JPH0320701Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は太陽熱集熱器、とくにヒートパイプ
式の太陽熱集熱器に関する。

従来の技術 近時、ヒートパイプ式の太陽熱温水器として、
ヘツダー型に構成されたものが知られている。即
ち、集熱板に伝熱的に接触させ、あるいは断熱用
ガラス管内に挿入する等して並列状に配置された
複数本の吸熱蒸発管の棟側の一端を、これらと直
交状に配置された１本の凝縮ヘツダー管の周壁に
連通状に接続し、これらを真空密閉容器に形成し
かつ内部に作動流体を封入して単一のヒートパイ
プを構成すると共に、前記凝縮ヘツダー管を二重
管に形成してその内管を熱媒体流通管とし、凝縮
ヘツダー管内において上記流通管内を流れる水等
の熱媒体に太陽熱エネルギーを伝達するようにな
されたものが知られている。

考案が解決しようとする問題点 ところが、上記のような従来の太陽熱集熱器で
は、その製作に際し、凝縮ヘツダー管の両端を、
その内部を貫通する熱媒体流通管の周りで閉塞
し、密封しなければならないため、管端の絞り加
工、溶接加工を必要とし、これらの作業が実に厄
介なものであつたし、溶接不良による洩れのおそ
れもあり、信頼性に乏しいものとなり易い憾みが
あつた。また、熱媒体流通管は、熱交換効率を上
げるために、好ましくは周面に多数のフインを設
けたものとなされるが、このフインの形成は、巻
付け加工、転造加工等によつて行われるものであ
つてこの形成も作業上極めて面倒なものであつ
た。更には、凝縮ヘツダー管を円形断面のものと
し、その一側部に吸熱蒸発管を接続するときは、
屋根上に集熱器が勾配をもつて設置される場合、
上記蒸発ヘツダー管内の下部に作動流体の液溜り
を生じ、能力低下を来たすおそれがある。このた
め、凝縮ヘツダー管は、断面形状を上記液溜りを
生じさせないような変形したものとする必要が生
じるが、二重管として形成されるヘツダー部の外
管部分を斯る変形形状に製作することも実に厄介
なものであつた。

問題点を解決するための手段 この考案は上記のような問題点を解決するべ
く、凝縮ヘツダー管に対して、熱媒体流通管を嵌
合方式によつて相互外接状態に組合わせ、一体化
をはかるようにすると共に、上記ヘツダー管の蒸
発管接続部分に漏斗状の流下案内部を形成して、
ヘツダー管内に作動液の滞溜を生じさせないよう
にしたものである。

即ち、この考案は、前記の如きヘツダー型のヒ
ートパイプ式太陽熱集熱器において、前記凝縮ヘ
ツダー管をアルミニウム等の押出型材によつて製
作するものとして、その周壁に長さ方向に沿つて
断面Ｕ字形等の嵌合凹部を形成せしめ、該嵌合凹
部に熱媒体流通管を密接状態に嵌合することによ
り、両者を一体的に組合わせると共に、凝縮ヘツ
ダー管の一側部の前記吸熱蒸発管接続部分に、周
壁の一部を対向状斜壁とする断面漏斗状の流下案
内部を形成し、該流下案内部の先端に前記吸熱蒸
発管を接続せしめたことを特徴とするものであ
る。

実施例 以下、この考案を更に図示実施例に基づいて説
明する。

第１図はこの考案に係る太陽熱集熱器の全体を
示すものであり、１は集熱部、２は熱交換部を示
す。

集熱部１は、アルミニウム押出型材等をもつて
方形に枠組みされた集熱器枠体３の内側におい
て、その下部に断熱材４が敷設され、その上面側
に集熱板５がほぼ全面に亘つて配置されると共
に、該集熱板５の下面側に複数本の吸熱蒸発管６
が集熱板と伝熱接触状態にして並列状に取付けら
れている。そしてこの各吸熱蒸発管６の下端は共
通の１本の連通管７に直交状に連通接続されると
共に、上端部は枠体３を貫通してその外側に突出
され、熱交換部２内に臨んだものとなされてい
る。なお８は集熱部１の上面を覆つて配置された
透明ガラス等の透過体である。

熱交換部２は集熱部１の上端部に隣接して設け
られたもので、前記枠体３の上部横枠材に近接し
てこれを平行に配置されたヘツダー１０と、これ
の外側を、グラスウール等の断熱材１３（第２図
参照）を介して覆つたヘツダーカバー１４とを有
する。

上記ヘツダー１０は、第２図および第３図に詳
細を図示するように、凝縮ヘツダー管１１と、熱
媒体流通管１２との組合わせからなる。

凝縮ヘツダー管１１はアルミニウム押出型材製
のものであつて、両端は例えば端面板が溶接され
ることによつて密閉され、かつ周壁の一側部に前
記吸熱蒸発管６の一端が直交状配置にて連通接続
されている。而して、ヘツダー管１１と蒸発管６
と、下部連通管７とで密閉真空容器を形成し、か
つ内部にフロン等の作動流体が封入されることに
よつてこれらの全体で一体のヒートパイプを構成
したものとなされている。

また、凝縮ヘツダー管１１は、第３図に示すよ
うに、その押出成形時において上部周壁に断面Ｕ
字状の嵌合凹部１５が形成され、かつその外面に
ヘツダー管１１の内方に向けて突出する多数のフ
イン１６が形成されると共に、吸熱蒸発管６の接
続される側の一側部には、周壁の一部が対向状の
斜壁１１ａ，１１ａに形成されることにより、該
部に断面漏斗形の流下案内部１７が形成されたも
のとなされている。また、上記Ｕ字状の嵌合凹部
１５の開口縁両側には、上方に突出した抑止突起
１５ａ，１５ａが設けられたものとなされてい
る。

一方、熱媒体流通管１２は、第２図に示すよう
に円管に形成された主に銅製のものが用いられ、
これが上記凝縮ヘツダー管１１の嵌合凹部１５に
密に圧入嵌合され、かつ上部が扁平状に押し潰さ
れると共に、抑止突起１５ａ，１５ａが内方に折
曲されて流通管１２の抜け止めとなされることに
より、第３図に示すように凝縮ヘツダー管１１に
密接状態に一体的に組合わされたものとなされて
いる。なお、１２ａは流通管１２の上面の押し潰
し扁平部である。

また、吸熱蒸発管６は、凝縮ヘツダー管１１の
前記流下案内部１７の先端面に穿設された孔に一
端部を嵌挿し、溶接することによつてそれに連通
接続されている。従つて、凝縮ヘツダー管１１内
で凝縮復液する作動流体は、集熱器の設置勾配の
多少の変化に拘わりなく、漏斗状の流下案内部１
７で案内されて吸熱蒸発管６内に確実に流下され
るものとなされている。

上記の太陽熱集熱器は、透過体８を透過した太
陽光によつて集熱板５を介して蒸発管６が加熱さ
れ、その内部に封入されている作動流体に蒸発を
生じさせる。この蒸発した高温の蒸気は、急速に
蒸発管６から上方のヘツダー１０の凝縮ヘツダー
管１１内に移動し、熱媒流通管１２内を流れる水
等の熱媒体と熱交換して該熱媒体を加熱する。こ
の熱交換によつて凝縮ヘツダー管１１内で凝縮さ
れた作動流体は専らに重力の作用で再び蒸発管６
内に流下され、その下端に連通された連通管７に
よつて各蒸発管６内の液位を常に平均的に維持さ
れつつ、再び加熱蒸発のサイクルを繰返すことに
よつて、熱媒体流通管１２内の熱媒体に太陽熱エ
ネルギーを連続的に伝達する。

従つて、上記のような太陽熱集熱器は、その熱
媒体流通管１２の両端を、蓄熱層をめぐる熱媒体
循環回路に接続することにより、自然循環式ある
いは強制循環式のいずれの太陽熱温水器にも適用
可能なものである。

なお、上記実施例においては、熱媒体流通管１
２を凝縮ヘツダー管１１の上部周壁に嵌合したも
のを示したが、この嵌合位置は特に限定されるも
のではない。従つて、凝縮ヘツダー管１１の下面
側あるいは側縁部に嵌合せしめるものとしても良
い。しかしながら、図示実施例の状態とする場
合、ヘツダー１０の高さを最も低く構成しつつ、
従つて集熱器を可及的薄型のものとしつつ、熱交
換効率にも優れたものとなしうる点で好ましい。
また凝縮ヘツダー管１１と流通管１２の接触をよ
り確実にするために、嵌合凹部１５の内面に凹凸
状のひだを形成せしめるものとすることも有効で
ある。

考案の効果 この考案は前述のような構成を付与したことに
より、先ず、製作に際してヘツダー１０部の組立
を比較的簡単かつ確実に行いうる。即ち、凝縮ヘ
ツダー管１１の両端の閉塞を、熱媒体流通管１２
に関係なくそれ自体で行いうるから、例えば端面
板を当てて周縁を溶接するというような簡易な手
段によつて行うことができ、ひいてはその溶接不
良等を生じるおそれが少なく、密閉を確実なもの
となし得て、液洩れのおそれのない信頼度の高い
ヒートパイプを構成しうる。また、熱媒体流通管
１２を嵌合方式によつて凝縮ヘツダー管１１に組
合わせるものであるから、ヘツダー１０を二重管
に形成する場合に較べて、その個々の製作も容易
であり、特に凝縮ヘツダー管１１に押出型材を採
用することが可能であつて、その嵌合凹部１５の
外面に押出成形によつて所要のフインを設けるこ
とができ、熱媒体流通管１２に別途フインを取付
けあるいは転造成形するような場合に較べて熱交
換効率の優れた熱交換部を簡易に製作しうる。も
ちろん、凝縮ヘツダー管１１と熱媒体流通管１２
は、比較的大きな面積で相互に密接状態のものと
なしうるから、両者間に充分な伝熱性能を具有せ
しめることができ、熱交換効率にも優れたものと
することができる。

また、凝縮ヘツダー管１１の一側部の吸熱蒸発
管接続部分に、周壁の一部を対向状斜壁１１ａ，
１１ａとする断面漏斗状の流下案内部１７を形成
し、該流下案内部１７の先端部に前記吸熱蒸発管
６を接続せしめたものとしているので、屋根上に
設置されることの多い集熱器の設置勾配の多少の
変化に拘りなく、ヘツダー１１内で凝縮復液する
作動流体を上記流下案内部１７で案内して吸熱蒸
発管６内に確実に流下せしめることができる。従
つて、凝縮ヘツダー内に多くの作動流体が滞溜し
てしまうようなことがなく、ひいては蒸発管６か
らヘツダー１１への熱の移送能力を低下すること
なく常時確実に保有せしめ得る。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すもので、第１図
は太陽熱集熱器を一部切欠いて示した斜視図、第
２図は熱媒体流通管の嵌合前の状態を示すヘツダ
ー部の横断面図、第３図は第１図−線の断面
図である。 １……集熱部、２……熱交換部、５……集熱
板、６……吸熱蒸発管、１０……ヘツダー、１１
……凝縮ヘツダー管、１２……熱媒体流通管、１
５……嵌合凹部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 並列状に配置された複数本の吸熱蒸発管６の
   一端が、これらと直交状に配置された凝縮ヘツ
   ダー管１１に連通接続されてなるヒートパイプ
   の前記凝縮ヘツダー管１１に熱媒体流通管が組
   付けられてなるヒートパイプ式太陽熱集熱器に
   おいて、 前記凝縮ヘツダー管１１の周壁にその長さ方
   向に沿つて嵌合凹部１５が形成され、該凹部に
   前記熱媒体流通管１２が密に嵌合されることに
   より両者が一体的に組合わされると共に、前記
   凝縮ヘツダー管１１の一側部の前記吸熱蒸発管
   接続部分に、周壁の一部を対向状斜壁１１ａ，
   １１ｂとする断面漏斗状の流下案内部１７が形
   成され、該流下案内部１７の先端部に吸熱蒸発
   管６が接続されてなることを特徴とするヒート
   パイプ式太陽熱集熱器。 (2) 嵌合凹部が凝縮ヘツダー管の上部周壁に形成
   されてなる実用新案登録請求の範囲第１項記載
   のヒートパイプ式太陽熱集熱器。