JPH031665Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はスルーコンジツトゲート弁に関する。

〔従来の技術〕

従来、スルーコンジツトゲート弁においては、
第１図及び第３図イに示すように、板状摺動弁体
１との接触によりシール作用する弁箱側環状シー
ト３のシート面３ａを、板状摺動弁体１の板面と
平行な平面形状に形成し、それによつて、板状摺
動弁体１の摺動方向に沿う面上で弁体１と弁箱側
環状シート３を面接触させることにより、それら
の接触圧をシート面上で均等分散化して弁体１の
摺動操作を円滑に行えるようにすると共にシート
面の保護を図つていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、一般にスルーコンジツトゲート弁は、
例えば75Kg／cm²といつた高圧の流体輸送系に用い
られるために、全閉状態において流体圧により板
状弁体が、流路上流側から見て凹状にかなり撓む
のが実情である。

したがつて、前述従来構成にあつては、上述の
如き弁体１の撓みにより、全閉状態において第３
図ロに示すように、弁箱側環状シート３の平面状
シート面３ａと弁体１との接触状態が円形線接触
の片当りとなつて、当初の目的である面接触によ
る接触圧の均等分散化が全く実現されないため
に、かえつて、弁体１の摺動操作が重く、円滑で
なくなつたり、片当り状態での弁体摺動のために
シート面（特にメツキやコーテイングを施したシ
ート面）を損傷してしまう事態を招いていた。

本考案の目的は、高流体圧に起因した弁体の撓
みを補償し、全閉状態において弁箱側環状シート
と弁体との接触圧をシート面上に効果的に均等分
散化できるようにする点にある。

（問題点を解決するための手段） 本考案によるスルーコンジツトゲート弁の特徴
構成は、板状摺動弁体との接触によりシール作用
する弁箱側環状シートのシート面を、弁全閉時の
流体圧による前記弁体の撓み形状に沿う湾曲面形
状、又は、ほぼ沿う円錐面形状に形成してあるこ
とにあり、その作用・効果は次の通りである。

〔作 用〕

つまり、第２図に示すように、全閉状態におい
て板状弁体１が流体圧により図中二点鎖線で示す
如く撓むことを設計段階で見込んで、その弁体１
の撓み形状に沿うように弁箱側環状シート３のシ
ート面３ａを予め湾曲面形状、あるいは、円錐面
形状に形成しておくのであり、それによつて、実
使用時の全閉状態において板状弁体１と弁箱側環
状シート３とを面接触状態ないし近似的に面接触
状態で接触させることができて、第３図ロに示す
如き従前の接触状態に比して、弁体１と弁箱側環
状シート３との接触圧をシート面３ａ上で効果的
に均等分散化することができる。

〔考案の効果〕

その結果、高圧流体輸送系での使用において流
体圧による板状摺動弁体の撓みが補償され、弁体
を軽く円滑に摺動操作できるようになり、又、片
当り状態での弁体摺動に起因したシート面の損傷
をも回避でき、全体として、開閉操作性に優れ、
しかも、シール性を長期にわたつて良好に維持で
きる耐久性に優れたスルーコンジツトゲート弁に
できた。

〔実施例〕

次に本考案の実施例を説明する。

第１図に示すように、板状弁体１を、それに形
成した開口１ａを介して流路Ｆを連通状態とする
開弁位置と板状部１ｂにより流路Ｆを遮断する閉
弁位置とにわたつて摺動自在に弁箱２に内装し、
板状弁体１との接触によりシール作用する弁箱側
環状シート３を弁体１の表裏夫々に対して設け、
弁箱２に連結支持した弁開閉操作用摺動機構４と
弁体１とを摺動弁棒５を介して連動連結し、もつ
て、スルーコンジツトゲート弁を構成してある。

第２図に示すように、弁箱側環状シート３に、
弁体１との接触によりシール作用する環状の弾性
シートパツキン６を嵌入状に装着すると共に、弁
箱側環状シート３と弁箱２との間に、弁箱側環状
シート３をシール作用側に弾性付勢するスプリン
グ７を介装し、もつてシートパツキン６の弾性的
な接触作用、及び、スプリング７の弾性付勢作用
により高いシール性を発揮できるように構成して
ある。

図中８は、弁箱側環状シート３とそれを弁体圧
接側に摺動自在に保持する弁箱嵌合部２Ａとの間
をシールするＯリングである。

弁箱側環状シート３の対弁体シート面３ａを形
成するに、実使用時における全閉状態において流
体圧により板状弁体１が図中二点鎖線で示す如く
撓むことを見込んで、弁箱側環状シート３のシー
ト面３ａを流体圧による弁体１の撓み形状に沿う
湾曲面形状に予め形成してある。

つまり、上述の如くシート面３ａを形成してお
くことにより、流体圧による弁体１の撓みにかか
わらず弁体１と弁箱側環状シート３とを全閉時に
おいて良好に面接触させ、それによつて、弁体１
と弁箱側環状シート３との接触圧をシート面３ａ
上で均等に分散化して、弁体１の開閉摺動を軽く
円滑に行えるように、又、片当り起因したシート
面３ａの損傷を防止するようにしてある。

〔別実施例〕

次に本考案の別実施例を説明する。

弁箱側環状シート３のシート面３ａを、流体圧
による板状弁体１の撓み形状にほぼ沿う円錐面形
状に形成して、弁箱側環状シート３と弁体１を全
閉時において近似的に面接触させるように構成し
ても良い。

弁箱側環状シート３の支持構造、並びに、弁箱
側環状シート３に対する弾性シートパツキン６等
の付加構造は夫々種々の改良が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の実施例を示し、第
１図は全体断面図、第２図は要部の拡大断面図で
ある。第３図は従来例を示し、第３図イは流体圧
が作用していない状態を示す拡大断面図、第３図
ロは流体圧が作用している状態を示す拡大断面図
である。 １……摺動弁体、３……弁箱側環状シート、３
ａ……シート面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 板状摺動弁体１との接触によりシール作用する
   弁箱側環状シート３のシート面３ａを、弁全閉時
   の流体圧による前記弁体１の撓み形状に沿う湾曲
   形状、又は、ほぼ沿う円錐面形状に形成してある
   スルーコンジツトゲート弁。