JPH0324815Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

＜産業上の利用分野＞ 本考案は内燃機関の燃焼室の吸気口に配置さ
れ、クランク軸と同期回転するカムによりカムフ
オロワを介して開弁駆動される１気筒当り３弁以
上の吸気弁を有する動弁機構に関し、特に回転速
度に応じてその作動時期を変化させることの可能
な動弁機構に関する。 ＜従来の技術＞ 内燃機関の燃焼室に対する混合気の吸入及び燃
焼ガスの排出は、上記した動弁機構の作動により
行なわれており、これら弁の作動タイミングは、
クランク軸の回転角度、即ちピストンの行程に応
じて最適となるように設定されている。 ところで、混合気の吸入抵抗を削減する上に
は、弁開度がある程度大きくとれることが望まし
い。しかるに、単一の弁で必要な開度を得ようと
すると、弁が大型化し慣性質量が増大するなど、
動弁追従性を悪化させる不都合がある。従つて、
限られたシリンダボア内で可及的に大きな開口面
積を得る上には、多数の弁を並列作動させるよう
にして、１個当りの弁を小形軽量化した構造をと
ることが好ましい。 ＜考案が解決しようとする問題点＞ 一方、機関が低速運転時は、ピストン速度が低
く、混合気流量も少ないことから、吸気口の開口
面積が過大であると吸気流速が低下し、混合気の
充填効率が悪化する不都合を生ずる。 このような従来技術の問題点に鑑み、本考案の
主な目的は、燃焼室の吸気口に１気筒当り３弁以
上の吸気弁を有する内燃機関に於て、特に中低速
域での混合気の充填効率を改善することの可能な
動弁機構を提供することにある。 ＜問題点を解決するための手段＞ このような目的は、本考案によれば内燃機関の
各燃焼室の吸気口に配置され、クランク軸と同期
回転するカム軸に形成されたカムにより、カムフ
オロワを介して開弁駆動される１気筒当り３弁以
上の吸気弁を有する動弁機構に於て、前記各吸気
弁に対応して吸気弁と同数のカムフオロワを互い
に隣接配置すると共に、他よりも開角度、揚程共
に大きなカムと、実質的に概ねベース円からなる
カムとを含む互いに輪郭が異なるカムを前記カム
フオロワの各個に対応させて互いに隣接配置し、
かつ前記カムフオロワのうちの互いに隣接するも
の同士間の連結・非連結を選択する切換手段を設
けてなることを特徴とする内燃機関の動弁機構を
提供することにより達成される。 ＜作用＞ このようにすれば、全てのカムフオロワを連結
すると、揚程及び作動角度が最も大きな高速用カ
ムにて全ての吸気弁が駆動されるので、これまで
の多弁式エンジンと同等以上の高速特性を獲得で
きる。そして各カムフオロワ間の連結を解除して
各吸気弁を互いに異なる揚程及び作動角度で駆動
することによつて一部の吸気弁を実質的に休止さ
せると、低混合気流量の運転域であつても、混合
気の充填効率が高まる。 ＜実施例＞ 以下、本考案の好適実施例を添付の図面につい
て詳しく説明する。 第１図に示されるように、図示されない内燃機
関本体には、各気筒について３つの吸気弁１ａ〜
１ｃが設けられており、これら吸気弁１ａ〜１ｃ
が設けられており、これら吸気弁１ａ〜１ｃは、
クランク軸（図示せず）の１／２の速度で同期駆
動されるカム軸２に一体的に設けられた、それぞ
れカムプロフイルの異なる第１〜第３カム３〜５
と、これらカム３〜５に係合して揺動運動を行な
う、カムフオロワとしての第１〜第３ロツカアー
ム６〜８との働きにより開閉動作を行なうように
されている。また、本内燃機関には、一対の排気
弁（図示せず）が備えられており、上記した吸気
弁１ａ〜１ｃに対応して開閉駆動される。 第１〜第３ロツカアーム６〜８は、カム軸２の
下方に、該カム軸２に平行に固設されたロツカシ
ヤフト９に揺動自在なように互いに隣接して枢支
されており、各ロツカアームは基本的に同一形状
とされ、その基部がロツカシヤフト９に枢支さ
れ、それぞれの遊端部が各吸気弁１ａ〜１ｃの上
方に延出されている。これらロツカアーム６〜８
の遊端部には、各吸気弁１ａ〜１ｃの上端に当接
するタペツトねじ１０ａ〜１０ｃがそれぞれ進退
可能なように螺着されており、該タペツトねじは
ロツクナツト１１ａ〜１１ｃにより緩み止めされ
ている。 前記したようにカム軸２は機関本体の上方に回
転自在なように枢支されており、第１ロツカアー
ム６に対応する第１カム３、第２ロツカアーム７
に対応する第２カム４、及び第３ロツカアーム８
に対応する第３カム５が一体的に連設されてい
る。これらカムは、第２図に良く示されているよ
うに、そのベース円Ｃを全て等しくされており、
第１カム３は比較的狭い角度範囲にわたる小さな
揚程を有し、機関の低速運転域に適合したカムプ
ロフイルに形成されており、第１ロツカアーム６
の上面に形成されたカムスリツパ６ａにその外周
面を摺接し得るようにされている。第２カム４
は、第１カム３に比して角度範囲を広く、かつ揚
程を幾分か大きくされた機関の高速運転域に適合
したカムプロフイルに形成されており、第２ロツ
カアーム７のカムスリツパ７ａに摺接している。
そして第３カム５は、ベース円のみにて形成され
ており、第３ロツカアーム８のカムスリツパ８ａ
に摺接している。 これら第１〜第３カム３〜５に係合する第１〜
第３ロツカアーム６〜８は、各ロツカアーム６〜
８の中央部を貫通してロツカシヤフト９と平行に
穿設された孔内に装着された後記する第１、第２
連結装置１２，１３により、隣接するもの同士が
それぞれ一体的に揺動し得る状態と、相対変位し
得る状態とを切換可能なようにされている。 一方、これら吸気弁１ａ〜１ｃの燃焼室に向け
ての開口は、図示されない点火プラグを中心とし
た所定の円周上に配設されている。従つて、各タ
ペツトねじ１０ａ〜１０ｃとバルブ端との当接部
は、ロツカシヤフト９から等間隔をおいて配設さ
れているが、中央部の吸気弁１ｂと両端の吸気弁
１ａ，１ｃとの開口部は、カム軸２の軸線方向か
ら見て互いにオフセツトしている。また、これら
吸気弁１ａ〜１ｃの上部には、リテーナ１４がそ
れぞれ設けられており、これらリテーナ１４と機
関本体との間に、各吸気弁１ａ〜１ｃのステム部
を囲繞するバルブスプリング１５が介装されてお
り、各吸気弁１ａ〜１ｃの閉弁方向、即ち第２図
に於ける上方に向けて付勢している。 第３図に良く示されるように、第１，第２両ロ
ツカアーム６，７間には第１連結装置１２が、そ
して第２，第３両ロツカアーム７，８間には第２
連結装置１３がそれぞれ設けられている。これら
第１，第２連結装置１２，１３は構造、作動要領
共にほぼ同一であり、以下第１連結装置１２のみ
ついてのみ説明する。 第１ロツカアーム６には、第２ロツカアーム７
側に向けて開放する第１ガイド孔１６が、ロツカ
シヤフト９に平行して穿設されている。そして、
第２ロツカアーム７には、第１ロツカアーム６の
第１ガイド孔１６と同心、同径をなし第１ロツカ
アーム６側に向けて開放する第２ガイド孔１７が
穿設されている。この第２ガイド孔１７の底部側
は、縮径された小径部１８が形成され、これに伴
い段部１９が形成されている。 第２ガイド孔１７の内部には、第１及び第２ロ
ツカアーム６，７を連結する位置及びその連結を
解除する位置間で第１，第２両ガイド孔１６，１
７にまたがつて移動し得るピストン２０が、そし
て第１ガイド孔１６の内部には、ピストン２０の
第１ガイド孔１６に対する突入距離を規定するス
トツパ２１がそれぞれ装着されている。 ピストン２０の軸線方向寸法は、その一端が第
２ガイド孔１７内の段部１９に当接した際に、そ
の他端が第１ガイド孔１６内に突入しないように
設定されている。そしてピストン２０の端面と小
径部１８との間に油圧室２２が郭成されている。 また、ストツパ２１の内面と第１ガイド孔１６
の底面との間には、コイルばね２３が縮設されて
おり、ストツパ２１をピストン２０に向けて常時
押圧付勢している。 ロツカシヤフト９内には、後記する油圧供給装
置に連通する作動油供給通路２４が穿設されてお
り、第２ロツカアーム７の油圧室２２に連通する
ように穿設された油路２５と、ロツカシヤフト９
の周壁に穿設された連通孔２６とを介して、作動
油供給通路２４から供給される作動油を、第２ロ
ツカアーム７の揺動状態の如何に拘らず、油圧室
２２内に導入し得るようにされている。即ち、こ
の作動油の油圧により、ピストン２０がコイルば
ね２３の付勢力に抗して変位することにより、互
いに隣接するロツカアーム同士が連結される。ま
た、第１，第２両連結装置１２，１３は、油圧室
２２を中心として対称的に配設されており、第
１，第２両連結装置１２，１３に同時に油圧を作
用させることが可能なようにされている。そして
これら第１，第２両連結装置１２，１３は、スト
ツパ２１を付勢するコイルばね２３のばね定数が
互いに異なる値に設定されており、第１連結装置
１２は、第２連結装置１３に比して低油圧にて作
動するように定められている。 第４図は上記実施例に対する油圧供給経路を図
式的に示しており、例えば機関のクランク軸に連
結される潤滑油ポンプ４０から吐出油は、圧力調
整装置４１により所定の圧力に調整された後、３
ポート２ポジション式の第１電磁弁４２を介して
作動油供給通路２４に連結されている。 圧力調整装置４１は、リリーフ弁４４を介して
吐出通路４５の圧力をオイルタンク内に開放する
リリーフ通路４６と、オリフイス４７を介して吐
出通路４５の圧力をリリーフ弁４４のばね付勢力
に加算して作用させる背圧通路４８とを有し、背
圧通路４８にかける背圧を第２電磁弁４９にて断
続させることにより、リリーフ弁４４の設定圧を
二段階に変化させることができるようにされてい
る。 作動油供給通路２４を断続する第１電磁弁４２
は、通常は入力ポートが閉鎖されて、出力ポート
とタンクポートとが連通し、励磁時に入力ポート
と出力ポートとが連通するようにされており、励
磁時にのみ各連結装置１２，１３に作動油圧を供
給するようにされている。 次に以上説明した本装置の作動要領について説
明する。 第１電磁弁４２が消磁状態にあつては、作動油
供給通路２４に油圧が供給されず、従つて、第
１，第２連結装置１２，１３はそれぞれストツパ
２１のコイルばね２３の付勢力により、連結解除
位置側にあり、全てのロツカアームは単独に揺動
し得る状態にある。 この状態では、第１カム３及び第２カム４が、
第１ロツカアーム６と第２ロツカアーム７とをそ
れぞれのカムプロフイルに従つて揺動させ、両ロ
ツカアーム６，７に対応する両吸気弁１ａ，１ｂ
がそれぞれ開閉駆動される。また、第３カム５
は、ベース円のみにて形成されていることから、
第３ロツカアーム８は揺動せず、従つて、残りの
吸気弁１ｃは動作しない。 次に第２電磁弁４９を開き、リリーフ弁４４に
作用する背圧を解除することにより回路圧力を低
圧に設定した上で第１電磁弁４２を励磁すると、
作動油供給通路２４を介して第１，第２両連結装
置１２，１３に低圧の作動油圧が作用する。とこ
ろで、第２連結装置１３の作動圧が高圧に設定さ
れていることから、低圧に設定された第１連結装
置１２のみが第３図に示すように連結位置側に変
位し、第１ロツカアーム６と第２ロツカアーム７
とを連結する。従つて、第１，第２両ロツカアー
ム６，７は、第１カム３より高い揚程を有する第
２カム４のカムプロフイルに応動し、２つの吸気
弁１ａ，１ｂを開閉駆動する。 第２電磁弁４９を閉じると、背圧がリリーフ弁
４４に作用して回路圧力が高圧に設定される。こ
こで第１電磁弁４２を励磁すると、第１，第２両
連結装置１２，１３が共に連結位置側に作動し、
第１〜第３ロツカアーム６〜８が全て一体的に連
結される。 この状態にあつては、第２カム４の揚程が最も
高いことから、全ての吸気弁１ａ〜１ｃは共に第
２カム４のカムプロフイルに応動して開弁駆動さ
れる。 上記した各連結装置１２，１３と各吸気弁１ａ
〜１ｃとの動作の関係を表１にまとめて示す。

【表】 このように上記した構成をとることにより、表
１に示すように３種類の状態を選択的に変化させ
ることが可能となり、機関の回転速度に応じてよ
り適切な吸気弁の制御を行うことが可能となる。 尚、上記実施例に於ては、油圧を２段階とした
が、作動油供給通路を複数系統に細分化して、動
作するピストンを適宜に選択することも可能であ
る。また、本考案は上記実施例にとどまらず、カ
ムプロフイルの組合わせ、或いは弁口径の組合わ
せなどにより種々の変形態様が可能である。 ＜考案の効果＞ このように本考案によれば、吸気弁毎に個別に
カムフオロワを設け、かつ各カムフオロワに対応
して互いに異なる輪郭のカムを設けると共に、各
カムフオロワ同士間の連結・非連結を選択的に切
換えることにより、全ての吸気弁が共通のカムに
より同時駆動される状態と、一部の吸気弁が実質
的に休止する状態とを、選択的に切換えられるよ
うにしたことから、３以上の複数の弁を設けた上
に、中低速回転域に於ける吸気の充填効率を改善
することが可能となり、より広い回転速度範囲に
わたり機関の出力特性を平坦化する上に大きな効
果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に基づく動弁機構の上面図であ
る。第２図は第１図の矢視図である。第３図第
２図の−線に沿う断面図である。第４図は油
圧回路図である。 １ａ〜１ｃ…吸気弁、２…カム軸、３…第１カ
ム、４…第２カム、５…第３カム、６…第１ロツ
カアーム、７…第２ロツカアーム、８…第３ロツ
カアーム、９…ロツカシヤフト、１０ａ，１０ｂ
…タペツトねじ、１１ａ，１１ｂ…ロツクナツ
ト、１２…第１連結装置、１３…第２連結装置、
１４…リテーナ、１５…バルブスプリング、１６
…第１ガイド孔、１７…第２ガイド孔、１８…小
径部、１９…段部、２０…ピストン、２１…スト
ツパ、２２…油圧室、２３…コイルばね、２４…
作動油供給通路、２５…油路、２６…連通孔、４
０…潤滑油ポンプ、４１…圧力調整装置、４２…
第１電磁弁、４４…リリーフ弁、４５…吐出通
路、４６…リリーフ通路、４７…オリフイス、４
８…背圧通路、４９…第２電磁弁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 内燃機関の各燃焼室の吸気口に配置され、クラ
   ンク軸と同期回転するカム軸に形成されたカムに
   より、カムフオロワを介して開弁駆動される１気
   筒当り３弁以上の吸気弁を有する動弁機構に於
   て、 前記各吸気弁に対応して吸気弁と同数のカムフ
   オロワを互いに隣接配置すると共に、 他よりも開角度、揚程共に大きなカムと、実質
   的に概ねベース円からなるカムとを含む互いに輪
   郭が異なるカムを前記カムフオロワの各個に対応
   させて互いに隣接配置し、 かつ前記カムフオロワのうちの互いに隣接する
   もの同士間の連結・非連結を選択する切換手段を
   設けてなることを特徴とする内燃機関の動弁機
   構。