JPH0330666B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は建築用材、特に天井材として有用な耐
サグ性を改善したロツクウール天井板の製造方法
に関するものである。 〔従来例の構成とその問題点〕 従来から、ロツクウール等を湿式抄造して形成
した天井板は、断熱性、防火性、吸音性に優れて
いることから、ビルその他の建築物の天井材とし
て広く使用されている。 しかしながら、そのような天井板は、少量の添
加量で大きな結合効果が得られるスターチを主体
とした結合剤を用いているため、吸湿や吸水でス
ターチの結合力が低下し易く、耐湿性の点で難点
があり、大版の天井板に形成すると吸湿に伴つて
中央部が自重で垂れ下がる所謂サグが生じ易く、
特にドロツプイン方式でＴ形バー間に天井板を架
設、支持させた場合には中央部分が何ら支持され
ていないためにサグが大きく生じるという問題点
があつた。 このような問題点を除去するために、フエノー
ル樹脂等の耐水性に優れたバインダーをスラリー
中に多量に混入使用して天井板全体の耐湿強度を
高めたものも提案されているが、樹脂成分を繊維
内部に多く含有させると防火性に劣ると共にコス
ト高になるという問題点がある。 〔発明の目的〕 本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、
片面或るいは両面側からの吸湿性を抑制すると共
に吸湿による強度低下やサグの発生を防止するこ
とを目的とするロツクウール天井板の製造方法を
提供するものである。 〔発明の構成〕 上記目的を達成するために本発明のロツクウー
ル天井板の製造方法は、ロツクウールとスターチ
等のバインダーを水に分散させて調整したスラリ
ーを抄造してロツクウールのウエツトマツトを製
造し、該ウエツトマツトの表面にロツクウールの
短繊維と耐水性を有する結合剤を水に混合して調
整したロツクウール短繊維の混合物を適宜厚さの
層状に付着させ、これを乾燥することにより、ロ
ツクウールマツトの表面に耐水性結合剤を含有す
るロツクウール短繊維層を一体に層着させたもの
である。 〔実施例の説明〕 本発明の実施例を図面について説明すると、第
１図は本発明方法の一実施例を示し、平均繊維長
が10〜30mmのロツクウールを主体とし、これにス
ターチ等或いはポリビニルアルコール等の従来か
ら公知の繊維板用の結合剤及び必要に応じてパー
ライト等の軽量骨材或いは故紙パルプ等の有機繊
維材料を水中に分散混合させてなるロツクウール
の水性スラリーを丸網抄造機あるいは長網抄造機
等によつて抄造してウエツトマツト１を形成す
る。 一方、ロツクウールと水をミル等で混練して粉
砕処理した繊維長が約100μ〜2000μのロツクウー
ル短繊維を主体とし、このロツクウール短繊維に
耐水性結合剤としてのフエノール樹脂、アクリル
樹脂、アクリルスチレン樹脂、石油樹脂或いはロ
ジン系樹脂等から選ばれた硬化後には吸水しない
か又は吸水しても結合力に低下をきたさない耐水
性を有する結合剤を水と共に混合してロツクウー
ル短繊維の混合物３を準備し、この混合物をシー
ト状に形成しながら、前記ウエツトマツト１の表
面に供給してウエツトマツト１よりも薄いロツク
ウール短繊維層２を付着させる。 次いで、その表面を必要に応じてロール４等で
押圧して密着度を高めたのち、適宜な乾燥手段に
よつて積層マツトを乾燥させて、第３図に示すよ
うに表層が耐水性結合剤を含有するロツクウール
短繊維層２の表層部となり、下層が比較的繊維長
の長いロツクウールで形成された繊維層１１であ
る天井板を得るものである。 結合剤は天井板のサグを防止するために、ロツ
クウール短繊維層２の総重量に対して５％以上、
望ましくは５〜25％の割合で混在させている。 短繊維として100〜2000μの長さのものを使用
するのは、下層のウエツトマツト１との密着力を
高めて両者間での層間剥離を防止するためであ
り、100〜2000μの長さに粉砕したロツクウール
短繊維であれば繊維長が極端に短くて重ね合わせ
部分において、上記短繊維が圧力や脱水時の水分
の移動で流動しやすく、下層のウエツトマツト１
を構成するロツクウールの空隙部分に喰い込むよ
うにして密着し合つて、両者の結合点が著しく増
大し、該結合点にバインダーを作用させることで
その結合点を強固に固定してロツクウール短繊維
層２の剥離が防止されるためである。 ウエツトマツト１の表面にロツクウール短繊維
層２を一体に層着させるには、第１図に示すよう
に、ウエツトマツト１の表面にシート状に形成し
ながら重ね合せる方法の他、第２図に示すよう
に、ウエツトマツト１の表面にロツクウール短繊
維と耐水性結合剤及び水との混合物３を直接流す
ようにして付着させてロツクウール短繊維層２を
形成してもよい。 この際、ウエツトマツト１と短繊維層２との界
面にスターチ溶液或いは合成樹脂結合剤６等を塗
布しておいてもよい。 なお、ロツクウール短繊維層２は前述のように
シート状に形成しながら、ウエツトマツト１の表
面に付着させると、ロツクウール短繊維層２を均
一厚さで設けることができて品質のバラツキがな
く、安定した性能のものを効率良く生産できるも
のである。 このロツクウール短繊維２の表面に、トラバー
チン模様やピン孔模様等の公知の模様を形成して
もよい。 次に本発明実施例によつて形成したロツクウー
ル天井板と従来の単層構成のロツクウール天井板
との物性の比較を示す。 実施例 ロツクウール（平均繊維長10〜30mm） 60重量部 無機発泡軽量骨材 25 〃 古紙パルプ 10 〃 スターチ ４ 〃 とを多量の水に分散させてなるスラリーを湿式抄
造して得られたロツクウールのウエツトマツトの
表面に、 ロツクウール短繊維（平均繊維長0.3〜１mm）
84 〃 古紙パルプ ６ 〃 水溶性フエノール樹脂 10重量部 を水に混合した混合物をベルト状の網状体の上で
シート状に形成して、両者の界面にはスターチを
塗布しながら重ね合せ、ついで両者を乾燥させ、
ウエツトマツトで形成される下層が比重0.24、厚
さ14mm、ウエツトマツトで形成される表層が比重
0.24、厚さ1.0mmであつて、全体の比重が0.25、厚
さ15mmの抄合わせロツクウール天井板を形成し
た。 このロツクウール天井板をＡとし、前記下層の
ウエツトマツトの組成のみの水性スラリーを湿式
抄造して形成した同一厚さ、同一寸法（545×
1193mm）のロツクウール天井板をＢとして両者の
物性の比較表を示す。

〔発明の効果〕

以上のように、本発明のロツクウール天井板の
製造方法によれば、ロツクウールとスターチ等の
バインダーを水に分散させて調整したスラリーを
抄造してロツクウールのウエツトマツトを製造
し、該ウエツトマツトの表面にロツクウールの短
繊維と耐水性を有する結合剤を水に混合して調整
したロツクウール短繊維の混合物を適宜厚さの層
状に付着させ、これを乾燥することにより、ロツ
クウールマツトの表面に耐水性結合剤を含有する
ロツクウール短繊維層を一体に層着させることを
特徴とするロツクウール天井板の製造方法に係る
ものであるから、湿式抄造したロツクウールのウ
エツトマツトの乾燥と同時にロツクウール短繊維
の表層が一体に形成でき、しかも該短繊維層の乾
燥で耐水のある表層部が一体に設けられるので、
耐水性、耐湿性に優れたロツクウール天井板を抄
造、乾燥の工程で効率良く製造できる。 したがつて、ロツクウールのスラリー中に耐水
性結合剤を添加混合して天井板全体に分散混合さ
せる方法に比べて、抄造性や歩留りを悪化させる
ことがない。 また、耐水性結合剤をシヤワーやスプレーで散
布浸透させる方法に比べて、浸透むらがなく、均
一な耐水性を付与することができる。 さらに、ロツクウールの短繊維層を層着するの
でロツクウールのウエツトマツト表面に、該短繊
維が密着しやすく層間が剥離する恐れがないとと
もに、全体がロツクウールを主体で形成されるの
でロツクウール天井板の防火性、吸音性を大幅に
低下させることなく、吸湿、吸水による垂れ下が
り現象を改善することができ、天井板として極め
て優れた適正を発揮するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図及
び第２図は製造方法を示す簡略側面図、第３図は
本発明方法によつて得られた天井板の断面図、第
４図は吸湿一垂れ下がり線図である。 １……ウエツトマツト、２……ロツクウール短
繊維層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ロツクウールとスターチ等のバインダーを水
   に分散させて調整したスラリーを抄造してロツク
   ウールのウエツトマツトを製造し、該ウエツトマ
   ツトの表面にロツクウールの短繊維と耐水性を有
   する結合剤を水に混合して調整したロツクウール
   短繊維の混合物を適宜厚さの層状に付着させ、こ
   れを乾燥することより、ロツクウールマツトの表
   面に耐水性結合剤を含有するロツクウール短繊維
   層を一体に層着させることを特徴とするロツクウ
   ール天井板の製造方法。