JPH0317089Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 利用産業分野 この考案は、自動扉のように、扉等を電動機で
開閉可能に構成したり、NC旋盤の送り機構、あ
るいは吊支、載置した種々の物体を直線移動させ
るための駆動ユニツトに係り、回動シヤフトとこ
れに挿嵌し、特殊構成の直動型軸受を内蔵したス
ライドブロツクとの簡単な構成からなり、回動シ
ヤフトを電動機等で回転させるだけで、例えばス
ライドブロツクに接続した扉等を直線移動させる
ことができる直線駆動軸受ユニツトに関する。

背景技術 シヤフトの回転をシヤフトに挿通させた部材
に、ダイレクトに直進運動に変換する機構とし
て、スクリユーシヤフトとこれに螺合させたナツ
トとからなる構成が知られており、ナツトの回転
を拘束することにより、スクリユーシヤフトの所
要方向の回転に伴い、一定方向にナツトが直進す
る。

前記のスクリユーシヤフトとナツトの機構は両
者の接触抵抗が大きいため、これを軽減した構成
として、ナツト側に多数個のボールを介在させ、
このボールを螺旋軌道と螺旋の始端と終端を結ぶ
循環軌道とで形成するエンドレス軌道で循環させ
てナツトの移動抵抗を軽減したボールスクリユー
が知られている。

上記のいずれの機構も、回動シヤフトにはナツ
トとの螺合が不可欠で、所謂ねじ切り、あるいは
螺旋状の軌道を設ける必要があり、これが、前記
機構の価格を高騰させる大きな要因となつてい
た。

前記機構において、ねじ切りのない平滑面を有
する回動シヤフトに、ナツトを挿通し、回動シヤ
フトを回転させてもナツト側は直進運動せず、ま
た、ボールスクリユーの場合は、ナツト側がスラ
イド軸受として、単に軸方向に移動自在となる機
能を有するだけであつた。

しかし、平滑面の回動シヤフトの回転に伴な
い、該シヤフトに挿通した部材がダイレクトに直
線移動、すなわち、直動、直進する機構は、シヤ
フトの加工が不要になり、製造コストが安価とな
り、また、自動扉、NC旋盤の送り機構、あるい
は吊支、載置した種々の物体を直線移動させる
等、種々の用途に適用が考えられるも、これまで
何ら提案されていなかつた。

考案の目的 この考案は、扉等を電動機で開閉可能に構成し
たり、NC旋盤の送り機構、あるいは吊支、載置
したものを直線移動させるための駆動ユニツトと
して利用できる機械運動ユニツトも目的とし、回
動シヤフトにねじ切りなどの加工が全く不要で、
かつ構成が簡単で安価に製造でき、さらに、ユニ
ツト自体の強度が高く、設置後の維持管理も容易
な軸受構造からなる直線駆動軸受ユニツトを目的
としている。

考案の構成 この考案は、 平滑面を有する回動シヤフトを軸通した１個の
スライドブロツクと、前記スライドブロツクに内
蔵される少なくとも１個の軸受とから構成され、 前記軸受が、 内周面中央部に回動シヤフトに当接し得る凸条
を有し、 該軸受を回動シヤフト軸に直交する垂直軸を回
転中心として僅かに回転させて、回動シヤフトの
回転方向に同期してスライドブロツクを水平移動
させるためのねじのリード角に相当する傾斜角を
軸受自体が有し、 かつ前記直動型軸受の外輪外周面が球面から形
成されたことを特徴とする直線駆動軸受ユニツト
である。

この考案による直線駆動軸受ユニツトは、ねじ
切りされることのない平滑面を有する回動シヤフ
トと、これを挿通するスライドブロツクだけの極
めて簡単な構成であり、かつスライドブロツク
は、この考案の特徴である特有の傾斜角と内輪及
び外輪構成を有する直動型軸受を、１個あるいは
２個、３個あるいはそれ以上を内蔵するだけの極
めて簡単な構成からなる。

この考案は、前記直動型軸受自体が、回動シヤ
フト軸に直交する垂直軸を回転中心とする水平面
で見て、該軸受を回動シヤフト軸に直交する垂直
軸を回転中心として、所要方向に所要角度回転さ
せてねじのリード角に相当する傾斜角を持つよう
に配置固定され、さらに、第５図に示す如く、直
動型軸受９は、外輪９ｂ外周面がリード角から形
成され、内輪９ａの内周面中央部に、先端部が円
弧面からなり回動シヤフトに当接する凸条９ｃを
有したことを特徴とする。

例えば、この考案の特徴である特有の傾斜角と
内輪及び外輪構成を有する直動型軸受３１を１個
のみ内蔵する場合は、第４図に示す如く、スライ
ドブロツク３０内に、例えば、スライドブロツク
３０に扉を吊止する如く、軸受自体に荷重をかけ
ることにより、必要な摩擦抵抗を得ることがで
き、さらに、直動型軸受を複数個内蔵する場合
は、直動型軸受２個１組で、相互にその回動シヤ
フトへの当接方向を軸心対象に配置して必要な摩
擦抵抗を得ることができ、平滑面を有する回動シ
ヤフトの軸方向に、回動シヤフトの回転と設定し
た該傾斜角度方向に応じて、回転に同期してスラ
イドブロツクが軸方向に前後進する。

考案の好ましい実施態様 この考案の特徴である直動型軸受の形状、構成
は、外輪外周面が球面から形成され、内輪に凸条
面を形成でき、かつ軸受に前記した傾斜角度を与
えることができれば、駆動対象等の適用条件に応
じて、いかなる形状構成も採用でき、実施例のボ
ールベアリング構成のほか、ニードルベアリン
グ、平ベアリング、平スライドベアリング構成な
どが採用できる。

また、直動型軸受２個１組で、相互にその回動
シヤフトへの当接方向を軸心対象に配置して必要
な摩擦抵抗を得るには、実施例の如く、スライド
ブロツクに内蔵させるばねにて押圧を得るほか、
種々の弾性体を用いることもできる。

また、この考案案の特徴とする軸受内周面中央
部の回動シヤフトに当接する凸条は、平坦な軸受
の内周面に先端部が円弧面からなる凸条を設ける
ほか、軸受の内周面中央より両外端方向に各々内
輪直径を拡大するテーパー面となし、その中央部
に先端部が円弧面からなる該凸条を設けることが
できる。

この考案において、直動型軸受の内周面中央部
が、軸受の内周面中央より両外端方向に各々内輪
直径を拡大するテーパー面からなり、その突出面
が回動シヤフトに当接する構成でもよいが、軸受
自体に前記した傾斜角度を与えるため、突出面以
外が回動シヤフトに当接することを避ける必要か
ら、テーパー面を比較的高精度にて加工しなけれ
ばならず、製造コスト上、問題を生じる。

しかし、先端部が円弧面からなる凸条を、軸受
内周面中央部に設けると、テーパー面を設ける必
要がなくなるか、あるいは精度にとらわれず加工
でき、切削などの加工が容易かつ安価になり、ま
た、内周面が平坦な内輪に、別途作製した内周面
が凸条からなリング部材を嵌入できる利点があ
る。

また、凸条先端部の形状は、特に限定しない
が、円弧面がこのましい。

さらに、この考案は、前記直動型軸受の外輪外
周面が球面から形成されたことを特徴とし、その
利点を説明する。まず、外輪外周面が平坦なかか
る直動型軸受を、スライドブロツクに内蔵させる
場合を想定すると、軸受自体がねじのリード角に
相当する傾斜角を持つように配置固定する必要か
ら、例えば、スライドブロツクを軸方向に二分割
し、直動型軸受を所要方向に収納できる溝部を設
けるか、あるいは、円筒内周面に外輪の外端のチ
ヤンフアー部が当接するように嵌め込み適当なス
ペーサーにて止着する方法が考えられる。

しかし、スライドブロツクに溝部を設けるの
は、加工精度上で種々の問題を生じてコストを高
騰させ、また、単に嵌め込む場合は、スライドブ
ロツク内に点接触にて内蔵されることになり、か
つ直動型軸受の外輪外径とブロツク中心孔内径と
に比較的大きな差を生じることになり、位置決め
安定性に欠けるだけでなく、極めて変形し易く、
強度上及び軸受寿命から好ましくない。

また、スライドブロツク中心孔の内周面に、直
動型軸受のすわりをよくするための座面を設ける
ことも考えられるが、点接触の位置決めが僅かに
安定するだけであり、加工コストを高騰させ好ま
しくない。

そこで、直動型軸受の外輪外周面を球面で形成
すると、スライドブロツク中心孔に嵌め込んだ
際、スライドブロツク内に線接触にて内蔵される
ことになり、かつ直動型軸受の外輪外径とブロツ
ク中心孔内径との差が極めて小さくなり、位置決
め安定性が著しく向上し、極めて変形し難く、強
度上及び軸受寿命の点からもすぐれ、二分割した
スライドブロツクに溝部を設け必要もなく、極め
て安価に製造できる利点がある。

また、スライドブロツクは、用途、駆動対象、
吊支、載置荷重などの使用条件に応じて、その数
や寸法等、並びにスライドブロツク内の軸受の数
や組み合せ等を適宜選定できる。

さらに、回動シヤフトは、該スライドブロツク
の移動を妨げることのない平滑な周面を有すれ
ば、円柱状、パイプ状など、断面構成、材質、寸
法などを、駆動対象等に応じて、適宜選定すれば
よい。

考案の図面に基づく開示 第１図は、この考案による代表的な構成からな
る直線駆動軸受ユニツトの縦断正面説明図であ
る。第２図と第３図はこの考案による他構成の直
線駆動軸受ユニツトの横断上面図と縦断正面説明
図である。第５図はこの考案による直動型ボール
ベアリングの縦断正面説明図である。

第１図に示すこの考案の直線駆動軸受ユニツト
Ａは、本体となるスライドブロツク１が中心部に
所要内径の貫通孔を設けた直方体フロツクから構
成されており、スライドブロツク１内に、回動シ
ヤフト２が挿通された３個の直動型ボールベアリ
ング３，４，５を内蔵し、適当なスペーサー６を
配して組立られ、その両端外方部に当接配置する
止着リング７，８にて一体に保持される構成から
なる。

直動型ボールベアリング３，４，５の内輪３
ａ，４ａ，５ａには、その内周面中央付近より両
外端方向に各々内輪直径を拡大するテーパー面を
形成してあり、内輪３ａ４ａ，５ａにおいて最も
直径が小さくなる内周面中央は、先端面が円弧面
からなる凸条に形成され、その直径は、回動シヤ
フト２の外径より少し大きく設定してある。

また、直動型ボールベアリング３，４，５の外
輪３ｂ，４ｂ，５ｂは、その外周面が所要曲率の
球面を形成しており、スライドブロツク中心孔に
嵌め込んだ際、直動型ボールベアリング３，５が
孔内に線接触にて内蔵されることになり、かつ直
動型ボールベアリングの外輪外径とブロツク中心
孔内径との差が極めて小さくなり、位置決め安定
性が著しく向上し、極めて変形し難い。

また、必要な摩擦抵抗を得るために、両側の直
動型ボールベアリング３，５の一組が固定され、
中央の直動型ボールベアリング４が、スライドブ
ロツク１に内蔵されるばね（図示せず）にて一方
向に押圧され、直動型ボールベアリング３，４，
５の各内輪３ａ，４ａ，５ａが、線接触（内周面
中央）にて回動シヤフト２外面に当接する構成か
らなる。

ここで、直動型ボールベアリング３，４，５
は、回動シヤフト２を回転させると、その内輪３
ａ，４ａ，５ａの回転によつて、スライドロツク
１に回動シヤフト２軸方向の推力が発生し、スラ
イドブロツク１が回動シヤフト２軸方向に移動す
る。

すなわち、上述の構成からなる直線駆動軸受ユ
ニツトＡは、回動シヤフト２が回転すると、直動
型ボールベアリング３，４，５の内輪は、各々ね
じのリード角に相当する傾斜を有するため、回動
シヤフト２の回転方向に回転し、スライドブロツ
ク１は軸方向に直線移動する。その移動方向は、
直動型ボールベアリング３，４，５の前記傾斜方
向と回動シヤフト２の回転方向の組み合せにより
決定される。

第１図に示す直線駆動軸受ユニツトＡにおい
て、中央部の直動型ボールベアリング４とスペー
サー６との間にワツシヤタイプの位置決め輪を配
置するのもよい。

第２図及び第３図に示す直線駆動軸受ユニツト
Ｂ，Ｃは、第１図と同様のスライドブロツク１
０，２０内に、第２図の場合は２個、第３図の場
合は４個の第１図と同様構成からなる直動型ボー
ルベアリング１１，１２，２１，２２，２３，２
４が配置され、各ボールベアリングは各軸受を挟
む一対のスペーサー６及び止着リング７，８にて
内蔵支持されている。また、第３図では、近接す
る中央部の直動型ボールベアリング２２，２３間
に、ワツシヤタイプの位置決め輪２５が配置さ
れ、スペーサーの代用と隙間調整の機能を果たし
ている。

第２図及び第３図に示す如く、直動型ボールベ
アリング１１，１２，２１，２２，２３，２４
は、それぞれスライドブロツク１０，２０内で、
ねじのリード角に相当する傾斜角を、軸受自体に
持たせ、また、必要な摩擦抵抗を得るために、少
なくとも２個１組の直動型ボールベアリングが、
相互にその回動シヤフト２への当接方向を軸心対
象に配置するよう、第２図の場合は一方の直動型
ボールベアリング１１、第３図の場合は両端の直
動型ボールベアリング２１，２４を固定し、内側
の直動型ボールベアリング２２，２３が、スライ
ドブロツク１０，２０に内蔵されるばね１３（但
し第２図のみ図示）にて一方向に押圧され全直動
型ボールベアリング１１，１２，２１，２２，２
３，２４が各々所要方向、すなわち、交互にシヤ
フト回りに180゜位置で当接、押圧する構成からな
る。

考案の効果 以上に詳述したように、この考案による直線駆
動軸受ユニツトは、少なくとも１個の直動型軸受
を有するスライドブロツクと回動シヤフトとから
なり、その構成が簡単であり、かつ安価に製造で
き、また、作動のための回転部が軸受のみの簡単
な構成であることから、設置後の維持管理も容易
であり、扉等の開閉や接続、吊支あるいは載置物
の移動に際して、移動音等が著しく小さい利点が
ある。また、かかる簡単な構成のため、設置の省
スペース性にすぐれている。

直動型軸受内周面中央部に、先端部が円弧面か
らなる凸条を設けると、高精度切削加工必要なテ
ーパー面を設ける必要がなくなるか、あるいは精
度にとらわれず加工でき、切削などの加工が容易
かつ安価になり、また、内周面が平坦な内輪に、
別途作製した内周面が凸条からなるリング部材を
嵌入できる利点がある。

直動型軸受の外輪外周面を球面で形成すると、
スライドブロツク中心孔に嵌め込んだ際、スライ
ドブロツク内に線接触にて内蔵されることにな
り、かつ直動型軸受の外輪外径とブロツク中心孔
内径との差が極めて小さくなり、位置決め安定性
が著しく向上し、極めて変形し難く、強度上及び
軸受寿命の点からもすぐれ、二分割したスライド
ブロツクに溝部を設ける必要もなく、極めて安価
に製造できる利点がある。

さらに、送り装置等の各種用途に適用が可能で
あり、スライドブロツクに支持、係止、把持、挾
持等の手段を施して、吊支あいは載置された種々
のものと接続し、これを回動シヤフトの回転によ
り、直線移動させることができる。

また、この考案の軸受ユニツトを直線搬送用駆
動装置に用いた場合、物の移動に際して、物に過
大な力が作用すると、軸受はスツプしてそれ以上
に進行することがないため、安全性にもすぐれた
利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案による代表的な構成からな
る直線駆動軸受ユニツトの縦断正面説明図であ
る。第２図と第３図はこの考案による他構成の直
線駆動軸受ユニツトの横断上面図と縦断正面説明
図である。第４図はこの考案による代表的最も基
本的な構成からなる直線駆動軸受ユニツトの縦断
正面説明図である。第５図はこの考案による直動
型ボールベアリングの縦断正面説明図である。 １，１０，２０，３０……スライドブロツク、
２……回動シヤフト、３，４，５，９，１１，１
２，２１，２２，２３，２４，３１……直動型ボ
ールベアリング、６……スペーサー、７，８……
止着リング、９ａ……内輪、９ｂ……外輪、９ｃ
……凸条、１３……ばね。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 平滑面を有する回動シヤフトを軸通した１個
   のスライドブロツクと、前記スライドブロツク
   に内蔵される少なくとも１個の軸受とから構成
   され、前記軸受が内周面中央部に回動シヤフト
   に当接し得る凸条を有し、該軸受を回動シヤフ
   トに直交する垂直軸を回転中心として僅かに回
   転させて、回動シヤフトの回転方向に同期して
   スライドブロツクと水平移動させるためのねじ
   のリード角に相当する傾斜角を軸受自体が有
   し、かつ前記直動型軸受の外輪外周面が球面か
   ら形成されたことを特徴とする直線駆動軸受ユ
   ニツト。 ２ スライドブロツクに内蔵される複数個の直動
   型軸受のうち少なくとも２個１組の直動型軸受
   を、その回動シヤフトへの当接方向を軸心対象
   に配置したことを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の直線駆動軸受ユニツト。