JPH0332327Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、生体腔内の患部を内視鏡で観察しな
がら患部に直接、注射することのできる内視鏡用
注射器に関するものである。

〔従来の技術〕

内視鏡で生体腔内の患部を観察しながら患部に
薬液を注射することは、経口投薬や体外からの注
射に比較して極めて治療効果が高く、従来より広
く採用されており、例えば注射針を装着した送液
用チユーブをガイドチユーブで保護しながら内視
鏡の鉗子チヤンネル内に挿入し、患部に近接した
状態で注射針をガイドチユーブより突出せしめて
患部に注射する方法が知られている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、ガイドチユーブで保護され、内
視鏡の鉗子チヤンネルを通して患部近傍まで案内
された注射針を患部にまで誘導するためには、内
視鏡の先端硬質部に内蔵した鉗子起立機構により
ガイドチユーブの先端部を彎曲せしめ、その彎曲
の程度を調整することにより行なわれるが、この
さいガイドチユーブ内の注射針は彎曲しないた
め、この状態で注射針をガイドチユーブの先端か
ら露出させるように押送すると、注射針がガイド
チユーブを突き破つてしまうという重大な欠陥が
あつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案に係る内視鏡用注射器は、かかる現状に
鑑み、内視鏡の鉗子チヤンネル内に挿通し得るガ
イドチユーブ内に注射針が先端に装着された送液
用チユーブを挿通し、ガイドチユーブと送液用チ
ユーブとの相対的な移動操作にて注射針をガイド
チユーブ内に収納した状態とガイドチユーブの先
端より突出した状態とにする内視鏡用注射器にお
いて、前記ガイドチユーブの内周先端部と送液用
チユーブの先端部との間に、前記注射針を収納状
態方向に付勢し、かつ前記注射針を卷回包囲して
保護する伸縮自在のコイル部材を配装したことを
特徴とするものである。

〔作用〕 本考案に係る内視鏡用注射器は、かかる構成を
有するので、内視鏡の鉗子チヤンネル内に挿入
し、ガイドチユーブの先端を患部にまで誘導する
ために鉗子起立機構により彎曲せしめた状態で注
射針をガイドチユーブの先端から露出せしめる場
合にあつても、注射針はガイドチユーブの先端か
ら露出されるまではコイル部材にて被装、保護さ
れているので、ガイドチユーブに触れて傷をつけ
たり、突き破つたりすることがなく、しかも注射
針のみガイドチユーブの先端より露出し、コイル
部材により注射の操作が妨げられることがなく、
迅速、かつ正確な処置が要求される生体腔内の治
療を容易にすることができる。

〔実施例〕

以下、本考案を図示の実施例に従つて説明する
こととする。

図において、１は内視鏡における鉗子チヤンネ
ル内に挿入し得るガイドチユーブにして、四弗化
エチレン樹脂等の摩擦係数の小さい可撓性材料か
らなつていることが望ましい。ガイドチユーブ１
の基端部側は外筒本体２の先端部に固定されてお
り、ガイドチユーブ１の先端部における内周には
後述のように小径部３が形成されている。

ガイドチユーブ１内には送液用チユーブ４が嵌
装されており、該送液用チユーブ４の先端には注
射針５が装着されていて送液用チユーブ４を通し
て送られてきた薬液が注射針５の先端部から射出
されるようになされている。注射針５の少なくと
も先端部には伸縮可能なコイル部材６が嵌装され
ており、コイル部材６の基端部内面は注射針５の
外面と固着され、図示の如く送液用チユーブ４の
先端部に当接受止めされている一方、コイル部材
６の先端部側は注射針５と固着されず、注射針５
の長手方向に沿つて伸縮可能な状態となされてい
る。コイル部材６は先端部側において力が作用し
ない状態では注射針５の先端を被包する位置にあ
り、力の作用下では注射針５がコイル部材６から
露出し得る程度に収縮が可能な粗なピツチを有す
るものである。コイル部材６の外径はガイドチユ
ーブ１の先端部における小径部３の内径よりも大
きくしてあるので、注射針５を第１図において左
方へ移動させるときには、コイル部材６はガイド
チユーブ１の小径部３に衝当して移動不能となる
一方、小径部３より外径の小さい注射針５のみが
通過することができ、ガイドチユーブ１の先端よ
り注射針が露出して注射可能な状態となる。

送液用チユーブ４の基端部側は、第２図に示す
ように外筒本体２内に摺動可能に嵌装したスライ
ダー７の先端に連結チユーブ８を介して連結され
ており、スライダー７の左右動に応じて送液用チ
ユーブ４が移動するようになされている。スライ
ダー７の外周には、外筒本体２に形成した溝１７
に配装したクリツクリング９の内端が嵌入し得る
凹部１０，１０′が形成されており、両凹部１０，
１０′間の長さだけスライダー７が左右に移動可
能とされている。１１はスライダー７の長手方向
に形成した溝であつて、段部１２，１２′は外筒
本体２に配装したピン１３に衝当することによつ
てスライダー７が過度に左右動することを防止す
るストツパーの働きをするものである。なお、溝
１１は、スライダー７の回転防止をする働きもす
る。スライダー７内には空洞１４が形成されてお
り、該空洞１４が、該空洞１４内に摺動可能に嵌
装された押圧部材１５の先端面とで注射用薬液を
保持する液室を形成している。この液室は送液用
チユーブ４の基端部とは連通部１６、連結チユー
ブ８を介して連通しており、押圧部材１５による
押圧により送液用チユーブ４へと送液されるよう
になされている。また、スライダー７の端部に設
けられた取付部１８により自動注入器の取付けも
可能である。

次に、この注射器の使用にさいしては、先ず、
鉗子チヤンネルを有する内視鏡を生体腔内の所望
の位置まで挿入し、次いで注射針５をコイル部材
６にて保護した状態で送液用チユーブ４と共に内
部に嵌装されているガイドチユーブ１を鉗子チヤ
ンネル内に挿通し、内視鏡による観察下で鉗子口
より突出したガイドチユーブ１の先端部を鉗子起
上操作により患部にまで誘導する。この状態でス
ライダー７を押送し、送液用チユーブ４を左方向
へと移動させ、その先端部にある注射針５をガイ
ドチユーブ１の先端から突出せしめ、スライダー
７内の押圧部材１５により薬液を送つて注射を行
なう。

〔考案の効果〕

本考案に係る内視鏡用注射器は、以上の説明か
ら明らかなように内視鏡の鉗子チヤンネル内に挿
入し、先端部を患部にまで誘導するために彎曲せ
しめる場合にあつても注射針はコイル部材にて被
装、保護されているため、ガイドチユーブに接触
することがなく、不測のガイドチユーブの損傷を
生ぜず、しかもガイドチユーブから突出せしめた
さいは注射針のみが露出するので、何ら妨害され
ることなく容易に注射が可能となるなどの迅速か
つ正確な処理を要求される医療上の要求に充分応
ずることができるという優れた実用的効果を奏し
うるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る内視鏡用注射器の実施例を
示すものにして、第１図はその先端部の側断面
図、第２図はその基端部の側断面図である。 １：ガイドチユーブ、２：外筒本体、３：小径
部、４：送液用チユーブ、５：注射針、６：コイ
ル部材、７：スライダー、８：連結チユーブ、
９：クリツクリング、１０，１０′：凹部、１１，
１７：溝、１２：段部、１３：ピン，１４：空
洞，１５：押圧部材、１６：連通部、１８：取付
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内視鏡の鉗子チヤンネル内に挿通し得るガイド
   チユーブ内に注射針が先端に装着された送液用チ
   ユーブを挿通し、ガイドチユーブと送液用チユー
   ブとの相対的な移動操作にて注射針をガイドチユ
   ーブ内に収納した状態とガイドチユーブの先端よ
   り突出した状態とにする内視鏡用注射器におい
   て、前記ガイドチユーブの内周先端部と送液用チ
   ユーブの先端部との間に、前記注射針を収納状態
   方向に付勢し、かつ前記注射針を卷回包囲して保
   護する伸縮自在のコイル部材を配装したことを特
   徴とする内視鏡用注射器。