JPH0330729Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、遠赤外線ガスストーブに関し、特に
遠赤外線放射強度が大きく且つ燃焼安定性に優れ
たものに関する。

（従来の技術およびその問題点） 従来、赤外線ガスストーブとして、例えば多孔
質セラミツクよりなる放熱板を設け、この放熱板
の孔に、燃料ガスと空気との混合ガスを供給し、
この混合ガスを圧電式点火装置等により着火せし
め、その火炎により上記放熱板を加熱し、この放
熱板から被加熱対象に赤外線を放射するようにし
たものが知られている。ところが、上記従来のも
のでは、この赤外線ガスストーブを屋外で使用し
た場合、放熱板の燃焼面に風圧がかかり、燃焼が
不安定になるという問題がある。

また、放熱体の内方空間部にブンゼン形バーナ
を設け、このバーナの燃焼ガスにより放熱体を加
熱し、この放熱体から被加熱対象に赤外線を放射
するようにした、いわゆる間接着火燃焼式の赤外
線ガスストーブが知られている。このものは、屋
外で使用しても安定した燃焼性が得られるもの
の、放熱体の表面温度が811゜K程度までしか上昇
しないので、赤外線放射強度が十分とは言えな
い。

さらに、非孔質のセラミツクで放熱板を形成
し、この放熱板をガスバーナで加熱するようにし
た、いわゆる直接着火燃焼式の赤外線ガスストー
ブが知られている。このものは、上記間接着火燃
焼式のものに較べて放熱板の表面温度が1800゜K
程度まで上昇し、十分な赤外線放射強度が得られ
るものの、放熱板の表面温度を高くすべくガスバ
ーナの火炎を放熱板の外面に向ける必要があるの
で、屋外使用時に風圧で燃焼が不安定になる。そ
の場合、風が当たり難い放熱板背面にガスバーナ
の火炎を向けることが考えられるが、放熱板の加
工等の面からコスト的に高くつくという問題が生
じる。

また、耐火フアイバを用いた赤外線ガスストー
ブとして、セラミツクフアイバをマトリツクス状
に加工して発熱体を形成し、この発熱体に供給し
た燃焼ガスをセラミツクフアイバの外面で着火せ
しめるようにしたものが知られている。このもの
は、燃焼反応がセラミツクフアイバの外面よりも
少し内側で発生するので、セラミツクフアイバを
効率良く加熱でき、高い赤外線放射強度が得られ
るが、やはり屋外使用時には、風圧がセラミツク
フアイバ内に作用して燃焼を不安定にする虞れが
ある。

さらにまた、インコーネル等の金属製ネツトで
放熱体を形成し、この放熱体の内部にガスバーナ
を設けたものが知られているが、このものでは発
熱体の寿命が短いとともに、屋外使用時の燃焼安
定性にも欠けるという問題がある。

（考案が解決しようとする問題点） 以上のように従来の各種タイプの遠赤外線ガス
ストーブは長所・短所を有するものの、いずれも
赤外線放射強度と耐屋外使用性との両立を図れた
ものはない。

本考案は上記の両立を図るべくなされたもの
で、その目的とするところは、赤外線放射強度が
大きく且つ屋外使用時においてもガスバーナに風
圧がかからない赤外線ガスストーブを提供するこ
とにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本考案では、燃焼室
でガスバーナを囲んで室外使用時にガスバーナに
風圧がかからないようにするとともに、多孔質セ
ラミツクの固体熱放射作用によつてガスバーナの
燃焼熱を輻射熱とし、この輻射熱を遠赤外線放射
材料の赤外線放射作用によつて被加熱対象に向つ
て集中して放射することにある。

具体的に、本考案の講じた解決手段は、ガスバ
ーナを囲むように燃焼室を設け、該燃焼室を、空
隙率65〜80％の多孔質セラミツクよりなり前面が
開放されたセラミツク体と、該セラミツク体の前
面開口部に設けられ前面に遠赤外線放射材料より
なる放射層が形成された放熱板とにより形成し、
上記セラミツク体の内面を、上記ガスバーナの燃
焼ガスの熱を受けるよう燃焼ガス流に対向する受
熱面と上記放熱板に対して熱を放射するよう放熱
板に対向する放射面とが交互に連続する鋸歯形状
の熱交換部に形成する構成としたものである。

（作用） 上記の構成により、本考案では、ガスバーナの
燃焼ガスは燃焼室を構成するセラミツク体を通過
して燃焼室の外部に排出される。

その場合、ガスバーナがセラミツク体と放熱板
とにより囲まれているので、屋外使用時にガスバ
ーナに風圧がかからず、燃焼が安定して行われ
る。しかも、上記ガスバーナの燃焼熱はセラミツ
ク体内面の熱交換部における受熱面に受けられ、
該熱変換部を形成する多孔質セラミツクの固体熱
放射作用により輻射熱に変換されてこの熱交換部
の放熱面から放熱板に向つて放射され、該放熱板
前面の遠赤外線放射材料よりなる放射層の赤外線
放射作用により被加熱対象に向つて集中して放射
されることになり、赤外線放射強度が強いものと
なる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は本考案の実施例に係る遠赤外線ガスス
トーブを示し、１は薄箱状のケーシング、２，２
…は該ケーシング１を支持するための安定脚であ
つて、該各安定脚４はその一端がケーシング１底
部に対して水平面内で回転できように取付けられ
ていて、遠赤外線ストーブの収納時にはケーシン
グ底部に収納される一方、ストーブの使用時には
ケーシング１の前方又は後方に引出されてケーシ
ング１を安定させるものである。上記ケーシング
１の上部前面は開放されていて、ケーシング１内
に放熱室３が形成されている。該放熱室３にはブ
ンゼン形のガスバーナ４が配設されており、該ガ
スバーナ４には、上記ケーシング１内の下部に配
置されたカートリツジ式ガスボンベからガバナを
介して燃料ガスが供給されていて、該ガスバーナ
３においてこの燃料ガスが周囲の空気と混合して
混合ガスになり、燃焼に供される。

そして、上記ガスバーナ４上方の放熱室３に
は、上記混合ガスを燃焼させる燃焼室５が設けら
れている。第２図および第３図に示すように、こ
の燃焼室５はガスバーナ４を囲むように設けられ
ており、前面および下面が開放された筐体状のセ
ラミツク体６と、該セラミツク体６の前面開口部
６ａに設けられた金属製の放熱板７とにより形成
されている。

上記セラミツク体６は、空隙率65〜80％の多孔
質セラミツクにより形成されており、ガスバーナ
４の燃焼ガスを通過せしめて燃焼室５の外部に排
出するようにしている。ここで、空隙率を上記範
囲内に限定したのは、65％未満では燃焼ガスの通
気性を確保することができず、一方85％を超える
と、セラミツク体６の圧力損失が小さくなり、室
外使用時にセラミツク体６の外壁に風圧がかかつ
たときにこの圧力を燃焼室５に至るまでに十分低
下させることができず、燃焼が不安定になるから
である。

また、上記放熱板７は、厚さ１〜２mmのアルミ
ニウム板または厚さ0.5〜1.5mmの鉄板により形成
されていて、その前面には遠赤外線を放射する物
質を塗付することにより一定厚さの放射層７ａが
形成されており、後述する熱交換部８の放熱面８
ｂ，８ｂ…から放射される輻射熱を遠赤外線放射
材料の赤外線放射作用により放熱板７前方の被加
熱対象に向つて集中して放射するようにしてい
る。

さらに、上記セラミツク体６の内面のうち上記
放熱板７に対向する内面は、下方につまり燃焼ガ
ス流に対向して上記ガスバーナ４の燃焼ガスの熱
を受ける水平な受熱面８ａ，８ａ…と、該受熱面
８ａの先端から斜め後方に傾斜し上記放熱板７に
対向して放熱板７に対して熱を放射する放射面８
ｂ，８ｂ…とが上下方向に交互に連続する鋸歯形
状の熱交換部８に形成されており、上記各受熱面
８ａで受けたガスバーナ４の燃焼熱を上記熱交換
部８を形成する多孔質セラミツクの固体熱放射作
用により輻射熱に変換して上記各放熱面８ｂから
放熱板７に向つて放射するようにしている。

したがつて、上記実施例においては、ガスバー
ナ４の燃焼熱を熱交換部８でその固体熱放射作用
により輻射熱に変換して放熱板７に向つて放射
し、さらに該放熱板７表面の放射層７ａでその赤
外線放射作用により被加熱対象に向つて集中して
放射するようにしたので、遠赤外線ガスストーブ
の赤外線放射強度を大きくすることができ、特に
対流熱伝達が期待できない室外での暖房器具とし
て好適である。

また、ガスバーナ４をセラミツク体６と放熱板
７とにより囲んだので、屋外使用時にガスバーナ
４に風圧がかからず、燃焼安定性を確保すること
ができる。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案の遠赤外線ガスス
トーブによれば、ガスバーナを囲むように燃焼室
を設けるとともに、ガスバーナの燃焼熱を熱交換
部の多孔質セラミツクの固体熱放射作用により輻
射熱に変換し、さらに放熱板前面の遠赤外線放射
材料よりなる放射層の赤外線放射作用により被加
熱対象に向つて集中して放射するようにしたの
で、遠赤外線ガスストーブの赤外線放射強度を大
きくすることができるとともに屋外使用時におけ
る燃焼安定性を確保することができる。よつて、
屋外での使用に好適なガスストーブを提供するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は全体斜
視図、第２図は燃焼室の拡大正面図、第３図は燃
焼室の拡大縦断側面図である。 ４……ガスバーナ、５……燃焼室、６……セラ
ミツク体、７……放熱板、７ａ……表面層、８…
…熱交換部、８ａ……受熱面、８ｂ……放熱面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ガスバーナを囲むように燃焼室が設けられてお
   り、該燃焼室は、空隙率65〜80％の多孔質セラミ
   ツクよりなり前面が開放されたセラミツク体と、
   該セラミツク体の前面開口部に設けられ前面に遠
   赤外線放射材料よりなる放射層が形成された放熱
   板とにより形成されていて、上記セラミツク体の
   内面は、上記ガスバーナの燃焼ガスの熱を受ける
   よう燃焼ガス流に対向する受熱面と上記放熱板に
   対して熱を放射するよう放熱板に対向する放射面
   とが交互に連続する鋸歯形状の熱交換部に形成さ
   れていることを特徴とする遠赤外線ガスストー
   ブ。