JPH0324538Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ペイルパツク内溶接用ワイヤの残量
表示装置に関する。

溶接ワイヤは少量ならばボビンに巻装した状態
でまた多量ならペイルパツクに収容した状態で使
用する。ペイルパツクは金属製もしくは厚紙製の
有底円筒体で、使用時に蓋を外して円錐状のワイ
ヤ取出し装置を嵌め、該装置を通して溶接ワイヤ
を引出して溶接に供する。これらは不透明体であ
るから内部の溶接ワイヤは見えず、残量を知るに
はワイヤ取出し装置を外したりせねばならず、厄
介である。それ故本考案は簡単な手段でペイルパ
ツク内溶接ワイヤの残量を外部から目視確認でき
るようにしようとするものである。次に実施例を
参照しながら本考案を説明する。

第１図は本考案の実施例、第２図は第１図の要
部断面図を示し、１０は例えば鉄製の溶接用ワイ
ヤペイルパツクで外筒１２と内筒１４からなり、
これらの間に溶接ワイヤＷのコイル１６を収容す
る。ワイヤＷは引出したとき捩れがないように予
め１ターン当り360゜の捩りを、引出すとき生じる
捩りとは逆向きに与えてコイル１６にしてあり、
このため該コイル１６のワイヤＷは常に膨張しよ
うとしており、これを抑える目的でコイル１６の
上部に抑え板１８が置かれる。さらに抑え板１８
と外筒１２の内面との間隙を通つてワイヤＷは跳
ね上ろうとする傾向にあり、これを防止するため
に布またはプラスチツクシートなどの細幅帯状体
で構成されるテープ１１を設ける。すなわちテー
プ１１の下端は外筒１２の内面下部に取付け、抑
え板１８に設けた孔を通して、（孔を設けず、抑
え板の内側を通してもよい）上端は外筒１２の内
面上部に取付ける。このテープ１１はワイヤＷの
跳ね上りを防止するとともに抑え板の回動を防止
する効果がある。なおこの膨張しようとする力は
上方ばかりでなく、径方向外方へも働らき、この
ためコイル１６は外筒１２側へ延びて内筒１４と
の間には図示のように間隙を作るから、内筒１４
は省略してもよい。２０はワイヤ取出し装置で円
錐状をなし、外筒１２の上部開放端に締結バンド
２２により取付けられる。工場出荷段階では外筒
１２の上部には図示しないが円板状の蓋がしてあ
り、溶接現場でこの蓋をとり、内部からワイヤＷ
を引き出し、ワイヤ取出し装置２０の頂部のワイ
ヤ案内孔及びコンジツトチユーブ２４等に該ワイ
ヤを挿通し、然るのちワイヤ取出し装置２０を外
筒上部へ図示状態に取付ける。

コンジツトチユーブ２４の先端には図示しない
がワイヤ送給装置および溶接トーチなどが設けら
れ、ワイヤＷはこれらを通つて溶接部へ供給され
る。溶接進行に伴なつてペイルパツク１０内のワ
イヤＷはコイル１６の上部から逐次引出されて次
第に減少し、抑え板１８は下降して行く。しかし
外筒１２及びワイヤ取出し装置２０はいずれも不
透明体であるからペイルパツク内ワイヤの減少状
態は外部から分らない。多量の溶接を行なう場合
はワイヤＷの使用量も多く、そして溶接能率を上
げるためにはペイルパツク内ワイヤが使用され尽
すとき直ちに新しいペイルパツクからワイヤ供給
を開始することが望ましく、或いはまた新たに溶
接を開始するときペイルパツク内ワイヤがどれ位
あるのか確認しておくのが望ましく、これらの目
的でペイルパツク内ワイヤ残量の確認が外部から
簡単に行なえるようにしておくことは有効、有意
義である。

そこで本考案では外筒１２の胴部に図示のよう
に高さ方向に目盛３０を付ける。目盛３０の付け
方としては該胴部に目盛りを印刷する。目盛の付
いたテープを貼り付ける、その他適宜の方法をと
つてよい。次に抑え板１８に磁石３４を取り付け
るとともに、鉄片等の磁性体片３２を抑え板１８
に設けた磁石３４に対応する目盛３０上の位置に
置く。ペイルパツク外筒胴部を通して磁性体片３
２は磁石３４に吸着し、磁石３４部分を外れた外
筒外面では磁性体片は吸着しないからこの磁性体
片３２の位置が、コイル１６の上端位置従つてペ
イルパツク内溶接用ワイヤの残量を示す。コイル
１６は溶接進行に伴なつて上端からワイヤＷを引
出されて高さが減少して行く。この高さの減少に
つれて磁性体片３２は下方へ移動して行く。こう
して磁性体片３２はワイヤ残量計の指針となる。
なお図示状態ではワイヤ残量指示に若干の狂いが
生じる（多目に表示している）が、これは抑え板
１８の端面に凹部を設けて磁石片３４を該凹部に
取付けるなどの手段で補正することができる。

磁性体片３２は指針となるものであるから赤な
どの目立つ色に着色する、または光反射膜を被着
して強い反射光を生じるようにするのがよい。こ
の残量計は目盛３０と磁性体片３２と磁石片３４
およびテープ１１で構成される極めて単純なもの
でもよいが、磁性体片の脱落、紛失を回避するた
め目盛り３０に沿つて案内部材を設け、磁性体片
３２はこの案内部材の中で移動し、外部へは突
出、脱落しないようにするのもよい。

第３図は磁性体片３２に案内部材を取付けた例
を示し、３６，３８がその案内部材である。これ
らは断面状の部材で磁性体片３２を左右から覆
つて脱落しないようにする。３８ａが部材３８の
鉤状に曲つて磁性体片３２を抑える部分で、同様
な部分は部材３６にも設けられる。磁性体片３２
の最初のセツトなどは、部材３６，３８の間に指
先を入れ、磁性体片３２を上下から抓んで移動さ
せることにより行なえる。目盛３０がよく分るよ
うに部材３６，３８は本例ではプラスチツクなど
からなる透明体としているが、金属その他の不透
明体としてもよい。磁性体片３２は外筒表面を摺
動することになるから、該表面に摩擦抵抗の小さ
いフイルムなどを貼付してもよい。

また目盛は青・黄・赤等の着色帯としてもよ
く、このようにすると磁性体片が青の部分にある
ときは「またワイヤは相当残つている」、黄の部
分では「残りは少ない」、赤の部分では「残りは
殆んどない」等と表示することができる。

以上説明したように本考案によれば目盛と磁石
と磁性体片およびテープという極めて簡単な手段
によりペイルパツク内溶接用ワイヤの残量表示を
行なうことができ、甚だ有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す斜視図で、一部
は切除してある。第２図は第１図の要部断面図、
第３図は本考案の他の実施例を示す要部断面図お
よび平面図である。 図面で、Ｗは溶接用ワイヤ、１０はペイルパツ
ク、１２は外筒、３０は目盛、３２は磁性体片、
３４は磁石である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 溶接用ワイヤを収容するペイルパツク内の溶接
   用ワイヤコイルの上端に置かれる抑え板に磁石を
   取付け、ペイルパツクの外筒胴部に目盛を高さ方
   向に付け、該目盛の前記磁石に対応する位置に磁
   性体片を吸着させて、該磁性体片を溶接用ワイヤ
   残量指示指針とし、さらに前記抑え板に設けた孔
   部を通して前記胴部にテープを垂設してなること
   を特徴とする溶接用ワイヤの残量表示装置。