JPH0328642B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は砂が流動する流動燃焼室内へ石炭を供
給して燃焼させ、伝熱チユーブ内の水を加熱して
蒸気を発生させる流動床ボイラにおいて、燃焼室
内における流動層の高さが高くなり過ぎないよう
に制御する流動層高制御装置に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

近年、燃焼効率が高くて廃ガス公害が少ないボ
イラとして流動床ボイラが開発されている。この
種の流動床ボイラは、ボイラ本体内に下段から順
に隔成された貯蔵室、燃焼室、脱硫室の３室を備
えており、貯蔵室から燃焼室へ送られて常時所定
量だけ燃焼室内に蓄えられた砂を空気の吹込みに
よつて流動させ、燃焼室へ供給される石炭を砂と
ともに流動させながら燃焼させるものであつて、
燃焼室の伝熱チユーブ内を通過する水がこの燃焼
ガスで加熱されることによつて蒸気が発生する。
また、燃焼ガスは脱硫室で脱硫されて排気される
とともに、脱硫室では未燃ガスが捕獲されて燃焼
する。

そして、この種の流動床ボイラにおいては、供
給される石炭中に小石が混在することがしばしば
あつて、この不燃物である小石が燃焼室に堆積す
ることにより流動層の層高が高くなり、流動層の
状態が不安定になつたり温度がばらついたりする
ばかりでなく、圧力損失が大きくなつて燃焼効率
が低下するので、ある期間ごとにこの小石を機外
へ除去する必要がある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、この小石を除去するために従来
はボイラの運転を停止し、小石の混つた砂を機外
へ排出して小石を分離していたので、多大の労力
と時間を要し、ボイラの稼動率が低下するばかり
でなく、排出のための別の動力を必要とし、また
砂が小石に混つて廃棄され、無駄になるという問
題があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

このような問題点を解決するために本発明で
は、燃焼室外に設けた砂、小石選別用の流動選別
塔と、燃焼室内流動層の基準上限位置およびその
上方位置との間を、砂排出管と砂還元管とでそれ
ぞれ接続し、この流動選別塔と燃焼室への燃焼用
送風配管との間を流量制御弁つきの配管で接続す
るとともに、駆動装置と駆動連結された砂撹拌掻
出体を燃焼室の砂排出口近傍の燃焼室内へ進退自
在に挿入した。

〔作用〕

このように構成することにより、ボイラ本体の
燃焼室内に蓄えられた砂の層上へ石炭を供給し、
この砂と石炭とを送風装置からの燃焼用空気で流
動させながら燃焼させると、石炭中に小石が混在
している場合、これが燃え残つて砂の層が高くな
り、排出管内へオーバフローして流動選別塔内へ
排出される。流動選別塔へは燃焼用空気の一部が
送風されているので、ここへ排出された小石混じ
りの砂が流動して小石と砂とに分離され、下層へ
集まつた小石が塔外へ排出されるとともに、小石
が除かれた砂は、砂還元管を経て燃焼室へ還元さ
れる。

〔実施例〕

第１図は本発明に係る流動床ボイラにおける流
動層高制御装置の実施例を示す縦断面図であつ
て、図において、流動床ボイラの本体１は、図示
しない複数個の水冷管が埋設された水冷壁２で４
方を囲まれて直方形の箱状に形成されており、そ
の内部には、３段の水冷管３入り仕切板４，５，
６によつて下段から空気室７、貯蔵室８、燃焼室
９、脱硫室１０が隔成されている。空気室７と貯
蔵室８とには、送風装置としての押込フアン１１
に接続された送気管１２が係入されていて空気が
吹込まれており、また燃焼室９には、石炭供給ホ
ツパ１３とロータリバルブ１４ならびに図示しな
い乾燥機と粉砕機とを備えた空気輸送式の石炭供
給管１５が係入されていて石炭が供給されてい
る。さらに脱硫室１０には、図示しない石灰石供
給ホツパとの間を粉砕機を介して接続された空気
輸送式の石灰石輸送管１６が係入されており、脱
硫室１０内に常時所定量の石灰石１７が蓄えられ
るように供給されている。１８は燃焼室９内を千
鳥状に往復するように彎曲して架設された伝熱パ
イプであつて、その一端に連結された送気管１９
は、循環ポンプに接続されており、また、他端に
連結された供給管２０は蒸気使用設備に接続され
ている。なお、本実施例においては送気管１９と
供給管２０との途中を接続するバイパスが設けら
れていて別に設けた排熱利用ボイラの伝熱チユー
ブとなつている。２１は各仕切板４，５，６に複
数個ずつ設けられ、吹込まれた空気を均一に分配
しながら順次上方の室へと吹上げるデイストリビ
ユータであり、また２２は所定期間使用後廃棄す
べき石灰石１７を排出する排出口であつて空気輸
送管を介して灰貯蔵タンクに接続されている。そ
して、貯蔵室８内には、1.6mm程度の径を有する
流動媒体としての砂２３が蓄えられており、ま
た、燃焼室９内にも同じ砂２３が、前記供給され
る石炭の下層に蓄えられている。

２４は筒状に形成されて燃焼室８の外部に配設
された流動選別塔であつてその下部には複数個の
砂排出管２５の下端が接続されており、各砂排出
管２５の上端部は、石炭と砂２３との流動層上層
部へ開口して装着された複数個の送気管２６の開
口部近傍にそれぞれ接続されている。２７は送気
管２６へエアを送り込む配管であり、２８は放熱
用のフインである。各送気管２６には、砂撹拌用
シリンダ２９がそれぞれ付設されており、そのピ
ストンロツド３０に連結された砂撹拌掻出棒３１
は、燃焼室９内の流動層中に係入されている。そ
して、エア圧等でピストンロツド３０を進退させ
ることにより、砂撹拌掻出棒３１で砂２３の流動
層が撹拌され、小石混じりの砂２３が掻出されて
砂排出管２５を通り流動選別塔２４内へ排出され
るように構成されている。さらに、前記押出フア
ン１１から燃焼室９へ燃焼用空気を送る送気管１
２と流動選別塔２４の下端部との間は、流量制御
装置３２を備えた配管３３で連結されており、燃
焼用空気の一部が流動選別塔２４へ送られて小石
混じりの砂の流動層３４を形成し小石を分離する
ように構成されている。３５は流動選別塔２４の
下端開口部に接続された小石排出管であつてロー
タリバルブ３６と、その開閉を制御する高位レベ
ル計３７、低位レベル計３８を備えており、選別
された小石３９はロータリバルブ３６の開放によ
つて塔外へ排出される。さらに、流動選別塔２４
の上端部と、燃焼室９の上端部とは砂還元管４０
で接続されており、小石が分離された残りの砂が
上昇空気によつて燃焼室９へ還元される。４１は
流動選別塔２４内に支架された上昇砂分級用のフ
イルタであり、また、４２，４３は砂排出管２５
に設けられたエア供給管と放熱用フインである。
一方、前記脱硫室１０の上端部には、燃焼ガスを
排出する排出口４４が開口されており、また、流
動選別塔２４の外部には、燃焼室９と貯蔵室８と
の圧力差を検出しこの差圧が所定圧を越えたとき
に信号を発して砂撹拌シリンダ２９による砂２３
の撹拌掻出を行なわせる差圧計４５が設けられて
いる。また、燃焼室９内の複数個所には、950℃
程度の温度を測定可能な温度計４６がそれぞれ挿
入されており、これらの温度計４６間に所定量以
上の温度差が出たり、小石が温度計に当つたりし
たときに信号を発して砂２３の撹拌、掻出を行な
わせるように構成されている。

以上のように構成された流動床ボイラおよびそ
の小石分離装置の動作を説明する。燃焼室９内に
蓄えられた砂２３の上層へ石炭を供給し、空気室
９と貯蔵室８とへ空気を送つたのちバーナ等で予
熱した石炭に点火すると、燃焼用空気の供給によ
つて石炭が燃焼し、この燃焼は、デイストリビユ
ータ２１からの吹き上げ空気で砂２３と石炭とが
流動することによつて促進され、効率よく燃焼す
る。この燃焼によつて伝熱チユーブ１８内の水が
加熱されて蒸気が発生し、供給管２０を経て蒸気
使用設備へ供給される。一方、燃焼ガスはデイス
トリビユータ２１を経て脱硫室１０に入り、硫黄
分を除去され無害のガスとなつて排出口４４から
排出されるとともに、脱硫室１０内では未燃カー
ボンが捕捉されて燃焼する。排出口４４から排出
された燃焼ガスは、別に設けたボイラを通過する
ときに供給管２０から蒸気使用設備へ向う蒸気を
昇温させたのち、煙突から排出される。

そして、燃焼室９へ供給される石炭には、小石
が混つていることがあり、これが燃えずに残るの
で、砂２３の層にはこの小石が混つて堆積する。
このときの燃焼室９内における圧力上昇を差圧計
４５が感知したり、あるいは各温度計４６間に所
定量以上の温度差が出たりすると、その発する信
号により砂撹拌用シリンダ２９が作動して砂撹拌
掻出棒３１で小石混りの砂２３を撹拌し、砂排出
管２５内へ掻出す。掻出された砂２３は、流動選
別塔２４内に堆積し、配管３３内を送られてくる
燃焼用空気の一部によつて流動する。この流動に
より重い小石は下開に集まり、そのレベルが高位
レベル計３７を越えることによりロータリバルブ
３６が開いて小石が排出されるとともに、小石の
レベルが低位レベル計３８よりも低くなると、ロ
ータリバルブ３６が閉じて小石の堆積が再開され
る。小石が分離された結果残つた砂は、配管３３
からの空気によつて上昇し、砂還元管４０を経て
燃焼室９内へ還元される。なお、選別後の砂は、
石炭供給ホツパ１３へ還元させてもよい。このよ
うにして小石混りの砂２３がオーバフローして排
出されることにより流動層は常時同高位を維持す
る。

第２図は本発明の他の実施例を第１図に対応し
て示す縦断面図であつて、第１図と同符号を付し
たものはこれと同構成であるからその詳しい説明
を省略する。本実施例においては、砂撹拌掻出棒
３１Ａを砂排出管２５内に設け、これを進退させ
る砂撹拌用シリンダ２９Ａを砂排出管２５と同心
状に延在させた。こうすることにより砂２３が掻
出されることは前記実施例と同じであるが、砂撹
拌掻出棒３１Ａを突上げることにより砂２３が落
ち、砂２３は容易に掻出されて排出される。

〔発明の効果〕

以上の説明により明らかなように、本発明によ
れば流動床ボイラにおける流動層高制御装置にお
いて、燃焼室外に設けた砂、小石選別用の流動選
別塔と、燃焼室内流動層の基準上限位置およびそ
の上方位置との間を、砂排出管と砂還元管とでそ
れぞれ接続し、この流動選別塔と燃焼室への燃焼
用送風配管との間を流動制御弁つきの配管で接続
するとともに、駆動装置と駆動連結された砂撹拌
掻出体を燃焼室の砂排出口近傍の燃焼室内へ進退
自在に挿入したことにより、ボイラの運転中、石
炭に小石が混つたりして流動層高が高くなると、
燃焼室の圧力上昇や異常な温度差によりシリンダ
が作動して小石混じりの砂を撹拌しながら掻出
し、流動選別塔内に排出して小石と砂とに分離し
たのち、小石を塔外へ排出し、砂を燃焼室へ還元
させるので、ボイラの運転を停止させることなく
流動層高を常時一定高さに維持することができ、
流動層の状態が安定して温度のばらつきや圧力損
失が小さく燃焼効率が向上するとともに、ボイラ
の連続運転によりその稼動率が向上し、また、従
来のような小石分離作業がなくなり、労力の軽減
と動力の節減を計ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明に係る流動床ボイ
ラにおける流動層高制御装置の実施例を示し、第
１図はこれを実施した流動床ボイラの縦断面図、
第２図は本発明の他の実施例を第１図に対応して
示す縦断面図である。 ９……燃焼室、１１……押込フアン、１２……
送気管、１５……石炭供給管、２３……砂、２５
……砂排出管、２６……送気管、２９……砂撹拌
用シリンダ、３１……砂撹拌掻出棒、３２……流
動制御装置、３３……配管、３５……小石排出
管、３９……小石、４０……砂還元管。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 燃焼室内の石炭と砂との混合物を、送風装置
   で吹込んだ空気で流動させながら燃焼させる流動
   床ボイラにおいて、前記燃焼室外に配置されて燃
   焼室内流動層の基準上限位置との間を砂排出管で
   接続されこの砂排出管の開口部よりも高位置にお
   ける燃焼室側との間を砂還元管で接続された砂、
   小石選別用の流動選別塔と、この流動選別塔と前
   記送風装置の送気管との間を接続する流量制御弁
   つき配管と、前記砂排出管の燃焼室側開口部近傍
   において燃焼室内の流動層へ進退自在に挿入され
   進退駆動装置と駆動連結された砂撹拌掻出体とを
   設けたことを特徴とする流動床ボイラにおける流
   動層高制御装置。