JPH0337130B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の属する技術分野〕 この発明は、電動機など運転中の機械構造物の
振動を電気信号として検出し、検出された電気量
を介して得られた振動のレベルから構造物の異常
を検知する装置に関するものである。

〔従来技術とその問題点〕

電動機など、機械構造物の運転中に生じる振動
は、可動部分の状態を適確に表わすこと、また、
徐々に生ずる経年変化や突発的異常のいずれにも
敏感に応答することから、機械の運転監視には不
可欠とされている。

この機械振動は、一般に、振動の速度や加速度
を電気的に検出し、この検出された電気量を振動
の大きさを指示する振動計に入力して計測してい
る。回転機械を多数使用する電力、鉄鋼、化学な
どの産業分野における大型プラントでは、プラン
トの稼動率を向上させかつ保守、修理を効果的に
実施するため、振動による機械の状態の監視が積
極的に行なわれ、通常、監視員が定期的に巡回し
て振動を計測している。しかしながら、 (1) 振動計の指示値をいちいち直読するため、監
視の対象となる機械の台数が多く、従つて被計
測部位が多いこととあいまつて労力と時間とを
要する。

(2) 振動検出器をそのつど取り付けて計測するか
ら、振動の計測位置や振動検出器の設置方法な
どが必ずしも一定せず、このため、機械の状態
の判別に個人差が生じる。

(3) 被計測機械がほとんど回転機械であり、検出
器の取付けや振動の計測が機械の運転中に行な
われるため、危険を伴う場合がある。

などの問題があつた。このような問題を解決する
ため、振動検出部と振動レベルの表示部とを一体
化して被監視構造物の計測部位に取り付け、検出
された振動のレベルが、実用的な見地から、構造
物の状態を判別するのに必要、十分な数だけ段階
的に設けられた基準レベルのいずれに属するかを
簡易に表示する振動監視装置が提案されている
が、装置を作動させるための電源には、計測部位
ごとに前記検出、表示部と一体的に配され、予め
蓄積された電荷を消費しながら電力を取り出す、
小形な蓄電池が用いられており、このためつぎの
ような欠点があつた。

(1) この監視装置は機械構造物の振動を常時監視
することを目的としているため、機械の停止中
や巡回作業者がいない状態でも動作している。

(2) 蓄電池が小形であるため消耗が早く、たとえ
ば１ケ月ごとに交換を必要とする。

〔発明の目的〕

この発明は、巡回作業者の操作を必要としない
で蓄電池の消耗を軽減し、寿命の伸長を図る簡易
型振動監視装置を提供することを目的とする。

〔発明の要点〕

この発明は、振動レベルの常時監視が必ずしも
時間的に連続して行なわれなくても、ある一定
の、たとえば秒オーダの短かい時間間隔をもつて
監視すれば、機械の状態を把握するのに十分であ
る点に着目し、蓄電池電源の出力側に、この電源
の投入、遮断を所定の周期で連続に行なうスイツ
チ回路を組み込み、これにより前記の目的を達成
しようとするものである。

〔発明の実施例〕

第１図に本発明に基づく振動監視装置の回路構
成を示す。機械構造物の振動は、振動検出回路１
を用いて電気信号に変換するが、変換にはたとえ
ば振動の加速度を測定する圧電型振動素子や速度
を測定する動電型振動素子を使用する。このよう
にして得られた、振動レベルに比例した電気信号
は増幅回路２において増幅され、次段のレベル判
別回路３に入力される。レベル判別回路３中には
予め段階的に複数の基準レベルが設定されてお
り、このレベル判別回路に入力された振動レベル
をこれらの基準レベルと比較することにより、入
力された振動レベルがいずれの基準レベルに属す
るかを判別する。この基準レベルはたとえば３段
階とし、それぞれ機械の状態が正常と考えられる
レベル範囲の上限値、要注意と考えられるレベル
範囲の上限値、危険と考えられるレベル範囲の下
限値に設定し、機械の状態がこれら正常、注意、
危険のどのレベルに属するかを判別する。この判
別結果は次段の表示回路４に入力される。

表示回路４はたとえば色別した発光体を用いて
構成され、レベル判別回路３の出力信号により、
振動レベルに応じた特定の発光体を点灯する。た
とえば正常レベルの振動であれば緑色、注意レベ
ルの振動であれば黄色、危険レベルの振動であれ
ば赤色発光体を点灯する。従つて、予め設定され
る基準レベルの段階数も、機械の状態を実用的に
判別するに必要、十分な数に限定する。このよう
に、検出された振動レベルを色別に表示すれば、
機械の状態の把握が著しく簡易に可能となり、特
に監視される機械の台数が多いときの実用効果は
大である。５は小形の蓄電池であつて、たとえば
小形で容量が比較的大きく、電圧安定性のよい水
銀電池を用いる。この蓄電池の出力側には所定の
周期で連続してこの電源を投入、遮断するタイマ
スイツチ６ａとこのタイマスイツチの出力側に接
続され蓄電池５の出力を回路１，２，３，４に配
給する環状の配線６ｂとからなるスイツチ回路６
が接続されている。

タイマスイツチ６ａは、たとえば第２図に示す
ように、演算増幅器OPに外部回路を付加してそ
の出力側端子ａにたとえばT₁＝0.5秒間オン、T₂
＝５秒間オフの周期的連続信号を出力させ、この
出力を用いて蓄電池電源５を投入、遮断する。こ
こでR_T1は時定数用コンデンサC_T1との組合わせに
より出力側波形の時間T₁を設定する抵抗であり、
R_T2は同じく時間T₂を設定する抵抗である。

第３図は第１図に示される回路構成をもつ振動
監視装置の構造の実施例を示す。取付けねじ穴９
が設けられた円筒状ケース８の底面には振動検出
回路１を構成する圧電型振動素子が設けられ、ケ
ース８内の中間位置に配された増幅回路２に接続
されている。増幅回路２とほぼ同一高さの位置に
はレベル判別回路３が配され、その入力側は増幅
回路２と、また、出力側は表示回路４とそれぞれ
接続されている。表示回路４はここでは発光色の
異なる発光ダイオードを用いて構成され、それぞ
れの発光ダイオードは発光部がケース８の上端面
外方へ向くように取り付けられている。

このように構成された振動監視装置の被計測構
造物への取付けは、ねじ穴９を利用したねじ取付
けとするか、ケース８を鉄などの強磁性材料を用
いてつくり、円板状の永久磁石を介した吸着取付
けとするとともに、振動の検出方向が矢印の方向
と一致するような方向に取り付ける。

〔発明の効果〕

以上の説明からも明らかなように、本発明によ
れば、監視装置中に回路と一体的に組み込まれた
小形な蓄電池の回路への投入、遮断をたとえば
0.5−5.0秒の周期で連続に行なうようにしたの
で、機械の振動監視に何ら支障を生ずることなく
常時監視を行ないながら、蓄電池の寿命をたとえ
ば10倍以上に伸長することも容易である。

なお、本発明によれば、振動監視装置を回路と
電源とを一体に構成して小形化したので、構造物
の被計測部位への固定に便利になり、かつ振動レ
ベルの表示が段階的に行なわれるため、 (1) 被監視構造物が多く、従つて被計測部位が多
い場合にも、振動の常時監視が容易に可能とな
り、かつ振動の監視にさほど労力と時間とを必
要としない。

(2) 計測位置や振動検出器の設置方法なども一定
しており、判別結果に個人差を生じない。

(3) 運転中の機械に接近しなくても判別が容易と
なり、安全に判別作業ができる。

(4) 大がかりな監視設備が不要になり、また、既
設の機械にも適用することができる。

などの効果もあわせて得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の簡易型振動監視装置の回路構
成を示すブロツク図、第２図は本発明の簡易型振
動監視装置に組み込まれた電源の投入、遮断を所
定の周期で連続に行なうタイマスイツチの回路構
成の１例を示す回路図、第３図は第１図の回路構
成に従つて構成された簡易型振動監視装置の実施
例による構造図であつて、ａは平面図、ｂは正面
断面図である。 １……振動監視装置、２……増幅回路、３……
レベル判別回路、４……表示回路、５……蓄電
池、６……スイツチ回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 運転中の構造物の振動のレベルを監視する装
   置であつて、構造物の振動を電気信号として検出
   する回路と、前記検出された電気信号を増幅する
   回路と、前記電気信号として検出、増幅された振
   動のレベルを予め段階的に設定された複数の基準
   レベルに従つて区分けするレベル判別回路と、前
   記区分けされた振動レベルが属する基準レベルを
   表示する回路と、予め蓄積された電荷によつて起
   電力を生じ前記の検出回路、増幅回路、レベル判
   別回路および表示回路を動作させる蓄電池からな
   る電源と、この電源の投入、遮断を所定の周期で
   連続に行なうスイツチ回路とを一体に構成したこ
   とを特徴とする簡易型振動監視装置。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の装置において、
   検出、増幅された振動レベルが属する基準レベル
   の表示が発光体を用いて色別に行なわれることを
   特徴とする簡易型振動監視装置。