JPH0320234Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、自転車の前ギヤにおけるチエン食
い込み防止装置に関し、前ギヤからその外側に外
れたチエンが前ギヤとクランクアームとの間に食
い込むことを防止するのみならず、外れたチエン
を誘導して前ギヤに噛合させうるようにしたもの
に関する。

［従来の技術］ 自転車走行中に衝撃などでチエンが前ギヤから
外れることがあるが、この場合何等手当てをしな
いと、クランクアームの回動に伴ない外れたチエ
ンが前ギヤの外面とクランクアームとの間に強く
食い込み、外れなくなることがある。

このようなチエンの食い込みを防止するための
アイデイアとして、実公昭59−34553号公報には、
前ギヤ外面におけるクランクアームと対向する部
位に、クランクアームの裏面に向けて突出する突
起を設けるという考案が開示されている。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記公報に示された考案によると、たしかに、
前ギヤから外れたチエンが前ギヤ外面とクランク
アームとの間に深く食い込んで外れなくなるとい
う事態は有効に回避される。しかしながら、走行
を続けながら外れたチエンを有効に前ギヤに戻す
ということまではできず、一旦自転車から降り
て、手でチエンを前ギヤに掛け直すという作業を
必要とした。

そうすると、たとえば自転車レース中に前ギヤ
からチエンが外れた場合、走行を再開できるまで
に相当な時間ロスが生じるとともに、手指が汚れ
るという不具合もある。

この考案は、上記の事情のもとで考え出された
もので、前ギヤからチエンが外れても、これが前
ギヤとクランクアームとの間に食い込むことを防
止することができるのみならず、走行を続けなが
ら外れたチエンを前ギヤ上に戻すことができるよ
うに構成したチエン食い込み防止装置を提供する
ことをその課題とする。

［問題を解決するための手段］ 上記の問題を解決するため、この考案では、次
の技術的手段を講じている。

すなわち、クランクアームの内面または前ギヤ
外面におけるクランクアームと対向する部位に、
クランクアームと前ギヤ外面との隙間を実質的に
封鎖し、かつ前ギヤの歯先とほぼ同等高さをも
ち、かつ前ギヤ側に傾斜するチエン案内面を有す
る突起を設けている。

［作用および効果］ 上記突起は、前ギヤ外面とクランクアームとの
隙間を実質的に封鎖しているから、たとえチエン
が前ギヤか外側に外れても、これが前ギヤ外面と
クランクアームとの間に食い込みことはない。

また、上記突起は、前ギヤの歯先とほぼ同等高
さのチエン案内面を有するから、クランクアーム
の回転に伴なつて上記案内面が外れたチエンを前
ギヤの歯先高さまで持ち上げる。そうして、上記
案内面は、前ギヤ側に傾斜しているから、上記の
ように持ち上げられたチエンは傾斜する案内面上
を滑つて前ギヤ上に落とし込まれ、そして前ギヤ
に噛合する。

このように、本考案のチエン食い込み防止装置
によれば、前ギヤから外れたチエンが前ギヤ外面
とクランクアームとの間に食い込むことが防止さ
れるのみならず、クランクアームを回転させるこ
とにより、自動的に外れたチエンが前ギヤ上に戻
される。したがつて、一旦自転車を降りてチエン
を前ギヤに掛けなおすという作業を行なわなくて
も、走行を続けながら手を汚すことなく外れたチ
エンを前ギヤに掛かった状態に戻すことができ
る。

しかも、本考案の突起は、クランクアームの内
面または前ギヤにおけるクランクアームと対向す
る部位に設られているので、側面から見たとき突
起はクランクアームの裏側に隠れて見えず、した
がって上記の突起が自転車の側面外観を悪化させ
ることがない。

［実施例の説明］ 以下、本考案の実施例を図面を参照して具体的
に説明する。

図示例は前変速装置が構成された例で、内外２
枚のスプロケツト１，２によって前ギヤ３が構成
され、フロントデイレーラ４によって内スプロケ
ツト１または外スプロケツト２のいずれかにチエ
ンＣを掛け換えて変速を行なうようになつてい
る。

前ギヤ３の外面、すなわち外スプロケツト２の
外面におけるクランクアーム５と対向する部位に
は、スプロケツト２とは別体に構成された突起６
がねじ７によつて取付られている。この突起６
は、スプロケツト２の歯底部よりやや半径方向内
側からクランクアーム６の内面に向けて延びる基
部６ａと、この基部６ａの先端方から上方に折れ
曲がってスプロケツト２の歯先部とほぼ同等高さ
まで延びる先端部６ｂとをもつ断面略Ｌ字状を呈
しており、先端部６ｂの上面は、スプロケツト２
側に傾斜する案内面６ｃとなつている。先端部６
ｂの内面とスプロケツト歯部との間は若干の間隔
が開けられ、スプロケツト２に噛合するチエンＣ
が先端部６ｂに干渉しないようになつており、か
つ、先端部６ｂの外面とクランクアーム６との間
隔は、チエンＣの横幅に対して十分狭くなつてい
て、実質的にクランクアーム６とスプロケツト２
の外面との隙間を封鎖している。

また、この突起６の幅は、第２図に示すように
クランクアームの幅より小さく、自転車側面から
見たときクランクアーム５の裏側に隠れるように
成されている。

以上の構成において、たとえ走行中の衝撃、あ
るいはフロントデイレーラ４のチエンガイドプレ
ート４ａを外方に移行させすぎるなどしてチエン
Ｃが外スプロケツト２から外側に外れても、上述
のように突起６がクランクアーム５とスプロケツ
ト２との隙間を実質的に封鎖しているからチエン
Ｃがスプロケツト２とクランクアーム５との隙間
に深く食い込むという事態は起こりえない。

そうして、クランクアーム５をそのまま正方向
に回動させると、第３図に示すように上記の突起
６がチエンＣを次第に持ち上げる。そしてチエン
Ｃが最上位まで持ち上げられた時点で、突起６の
傾斜状案内面６ｃによってチエンＣはスプロケツ
ト２上に落とし込まれ、これに噛合する。

このとき、フロントデイレーラをも同時に操作
し、そのチエンガイドプレート４ａを内方に移行
させてチエンＣを強制的に内方に移行させると、
よりスムースに外れたチエンＣが突起６の案内面
６ｃ上を滑つてスプロケツト２に噛合する。

もちろんこの考案の範囲は上述した実施例に限
定されるものではない。

たとえば、図示例は、前変速装置を構成する前
ギヤについての例であるが、単一スプロケツトか
らなる前ギヤをもち、かつフロントデイレーラを
備えていない場合についても、同様の作用効果が
ある。

また、図示例は、スプロケツト側に突起を設け
た例であるが、クランクアームの内面に突起を設
けても、同様の作用効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を自転車前方から見た場合の断
面図、第２図は側面図、第３図は作用説明図であ
る。 ３……前ギヤ、４……フロントデイレーラ、６
……突起、６ｃ……案内面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランクアームの内面または前ギヤ外面におけ
   るクランクアームと対向する部位に、クランクア
   ームと前ギヤ外面との隙間を実質的に封鎖し、か
   つ前ギヤの歯先とほぼ同等高さをもち、かつ前ギ
   ヤ側に傾斜するチエン案内面を有する突起を設け
   たことを特徴とする、自転車の前ギヤにおけるチ
   エン食い込み防止装置。