JPH0332947Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、下向きに開口する多数の製氷小室
を備えた製氷室に、その下方に傾動自在に配置し
た水皿から製氷水を対応的に噴水供給して多数の
角氷を製造する噴水式自動製氷機において、製氷
室と水皿との間に常に一定の隙間が形成されるよ
うにして、両部材間での繁雑な位置決め調整を不
要とした自動製氷機に関するものである。

従来技術 下向きに開口させた多数の製氷小室（セル）内
に製氷水を噴水供給して、該小室中で製氷水の氷
結を行なつて、多数の角氷を連続的に製造する噴
水式自動製氷機が、喫茶店やレストラン等の施設
その他の厨房において好適に使用されている。本
考案の理解に資するため、この噴水式自動製氷機
の概略につき第１１図を参照して説明する。製氷
機本体の機内上方に、第１２図に関連して後述す
る手段により製氷室１０が水平に配置され、この
製氷室１０の底面は縦横に配置した複数の仕切板
１２により、下向きに開口する多数の製氷小室１
４が画成されている。製氷室１０の上面には、図
示しない冷凍系に接続する蒸発器１６が蛇行配置
され、製氷サイクル時に前記製氷小室１４の強制
冷却を行うようになつている。

製氷室１０の直下には、図示の如く水皿１８が
支持軸２０に枢支され、この水皿１８は製氷サイ
クル時には水平に位置して前記製氷室１０と平行
に保持され、また脱水サイクル時にはアクチユエ
ータ（図示せず）により付勢されて、前記支持軸
２０を中心として斜め下方に傾動するようになつ
ている。水皿１８には、各製氷小室１４に対応し
て噴水孔２２が穿設され、製氷水タンク２４中の
製氷水を図示のポンプ２６、供給管路系および前
記噴水孔２２を介して製氷小室１４に噴水供給す
ることにより、冷却された各製氷小室１４内に角
氷２８を生成させるようになつている。

考案が解決しようとする問題点 前述した噴水式自動製氷機では、製氷室１０の
筐体最外側を画成する各外側板１０ａの下端縁を
仕切板１２よりも下方に延在するよう寸法設定し
て、製氷室１０に対して水皿１８が水平位置まで
回動復帰した際に、当該水皿１８の上面が前記外
側板１０ａの下端縁に密閉的に当接して、製氷水
の漏洩を防止するようになつている。しかし現実
には、製氷室１０や水皿１８の製造時の寸法誤差
や、水皿１８を上動復帰させる駆動機構等の取付
寸法の誤差等に起因して、水皿１８の上面が外側
板１０ａの下端縁に密閉的に当接し得ず、このた
め往々にして製氷水の漏洩を生じていた。

また製氷室１０と製氷サイクル時に水平復帰し
た水皿１８との間には、一定の間隔ｌが形成され
ている必要がある。その理由は、前記間隔ｌを保
持することによつて、隣接し合う各製氷小室１４
の間にも氷が形成されて、第１４図に示す如く、
各角氷２８を一体的に連結するリブ３０となり、
除氷サイクル時にこれらリブ３０によつて連結さ
れた多数の角氷全体を、一挙に製氷小室１４から
落下させることができるからである。従つてこの
間隔ｌが狭すぎると、リブ３０による隣接する角
氷２８間の結び付きが弱くなり、除氷サイクル時
に製氷小室１４から落下しない角氷２８を生ず
る。この状態で水皿１８が上動復帰して製氷サイ
クルに入ると、製氷室１０と水皿１８との間でい
わゆる氷噛みを生じて機械的故障の原因となる。

また前記間隔ｌが広すぎると、リブ３０の厚み
が大きくなりすぎて、個々の角氷２８間の結びつ
きが強くなる。このため角氷群が水皿１８上を滑
落して貯水庫中に落下した際の衝撃によつても、
前記角氷２８はそのリブ３０において完全には割
裂しないという不都合を生ずる。

このように製氷室１０と水皿１８との間隔ｌを
一定に保つことは重要であるが、従来は次のよう
な問題点を有している。例えば日産製氷能力の比
較的小さい製氷機では、その製氷室１０の取付け
は、第１２図に示すように、機内上方に水平配置
した取付枠３２に調節不能に懸吊固定されるよう
になつている。すなわち製氷室１０は、前記取付
枠３２の所要数のボルト３４およびナツト３６を
介して連結され、前記ボルト３４にはスペーサと
して機能するスリーブ状の固定部材３８が挿通さ
れて、前記取付枠３２と製氷室１０との間隔を一
定に規定している。しかし図示の実施例では、前
記固定部材３８は定寸法であるため、前述した加
工寸法の誤差に起因して、製氷室１０と水皿１８
との間には、不可避的に寸法上のばつきを生じて
いる。

また日産製氷能力の大きい製氷機では、製氷室
の寸法が大きいために、その製氷室に食品衛生上
の要請による錫メツキを施す際に、高熱の影響を
受けて歪みを生じ易く、加工寸法にばらつきを生
じている。そこで製氷室１０の取付枠３２に取付
ける際に、製氷室１０における固有の歪みに応じ
て、適切な長さの固定部材３８を選択使用するこ
とにより間隔ｌを確保する手段がとられている。
しかしこれは、複数の寸法の固定部材を多数用意
しなければならない欠点があり、またこれによつ
ても必ずしも正確な調整はなし得ない。

また第１３図に示すように、製氷室１０の下方
より挿通したボルト３４をスペーサ３８を介して
ナツト３６により固定し、更にこのボルト３４の
上部を前記取付枠３２に挿通して図示の両ナツト
４０，４２により挟圧固定する手段も採用されて
いる。この場合は、前記ナツト４０，４２を回動
させてボルト３４を上下に変位させることによ
り、製氷室１０と水皿１８との間隔ｌを調整する
ことが可能であるが、組立上全数の調整を必要と
すると共に、狭い個所で隙間ゲージを使用しての
作業となるために、生産効率を低下させる原因と
なつている。

考案の目的 本考案は、前述した問題点に鑑みこれを解決す
るべく案出されたものであつて、製氷機の組立時
に製氷室と水皿との間隔調整を必要とせず、しか
も部材の寸法公差を厳密にしなくても、常に製氷
室と水皿との間隔を一定に保持し得る手段を提供
することを目的とする。

問題点を解決するための手段 前述した問題点を好適に解決するため本考案
は、筐体の内部底面に、外側板より所定寸法だけ
短く寸法設定した多数の仕切板を縦横に配設する
ことにより下向きに開口する多数の製氷小室を画
成した製氷室と、この製氷室の直下に傾動自在に
配設され、前記製氷室の外側板に下方から当接し
て各製氷小室を下部において相互に連通した状態
で閉塞する水皿とを有し、前記水皿に穿設した噴
水孔から各製氷小室に対応的に製氷水を噴水供給
して、夫々の製氷小室内に角氷を形成する噴水式
自動製氷機において、 機内上部に固定設置した取付枠の下方に、前記
製氷室を取付枠に対して近接および離間自在に懸
吊支持すると共に、取付枠と製氷室との対向面
に、取付枠に対して製氷室を下方に向けて弾力的
に付勢する弾性部材を介装したことを特徴とす
る。

実施例 次に本考案に係る自動製氷機につき、好適な実
施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明
する。なお第１１図〜第１３図に関連して説明し
た従来例に係る自動製氷機に既出の同一部材につ
いては、同一の参照符号で指示すると共に、その
詳細説明は省略する。

本考案は、前述した噴水式自動製氷機におい
て、機内上部に設置した取付枠に対して前記製氷
室を、常に下方に向けて弾力的に付勢された状態
で懸吊支持するよう構成したことを特徴とするも
のであつて、第１図および第２図はその１実施例
を示す。この実施例では、取付枠３２に対して製
氷室１０を、所要数の支持棒４４と、この棒４４
に夫々弾力的に介挿したコイルばね５２とにより
懸吊支持するようになつている。すなわち支持棒
４４は所定長の棒材からなり、その下端部にフラ
ンジ４４ａが形成されると共に、上端部に嵌合溝
４４ｂが周設されている。この支持棒４４は、製
氷室１０に穿設した所定数の通孔４６に前記フラ
ンジ４４ａを下にして夫々遊挿された後、機内上
方に水平配置した取付枠３２に対応的に穿設した
通孔４８に遊挿され、更に取付枠３２の上方に突
出する支持棒４４の嵌合溝４４ｂにＥリング５０
が嵌着されている。

このとき図示の如く、製氷室１０と取付枠３２
との間において、前記支持棒４４に圧縮コイルば
ねからなる弾性部材５２が弾力的に介挿されてい
る。この結果として製氷室１０は、取付枠３２に
対して常に下方に向けて弾力的に付勢された状態
で懸吊支持されていることになる。なお製氷室１
０の筐体最外側を画成する外側板１０ａの下端縁
は、前述の如く、前記仕切板１２の下端縁よりも
下方に延在するように寸法設定してある。

第３図は本考案の変形例を示すもので、第１図
に示した実施例と同様に、所要数の支持棒４４が
製氷室１０の通孔とこれに対応する取付枠３２の
通孔との間に共通的に挿通され、棒頂部に丸頭ボ
ルト５４をねじ込むことにより、前記製氷室１０
は取付枠３２から懸吊支持されている。そして製
氷室１０と取付枠３２との間に位置する支持棒４
４に、第４図に示す如くＵ字状に湾曲させた板ば
ねからなる弾性部材５６を弾力的に介装させてあ
る。なお前記板ばね５６は、図示の如く両端部近
傍に切欠溝５６ａ，５６ｂが形成され、この切欠
溝５６ａ，５６ｂを夫々前記支持棒４４に嵌合さ
せることにより、当該板ばね５６の容易な装着が
達成されている。

第５図および第６図は本考案の別の変形例を示
すものであつて、支持棒４４に挿通されかつ製氷
室１０と取付枠３２との間に介装される弾性部材
として、圧縮弾力を有する竹の子ばね５８が使用
されている。なお図示例では、前記取付枠３２か
ら上方に突出する支持棒４４の上端部には、前記
Ｅリングや丸頭ボルトの使用に替えて、止めピン
６０が挿通されるようになつている。

第７図は本考案の更に別の実施例を示すもので
あつて、前記取付枠３２に対して製氷室１０を弾
力的に懸吊支持する手段は、圧縮変形を許容する
板ばね６２のみで構成されている。この板ばね６
２は、弾性を有する鋼板を、第８図に示す如く分
銅状に形成したものであつて、その上端部および
下端部において、取付枠３２および製氷室１０に
夫々ボルト６４，６６を介して固定されている。

実施例の作用 次に、実施例に係る製氷機の作用につき説明す
る。第２図に示すように製氷サイクルに入つてい
る状態では、製氷室１０に対して水皿１８が上昇
し、製氷小室１４の開口部を該水皿１８により閉
成している。このとき前記外側板１０ａの下端部
が水皿上面に強制的に当接し、前記圧縮コイルば
ね５２により下方に弾力付勢されている製氷室１
０を、当該コイルばね５２に抗して上方に持上げ
ることにより、水皿１８と製氷室１０との間には
一定の間隔ｌが形成される。

次いで除氷サイクルに入ると、第９図に示すよ
うに支持軸２０を中心として水皿１８は時計方向
に傾動し、製氷室１０と氷結した水皿１８は該製
氷室１０から強制的に剥離される。このとき支持
棒４４には、取付枠３２の上方においてＥリング
５０が設けられているから、製氷室１０は圧縮コ
イルばね５２の弾力により僅かに下降した後、前
記Ｅリング５０が取付枠３２の上面に当接する位
置で停止する。この作用は第３図および第５図に
示す実施例においても同様である。また第７図に
示す実施例でも、単体の板ばね６２が引張りに対
して一定の変形量であるため、一定の位置で停止
する。更に第１０図に示すように再び製氷サイク
ルに入ると、水皿１８は反時計方向に上動し、そ
の途次において水皿１８の表面が製氷室１０の前
記外側板１０ａの下端面に当接し、圧縮コイルば
ね５２を圧縮しつつ製氷室１０を上動させて、最
終的に第２図に示す如く水皿１８と製氷室１０と
の間に一定の間隔ｌを形成するに至る。

考案の効果 以上説明したように、本考案に係る自動製氷機
によれば、製氷時における製氷室と水皿の間隔
を、製造時に調整を行なわなくても一定に保つこ
とができ、従つて製氷室に対して水皿が水平位置
まで回動復帰した際に、当該水皿の上面が前記外
側板の下端縁に密閉的に当接し、製氷水の漏洩を
有効に防止することができる。また製氷室の取付
け作業が容易となり、製氷室および水皿の間隔を
決定する部材の寸法公差を緩く設定することがで
きる。

更に製氷室へのメツキ処理後の歪取り作業を廃
止できるため、従来の製氷機に対しローコスト化
が図られる。また製氷室と水皿との間隔が製氷時
に常に一定となるため、隣接する角氷を連結する
リブが均一の厚みとなり、除氷時に一挙に全ての
角氷を放出することができる。このため氷噛みを
防止し得ると共に、角氷の割裂が確実に達成され
る等の有益な効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る自動製氷機において製氷
室の取付構造の一例を示す部分斜視図、第２図は
第１図に示す製氷室の取付構造の縦断面図、第３
図は本考案の別の実施例の縦断面図、第４図は第
３図に示す製氷室取付構造に使用される支持棒と
板ばねとの概略斜視図、第５図は本考案の別の実
施例の縦断面図、第６図は第５図に示す製氷室取
付構造に使用される支持棒と竹の子ばねとの概略
斜視図、第７図は本考案の更に別の実施例の縦断
面図、第８図は第７図に示す製氷室取付構造に使
用される単体としての板ばねの概略斜視図、第９
図は第１図に示す実施例において、除氷サイクル
に入つて水皿を傾動させた状態を示す縦断面図、
第１０図は第１図に示す実施例において、脱氷を
完了して水皿を上動させる途中の状態を示す縦断
面図、第１１図は従来の噴水式自動製氷機を概念
的に示す縦断面図、第１２図および第１３図は
夫々従来の製氷室と水皿との取付状態の概略を示
す縦断面図、第１４図は隣接し合う角氷がリブを
介して連結されている状態を示す概略斜視図であ
る。 １０……製氷室、１４……製氷小室、１８……
水皿、３２……取付枠、４４……支持棒、５２…
…コイルばね、５６……板ばね、５８……竹の子
ばね、６２……板ばね。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 筐体の内部底面に、外側板１０ａより所定寸
   法だけ短く寸法設定した多数の仕切板１２を縦
   横に配設することにより下向きに開口する多数
   の製氷小室１４を画成した製氷室１０と、この
   製氷室１０の直下に傾動自在に配設され、前記
   製氷室１０の外側板１０ａに下方から当接して
   各製氷小室１４を下部において相互に連通した
   状態で閉塞する水皿１８とを有し、前記水皿１
   ８に穿設した噴水孔２２から各製氷小室１４に
   対応的に製氷水を噴水供給して、夫々の製氷小
   室１４内に角氷２８を形成する噴水式自動製氷
   機において、 機内上部に固定設置した取付枠３２の下方
   に、前記製氷室１０を取付枠３２に対して近接
   および離間自在に懸吊支持すると共に、取付枠
   ３２と製氷室１０との対向面に、取付枠３２に
   対して製氷室１０を下方に向けて弾力的に付勢
   する弾性部材５２を介装した ことを特徴とする自動製氷機。 (2) 前記取付枠３２と製氷室１０とは、両部材３
   ２，１０に摺動可能に挿通した適宜数の支持棒
   ４４により支持され、この支持棒４４における
   取付枠３２と製氷室１０との対向面に臨む位置
   に、前記弾性部材５２が挿通される実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の自動製氷機。 (3) 前記弾性部材は、圧縮コイルばね５２である
   実用新案登録請求の範囲第１項または第２項記
   載の自動製氷機。 (4) 前記弾性部材は、湾曲形成された板ばね５６
   である実用新案登録請求の範囲第１項または第
   ２項記載の自動製氷機。 (5) 前記弾性部材は、竹の子ばね５８である実用
   新案登録請求の範囲第１項または第２項記載の
   自動製氷機。 (6) 前記製氷室１０は、圧縮変形を許容する分銅
   形の板ばね６２を介して前記取付枠３２に懸吊
   支持される実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の自動製氷機。