JPH0336244Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、カメラやラジオなどを肩に掛けるた
めの肩掛けベルトに関するものであつて、フイル
ムケースや乾電池などの小物を着脱自在に装着す
ることができる肩掛けベルトを提供することを目
的とするものである。

一般にカメラやラジオなどを携行する場合に
は、それらの本体を携行する外、種々の付属の小
物類を携行する必要がある。例えばカメラを携行
する場合には、必ず予備のフイルムを持つておく
必要があり、ラジオであれば予備の乾電池やイヤ
ホン等を持ち歩かねばならない。これらの小物は
カメラやラジオとは一体不離のものであるにもか
かわらず、従来はこれらの小物は本体とは別に携
行せねばならず、往々にして携行するのを忘れた
り、邪魔になつたりしていたのである。本考案は
かかる事情に鑑み、肩掛けベルトに小物を装着す
るようにして、常にカメラやラジオの本体と一体
として携行することができると共に、これらの小
物が脱落することがなく、且つ美しい外観を有す
る肩掛けベルトを提供するものである。

而して本考案の肩掛けベルトは、四層以上の多
層組織よりなり、これらの層を一体に接結してな
る織成ベルトの途中に、一つの層間を接結しない
ことにより各二層以上の多層組織に分割した少な
くとも１箇所の横口袋織部を形成し、当該横口袋
織部における最内層に相当する層にゴム糸等の摩
擦抵抗の大きい糸条を織込み、当該糸条を前記横
口袋織部の内面のみに露出せしめたことを特徴と
するものである。

以下本考案を図面に従つて具体的に説明する。
第１図は本考案の肩掛けベルト１をカメラ２に取
りつけ、その肩掛けベルト１にフイルムケース３
を装着した状態を示すものである。肩掛けベルト
１は、たて糸とよこ糸とを織成した織成ベルト
１′であつて、その両端に近い位置には第２図及
び第３図に示す如く横口袋織部４が形成されてお
り、該横口袋織部４に前記フイルムケース３が装
着されている。而して本考案においては、第４図
に示すように前記織成ベルト１′を構成する糸条
の一部に、ゴム等の摩擦抵抗の大きい糸条５が使
用されており、該糸条５が前記横口袋織部４の内
面に露出せしめられているのである。

第５図は、本考案の肩掛けベルトにおける織成
ベルト１′の具体的組織の一例を示すものである。
この組織においては、織成ベルト１′は四層組織
よりなり、これら四層を一体に接結して非袋部６
を形成し、またその四層のうち中央の第二層と第
三層のあいだを接結せず、第一層と第二層及び、
第三層と第四層とをそれぞれ接結することによつ
て、織成ベルト１′を各二層組織を有する二つの
部分に分割し、横口袋織部４を形成するものであ
る。

第５図において７はたて糸であつて７ａ，７
ｂ，７ｃ，７ｄはそれぞれ第一層、第二層、第三
層及び第四層を形成するたて糸である。又８はよ
こ糸であつて、８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄはそれぞ
れ同様の各層を形成するよこ糸である。而して、
たて糸７ａとよこ糸８ａとが平織組織で織成され
て第一層を形成し、同様にたて糸７ｂとよこ糸８
ｂとが第二層を、たて糸７ｃとよこ糸８ｃとが第
三層を、さらにたて糸７ｄとよこ糸８ｄとが第四
層を形成している。

９は接結たて糸であつて、非袋部６においては
互に交差しながら、第一層のよこ糸８ａの上及び
第四層８ｄの下を交互に通り、四つの層を縫うよ
うにして接結し、一枚の織成ベルトを形成してい
る。さらに横口袋織部４においては、接結糸９ａ
は第一層のよこ糸８ａの上と第二層のよこ糸８ｂ
の下とを交互に通り、第一層と第二層とを接結す
る。一方接結糸９ｂは同様にして第三層と第四層
とを接結しており、この結果織成ベルトは第二層
と第三層との間で剥れ、横口袋織部４を形成する
のである。

５はゴム糸であつて、摩擦抵抗の大きな糸条で
あつて、織成ベルト１′における横口袋織部４の
最内層に相当する層に織込まれている。すなわ
ち、ゴム糸５ａは織成ベルト１′の第二層に織り
込まれ、ゴム糸５ｂは第三層に織り込まれてい
る。そしてこれらのゴム糸５は、織成ベルト１′
の中央部及び両縁部にそれぞれたて糸７と共に織
り込まれ、織成ベルト１′の長さ方向に延びてい
る。そしてこの例においては、ゴム糸５は第二層
及び第三層に織り込まれている為、横口袋織部４
においてはその袋の内面に露出することとなり、
又織成ベルト１′の表面には現われることがない。

本考案は、織成ベルト１′に横口袋織部４を形
成し、その内面にゴム糸等の摩擦抵抗の大きい糸
条を露出せしめたので、横口袋織部４に装着され
たフイルムケース等の小物がしつかりと把持さ
れ、不用意に横口袋織部４から抜け落ちることが
ない。またゴム糸５は四層以上の織成ベルト１′
における内側二層にのみ織込まれているので、横
口袋織部４の内面にのみ露出し、織成ベルト１′
の外面に露出することはない。従つて肩掛けベル
ト１は通常の織成ベルトと同様に外観が美しいも
のとなる。

本考案の具体的織物組織は先の実施例に限られ
るものではなく、横口袋を形成し得る公知の組織
を適宜採用することができる。又、ゴム糸５は織
成ベルト１′の長さ方向に延びるものに限られず、
幅方向に延びるものでもよい。又、ゴム糸に代え
て、ポリウレタン弾性糸その他の摩擦抵抗の大き
な糸条を使用することもできる。なお、このゴム
糸等を織成ベルト１′の長さ方向に使用する場合
において、織成時にゴム糸等を若干伸長した状態
で織り込むと、横口袋織部４に伸縮性を持たせる
ことができ、装着した物を締めつけ、脱落をより
確実に防止することができる。

本考案における横口袋織部は、必要に応じて１
箇所以上何箇所設けてもよい。例えばカメラ用の
肩掛けベルトで、フイルムケースを装着する場合
であれば、１〜４箇所程度が適当であり、ラジオ
又はテープレコーダー等の肩掛けベルトで乾電池
を装着する場合であれば、その乾電池の数に応じ
た数とすればよい。又肩掛けベルトの全長に亘つ
て多数形成してもよく、この場合使用しない横口
袋織部は第２図のように扁平になるので、携行の
邪魔になることはない。

本考案の肩掛けベルト１の横口袋織部４に装着
できる小物は、原則的には筒状又はそれに近い形
状の物に限られるのであるが、さらに小さい異形
物品であればこれを筒状のケースに入れて装着す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の肩掛けベルトをカメラに取り
つけた状態を示す正面図、第２図は、第１図の主
要部の斜視図である。第３図は、本考案の肩掛け
ベルトの、横口袋織部の正面図であり、第４図は
第３図のＡ−Ａ拡大断面図である。第５図は織成
ベルトの組織の一例を示す模式図である。 １……肩掛けベルト、２……織成ベルト、４…
…横口袋織部、５……摩擦抵抗の大きい糸条（ゴ
ム糸）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 四層以上の多層組織よりなり、これらの層を一
   体に接結してなる織成ベルトの途中に、一つの層
   間を接結しないことにより各二層以上の多層組織
   に分割した少なくとも１箇所の横口袋織部を形成
   し、当該横口袋織部における最内層に相当する層
   にゴム糸等の摩擦抵抗の大きい糸条を織込み、当
   該糸条を前記横口袋織部の内面のみに露出せしめ
   たことを特徴とする、肩掛けベルト。