JPH0321607Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は歯ブラシに関し、更に詳しくはその本体
を硬質と軟質の二種類の合成樹脂で形成し、その
本体に適度な剛性と柔軟性を与えるとともにハン
ドルの弾力性に方向性を与えることにより、近年
普及しつつある毛先を使つたブラツシング法であ
るスクラビング法やバス法によるブラツシングに
適し、且つ、そのハンドルの把持感をよくした歯
ブラシに関するものである。

従来の歯ブラシのハンドルは、その全体が一種
類の硬質合成樹脂で形成されている為、ハンドル
本体の剛性が大きすぎ、特にハンドル部は厚み方
向の柔軟性に欠けている。したがつて、ブラツシ
ングする場合には、手の力が本体を介してそのま
ま歯に伝わるから、歯に対して衝撃や無理な力が
加わりやすく、その使用感は満足できるものでは
ない。特に近年のブラツシング法の主流は、従来
の毛先に力を込めて歯面を磨くローリング法から
毛先に余計な力を込めずに歯茎と歯肉との境界を
丁寧に清掃するスクラビング法やバス法に移行す
る傾向にあり、該ブラツシング法にハンドルの厚
み方向に柔軟性のない従来の歯ブラシを用いれ
ば、手の力がハンドル本体を介して毛先に直接伝
達されるので歯茎や歯肉を傷めるばかりで、該部
位の清掃を効果的に行えないという問題点があつ
た。例えば、ハンドル部の厚み方向に柔軟性を与
える方法としてはハンドル部の厚みを薄く設定す
る方法が考慮されるが、この方法では厚み方向の
柔軟性を増すことはできるものの、同時にハンド
ル巾方向の機械的強度が低下する不都合が生じる
上に、本来、握りやすいように設計されている歯
ブラシの外形状の変更を余儀なくされ、把持感の
底下が懸念される。

更に、ハンドル部全表面が硬質体から形成され
ていることから把持感に変化がない上に握つたと
きの感触も硬く、把持感が悪い問題があつた。

本案は上記の問題を解決するもので、ハンドル
本体を剛性を有する合成樹脂製硬質体と、柔軟性
を有する合成樹脂製軟質体とを組合わせることに
より、ハンドル巾方向及び厚み方向の弾性及び剛
性の調節を可能にせんとするもので、その要旨と
するところは、ハンドル部と首部と植毛部とから
なるハンドル本体を、その全長にわたつて配置さ
れた合成樹脂製硬質体と合成樹脂製軟質体とから
構成し、合成樹脂製硬質体はハンドルの巾方向に
相対して配置した平行部材を中央部材で連結して
なる横断面略Ｈ型とするとともに合成樹脂製軟質
体は少なくとも前記平行部材の両外側面及び平行
部材間に形成された凹部内にほぼ全長にわたつて
取付けられてなることを特徴とする点にある。

本案を第１図及び第２図として示した実施例に
基づいて説明すると、１は棒状のハンドル本体
で、これは毛２を立植した植毛部３と、それに連
続した首部４とハンドル部５とからなる。６は植
毛部３と首部４の全体とハンドル部５の一部を構
成する硬質体で、これは硬質合成樹脂、例えばポ
リカーボネート、アクリロニトリル−スチレン共
重合体、スチロール樹脂等で形成されており、そ
の形状は第２図に示す如くハンドル部５の巾方向
に相対して配置した平行部材６ａ，６ａを中央部
材６ｂで連結した横断面略Ｈ型にされている。７
は前記平行部材６ａ，６ａの外側面であるハンド
ル部５の巾方向の両端部と硬質体６の凹部８内
に、そのほぼ全長にわたつて固着された、ナイロ
ン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレ
ン樹脂その他の軟質系合成樹脂製よりなる軟質体
である。この実施例では、ハンドル部５の横断面
形状がハンドル部５の巾方向に長い長円形にされ
ているが、この断面形状は任意になしうる。

硬質体６に対する軟質体７の固着は、まず硬質
体６を成形し、それを再度金型内に入れて軟質体
７を成形すれば、軟質体７の成形とそれの硬質体
６に対する固着とを同時に行いうる、とともに、
両者をより強固に固着することに対して適する
が、固着の手段は任意である。

上記のように本案の歯ブラシのハンドルは、そ
のハンドル本体１が、その全長にわたつて配置さ
れた合成樹脂製の硬質体６と同じく合成樹脂製の
軟質体７とから構成され、硬質体６はハンドルの
巾方向に相対して配置した平行部材６ａ，６ａを
中央部材６ｂで連結してなる横断面略Ｈ型とする
とともに前記平行部材６ａ，６ａの横断面におけ
る上下端はハンドル外表面に露出して配され、軟
質体７は少なくとも前記平行部材６ａ，６ａの両
外側面及び平行部材６ａ，６ａ間に形成された凹
部８内にほぼ全長にわたつて取付けられてなるか
ら、ハンドル本体１は、硬質体６による剛性と軟
質体７による柔軟性とを兼ね備え、しかも硬質体
６は横断面略Ｈ型に形成されているから、ハンド
ル部５の巾方向に対する剛性を低下せしめること
なく厚み方向の柔軟性を発揮させることができ、
加えてハンドル軸回り方向の捩じれに対しても耐
えることのできる耐久性に優れた歯ブラシとする
ことができるのである。そして、硬質体６と軟質
体７との横断面における面積比率あるいは硬質体
６を構成する平行部材６ａ，６ａ及び中央部材６
ｂの厚み及び長さを適宜設定することにより、ハ
ンドル本体１の巾方向及び厚み方向の弾性の大き
さを変えることが容易にできる。したがつて、ハ
ンドル部５あるいは首部４などのもつ厚み方向の
適度な弾性で、使用時における歯に対する衝撃や
無理な力を柔げ、歯を適度な押圧力でブラツシン
グすることができるから、その使用感を向上させ
ることができるとともにスクラビング法やバス法
等、毛先を軽く歯面や歯茎にあてて細かく振動さ
せるブラツシング法を行つた場合には優れた歯面
刷掃効果と歯肉に対する優れたマツサージ効果を
発揮することができるのである。

又、ハンドル部５を握つたときに手指と手掌と
で特に力が加わる部分であるハンドル部５の巾方
向の両端部には軟質体７が取付けられているか
ら、ハンドル部５を握つたときの感触は柔らか
く、又、ハンドル表面には硬質体６と軟質体７と
いう異質材料のものが同時に存在していることか
ら、把握時の感触に従来品にはない特異性を与え
ることができ、その把持感もよい。

又、本実施例では把握時に最も力が集中する親
指があたる部分である歯ブラシ前面中央部には軟
質体７が存在する為、歯ブラシの確実な保持が可
能となるとともにフイツト感にも優れた歯ブラシ
を提供することができるのである。

又、硬質体６と軟質体７を構成するそれぞれの
合成樹脂の色彩を変えることにより、歯ブラシ表
面にストライプ状の模様を形成することが可能と
なり、変化に富んだ外観を有する歯ブラシの提供
も可能となる。

特に本考案の歯ブラシのハンドルは、硬質体６
の断面形状を略Ｈ型としているので、ハンドル部
５の巾方向の剛性を変化させることなく、即ち一
定の剛性を維持したまま厚さ方向の弾力性を高め
ることができる。

以上のように本考案にかかる歯ブラシのハンド
ルは、その全長にわたつて配置された合成樹脂製
硬質体と合成樹脂製軟質体とから構成され、硬質
体はハンドルの巾方向に相対して配置した平行部
材を中央部材で連結してなる横断面略Ｈ型とする
とともに軟質体は少なくとも前記平行部材の両外
側面及び平行部材間に形成された凹部内にほぼ全
長にわたつて取付けられてなる構成としたから、
ハンドルの巾方向に対する剛性を低下させたり、
握りやすいハンドルの外形状に変更を加えること
なくハンドル厚み方向の弾力性を高めることが可
能となる。

したがつてブラツシング時における歯面に対す
る上下方向の擢動動作に支障をきたすことなく、
歯面に接触する植毛に押圧方向に対して一定の弾
力性を与えることが可能となるので、ハンドル部
に加わる力は直接毛先に伝達されることなく適度
に緩和して毛先に伝達させられることとなつて、
近年普及しつつあるスクラビング法やバス法等、
毛先を歯面に軽くあてて細かく振動させるブラツ
シング法を行つた場合には歯面に対する優れた刷
掃効果と歯肉に対する適度なマツサージ効果を発
揮することができる。

又、本考案の歯ブラシのハンドルは硬質体が略
Ｈ型であることから、ハンドルの軸回り方向にお
ける柔軟性に優れており、しかも復元力にも優れ
ているので、ローリング法等の毛先を歯面に押し
当てながらハンドル軸回りに回転させるブラツシ
ング法を行つた場合には、ハンドルを握つた手の
回転動作をハンドルの捩り方向の復元力を利用し
て力強く毛先に伝達することが可能であり、優れ
た歯面刷掃効果と歯肉との境界部に堆積する歯垢
の掻き出し効果を発揮できるのである。しかも、
ハンドルの厚み方向には柔軟性があるから、力強
く刷掃したときにも歯茎を傷めることはない。

又、硬質体を構成する平行部材の厚みや中央部
材の長さ及び厚み等を変化させたり、軟質体の断
面形状や巾を適宜設定すれば、ハンドル部の外形
状を変えることなく、ハンドル部の巾方向の弾性
を調節することができるので、握りやすい形状を
維持したまま、種々の弾力特性を有する歯ブラシ
のハンドルを提供することができるのである。

又、ハンドル部の巾方向両端にはハンドルの長
さ方向全長にわたつて軟質体が配置されており、
ブラツシング時に手指と手掌とに挾持されて特に
力が加わる部分には軟質体が位置することとなる
から、ハンドル部を握つたときの感触が柔らかく
なるとともにハンドルの保持が確実化し、把持感
もよくなる。又、ハンドル表面に硬質体と軟質体
という異質部材を同時に存在させることによつて
把握時の感触において従来品にはない特異性を実
現することもでき、更に、硬質体と軟質体の色彩
を変えることとすればハンドルにストライプ状の
模様を施すこともできるので、変化に富んだ歯ブ
ラシを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は正面
図、第２図はハンドル部の拡大横断面図である。 １：本体、２：毛、３：植毛部、４：首部、
５：ハンドル部、６：硬質体、６ａ：平行部材、
６ｂ：中央部材、７：軟質体、８：凹部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハンドル部と首部と植毛部とからなるハンドル
   本体を、その全長にわたつて配置された合成樹脂
   製硬質体と合成樹脂製軟質体とから構成し、合成
   樹脂製硬質体はハンドルの巾方向に相対して配置
   した平行部材を中央部材で連結してなる横断面略
   Ｈ型とするとともに合成樹脂製軟質体は少なくと
   も前記平行部材の両外側面及び平行部材間に形成
   された凹部内にほぼ全長にわたつて取付けられて
   なる歯ブラシのハンドル。