JPH0334254Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、板の過面に原液供給孔を貫設
したフイルタプレスに使用する布に関するもの
である。

（従来の技術） 過面に原液供給孔を貫通した多数枚の板を
互いに密接して配列した単式フイルタプレスにお
いて、従来、第３図、第４図に示すように、板
１の両面に展張される布２，２は、板１の原
液供給孔３に対応する位置に原液供給孔３より若
干小さい直径の布孔２ａを有し、該布孔２ａ
の周縁部に短筒状の当て布４を縫糸５で同心状に
縫着して両面の布２，２が接合され、この接合
部が上記原液供孔３に位置するように展張されて
いる。上記当て布４には、一般に短筒状のバイヤ
ス布が使用されているので、接合部にねじれやし
わが生じて供給原液の流動抵抗が大きくなり、ま
たケーキ圧搾型板２では、布と板との間に
張り掛けた圧搾膜の膨出または収縮により布は
伸縮されもしくは圧搾膜と摺れ合い、さらに過
終了後に板を離開したとき、布に作用する張
力や振動によつて接合部が板の原液供給孔の周
縁部に摺動摩擦して、接合部の布、当て布およ
び縫糸が損傷されるという問題があつて長期に使
用することができなかつた。

この出願人は、上記問題を解決するものとして
流体不透過性かつ可とう性の材料からなり、外壁
が原液供給孔の周縁部に沿うようにした板面に
対して垂直な断面がＵ字状のリングの外端部に
布孔の周縁部を止着したものを提案した（実開昭
53−69067号公報、実開昭53−69068号公報、実開
昭59−48713号公報参照）。

（解決しようとする問題点） 上記提案のフイルタプレスの布は、布孔の
周縁部をリングにピンなどで止着するものである
ため、この止着部において布が破損することが
あり、またリングは単なるプラスチツク材料で成
形されているため、原液供給圧が大きい場合、ま
たは板と布との間に高圧の空気を導入してケ
ーキを圧搾する場合などにリングが高圧によつて
疲労して長期の使用に耐えないなどの問題があ
る。

（問題点を解決するための手段） この考案は、板の両面に展張される２枚の
布を板の原液孔に相当する位置に穿設した布
孔の周縁部で接合し、この接合部に板の原液供
給孔の周縁部に沿うように形成した断面Ｕ字形の
リング状補強材を固着したフイルタプレス用布
において、上記リング状補強材がＵ字形断面の中
央部で肉厚となり両外周縁部で薄肉となるように
繊維コードを複数層に埋め込んだゴム加硫成型体
からなり、このゴム加硫成型体が上記接合部の内
外両面に形成されて接合部を挟着していることを
特徴とするフイルタプレス用布である。

この考案の特徴である補強材は繊維コードを埋
め込んだ半硬質のゴム加硫成型体であり、繊維コ
ードとしてはナイロン、ポリエステルなどの合成
繊維フイラメント糸、または綿などの短繊維の紡
績糸を数本撚り合わせたコードである。上記の繊
維コードが埋め込まれるゴムとしては天然ゴムお
よび合成ゴムのいずれでもよく、これらのゴムに
いおう、安定剤などの添加剤が混合されたゴム組
成物を加硫したものである。

補強材は、板の原液供給孔の周壁部に沿う形
状をなし、通常原液供給孔の周壁部は原液供給孔
外周部に向つて厚みが薄く形成されているので、
補強材の板面に対して垂直な断面はＵ字状であ
る。そして断面Ｕ字状の中央部は肉厚であり、外
周縁部に向うに従つて薄肉になるように成型した
ものは、断面中央部が肉厚で剛性が大きくなるた
め、供給原液による内圧、またはケーキ圧縮用空
気の外圧に対する補強材の変形が防止され、また
外周縁部が薄肉で湾曲性を有するため、原液供給
孔への片面の補強材の着脱が容易となる。

両面の布の接合は、布孔の周縁部を直接に
縫着してもよいし、布孔の周縁部の内面または
外面を短筒状の当て布に縫着して間接に接合した
ものでもよい。

（実施例） 第１図において、２枚の布２，２は、布孔
の周縁部が布２の外側にある当て布４に縫着さ
れて接合部を形成している。この接合部は、半硬
質の外面補強材６ａと内面補強材６ｂとに一体的
に加硫接着されている。外面補強材６ａおよび内
面補強材６ｂはいずれも板面に対して垂直な断
面の中央部７ａ，７ｂが厚く、外縁部８ａ，８ｂ
が薄い形状に成型されている。

次に上記構造の補強材を成型するには、第２図
に示すように、２枚の布２，２の布孔の接合
部の両面に、所定の間隔をもつて繊維コード９が
配列された複数のプライと生ゴム組成物からなる
ゴムシート１０とを交互に積層し、上記プライお
よびゴムシート１０の幅Ｗは、布２の接合部よ
り遠ざかるに伴つて小さくなつている。この両面
のプライ層と布２の接合部とを第１図に示す補
強材の形状の空所を有する型内にいれて加熱加硫
することによつて一体的に成型される。補強材の
形状は、上記各プライの繊維コード本数、繊維コ
ード間隔、各層の幅などを変化することによつて
変更することができる。

なお、この実施例による補強材において、補強
材の外縁部８ａ，８ｂの剛性が大きくなつて片面
の補強材を原液供給孔に挿入しにくい場合には、
板の原液供給孔の周縁部を着脱自在のリング１
１（第３図）で形成し、このリング１１を取外し
た状態で片面の補強材を嵌合し、しかるのちに一
方の布側からリング１１を挿入して板に固定
すればよい。

（考案の効果） この考案は、２枚の布の接合部に固着する断
面Ｕ字形のリング状補強材が繊維コードを埋め込
んだゴム加硫成型体からなるものであるから、
布の接合部の反復屈曲性が強くなり、その結果原
液の供給圧やケーキ圧縮用の空気圧が大きい場合
でも布の布孔の接合部が破損することが防止
でき、しかも接合部の内外両面に上記のゴム加硫
成型体が固着されるので、片面に設ける場合に比
べてゴム加硫成型体が丈夫になつて剥離し難くな
り、またゴム加硫成型体の中央部が肉厚に、また
外周縁部が薄肉に形成されるので、中央部の剛性
が大きくなつて変形が防止され、断面のＵ字形状
が確実に保たれる一方、外周縁部が曲げ易くて
板に対する布の着脱が容易であり、かつゴム加
硫成型体の表面が段の無い滑らかな形状となるた
め、液が円滑に流れ、ケークが容易に剥離され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の垂直切断側面図、
第２図はこの考案の補強材を成型するための配置
断面図、第３図は従来のフイルタプレスの布の
垂直切断側面図、第４図は第３図の一部切欠けの
正面図である。 １……板、２……布、２ａ……布孔、３
……原液供給孔、６ａ，６ｂ……補強層、９……
繊維コード。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 板の両面に展張される２枚の布を、板の
   原液供給孔に相当する位置に穿設した布孔の周
   縁部で接合し、この接合部に板の原液供給孔の
   周縁部に沿うように形成した断面Ｕ字形のリング
   状補強材を固着したフイルタプレス用布におい
   て、上記リング状補強材がＵ字形断面の中央部で
   肉厚となり両外周縁部で薄肉となるように繊維コ
   ードを複数層に埋め込んだゴム加硫成型体からな
   り、このゴム加硫成型体が上記接合部の内外両面
   に形成されて接合部を挟着していることを特徴と
   するフイルタプレス用布。