食を防止することができる。また、
このポート３４の位置決めにより、チユーブシー
ト１７に隣接した中空繊維膜１６を損傷する可能
性を減少させることができる。中空繊維膜１６は
この位置において最も弱い。

チユーブシート１７は繊維膜の束１６の下端部
を成形型の中に入れて吊し、次いで成形型の中に
成形用樹脂を注入することにより形成される。チ
ユーブシート１７を形成するためのこの樹脂の硬
化前および硬化中、樹脂は繊維膜の束を通して上
方に灯心状に流入する。樹脂が灯心状に流入する
距離は繊維膜の束の直径が大きくなるにつれて増
大し、そして繊維膜の束の中央において最大であ
る。この樹脂が灯心状に流入した領域および該領
域に隣接した領域における繊維膜は明らかにチユ
ーブシートの硬化中に繊維膜に加えられる熱のた
めに最も脆弱である。符号３５は樹脂が灯心状に
流入した領域の端部を示す。前述したようなポー
ト３４の位置決めにより、装置中に高速で流入す
るガスによる繊維膜の損傷を実質的になくすこと
ができる。

胴体１１の反対側の端部は第２蓋板３７を備え
ている。第２蓋板３７は胴体１１にボルトで固定
されかつガス混合物から透過されなかつたガスを
吐き出すための出口３８を有している。胴体１１
と蓋板３７との間に配置されたガスケツト３９が
透過されなかつたガス混合物の漏洩を阻止する役
目をする。蓋板３７に隣接した繊維膜１６の端部
は繊維膜の穴からの透過したガスの唯一の出口が
チユーブシート１７を通るようにシールされてい
る。

弾性シートの形態を有するスリツトチユーブ４
１（弾性シートをまるめてチユーブに形成したも
のである）が胴体１１の内部に配置されかつ繊維
膜１６の束を囲繞している。スリツトチユーブ４
１は繊維膜１６を取り扱い中ならびに操作中に保
護する役目をする。このスリツトチユーブ４１は
通常、すなわち、拘束されていない状態で胴体１
１の内径よりも大きい直径を有している。スリツ
トチユーブ４１の一方の端部は管状分配部材３２
を囲繞しかつ良く知られている型式のホーススラ
ンプ４２により分配部材３２に固定されている。

スリツトチユーブ４１は胴体１１の内径よりも
小さい直径を有する管状の形態に横方向に縮める
ことができるように弾性材料、例えば、薄い不銹
鋼のシートで製造されている。スリツトチユーブ
４１は、積み込み中および取扱い中に、弾性シー
トをまるめてチユーブに形成した時に現れる、長
手方向のスリツト（割れ目）に沿つている両方の
端縁を重ね合わせてこの管状の形態に保つことが
できる。それから、スリツトチユーブ４１が胴体
１１に中に挿入されそして拘束されない状態にさ
れたとき、スリツトチユーブ４１はその弾性によ
り伸び広がつて胴体１１の内面と接触する。スリ
ツトチユーブ４１を製造するシートはスリツトチ
ユーブ４１が伸び広がつて胴体１１の中に広がつ
た後も端縁が重なり合うような十分な幅を有して
いる。従つて、繊維膜１６はスリツトチユーブ４
１の円滑なかつ清浄な内面と接触するので、胴体
１１からのスケールおよびその他の破片が繊維膜
の束の中に侵入することができない。スリツトチ
ユーブ４１はある用途のためには穴あけすること
ができるが、穴をあけない方が好ましい。

管状分配部材３２の外径は胴体１１とスリツト
チユーブ４１との間の流体混合物の漏洩の可能性
を減少させるためにスリツトチユーブ４１が円筒
形の胴体１１の端部と接触して押しこまれるよう
に胴体１１の内径と少くとも同じ大きさになつて
いる。分配部材３２の外径はスリツトチユーブ４
１が拡大端部１２に隣接した円筒形の胴体１１の
端部の中に密着して押しこまれるように胴体１１
の内径よりも大きくすることが好ましい。これは
第３図に最も明瞭に例示されている。

この装置を使用する際、チユーブシート１７、
分配部材３２および繊維膜１６の束を囲繞するス
リツトチユーブ４１を備えたモジユールが使用個
所に運ばれ、そしてその位置で胴体１１の中に挿
入される。輸送中、スリツトチユーブ４１は胴体
１１の内径よりも小さい直径を有する管状の形態
に繊維膜１６の束のまわりに横方向に圧縮されて
いる。スリツトチユーブ４１は複数個のリング４
５（第４図）により横方向に圧縮された形態に保
たれることが好ましい。リング４５はスリツトチ
ユーブ４１を所定間隔置きに包囲する。リング４
５はスリツトチユーブ４１に沿つて摺動しうるよ
うに装着されそれによりモジユールが胴体１１の
中に挿入されるときリング４５をスリツトチユー
ブ４１の一方の端部に摺動させるかまたは完全に
取り外してスリツトチユーブが伸び広がつて胴体
１１の中に広がることができるようになつてい
る。これにより、繊維膜の束が開き、その結果、
繊維膜が分離して繊維膜の束を通してガス混合物
をさらに良好に流すことができる。

ガス混合物は入口１３を通して胴体１１の中に
通され、その後ポート３４を通して繊維膜１６の
束の中に通される。ガス混合物が胴体１１を通し
て出口３８に流れるときに、少くとも一種類のガ
スが繊維膜１６の壁体を透過して繊維膜１６の穴
に流入しそして出口１９を通して装置から取り出
される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の種々の部材の配列を示した本
発明の装置の横断面図、第２図はスリツトチユー
ブおよび繊維膜の束が胴体の内面と接触するよう
に伸び広げられた態様を示した第１図を２−２線
の方向に見た横断面図、第３図はスリツトチユー
ブの端部に配置されたガス分配部材がスリツトチ
ユーブを胴体の内面に接触するように押しこむ態
様を示した一部欠載拡大横断面図、第４図はモジ
ユールの輸送中にスリツトチユーブおよび繊維膜
束を圧縮された形態に保つために使用されるリン
グを示した部分図である。 １１……胴体、１２……拡大部分、１３……入
口、１６……繊維膜、１７……チユーブシート、
１９……出口、２０……蓋板、２６……環状部
材、２７……フランジ、３０……リング、３２…
…分配部材、３４……ポート、３７……蓋板、３
８……出口、４１……スリツトチユーブ、４２…
…クランプ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ガスの混合物から一種類のガスを分類する装
   置であつて、 (a) その一端に拡大端部を有する円筒形の胴体で
   あつて、該胴体内へガスの混合物を導入する入
   口と該胴体から透過されなかつたガスを放出さ
   せる出口とを備えた、前記円筒形の胴体と、 (b) 前記胴体内に位置決めされた中空の繊維膜の
   束であつて、該繊維膜はガスの混合物の中の一
   種類のガスに対して他のガスよりもより高い透
   過性を有している、前記中空の繊維膜の束と、 (c) 前記中空の繊維膜の束の一端部において前記
   胴体内に位置決めされているチユーブシートで
   あつて、前記繊維膜は該チユーブシートを通つ
   て延びている、前記チユーブシートと、 (d) 前記チユーブシートに固定されて且つ前記胴
   体からのガスの混合物を前記中空の繊維膜の束
   の中に導入するためのポートを有する管状の分
   配部材と、 (e) 前記繊維膜の束を囲繞する位置で前記胴体内
   に位置決めされた弾性シートの形態を有するス
   リツトチユーブであつて、該スリツトチユーブ
   の一端部は前記分配部材に固定され、該スリツ
   トチユーブの残部は拘束されておらず且つ前記
   胴体の内面と接触するように伸び広げられてい
   る、前記スリツトチユーブと、 を備えた装置。 ２ 前記スリツトチユーブは、前記胴体を取り除
   いて自由にした場合に、該胴体の内径よりも大な
   る外径を有している、特許請求の範囲第１項記載
   の装置。 ３ 前記チユーブシートは前記拡大端部内に位置
   決めされており、前記胴体の前記入口は前記拡大
   端部に位置している、特許請求の範囲第１項記載
   の装置。 ４ 前記管状の分配部材の長さは前記胴体の拡大
   端部の長さよりも短かい、特許請求の範囲第３項
   記載の装置。 ５ 前記管状の分配部材の外径は前記円筒形の胴
   体の内径よりも大きい、特許請求の範囲第４項記
   載の装置。 ６ 前記スリツトチユーブのスリツトに沿つてい
   る端縁が重ね合わされている、特許請求の範囲第
   ４項記載の装置。 ７ 前記ポートが次式により位置決めされている
   特許請求の範囲第１項記載の装置。 0.4ｌ／Ｄ1.3 0.2ｄ／Ｄ0.6 （式中、ｄはチユーブシートから前記ポートまで
   の距離、ｌはチユーブシートから胴体の入口まで
   の距離、そしてＤは繊維の束の直径とする） ８ 前記分配部材は該分配部材の軸線に垂直な平
   面中に配置された複数個の前記ポートを備えてい
   る特許請求の範囲第７項記載の装置。 ９ (a) 拡大端部を有する円筒形の胴体であつ
   て、前記拡大端部がガス混合物を前記胴体の中に
   導入するための入口を有する円筒形の胴体と、(b)
   前記胴体の中に配置された中空の繊維膜の束と
   を備え、前記繊維膜はガスの混合物の中のその他
   のガスよりも一種類のガスに対してより高い透過
   性を有しており、さらに、(c) 前記拡大端部に配
   置されたチユーブシートを備え、前記繊維膜に前
   記チユーブシートを通して延び、前記繊維膜の反
   対側の端部はシールされており、さらに、(d) 前
   記拡大端部を閉ざすために前記拡大端部に固定さ
   れた第１蓋板を備え、前記第１蓋板は前記繊維膜
   を透過したガスのための導出開口部を有してお
   り、さらに(e) 前記胴体の拡大端部において前記
   チユーブシートに固定されかつ前記チユーブシー
   トを保持するために前記第１蓋板と前記拡大端部
   との間に配置されるフランジを有する環状部材
   と、(f) 前記拡大端部の内側で前記チユーブシー
   トに固定さたリングと、(g) 前記チユーブシート
   を囲繞する位置において前記リングに固定された
   チユーブと、(h) 前記リングに固定されたかつ前
   記拡大端部の中に延びる管状の分配部材であつ
   て、ガス混合物を前記胴体から前記繊維の束の中
   に導入するためのポートを有する管状の分配部材
   と、(i) 前記繊維の束を囲繞する位置において前
   記胴体の中に配置された弾性シートの形態のスリ
   ツトチユーブであつて、前記スリツトチユーブの
   端部が前記管状の分配部材の端部を囲繞するスリ
   ツトチユーブと、(j) 前記管状の分配部材の端部
   上の前記スリツトチユーブの端部を保持するため
   のクランプとを備え、前記スリツトチユーブの残
   りの部分が自由でありかつ前記胴体の内面と接触
   するように伸び広げられ、さらに、(k) 前記繊維
   膜のシールされた端部に隣接した円筒形の胴体に
   固定されかつ透過されなかつたガスを前記胴体か
   ら放出させるための出口を有する第２蓋板を備え
   ていることを特徴とするガスの混合物から一種類
   のガスを分離する装置。