JPH0328356Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 この考案は、試験片を引張試験する引張試験機
に関するものであり、特にその試験片に引張荷重
を加えるための引張試験治具に関するものであ
る。

(ロ) 従来技術 第１４図は従来の引張試験機を示す。この試験
機は上下一対の負荷ロツド１Ｈ，１Ｌを有する。
そして、試験片Ｔ，Ｐが各負荷ロツド１Ｈ，１Ｌ
にチヤツキングそれ、上方の負荷ロツド１Ｈはユ
ニバーサルジヨイント２Ｈおよびロードセル３に
連結され、ロードセル３はクロスヘツド４に取り
付けられている。クロスヘツド４は左右一対のね
じざお５にねじ合わされ、ねじざお５は互いに一
定の間隔を置いて垂直に配置されている。下方の
負荷ロツド１Ｌはユニバーサルジヨイント２Ｌお
よびスタンド６に連結され、スタンド６はテーブ
ル７に固定されている。したがつて、ねじざお５
を回転させると、ねじざお５によつてクロスヘツ
ド４が押し上げられ、上方のユニバーサルジヨイ
ント２Ｈによつて負荷ロツド１Ｈが引き上げられ
る。したがつて、各負荷ロツド１Ｈ，１Ｌによつ
て試験片Ｔ，Ｐに引張荷重が加えられ、ロードセ
ル３によつて試験片Ｔ，Ｐの引張荷重が検出され
る。

この種の引張試験機において、試験片Ｔ，Ｐに
的確に引張荷重を加えるには、試験片Ｔ，Ｐおよ
び負荷ロツド１Ｈ，１Ｌを正確にセンターリング
する必要がある。しかしながら、試験片Ｔ，Ｐを
負荷ロツド１Ｈ，１Ｌにチヤツキングするとき、
各負荷ロツド１Ｈ，１Ｌの加工精度がそのセンタ
ーリング精度に影響する。さらに、ねじざお５を
回転させ、クロスヘツド４を押し上げるとき、ク
ロスヘツド４とねじざお５間の取付精度および各
ねじざお５の垂直精度が負荷ロツド１Ｈ，１Ｌの
センターリング精度に影響し、負荷ロツド１Ｈ，
１Ｌのセンターリング精度を高くすることができ
ない。このため、引張荷重の他に、試験片Ｔ，Ｐ
に偏心荷重が加えられるという問題があつた。特
にセラミツクスなど、硬度の高い試験片の場合、
偏心荷重によつて試験結果に大きいばらつきが生
じていた。

(ハ) 目的 したがつて、この考案は、試験片に偏心荷重が
加えられず、引張荷重だけが加えられるようにす
ることを目的としてなされたものである。

(ニ) 構成 この考案は、上下一対の試験片ホルダを互いに
対向させて配置し、各試験片ホルダのうち、上方
のホルダを試験片の下端に連結し、下方のホルダ
を試験片の上端に連結する。そして、下方のホル
ダを支持台上に支持するとともに、上方のホルダ
を上下動可能に案内する。さらに、上方のホルダ
の上方に圧盤を設け、圧盤によつて上方のホルダ
を押し下げ、これによつて試験片に引張荷重を加
えるようにしたことを特徴とするものである。

(ホ) 実施例 以下、この考案の実施例を説明する。第１図は
この考案の一実施例を示す。ロードセル３がクロ
スヘツド４に取り付けられ、クロスヘツド４がね
じざお５にねじ合わされているのは第１４図と同
様である。この試験機は単一の負荷ロツド８を有
する。さらに、ボール９および圧盤１０を有し、
ボール９は負荷ロツド８の上端に設けられ、ロー
ドセル３に接触し、圧盤１０は負荷ロツド８の下
端に設けられている。

また、この試験機は引張試験治具１１を有し、
試験片Ｔ，Ｐは治具１１に内蔵され、保持されて
いる。第２図および第３図に示すように、引張試
験治具１１は上下一対の試験片ホルダ１２Ｈ，１
２Ｌを有し、試験片ホルダ１２Ｈ，１２Ｌは互い
に対向するよう配置されている。また、各試験片
ホルダ１２Ｈ，１２Ｌのうち、上方のホルダ１２
Ｈは下向きの一対の脚部１３Ｈを有し、下方のホ
ルダ１２Ｌは上向きの一対の脚部１３Ｌを有す
る。各脚部１３Ｈ，１３Ｌは試験片Ｔ，Ｐのまわ
りに90゜の角度間隔を置いて配置されている。そ
して、下方のホルダ１２Ｌの脚部１３Ｌの上端に
試験片取付部１４が一体形成され、取付部１４は
上方のホルダ１２Ｈの脚部１３Ｈ間に収容されて
いる。さらに、上方のホルダ１２Ｈの脚部１３Ｈ
の下端に試験片取付アダプタ１５が固定され、取
付アダプタ１５は下方のホルダ１２Ｌの脚部１３
ｌ間に収容されている。

試験片Ｔ，Ｐはセラミツクスからなる平板状の
ものである。この実施例では、ホルダ１２Ｈ，１
２Ｌの取付アダプタ１５および取付部１４に挿入
溝１６Ｈ，１６Ｌが形成され、試験片Ｔ，Ｐは取
付アダプタ１５および取付部１４の挿入溝１６
Ｈ，１６Ｌに挿入されている。そして、上方のホ
ルダ１２Ｈの取付アダプタ１５にピン孔１７が形
成され、ピン１８が試験片Ｔ，Ｐの下端を貫通
し、取付アダプタ１５のピン孔１７に挿入されて
いる。これによつて上方のホルダ１２Ｈが試験片
Ｔ，Ｐの下端に連結されている。また、下方のホ
ルダ１２Ｌの取付部１４に丸溝１９が形成され、
ピン２０が試験片Ｔ，Ｐの上端を貫通し、取付部
１４の丸溝１９に嵌合されている。これによつて
下方のホルダ１２Ｌが試験片Ｔ，Ｐの上端に連結
されている。

また、下方のホルダ１２Ｌは支持台２１上に支
持され、固定されている。支持台２１はテーブル
７に固定されている。そして、ガイドカラー２２
が上方および下方のホルダ１２Ｈ，１２Ｌの外周
面に嵌合され、上方のホルダ１２Ｈが上下動可能
に案内されている。さらに、負荷ロツド８の圧盤
１０が上方のホルダ１２Ｈの上方に配置され、上
方のホルダ１２Ｈの上端に球座２３が設けられ、
圧盤１０は球座２３に対向するよう配置されてい
る。

前記のように構成された引張試験機において、
ねじざお５を回転させ、クロスヘツド４を引き下
げると、ロードセル３およびボール９によつて負
荷ロツド８が押し下げられる。したがつて、負荷
ロツド８の圧盤１０が引張試験治具１１の球座２
３に接触し、圧盤１０によつて上方のホルダ１２
Ｈが押し下げられる。ガイドカラー２２は上方ま
たは下方のホルダ１２Ｈ，１２Ｌの外周面に沿つ
てスライドし、上方のホルダ１２Ｈを案内する。
したがつて、上方のホルダ１２Ｈの脚部１３Ｈ、
取付アダプタ１５およびピン１８によつて試験片
Ｔ，Ｐに引張荷重が加えられる。その反力は下方
のホルダ１２Ｌのピン２０、取付部１４および脚
部１３Ｌに伝達され、支持台２１およびテーブル
７に伝達される。支持台２１およびテーブル７は
伝達される反力を受け、これを支持する。また、
負荷ロツド８のボール９がロードセル３に押し付
けられ、ロードセル３によつて試験片Ｔ，Ｐの引
張荷重が検出される。

したがつて、前記従来と異なり、この試験機は
試験片Ｔ，Ｐを負荷ロツド８にチヤツキングする
必要はない。負荷ロツド８の圧盤１０を引張試験
治具１１の球座２３に接触させ、圧盤１０によつ
て上方のホルダ１２Ｈを押し下げるだけで、試験
片Ｔ，Ｐに引張荷重を加えることができる。した
がつて、負荷ロツド８のセンターリング精度が低
くても、支障はない。上方および下方のホルダ１
２Ｈ，１２Ｌのセンターリング精度を高くする
と、負荷ロツド８のセンターリング精度に関係な
く、試験片Ｔ，Ｐに引張荷重だけを加えることが
でき、偏心荷重は加えられない。また、ホルダ１
２Ｈ，１２Ｌのセンターリング精度については、
ホルダ１２Ｈ，１２Ｌおよびガイドカラー２２の
加工精度が影響するだけであり、ホルダ１２Ｈ，
１２Ｌのセンターリング精度を高くするのは容易
である。

第８図および第９図は丸棒試験片の引張試験治
具を示す。この実施例では、試験片Ｔ，Ｐの両端
に肩部２４が形成されている。下方のホルダ１２
Ｌは支持台２１上に支持され、固定され、ガイド
カラー２２が上方および下方のホルダ１２Ｈ，１
２Ｌの外周面に嵌合され、上方のホルダ１２Ｈは
上下動可能に案内されているのは第２図および第
３図と同様である。そして、ホルダ１２Ｈの脚部
１３Ｈの下端に試験片取付アダプタ２５Ｈが固定
され、ホルダ１２Ｌの脚部１３Ｌの上端に試験片
取付アダプタ２５Ｌが固定され、試験片Ｔ，Ｐの
肩部２４が各取付アダプタ２５Ｈ，２５Ｌの内孔
２６に嵌合されている。これによつて上方のホル
ダ１２Ｈが試験片Ｔ，Ｐの下端に連結され、下方
のホルダ１２Ｌが試験片Ｔ，Ｐの上端に連結され
ている。

したがつて、負荷ロツド８の圧盤１０によつて
上方のホルダ１２Ｈを押し下げると、ホルダ１２
Ｈの脚部１３Ｈおよび取付アダプタ２５Ｈによつ
て試験片Ｔ，Ｐに引張荷重が加えるられる。その
反力は下方のホルダ１２Ｌの取付アダプタ２５Ｌ
および脚部１３Ｌに伝達される。したがつて、負
荷ロツド８のセンターリング精度に関係なく、試
験片Ｔ，Ｐに引張荷重だけを加えることができ、
偏心荷重は加えられない。

なお、前記実施例では、上方のホルダ１２Ｈを
上下動可能に案内するための機構として、ガイド
カラー２２を使用したものについて説明したが、
その他のガイド機構を使用してもよい。上方およ
び下方のホルダ１２Ｈ，１２Ｌにも種々の形状の
ものが考えられる。要するに、上方のホルダ１２
Ｈを試験片Ｔ，Ｐの下端に連結し、下方のホルダ
１２Ｌを試験片Ｔ，Ｐの上端に連結する。そし
て、下方のホルダ１２Ｌを支持台２１上に支持
し、上方のホルダ１２Ｈを上下動可能に案内すれ
ばよいものである。そして、圧盤１０によつて上
方のホルダ１２Ｈを押し下げると、上方および下
方のホルダ１２Ｈ，１２Ｌによつて、試験片Ｔ，
Ｐに引張荷重を加えることができ、同様の作用効
果を得ることができる。

(ヘ) 効果 以上説明したように、この考案は、圧盤によつ
て上方のホルダを押し下げるだけで、上方および
下方のホルダに試験片に引張荷重を加えることが
できる。したがつて、負荷ロツドのセンターリン
グ精度に関係なく、試験片に引張荷重だけを加え
ることができ、偏心荷重が加えられず、所期の目
的を達成することができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す説明図、第
２図は第１図の引張試験治具の断面図、第３図は
第２図の−線断面図、第４図は第２図の−
線断面図、第５図は第２図の−線断面図、
第６図は第２図の−線断面図、第７図は第２
図の−線断面図、第８図は第２図の変形例を
示す断面図、第９図は第８図の−線断面図、
第１０図は第８図の−線断面図、第１１図は
第８図のXI−XI線断面図、第１２図は第８図のXII
−XII線断面図、第１３図は第８図の−−
線断面図、第１４図は従来の引張試験機を示す説
明図である。 Ｔ，Ｐ……試験片、１０……圧盤、１１……引
張試験治具、１２Ｈ，１２Ｌ……試験片ホルダ、
１３Ｈ，１３Ｌ……脚部、１８，２０……ピン、
２１……支持台、２２……ガイドカラー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下一対の試験片ホルダを互いに対向させて配
   置し、前記各試験片ホルダのうち、上方のホルダ
   を前記試験片の下端に連結し、下方のホルダを前
   記試験片の上端に連結し、前記下方のホルダを支
   持台上に支持するとともに、前記上方のホルダを
   上下動可能に案内し、さらに前記上方のホルダの
   上方に圧盤を設け、前記圧盤によつて前記上方の
   ホルダを押し下げ、これによつて前記試験片に引
   張荷重を加えるようにしたことを特徴とする引張
   試験治具。